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なぜゴファン選手はフェデラー選手に勝てないのか? (テニス)

tennis forehand

全米オープン2019 男子シングルス4回戦 フェデラー対ゴファン

先の全米オープン2019、男子シングルス4回戦のフェデラー対ゴファン戦でフェデラー選手が6-2 6-2 6-0のストレートで勝利しました。

Roger Federer vs. David Goffin | US Open 2019 R4 Highlights

対戦相手のゴファン選手は現在ATPランキング15位。2014年にTOP20入りをして以降、TOP10入りを含めてほぼ現在位のランキングを維持している安定感のある強豪選手です。

ただ、対戦成績で言えばフェデラー選手から見て8勝1敗。2017年のATPファイナルで1度勝った以外は、今回と同じような6-1、6-2、6-4といったセットの落とし方で負ける事が多く、記憶に新しいのは今年のハレ (Gerry Weber Open) 決勝で、これも7-6 6-1で敗れています。

ゴファン選手はATPツアーでシングルス4回の優勝に絡めている選手です。

「フェデラー選手が他の多くの選手と比べて別格だ。ここ数年調子を上手く維持している。年々進化してきていると感じる位だ」といった点はあるにしても、比較的 “あっさり” 負けてしまう印象が強く、本来ならば大会によってはもう少し競った試合内容になってもおかしくないと思います。

因みにBIG3と言われる選手達との対戦成績は、対ジョコビッチ選手で1勝6敗、対ナダル選手で1勝4敗です。

ジョコビッチ選手との対戦でのスコアはほぼフェデラー選手に近いものです。今年のウィンブルドンでも6-4 6-0 6-2で敗れました。この2人に比べてナダル選手との対戦は競ったセットが多くなる印象ですがこれは「ナダル選手との対戦はクレーコートが殆どだから」という点があると思います。(1勝はハード。4敗はすべてクレー)

「なぜゴファン選手はフェデラー選手に勝てないのか?」について少し考えてみました。

※専門家やコーチ、競技者でもない素人の考察です。予めご理解ください。

ゴファン選手の特徴1 「テニスがヨーロッパ的」

ゴファン選手はベルギーの選手です。

個人的に(地域は限られますが)ヨーロッパ圏の国々の選手の多くがドイツテニスの影響を受けていると感じます。

ゴファン選手のテニスにもそれを感じます。

我々が教わる”テニスの基礎”はドイツテニスの影響を多く受けている?

テニスの歴史的に見て、1970年だから80年代序盤まではボルグさん、1980年代半ばから90年代いっぱいまでベッカーさんやグラフさん、エドバーグさんなどヨーロッパが世界のテニスをひっぱっていました。(90年代にアガシさん、サンプラスさん、チャンコーチ、クーリエさん等が出てきてアメリカが強豪国になります。それとは別にクレーに強い選手達の流れがありました。)

特にドイツ選手のテニスは、当時の”テニスの基礎”と言われる内容に多くの影響をもたらしていると思います。

サーブでは高くトスを上げて膝をしっかり曲げたトロフィーポーズを取る。

今は少数派かもしれませんが、当時は

「サーブを打った後、利き腕側の足で着地する(右利きで言う右足着地)」

という指導が一般的だったと記憶しています。

※右足着地するのは「コンチネンタルよりやや厚め、フォアハンドイースタン位でボールに対してまっすぐ厚く当てて打っていた」からだと考えます。当時は「コンチネンタルグリップじゃないとダメ」とは言われずイースタン位で打つ図解もよく見ました。(上のベッカー選手のグリップもフォアハンドイースタン位ですね) 現在、バックハンド寄りの薄いグリップでサーブを打つ人も多いのは「スピンサーブを打ちたい」という気持ちが「より薄い方が回転はかかる」という話を引き出したからでしょう。「薄いグリップだから回転がかかる」訳ではないのは多くの人がまともにスピンサーブを打てない事で分かります。ただ、考えるのが面倒だから”コツ”で簡単に上達したいと思うのが人なのでしょう。 

