テニスを始める際の初期費用が高い
初心者の方がテニスを始める際、
「どうせ続くかどうか分からないから道具を揃えるのに費用はできれば安く抑えたいなぁ。店頭に並んでる新品のラケットは2万円台後半、高すぎるよ」
と考える方は少なくないはずです。
個人的には、ラケットがモデルチェンジしても性能面はほぼ変わらないので、処分価格になっている旧モデル、あるいはメジャーモデルでないことで周りが興味を持たないようなマイナー製品であれば新品でも1万円台後半で買える機会はたくさんあります。
それでも「1万円台後半だって十分高いよ」思う人は少なくないでしょう。
テニスにお金がかかるのは初期費用よりも圧倒的に続けるコスト
テニスを始める際は皆、初期費用に目が行ってしまいますが、ガットの張替えはガットの価格と張り替える工賃で1回5,000円近くかかります。
勧められる通りに3ヶ月に1回張り替えていくと1年半程でラケット1本分の費用がかかります。
ウェアも3ヶ月も着れば洗濯する中で生地が傷んだり色がくすんできたりしますから買い替える必要があります。
「安いスポーツウェアやソックスでいいよ」という人も居るでしょうが、スクールには大勢の人が居るのできちんとしたウェアでないと少し恥ずかしい感じもします。
テニスシューズも毎週通っていれば1年位で足裏のソール部分がすり減ってきます。
スクールに通うのも月1万円以上はかかるでしょうし、外でテニスをやろうとコートを借りるのもそれなりにお金がかかります。
出かけるのにも交通費もかかりますからね。
テニスは始めるよりも続ける方がよほどお金がかかるのです。
テニスは始める時より、続けていく方がよほどお金がかかるのです。
車は買うより維持する方がお金がかかるのに似ているでしょうか。
だから初期費用であるラケットの価格にあまりにもシビアになるのは意味がないとも言えます。
新品の高い最新モデルを買えとはいいませんが、
妥協して選んだラケットを買うのならば「テニスが面白い、続けよう」と思えるモチベーションのために、ラケットは “自分が使いたいと思えるラケット、愛着が持てるラケット” を選ぶべき
だと思います。
人から勧められた、評判がよかったなどの理由でラケットがガットを選んでいるとその道具に愛着がないので、自分がミスしたこと、上達しないことを道具のせいにしたくなりがちです。それでは上達に繋がりません。上手い人の多くがラケットやガットにこだわりがなく長く同じ道具を使ってることでも明らかです。
中古ラケットという存在
ラケットの話に戻しますが、最初の1本を購入する際、購入手段として「中古ラケット」を思いつく人も居ると思います。
果たして中古ラケットはお得なのでしょうか?
結論を書いてしまいますが、個人的には “中古ラケットはおすすめできない”と思います。
中古ラケットをオススメできない理由
理由その1: 市場が小さい
中古ラケットの市場規模は新品のラケットに比べれば圧倒的に小さいです。
「新品のラケットが売れれば中古にもある程度の数が出回るのでは?」と思うかもしれませんが、中古車市場があれだけでの数を揃えられるのは、新車販売の時にディーラーが「下取り」もしくは買い取り業者が「買い取り」として古いクルマをその場で引き取っているからです。
また、買い取った車も車のオークション等を通じて中古車販売店で売れるという市場の流れができているからディーラーや買取業者もある程度の値段を付けて車を引き取ることができます。
市場が構成されているわけです。
今使っているラケットを買い替えようとした際、店頭で『下取り』という制度はほぼありません。キャンペーンで「下取り」という名目で割引きを行うケースはありますが1000円とかです。
ラケットを含めて中古品を扱っている業者はいくつもありますが、1社、1社は取扱い規模が小さいです。
また、買い替えではなく、明確に「使わなくなった」ラケットは殆どの方が “粗大ごみで処分” する事を考えるかと思います。中古市場に出回るラケットは新品で販売されるラケットより比較にならない位に少数にならざるを得ないのです。
※或いは人にあげるか。まぁもらった方もあまり使わないままというケースが多いでしょうか。「お古」ですからね。値段はイメージできなくても買い取ってもらおうという手間の方が億劫でしょう。
つまり、売る側も引き取る側も制度や市場が整っていないので、
新品のラケットの販売数に相応した数の中古ラケットが流通する状況にはなっていない
のです。
ビジネスですから儲からないことをワザワザ労力をかけてやろうという会社はありませんから、中古ラケット販売会社は手に入るラケットの中でビジネスをしようとするし、販売店は中古ラケットよりも新品を買ってもらうこと優先するでしょう。
理由その2: 欲しいラケットが選べない
流通量が圧倒的に少ないですし、中古車情報誌のように「あそこの店にあのラケットのこのモデルが在庫している」という情報を見比べて探すのもできません。
欲しいラケットがあったら常に中古ラケット店の在庫をチェックし続けないといけませんし、欲しいラケットの在庫があってもグリップサイズが違う、モデルが別で重さが違う、スペックが違うというようにラケットを買うという目的のために利用するにはかなり不便です。
