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バタバタ、ピョコピョコとした打ち方、フットワークを考える (テニス)

足を動かすと肩も動く

以前から感じている疑問について

大した事ではないのですが、以前から感じている疑問があります。

かつて『ベイビーフェデラー』と呼ばれていた位、フェデラー選手と打ち方に共通点が感じられる (「感じられた」かな。2014年以降、フェデラー選手のテニスが大きく変わってしまった) グリゴール・ディミトロフ選手ですが、

フェデラー選手のプレーを見ても動作や動き方が「スムーズそのもの」なのに、ディミトロフ選手を見ると「常にバタバタと動いている」ように見える。その違いはどこから来るのだろう?

というものです。

以下動画は同じ2019年のUSオープンで相手も同じティーム選手です。ディミトロフ選手の方は何か常に「ピョコピョコした」動きに感じます。

Grigor Dimitrov v. Dominic Thiem, 2019 US Open practice, 4K

Roger Federer v. Dominic Thiem, 2019 US Open practice, 4K

これは単なる疑問というだけではなく、ボールを打つ際の精度、再現性に関係しそうだと思ったのです。同じ選手で動作の違いを比べられる訳ではないですが、なぜそうした感じ方の違いが出るのかを確認しておく意味はある気がします。

要因1:スプリットステップのやり方、飛ぶ高さ

相手がボールを打つ際、自分が次に行う行動への準備に入るタイミングを計る、きっかけとして行うスプリットステップですが、ディミトロフ選手の方が身体全体できっかりとジャンプしているし、かかとからつま先まで明確に地面から離れるようなやり方をしているのが分かります。

スプリットステップ

ジャンプしているという訳ではないが「身体全体でスプリットステップしています」感がありますよね。

※因みに、スプリットステップは「着地した瞬間に次に行う動作のために動き出せる」状態になっているのがひとつの前提になるので、タイミングを計るためだけに「飛ぶ」と着地してから改めて別動作として動き出す流れになります。目的が変わってしまう。「飛ぶ」事が目的になってしまっている感じです。

要因2: 体軸の “前傾” 具合

インパクト前後の身体の軸は『地面と垂直』と考えると身体の回転軸と両肩が回旋する動作で利き腕肩、腕が前進していく、ラケット面が進んでいく方向が分かりやすいとは思います。

身体のねじり戻し tennis forehand

ただ、ボールを飛ばし回転をかけるエネルギーは『1. 重量と速度を持って飛んでくるボールのエネルギーを反発させる』『2. 自ら加速させたラケットのエネルギーをボールに伝える』の2つがあり、我々は用いるショットの種類や状況に応じてこの2つを使い分ける、バランスを取って使う必要があります。

テニス ボールを飛ばすエネルギー

相手ボールのエネルギーが十分残っている場合、体軸を「やや前傾させる」事で、両足や下半身の力で身体や腕でボールのエネルギーを押し支え、ボールにエネルギーを伝える際の身体のブレ等 (伝達ロス、うまく当たらない原因) を防ごうとしたりします。

両足と身体、力を加える点との位置関係

※体軸の角度が両肩が回転する角度、腕が動き、ラケットが動いていく角度に直結します。前傾したまま両肩を回旋させるとラケットが『斜め下』に進む事になるので、その辺りはうまく調整しつつという事になりますね。ただ、自分が望むインパクト前後のラケット面の状態を作ろうとすれば、身体の各部を自然と調整する機能が働くので、大事なのは「きちんと各部の動作や関連性を確認する、認識する」事で「考えながら打つ」必要はないと思います。