フォアハンドを打つ際は、スクエアスタンスでラケットダウンさせた所から打っていくスタイルです。

当時から30年以上経過した現在でも、初心者の方がテニススクールに通い始めて教わるテニスの基本に多くが被っていると思います。

90年代以降にツアーを席巻した米国選手、南米を始めとしたクレーを得意とする選手のテニスはごくシンプルに言えば「自由」です。選手毎に打ち方が違うし「個性を活かせ」といった感じの指導なのだと思います。

テニススクールはその名の通り“学校”の授業を元にしていますから「きっちりと打ち方が決まっている方が教えやすい」ですし、教わる側も「フォアハンドのテイクバックはこう、インパクトはこう、フォローするーはこう」と手順が決まっている方が安心できる。「自分で何か考えて工夫しないと打てない」といった事がない方が楽です。結果、今現在もテニスの基本はかつてのドイツテニスの影響を受けたものが続いているのだと考えます。(あくまで個人的な考えです)

男子テニスを見ても現代テニスは大きく進化してきており、我々が教わるテニスとは大きく乖離しています。ただ「プロと我々は違うから」という“逃げ”で教える内容を更新しないまま来てしまっているのだと想像します。スポーツ科学もこれだけ進歩した現在で指導内容が更新されないままなのは不幸でしょう。子供が教わるテニスがプロがやっているテニスに繋がっていないのですから。安直かもしれませんが、だからプロ志望の多くが「海外へ」という事になるのでしょう。

ドイツテニスの影響を受けているように見える選手達

ドイツテニスという言い方が適当かわかりませんが、影響を受けているように見える選手は大勢います。

ドイツが母国であるアレクサンダー・ズベレフ選手は顕著に感じです。

高いトスで膝をしっかり曲げてサーブを打ちますし、フォアハンドは左足を踏込みながら打つのが基本となっている印象です。

 

グリゴール・ディミトロフ選手もトロフィーポーズで大きく膝を曲げ、フォアを打つ際はできるだけ “しっかりと横向きを作ってから” 打ちたい感じです。(ディミトロフ選手はブルガリア)

 

ワウウリンカ選手も。(ワウリンカ選手はスイス)

 

今回、取り上げているゴファン選手も同様です。

 

実は、ワウリンカ選手と同じスイスが母国であるフェデラー選手もそういった影響を感じるのですが、若い時から色々なスタンス、ステップ、フットワークを使いながら他選手と比べても打ち方の幅を広げている印象です。

何がマイナスなのか?

軸足から非利き手側の足を踏込んで打つ (いわゆる「体重移動で打つ」)フォアハンドはエネルギーを加える方向が実感しやすいので「まっすぐ飛ばしやすい」半面、相手から見れば「打とうとしている方向がわかりやすい」と考えます。(このため、踏み込んで打っていく場合は「相手が打ち返しやすい前提で」しっかりとボールにエネルギーを加える、打ち勝つ意識が大事)

ベルディヒ選手のように、スタンスや足の向きとは別に手首の強さで打つ方向を変えてしま得る選手(いわゆる「リストが強い」)も居ますが、踏み込んでいる方向と飛ばす方向が違っていると足と上半身でエネルギーを加える方向がズレてしまうので「強く飛ばせない」原因になるので、相手の裏をかく距離を飛ばさないショートクロス等ならアリでも基本のストロークに使うのは適当ではないと思います。

同様に「狙った位置に向けて正面方向(前に向けて)ボールを飛ばしたい」のに身体の回転とラケット軌道が同調しスイング軌道が円になってしまうとエネルギーを加えるタイミングや方向性が合い辛くなり、ミスや伝達ロスが生まれると考えます。

テニスは常に移動しつつボールを打つし、飛んでくるボールも毎回違います。上で上げた選手達も常に踏み込んで打てる訳ではなく、色々なスタンスも使い分けている訳ですが、

自分が基本とする打ち方は多く出てしまいますから「あ、クロスに強く打ってきそうだな」みたいな事はボールを打つ様子から相手に分かってしまう

のだと思うのです。

以下はフェデラー選手とゴファン選手の4回戦の模様です。

しっかり構えてボールを待った状態から逆をつくようなボールを打ってきたりして予測が難しい印象のフェデラー選手に対し、

ゴファン選手が打つ構えを見ると

あ、これはストレートだな」
「これはクロス方向に引っ張ってくるな」

と素人目にも分かりやすく感じます。

ゴファン選手の特徴2 「ショット選択が素直」

直接会ったり話したりしたりした事はなくても、インタビュー映像や試合中の戦術やショット選択を見ていると「あぁ、この選手はこういう性格なのだろうな」と思う事があります。