貴重なラケットなど「コレクション的にあれば欲しい」といった限定的な用途以外では、新品を含めきちんと在庫のある中で選ぶ方がよほど納得して購入できるはずです。
理由その3: 買取価格が安い
これは買う際の要素ではありませんが、1の中古ラケット市場の仕組みが出来上がっていないことに関連します。
中古ラケットを扱うお店やスポーツ用品の買い取りをしているお店に持ち込んでも査定価格は200円~500円とか。ほとんど使っていない現行ラケットでも1,000円とかだったりするのです。
2万円以上したラケットの買い取り価格が1,000円と言われれば進んで買い取りに出す人も少ないでしょう。
手間ですが、メルカリやヤフオクに出した方がよほどまともな価格が付きます。
現行モデルなら1万円以上の落札も普通に見かけます。
それだけ中古ラケットの選択肢がないということです。
理由その4: 販売価格が高い
たまに中古ラケットの新入荷情報がSNS等で流れてくるので見たりはするのですが、販売されているラケットの価格は総じて高いです。
数モデル前の型落ちラケットが17,000円位で販売されていることも珍しくありません。
この価格なら販売店で1モデル前の型落ちラケットを新品で購入できるはずです。
10年近く前のラケットも販売されており、それでも7,000~8,000円位だったりします。
前述の通り、ラケットはモデルチェンジしても機能面が変わる心配はほぼありません。
(新モデルの方が強いボールが打てたり、テニスが上手くなったりすることはありません。)
従って10年前のラケットでも特に傷だらけだったり塗装が大きく剥がれているような跡がなければ全く問題なく使えます。
でも、10年前のラケットを8,000円位で買うのであれば、1モデル前の型落ちラケットを探して1万円台後半で買う方がよいと思います。
メンテナンスの問題が出てくるからです。
※ここでもメルカリやヤフオクなら「美品」でまともなラケットを適正と言える価格で手に入れられるという事に繋がります。店舗から買うという安心感はあってもです。
理由その5: 交換部品が手に入らなくなる
ラケットフェイス部分には周囲から内側に向けてガットを通す穴がたくさん空いていて、ラケットがガットが擦れて切れるのを防止するため、プラスチック製の “グロメット” という部品がラケット面を取り囲むように付けてあります。
グロメットはガットによってずっと押さえつけらた状態にあるので、ボールを打ったりガットを張り替える度に劣化し、削れたり、割れたりします。
グロメットは頻繁に交換する部分ではありませんが、発売から時間が経つと交換用の部品として手に入らなくなります。
ラケットは問題なくてもグロメットがダメになり、交換しようにも部品が手に入らないということが起きます。
グロメットは安い経路でも3,000円以上はしますから、8,000円で買ったラケットも短期間で使えなくなってしまう。
或いは数千円払ってグロメットを交換しないといけなくなる可能性があるわけです。
実際に中古ラケットを探そうとすることは少ないでしょうが。
このように中古ラケットは市場が整備されていないことでラケットを購入する手段としてなかなか検討できるような状況にはありません。
どうしても安価にラケットを購入したいのであれば、途中述べたようにフリマやオークション等で落札する方がよほど希望のラケットが探しやすく価格も安価に入手できるかもしれません。
新品のラケットは偽物含め心配ですが、オークションに出ている中古ラケットは表記や写真等で状態を確認できれば製品については逆に安心感があります。
(ちょっとした事でもトラブルになるので、悪意のある出品者以外は、傷の状態はしっかり書くし、よく見せようと嘘を書いたりしない)
でも、取引の難しさはあるので、周りにオークションに慣れた人がいれば相談してみる位がいいかと思います。
まとめ: (新品で) 欲しいラケット使いたいラケットを選ぶ方がいい
中古ラケット市場が整っていない。(多分、今後も変わらない)
使うラケットに愛着を持つのは上達のための条件の一つとなる。
ということから、ラケット購入に慣れてない間は、
普通に販売店を訪れて、店員さんに色々相談して教えてもらいながら、自分が使いたいと思えるラケットを購入する方が断然よい
と思います。
値段が高いと思うかもしれませんが、前述の通り、ラケットを買う費用よりもテニスを続ける費用の方がよほどお金がかかりますから、そちらをどう工夫して続けていくかを考える方がよほど意味があります。
ラケットを選ぶ第一条件は「使いたい」と思えることです。
初心者用、上級者用、女性用、年配者用、これらの定義付けはメーカーではなく、販売店やマスコミ等が勝手に付けているだけです。
重い、面が小さい、難しいと言われるラケットもごく一部の特別な人達以外は使えないようなラケットをメーカーが販売する訳もなく、多くの人が使える最大公約数の範疇でスペックは決められているはずです。
ラケットの重さは300g程度、文庫本2冊、りんご1個程の大きさです。ラケット重量が20g違っても1円硬貨10枚、100円硬貨なら2枚程の重さです。
手にそれらの硬貨を貼り付けてラケットが急に振れなくなってしまうことはないでしょう。
世間で当たり前のように言われているラケット選びの基準より「自分が使いたいと思えるラケットを使うこと」が一番優先されるべきことだと私は思います。