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上達のために相手と打ち合うイメージを。参考にしたいマッチ練YouTube動画 (テニス)

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私はテニスの専門家でもコーチでもありません。「自分のテニスを上達させるのは結局自分自身。コーチや周りの人達ではない」という考えに基づき『自分のテニス上達のために』考えた事を書いているものです。そもそも会ったことも自分のテニスを見せた事も無い他人の話を鵜呑みにするのは危険です。まずは自分のテニスを普段から見ているコーチに相談し、その上で自分で考えてみるべきでしょう。ここで書く内容も沢山ある情報の一つ。認識違いもあると思います。何か参考にされる際は怪我などないよう十分ご注意いただければと思います。

テニスにある2つの要素 – その1「ボールを打つ」

まず、テニスは「相手ありきのスポーツ」だと思います。

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Photo by Julian Schiemann on Unsplash

同じような意味合いでオープンスキルのスポーツと言ったりしますね。

ゴルフやダーツ、アーチェリーのように「自分が打ったら (投げたら) 後は結果を待つだけ」とはいかないです。

darts
Photo by Proxyclick Visitor Management System on Unsplash

また、テニスというスポーツ、ルールを考えれば、当然「誰よりも速度を出したら勝ち」でも「誰よりも遠くまで飛ばしたら勝ち」でもないし、「打ち方が美しければ勝ち」でもない のは、実際にプレーしてみると何となくでも認識すると思います。

仮に テニス的価値観に基づいて「打ち方が美しい」と感じるのは、ボールを打つ動作が効果的、効率的な身体の使い方によるものだと想像します。それはボールを打った後の結果と無関係ではないでしょう。少なくとも指の動きがきれいとか、足の角度がきれいとかテニスと離れた所作的な感想ではないと思います。

同時に「速度が出る (= 遠くまで飛ばせる)」“無理やり” ではなく効果的にエネルギーを発生させる身体の使い方という点では同義です。

Alex Zverev (3)

それでも、テニスではラケットという道具を使い、ボールを飛ばします。

「ボールを打つ」と言われる部分ですね。

直接、手で持ったり、足で蹴ったりはできません。ラケットは基本手に握って扱う。

我々は自分が打つべきボールを目の前にすると、つい「手や腕を動かしてラケットをボールに当てよう。うまくラケットを操作してボールを飛ばそう」という意識が強まってしまうと考えます。

インパクト 足、肩の前進、腕

ただ、ボールが飛び回転がかかるのは物理的な現象であり、世界的なトッププロも始めたばかりの初心者も同じ理屈、物理法則の基、ボールを飛ばし回転をかけているでしょう。

double handed backhand
moerschyによるPixabayからの画像
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Photo by Miguel Teirlinck on Unsplash

ボールが飛び回転がかかるという物理現象を生む条件であろう『1. ボールに加わるエネルギー量』『2.エネルギーが加わる方向性』が満たせるなら、

ボールにエネルギーを加える、加える方向性を決める方法は「手や腕でラケットを振る、手や腕でラケットを振る」だけに限定してしまう意味は薄い

と思うのです。

フォア スイング 腕の動

テニスを教わる際に「体重移動を使え」「手や腕の力は弱いから身体全体を使って打て」等を言われるのはこの事を示している気がします。左右の足や身体の力を使い「大きなエネルギーを安定的に生み出す」、そして「エネルギーを加える方向性を安定させるため」といった事に大きな意味があるでしょう。

forehand strokeforehand stroke 利き腕肩の前進

ただ、教わるままに「テニスはそうやって打つものだ」という認識で留まってしまう。「そんなの基本」と自分ではその意味や効果を具体的に説明できない状態のまま「分かった感じ」なままで居てしまう。ボールが飛び回転がかかるのは物理的な現象なので、そんな状態でも道具の進化もあって (ある程度のレベルまで) 問題なくテニスが出来てしまう。だから深刻な問題に感じない。

ただ、そこでテニスの他要素である「対人」が強まるとうまくプレーできない場面が増えていくのだろうと考えます。

テニスにある2つの要素 – その1「対人」

テニスにある他要素として「対人」というものがありますね。(先に述べたようにテニスは「相手ありきのスポーツ」です)

Tsonga (3)

テニスの練習といえば定番なのは『球出し』ですが、球出しのボールを打つのは『基本の打ち方』の確認のためでしょう。

tennis lessons

例えで申し訳ないですが、野球の練習でフリーバッティングばかり (バッティングセンターでボールを打ち続けるようなもの)、サッカーの練習でシュート練習ばかり行っていても試合で活躍はできないと考えます。