話を戻すと、フェデラー選手、ディミトロフ選手ともにボールを打つ際に両足で地面を踏み支えられる適度な体軸の前傾を用いる点は共通しますがが、ディミトロフ選手の方がその前傾具合が大きい。やや、お尻を突き出すような姿勢で構え、その角度を維持しつつ打ちにいく。且つ、スクエアで踏み込みつつ打つ事を好むという違いがあると考えます。

forehand stroke federer forehand stroke

前傾がより強く自然と体重が “前に” かかっていくから「かかと側が大きく上がるような高いスプリットステップが見られる」のではないかと思っています。

スプリットステップ

要因3: 移動に用いる歩幅

テニスでは相手ボールが飛んでくる位置に身体を移動させる必要があり、「自分が居る付近に毎回ボールが飛んでくる」という前提ではプレーできません。移動には両足を使う訳で、足の動かし方としてのフットワークと呼ばれるものがあります。

tennis

種類や使い分けはともかく『大きな歩幅』『小さな歩幅で考えると、ディミトロフ選手は「小さい歩幅での接近、位置合わせを多用する」印象を持ちます。

Dimitrov Heavy Hitting Indian Wells 2019 Tennis – Court Level View

大昔は「とにかく細かいステップを使ってボールに接近しろ。足を動かせ。横着した移動をするな」と言われたものが、今は「コート半面を3ステップで到達する」みたいな打ち方が多用されるようになりました。

backhand

道具の進化による速度アップ、相手の時間を奪うテニスが進んだ事で「細かいステップで接近しつつ打てるほど時間がない」「大きなステップで移動し、着地と同時に打つ準備を完了させる打ち方の確立」「短い時間で準備が完了できる、目線のブレも小さいから『走りながら打つ』等よりむしろ打ちやすい」等がその背景にあるでしょうか。テニススクールのレッスンでこういったフットワークを使う方はあまり見ませんが、競技志向の強いジュニア等は当たり前に使っているのを見ます。

歩幅の違いによる特性を簡単に言ってしまうと、踏み出す一歩が大きければ「身体は長い斜辺を滑るように動いていく」感じになるのに対して、

踏み込み

直立に近い状態 (膝を大きく曲げる、腰をすごく落とす等した状態ではない) でその場で強く足踏みをしたら「両肩が左右に揺れ動く」といった違いが考えられます。

 足を動かすと肩も動く

普段の生活でも1歩の歩幅を大きく取らない走り方が動き以上に「バタバタして見る」のはこういった身体の状態の違いも関係していると考えます。

サッカー選手がドリブルで相手を抜く際、小刻みなステップから大きな1歩みで一気に相手の脇を通過していくイメージがありますね。歩幅による移動距離、加速度の違いに加えて、身体の動きで相手を惑わすといった使い方もしている気がします。

football

ディミトロフ選手は「スクエアで踏み込みつつ打つ事を好む」印象なので、どうしてもボールを打つまでのステップ数が多くなり、身体の小さなブレ、バタバタした準備に感じるのかなと思います。

グリップの厚さでスイング動作に違いはあるが『前へ』飛ばすためにエネルギーを加える理屈は変わらない

身体の構造上、インパクト前後にボールを飛ばしたい方向  (基本的に『水平方向に前』) へラケット面を向けようと考えると、自然と「薄いグリップ (厚くないグリップ) は打点が前後に近く、左右に遠い。高くない打点が無理なく打ちやすい」「厚いグリップは打点が前後に遠く、左右に近い。高い打点が無理なく打ちやすい」という違いが出てきます。

フォアハンドストロークでは、ラケットを持つ上で付く上半身の旋回、より具体的には横向きから正面向きへ、利き腕肩が前進していく中でラケットを加速させ、前進する幅の中で『うまく捉える』という事をやっています。

federer forehand stroke tennis forehand

薄い (厚くない) グリップと厚いグリップにおけるスイング、ラケット加速の違い

1. グリップが厚くない打ち方で用いやすいエネルギーの発生方法

グリップが厚くない場合は『高くない打点』が無理なく打てると感じやすい、打点の位置が地面から遠くないという特性があります。

これを利用して、下図のような「両足で地面を踏んで得られる『反力』と下半身の力を連動させ、”短い距離” で “瞬間的”に利き腕肩の位置を前進させていく、腕が前に動いていく」動きをラケットの初期加速に用いやすくなる と考えます。

身体のねじり戻し

『薄いグリップ (厚くないグリップ) は前後に近く、左右に遠い打点が打ちやすい』ですから、コンパクトなテイクバックから短い距離で瞬間的なラケット加速させ、身体から遠くない打点ですぐに打つといった打ち方に向いていると考えます。