例えば、常に相手の裏をかこうとする、トリックショットやからかうようなショットを多用する選手はその技術を評価されても相手選手には嫌われそうですね。

男子トッププロは試合後の握手で対戦相手に敬意を見せますが、こういう選手が相手だと握手の際の表情が良くない場合も (女子は負けた不満をあからさまに見せ相手に敬意を示す選手の方が少ない位)

試合中のゴファン選手やズベレフ選手を見ると「割と素直な性格なのだろうな」と思います。

闘争心は強く、相手に向かっていきますが、裏をかくような事をせず「正々堂々」対する、とにかく真正面からまっすぐ向かっていくような感じです。
(パワーで勝つタイプではないゴファン選手よりパワーに自信を持つズベレフ選手の方が少し子供っぽい戦い方な印象ですが)

そういう選手本来の性格が試合中のショット選択に出てきている気がします。

前述の踏み込んで打つ打ち方を基本とする部分と合わせて性格から来る素直なショット選択がより「打つ様子を見ると打つ方向や球種がわかりやすい」と感じさせるのだろうと思います。

打つ方向が分かりやすい打ち方を基本としている点、性格的にショット選択が素直で分かりやすい点が、

相手に自分のテニスを続けさせず、1ポイント目からマッチポイントまで全て自分の思うような試合運びに相手を巻き込む、誘導するようなテニスをするフェデラー選手やジョコビッチ選手には「組みやすいし」と感じさせるのではないか? と想像します。(素人考えですが)

ちなみにナダル選手は (その場で選択するショットがスライスやドロップショットでも) 常に相手に攻める姿勢を見せ、相手が気を抜けない、気を抜けば1発で決められ気持ちを折られるようなテニスをしますね。

ちなみに「タメ」と言われる部分

実際のテニスでは漫画のような球種(必殺技)は期待できないですし、プロの打ち方のマネすれば強いボールが打てる訳でもありません。

テニスは物理法則下で行われるスポーツだからです。

ボールが飛び回転がかかるのに使われるエネルギーは大きく、

1) 重量と速度を持ち飛んできたボールが持つエネルギーをラケット面で反発させる
2) 重量を持ち、自ら加速させたラケットの持つエネルギーをボールに伝える

の2つだと考えます。

・準備時間の短い中、ネット近くの遠くまで飛ばす必要がないボレーは1(ボールエネルギーの反発)を主と考えるショット。
・自ら上げたほぼ速度ゼロのボールを打つサーブは2(加速さえたラケットの持つエネルギーをボールに伝える)を主と考えるショット。
・打つ位置、飛ばす距離、飛んでくるボール速度、打ちたいボールの速度や回転量等が状況によって異なる、自身でも変えるストレートは1と2を組み合わせて打つショット。

といった具合です。

こう考えれば、確率のスポーツであるテニスにおいて「相手の打つ速度のあるサーブを大きなスイングで強くラケットを振って打ち返そうとする」のはまぁ合理的とは言えないです。

(テニスで「何が正解」という決めつけに意味はないのでその人が選択すれば良い事ですが)

『タメ』は瞬間的にエネルギーを発生させる準備

さて、テニスでも「タメ」と言われるものがあります。

簡単に言うならボールを打つ準備をし、実際にボールを打つまでの僅かな時間的「間」といった感じです。

ただ、この「タメ」は単純な停止状態ではない点が重要です。

運動にはストレッチ・ショートニング・サイクル(SSC)と呼ばれる仕組みが関係しているそうです。

『高くジャンプする際、瞬間的に膝を曲げて姿勢を落とした状態を取ってから飛ぶ』例のように、「筋肉を急激に引き伸ばされるとそれ以上引き伸ばされてダメージが発生しないよう収縮して保護しようとする仕組み」である伸張反射、これを行う前の予備的緊張、筋肉と骨を繋がる腱に弾性エネルギーを貯める等々が組み合わさり機能しています。