相手バッテリー (ピッチャーとキャッチャー) は自分に「打たせまい」と投げるコースや球種を工夫してくるし、サッカーの試合なら相手選手達はボールに触れさせない、良い状態にさせまいと妨害します。自分のタイミングで気持ちよくボールを打てる、蹴れる機会は1試合 (90分~2時間)で1回も来ないかもしれません。

baseballfootball

野球やサッカーはテニスよりも『集団競技』の側面が強く、仲間9人、11人の相互理解、セオリー、戦術や状況判断の相互理解がなければ攻撃も守備も穴だらけになってしまいます。(内野ゴロで送球する先の塁に野手が居ない。ゴール前にパスを出そうとしても誰も居ない等が起こります)

テニスにおいて、週1回のテニススクールのレッスン、プロになる訳ではないし、大会優勝を目指している訳でもない。ストレス発散とばかり、ガンガン打って気持ちよく終わりたいでしょうが、「自分のテニスを上達させる」という面では「球出しのようなボールを同じような打ち方、打つ位置、自分に都合の良いタイミング、何のプレッシャーもない状態で打ち続けようとする」という練習に殆ど意味はないのかなと思っています。

tennis lessons

※テニスをどう考えるかはその方の自由です。「上達を目指さないとダメ」と言いたいものではありません。ただ、同じ理由で上達を目指す方を侮ったりするのも違うと思います。

多くの方は「テニスを始めたばかりで基本の打ち方も定まっていない状態」はとうの昔に卒業されていると思います。

もっと「相手ありき (対人)」前提で得点を競って相手と打ち合う、試合もしくは試合のルール、状況に基づく練習を意識する事が望ましく、コーチに設定された球出し練習であっても、自分の意識では「ここはこういう状況を設定しよう。相手があそこにいて、こういうボールを打って、相手にこういう返球をさせるには、こういうボールが必要だな」と考え事で『自分が練習すべきショット』が定ってくるのでしょう。

ロブを後ろ向きで追う

コーチに指示されたからロブを打つ練習をするとか、なんの根拠もなく「強いボール」「強い回転」と思ってボールを打つ練習をしても相手と打ち合うプレッシャーのかかった状況、咄嗟の判断で「球出しのボールを打つような打ち方」で安定した結果が出せるとも思えないですね。(出せる方は「才能がある」のではなく無意識でもそういう状況をイメージできるのでしょう)

球出しのボールは気持ちよく打てる

「何のために今、自分はボールを打つのか?」打つ理由を持てない状態のまま居る事

ラケットを使い「目の前のボールを打つ」だけではなく「相手ありき、ルールに基づき、得点を競う」部分も踏めてが『テニスの本質』かなと考えます。

本当に「上達したい」と思うのなら、何年も同じレベルで足踏みしている自分から脱却したいのなら、「分かっている人に正解を聞けば上達するはずだ」等と曖昧な取り組みではなく、具体的に上達へ繋がる方法を考えてみるのはどうかと思います。

テニススクールは『レベル分け』により、自分と同レベルの方々としか「練習できない」という制約があります。汗と涙の部活ではないですが「圧倒的に格上に適度に負け、悔しいと思う」気持ちは上達へのモチベーションになります。大人になると「あの人達は自分とは違う」と線引きし、周りに通用する自分を肯定して「上を目指す」という事を避けてしまう事も多いです。(あくまで個人的にですがテニススクールレベルなら殆どの方が上級まで到達できる。その位の差しかないと思っています)

  • 自分が打ったボールを「相手が打ち返す」事を前提にしない。目の前のボールを打ったら終わり。次のボールが来るまでは思考停止。(「仮に相手がプロだったら自分がどんなボールを打っても打ち返され、逆に自分に気持ちよく打たせない返球ばかりしてくる。自分は次にどういう状況を作るために相手にどう返球させるか、そのためにはどういうボールをどう打つべきか?」といった想像が働かない)
  • 自分と同レベルの相手に自分に都合の良い条件しかない球出しのようなボールを強打し、相手が返球できない、ラリーが続かない状況に「自己満足」してしまう。
  • 逆に「ラリーが続かないのは嫌、気まずい」と「相手が打ちやすいボール」ではなく「速度が遅い、バウンド後に強く前進しないボールを打って、相手に都合よく打たせる『相手任せ』なボール」を打つのがラリーだ、練習だと考えてしまう。

そういう練習が (現状から大きく) 自分のテニスを上達させる事に繋がるのだろうかといった事ですね。

そこに「相手が存在しない」判断や思い込み

相手ありきのスポーツであるテニスですから、

次にどういう状況を作り、相手にどういう返球をさせ、そのボールを自分はどう処理したいか

というものが「今、この場所で自分は相手に対してどういうボールを打つのか」を判断する、決める前提の一つになってくると考えます。

サーブリターンをポーチ

練習内容、練習そのものに対する『慣れ』というものがあり、無意識でも

  • スライスサーブを打つからワイドだ。
  • バック側に返球されたくないから相手のフォア側に打つ
  • ネットに出たりボレーを打ったりしたくないからベースラインからゆるやかで深いボールを打とうとする