※コンチネンタルやイースタンで「ラケット面でボールをまっすぐ押し出すように」打っていた時代から、一周回って「下がらずバウンドの上がりバナを打つ」「テンポの速い打ち合いで相手の時間を奪う」現代テニスにマッチしてきた感じ。

実際、フェデラー選手やナダル選手は『厚くないグリップ』の特性を利用して “そういう” ラケット加速をして打っているように見えます。(「当然厚い」と思われがちですがナダル選手はセミウエスタングリップ位です)

federer forehand stroke tennis nadal forehand stroke

2014年にフェデラー選手が復活し現代テニスを主導するポジションにまでなっている事、2015~2016年頃にスランプだったナダル選手が復活してきた事 (若い頃の下がった位置でボールが落ちてくる事を打っていたプレースタイルから下がらず上がりバナを打つ。チャンスを見てネットで決めるスニークプレーが見られるようになった) もこの辺りが関係していると個人的には考えています。

2. 厚いグリップで用いやすいエネルギーの発生方法

一方、厚いグリップは『高い打点』の方が無理なく打ちやすくなる、その際、打点の位置が物理的に地面から遠くなるという点があります。

そのため、地面から近い位置で打つような「両足で地面を踏んだ力を即、短い距離でのラケット加速に」という事が難しいです。

結果、「両足で地面を踏んでから上半身に力を連動させるまでに時間がかかるし、距離が近いより直接的な効果が発揮できない。つまり、「両足で踏む力をきっかけにはするけど、打点が前になるのと相応に後ろに大きめのテイクバックを取り、上半身をより大きく長く旋回させてラケットを加速させていく」打ち方を使うようになると考えます。

「大きなテイクバックを取り、ジャンプしながら打つ」様子をよく見るでしょう。

tennis forehand

薄い (厚くない) グリップで高い打点を打つ、厚いグリップで低い打点を打つ

薄い (厚くない) グリップで大きなテイクバックからの大きなスイングをしようとするとテイクバックの距離と相応に打点を前に取れないことで「後ろは大きく前は小さい」スイングになったり、前で打とうとしてインパクト面が上を向くなど不安定な打ち方になるでしょう。

相手のボールは自コートのライン内で1度バウンドするので、無理に高い打点で強く打とうとせず、下がらずにバウンドの頂点より前で打つ、場合によってはノーバウンドの段階で打つ手段も考える方が特性は活かせるし、相手の時間を奪う現代テニス的でもあると考えます。(苦手に思うから『その対処方法』ばかりに目が向くが全く別の取り組みで苦手そのものを排除する事もできる)

逆に厚いグリップで低い打点を打とうとすると、フォアハンドストロークなら肩の回旋でラケットを加速させる事を考慮して肩のラインを下げるといった方法をとったりします。(肩よりも上の打点で打つ場合、逆に肩のラインを上げるという方法も取りますね)

Trevor James forehand

注意したいのは、厚いグリップで低い打点を打つ場合、打点が前後に近くなりやすい点でしょうか。普

段、打点を前に取る分、相応の距離テイクバックを大きく取った所から長い距離をかけてラケット加速をして打っている方が、打点を前後に近く取るとなると「十分な加速距離を取れずに身体に近い位置で擦り上げる」ようなスイングになりやすいと感じます。

それを分かっていて「繋ぐボールを打つ」なら良いですがボールをコントロールできずミスになる、甘くなって相手に打ち込まれてしまうような結果になっては勿体ないですね。(「今のボールは深かったから仕方ない」で終わってしまう)

ジャンプする事への曖昧な理解

さて、我々はサーブでもストロークでも「ジャンプする」という事に強く意味を感じていますが、同時にその理解はかなり曖昧なものなのではないか?と個人的には思っています。

ジャンピングスローでは強く投げられない

野球の内野守備に『ジャンピングスロー』というものがありますが、投げる方向、例えば一塁側に向けてステップしつつ投げるのに比べてボールの勢いはかなり低くなるのです。ステップする時間的余裕がない場合の妥協策であり多用すべきものではありませね。(アウトがヒットになってしまいます)