椅子から立ち上がる際でも『弾み(はずみ)』を付けて立ち上がる方が楽でしょう。

初心者が教わるスタンスから横向きを取る準備、テイクバックですが、恐らく多くの場合でこの図のようなテイクバックをした横向きの状態のまま、足踏みをするようにコーチの球出しのボールに接近していき、横向きの完全な停止状態から “唐突に” ラケットを振っていき、ボールを打とうとすると思います。(そういう風に習いますからね)

 

そして、ある程度上達してもこの「相手の打ったボールを追いかける。止まる」「テイクバックする。打つ」という分断された別動作でボールを打とうとするのは変わりません。

たまに聞く「プロ選手はオープンスタンスを多用する。だからオープンスタンスで打てばボールの威力が上がるという誤解はこの辺に原因がありそうです。

実際、プロ選手ならオープンスタンスでなくても大差ない威力が出せるであろう事は想像が付きますね。

プロ選手はボールを追う中でギリギリ腕だけでラケットを振る感じでもエースを奪ったりしますよね。

よく「腕の筋力は大きくないから体全体を使って打て」と言われますし「”手打ち” はダメだ」とも言われます。

ただ、「物理法則下で行うスポーツであるテニスだから、飛んでくるボールのエネルギーを適切に反発させる、ボールに適切エネルギーを加える事でボールは飛ぶ。打つ形や打ち方がボールの飛びを決める訳ではないですから、腕部分の機能や仕組みを理解し使えるようになっていないなら、そういったものが組み合わさった “体全体” でうまく打てるはずもないです。

サーブのトロフィーポーズやストロークのテイクバックので「しっかりと膝を曲げろ」と言われるのも、重心位置を下げて身体のバランスを保つという目的もありますが、ラケットを加速させる準備のための筋肉の伸長・収縮と考えれば “膝を曲げたままの長い停止状態” に意味が無いのは分かりますね。

ボールを飛ばすために、ラケットとボールの接触に合わせて瞬間的にボールのエネルギーを前に向け反発させる、前に向けてエネルギーを加えるのですから例えばこういった動作の方がよほど適当でしょう。

『タメ』というものがよく分からなくても

「ジャンプする際、瞬間敵に姿勢を低くして無意識に下半身の筋肉を伸長・収縮させる」それがどの程度やればよいのか、ジャンプするタイミングに比べてどの位前にどの位の長さでやれば良いのかは過去の経験上なんとなく分かる、想像が付く

と思います。

それをテイクバックからラケットを振りだそうとするタイミングで行えていれば良い、そのためにはどうすればよいかと考える事。それが『タメ』になってくると考えます。テイクバックの”形”を示して停止状態としてタメを作れと言われてもよく分からないでしょう。少しはイメージが湧くでしょうか。

テニスでは予測が不可欠

自分が次にどういう状況を作りたいかを踏まえてショット選択をしてボールを打つ、相手がそのボールを追う様子から打ち終わるまでを見て飛んでくるボールのコースや球種、軌道やバウンドを予測し、自分がそのボールをどう追い、次に向けてどう返球すれば良いか判断する。ポイントが決まるまでその連続です。

テニス選手に必要な「ゲーム力」とはなにか?

スタンスから横向きを取るテイクバックを多用すると相手に打つ方向がわかりやすくなると考えます。

この状態から逆クロスは難しく、ストレートから順クロス方向が多くなるでしょう。

同時に横向きだと『タメ』を作る瞬間的な筋肉の伸長・収縮による間が取りづらい事もあり、相手が予測するタイミングをズラす、惑わす、誤認させるといった要素が薄くなると思います。

※だからオープンスタンスで打つべきという話ではありません。オープンスタンスでテイクバックを追っても姿勢が下がらず棒立ち、身体をしっかりねじらず打とうとするなら『タメ』は小さくなってしまうでしょう。エネルギーを生み出す身体の使い方とそこから生まれる『タメ』が相手に予測しづらくさせる効果があるという点から準備姿勢を考えるべきです。フェデラー選手等はそれをうまく使って相手の予測は外してしますね。