等を実行し続けてしまったりします。周りも同じですから、普段は問題に感じません。

スライスサーブダブルス雁行陣

どんなに強いボールが打てようが『対人』の緊張した状態で使えなければ意味がないですし、ネットから非常に遠い場所とネット間近で同じ打ち方をするのが高い確率で『望む結果』に繋がるとも思えません。

そもそも『望む結果』のイメージを持っていない。そもそも相手を観察し、次のどういう状況を作ろうかと考えられていないから常に同じ打ち方をしようとし、ネットしたりアウトしたり、相手にうまく対処された事を「たまたまだ」「運が悪かった」等と考えてしまうのかもしれませんね。

ボールを打つ前に『マッチ練』のイメージを持ちたい

『マッチ練』というのは通称ですが「試合形式の練習をする」といった意味で良いでしょうか。

最近、見始めた海外のテニスYouTubeチャンネルに『tennis Brothers』があります。

7年程運営されており2.5万人の登録者が居るチャンネルですが、感じる特徴は「ボールの打ち方を教えない」みたいな部分です。

テニスYouTubeチャンネルと言えば「フォアハンドストロークはこうやって打ちます」みたいな動画を投稿する所が多いです。運営者がコーチだったり、プロだったりすれば尚更その傾向は強まるでしょう。

ただ、tennis Brothers のホストはプロテニスプレーヤーとして成長する事を目指す10代に見える兄弟2人であり、トレーニング方法や用具紹介の他は『マッチ連』の動画を多く投稿されています。

UK Nationally Ranked TOP 10 Vs TOP 50 Player | Tiebreak to 10 !

国内でも試合やマッチ連の動画を投稿するチャンネルはありますが、1つは「撮影アングルや画角の制限が大きい事」、もう1つは「画質が良いとは言えない事」が残念でした。

日本のコートは周囲が狭くカメラを設置できる場所が限られますし、高さのある三脚を用いたりしてアングルを工夫するチャンネルも多いとは言えません。どうしてもベースライン後方からコート全体が収まらないような動画になる事が多いです。

また、老舗と言えるチャンネルほど、撮影機材を入れ替えたりされない気がします。撮影、編集、投稿するので手一杯で運用中のフォーマットを変えるのが難しいのかもしれません。

このtennis Brothersさんのチャンネルは撮影アングルも色々工夫がありますし、屋内や夜間撮影でも画質が悪くない。

Best tennis points | Hitting with Jay

また、『マッチ連』でも、遊び半分にトリックプレーを使ったりする事は少なく「理詰めで手順を踏んでポイントを決めるまで相手を動かす」という印象を強く持ちます。

次の動画など、コート全体を撮影し、画質もよく、飛び交うボールもしっかり見える。ハードコートの弾み方も実感できる。どういう展開をしてポイントを取ればよいのかというイメージ作りにはピッタリな内容に思いました。

MY FIRST ITF WORLD TENNIS TOUR JUNIORS MATCH | Tennis Highlights

ITFポイントを狙うジュニアレベルですからプロと遜色ないレベルですし、戦略・戦術もしっかりしている。ボールの威力だけでは勝てない事も十分わかった上でプレーされている印象を持ちます。

試合やマッチ連の動画を見てプレーのイメージを持つ

我々はどうしても「ボールをどうやって打つか」という面に惹かれがちだと思います。

ボールを打つ技術を磨く必要はないとは言いませんが、それはバッティングセンターでボールを打つような『球出し』練習よりも、相手ありきで都度状況の違う、選ぶべき選択肢が違ってくる、プレッシャーのかかる状況で使えるよう練習すべきなのだろうと思います。(本質的な意味での「テニスの上達」を目指すなら尚更でしょうか)

そういった意味でプロの試合のハイライト動画やこういったレベルの高いプレーヤーが (技量や才能以前の) きっちりとした『対人』のやり取りをしている動画をもっと参考にすべきかなと思っています。

「こういった場面で使うためにこういったショットが必要なんだ」と自分で思えないと具体的な用途やイメージが持てない。ただ、「ボールを打って終わり」な中途半端な状態のままで本来得られる上達が滞ってしまうのではないと思います。

2021年8月24日 追記: シンシナティ2021 ズベレフ vs ルブレフ

Tennis TV のYouTubeチャンネルでカメラ台数の多さを利用した多角度の試合ハイライト動画が上がっていました。トッププロ達に試合はプレーのレベルが高いですがこういう動画は見る機会が少ないので面白いですね。

Alexander Zverev vs Andrey Rublev: All The Angles | Cincinnati 2021 Final Highlights

試合はズベレフ選手が勝ったのですが、評価を見ても分かる通り、皆「ルブレフ勝利が順当」という感想だったのでしょうね。