「時速100kmで進む電車に載っている人は、自分が動かなくても時速100kmで進んでいる」例で分かるように、腕を動かさなくても身体が動けば、手や手に持っているラケットを前進させる事はできるのです。下の3つの図は腕を動かさないまま、手を (持っていれば手に握るラケットも)「前進」させている事になります。

身体のねじり戻し 上半身を捻る 踏み込み

※重量と速度を持つ物体は『エネルギー』を持つ。その大きさは1/2 x 物体重量 x 物体速度 ^2 (2乗)で表せます。方向として『前に向けて』のエネルギーを持つ事になります。

目標に向けてステップ (体重移動) しつつ投げるのに比べて『ジャンピングスロー』でボール速度を出しづらい理由は、両足が地面から離れている事で『両足が地面を踏むことで得られる反力』が得られない。足で踏ん張って身体を支えたり、下半身・上半身の動きを押し支える効果を得られない事が大きいでしょう。

Delivering Pitch

よく言われる「体重移動しながら打て」は、身体の回転軸を中央から踏み込み足側に寄せる事で回転しやすくなる効果とこのエネルギーを加えたい方向に身体を動かして加速に役立てる効果等があると考えます。

先程、厚いグリップの方に見られる「大きなテイクバックを取り、ジャンプしながら打つ」様子を上げましたが、これも「ボールを飛ばしたい方向である『前へ』十分なエネルギーが発生できる準備、状態でスイングできているか」がポイントになります。

打点が前後に遠い分、相応に後ろに大きなテイクバックを取るのは、打点が地面から離れている事で両足は下半身の力を直接的にラケット加速に使いづらい。薄い (厚くない) グリップより「上半身を大きくダイナミックに動かしてスイングする」必要があったりします。

こういう左右の肩、左右の腰が同じ角度でぐるっと回るスイングを見ないでしょうか?

フォアハンドの例

『上半身と下半身の捻転差』等と言われますが捻る事が重要ではないでしょう。両足で地面を強く踏み、足、下半身の力を上半身のローテーションに繋げ、ラケットの『前へ』の加速に繋げる。「ジャンプする事」が主になってしまうと当然、エネルギーは上に逃げ、そして『前へ』力を発生する態勢、姿勢、準備、動作も出来なるのが想像できます。

下のジョコビッチ選手のスイングとの違いで伝わればと思います。

tennis forehand

スターテニスアカデミーさんのYouTubeチャンネルに出演された西岡良仁選手も「オープンスタンスで (ジャンプしつつ) 打つけど (身体やラケットは)『前へ』行っているイメージを持っている」とおっしゃっていました。

※重要な回です!これがプロの展開術!西岡良仁の強さの理由がわかる動画

因みに「重心を下げろ」「姿勢を落とせ」等の指摘も腰の位置が重要ではないでしょう。グリップによるストロークの打ち方の違い、ジャンピングスローの話で触れたように「両足で地面を踏んで得られる反力を下半身から身体へ結び付けるには “強く” 地面を踏める態勢が必要」だからだと考えます。この点、下図のようにものすごく姿勢を下げた構え方をする方やしゃがむように姿勢を落とした状態でストロークを打つ様子を見かけます。

姿勢の低いボレーの構え 低い姿勢から打ちに行く

これらの状態で『前へ』強くエネルギーを発生させるのはまず無理だし、そんな事を考えて行う準備でもないのでしょう。「ここから動きません。ここに飛んできたボールを打ちます」という感じ。今居る場所、打てる高さ以外のボールは見送るか、打てなくても「相手のナイスショット」にされそうで私はあまり好きではないですかね。

とにかく足を動かしてタイミングを計ろうとするテニス

完全に身体が停止した状態からいきなりボールを打ちにいっても上手くは打てないです。

ボレーの構え

動き出しのタイミングを計るためにスプリットステップを行い、ボールを打つ際は、自ら発生させるエネルギー、ボールの持つエネルギーを反発、インパクトの衝撃・ラケット面で力を発生させるための身体の各部位の状態・連携作りの準備とその実行をしていきます。