タメは瞬間的に大きなエネルギーを生み、相手に予測させづらくする

ある程度テニスを続けている方なら、

テイクバックの準備段階から今まさにラケットを振り始めようとする際の間である『タメ』がある打ち方をすると相手はボールを打つ方向が分かりづらくなり、予測を難しくする

のは実感として分かると思います。

例えば、「肩が開くのが早い」とか「腰が開くのが早い」とか『タメ』がないと感じる打ち方を表すための表現を色々用いますが、それらも“見た目の形”に囚われたものだと思います。(実際、そう言われても修正が難しい)

そういった修正点は上げつつもやはり

「ジャンプする際、瞬間敵に姿勢を低くして無意識に下半身の筋肉を伸長・収縮させる」それがどの程度やればよいのか、ジャンプするタイミングに比べてどの位前にどの位の長さでやれば良いのか

と言った事を考える、考えさせる事が良いのかなと思います。

動作を分断するのは非効率

走る・止まるも、ラケットを加速させるも(加えて言えば姿勢維持やバランス維持も)骨格や筋肉がエネルギーを出す事で行っています。プロ選手はボールを追い、停止しながらテイクバックを取り、ボールを打ったら、同時に元の位置に戻れる、次のボールに備えられる体勢を取りますね。全て、筋肉の収縮・伸長をうまく組合わせている訳で各動作を切り離す必要は無いですね

少しボールを打ち続けただけで “ゼーゼーと息が上がる” 方は年齢や体力面よりも『無駄の多い動作をしている』からだと思います。「相手の打ったボールを追いかける。止まる」「テイクバックする。打つ」という分断された別動作でテニスをしようとするから、強く駆け出せない、強く止まれない、時間がないから止まれないまま打つ準備に入る、バランスを崩しうまくボールを捉えられない、体勢を立て直す暇がないから次のボールに追いつけないという風になります。シンドイからボールを追わずその場で打とうとする。遠いボールは手先で拾う。バックハンドはスライス。技術も上がらずテニス能力は下がる一方です。それなら疲れにくい、怪我防止、パフォーマンスを上げるために身体の使い方を学べば技量と関係ない部分で発生しているミスが減らせますね。

まとめ:テニスは進化しており、教わるだけでなく自分で考えたい

我々が初心者の時に習うテニスの基本、ボールの打ち方の説明がベッカーさん、グラフさん時代のドイツを中心としたヨーロッパ的テニスに由来するのかは分かりません。そういう話を聞いた事もありませんし。ただ、考えれば個性を重視するアメリカ的、南米やスペイン等のテニスより『きっちりやり方が決まっている』ドイツ的テニスの方が教本として都合が良かったという事はあり得る気がします。

当然、20数年前からテニス(特に男子テニス)は日々進化してきており、ストローク、サーブ、ボレー、テニス全体が変わり、その一部は我々にも反映されていますが、「なぜプロ選手はオープンスタンスを使うのか?」「なぜサーブは左足着地が基本となったのか?」「なぜ振り上げるようなスイングをせず強いスピンがかかるのか?」等は指導に説明されず、相変わらず「横向きのテイクバックを取った状態からスイングしていきます」がテニスの基本となっています。

物理法則下で行う以上、エネルギーを加える・反発させればボールは飛び回転がかかり、各自に個性的な打ち方でも最低限テニスは出来てしまいます。

これだけスポーツ科学が進歩しているのに昔の常識を前提としたテニス指導、説明が変わらず続いてしまっている点を疑問に持つべきかもしれません。(「運動中に水を飲んではいけない」みたいなものです)

でも、「なかなか思うようにテニスが出来ない」「なかなか上達しない」と悩む方は多く、それらは技術が足りないから、上達すれば改善されるよりもっとシンプルな理由からかもしれません。

ゴファン選手の話からテニスそのものの進化の話に変わってしまいましたが、我々が教わるテニスの基本とトッププロが行っている現代的テニスとの違いを「プロ選手だから」「何が特別なもの」「上手い人だから出来る事」ではなく自分で考えてみることも上達のためには重要かなと思います。