「ボレーを打つ際は2ステップ。1歩ではなく軸足、踏み込み足という打ち方をしろ」と言われるのはこれらが関係するでしょう。

volley

逆に、ボールを打つ事に対する意識付け、打つ事に対する精神的な不安等から「とにかく足を動かす。常に止まった状態にならない」という考え方もあります。

足踏みをするように小刻みに足を動かしてからボールへの接近を始める。常にピョンピョンと小さく跳ねるようにしながら相手がボールを打つのを待っている等でしょうか。ジャンプと左右に足を踏むリズムで飛んでくるボールに対する動き出し、準備、打つタイミングを計っている印象もあります。

スプリットステップ例 足を動かすと肩も動く

男子プロにこういう準備、ボールの待ち方が見られないのは脚力と身体の力が関係すると考えます。ただし、脚力といっても筋力の話ではないです。軽いとは言っても女性も40kg~50kgの体重があり、立って身体を支え、歩いたり走ったりできています。男性が全て100kg超えのアスリート体型な訳でもありませんね。『女の子走り』『女の子投げ』と呼ばれるものがあるように要は身体の仕組みや機能の使い方に対する慣れの部分です。

下図のような力強い (そう感じるという事は「強いエネルギーが発生できそうな状態」という事) テイクバックを取るには両足で地面を強く踏む事がかかせません。

フォアハンド テイクバック

実際、女性でこういう力強いテイクバックを見る事は多くありませんね。(見た目の『形』の話ではありません。繰り返しますが重心が低い、姿勢が低くても、両足で地面を強く踏めない、その後の動作に繋げられないのでは目的に合ってないでしょう)

また、このような態勢、姿勢に瞬時になれる訳ではなく、準備にそれなりに時間が必要です。

相手が打ったボールがネットを越して自コートに入った段階でまだジャンプ等していたら、まず準備が間に合わないと考えます。

(「はやく準備をしろ」という話がありますがこの場合は「速く (準備速度)」よりも「早く (時間的に早く完了済みになる)」ですね)

細かく足を動かしながら、細かくジャンプしながらタイミングを取り、準備をし、ボールを打つのは先の「ものすごく姿勢を下げた状態」に通じる「ここから動きません。ここに飛んできたボールを打ちます」という感じも受けます。

『前へ』強くエネルギーを発生させるのはまず無理だし、そんな事を考えて行う準備でもないのだと思ってしまうのです。

『女の子走り』『女の子投げ』の話ではありませんが身体能力や技術よりもまずは考え方や理解の部分なのだと考えます。

まとめ

まとめと言いつつあまりまとまっていない内容になっていますが、我々がボールの位置変化を把握する情報はほぼ両目からの視覚情報であり、何らかの動作により頭が動けば視界も動く。ボールも相手の位置も相手コートの方向も正確性が失われてしまいます。

また、グリップの厚さにより打ちやすい打点の高さが違う。結果、ラケットを加速させるための身体の使い方も違いが出るでしょうが、身体を支え、インパクトの衝撃に耐え、ラケット加速のための動作の根幹となるのは両足で地面をしっかりと踏める強さ、適切な態勢や姿勢、身体の使い方でしょう。

「姿勢を落とせば良い、重心を落とせば良い」「なんとなくジャンプしながら打つ」では自身の身体能力を十分発揮できる。無理なく威力が出せて余裕がある、安定したボールの打ち方になりづらいと思います。

ディミトロフ選手とフェデラー選手に感じるスムーズさと慌ただしさの違いという疑問からいくつか可能性を考えてみましたが、結局はボールを打つための効果的な身体の使い方という話にまとまってくるのかなと思います。

ボールを打つ経験なく上達するのは難しいですが、たくさんボールを打てば勝手に上達する訳ではありません。日々変わっていく調子を維持するためにも、悪くなった調子を戻すためにもたくさんボールを打ち続ける。何をすればテニスが『よく』なるのは分からない、自分が目指すゴールの向かっているのか、そもそも今の先にゴールがあるのか分からないままで居るより、ボールを打つことを理屈で整理し、自分がどういう根拠でボールを打っているのか自分の中で言語化できている方がはるかに上達に役立つように考えます。

今回の話も何らかで意味を持てばと思います。