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サーブでジャンプする意味 (テニス)

serve

タイトルは最近感じる疑問でサーブ向上のために色々考えている内容の一つです。

単なる個人的関心から考えるもので、こうあるべきといった技術論やコツの類ではありません。(念のため。。)

まず、サーブでは多少なりともジャンプして打つ事が多いです。サーブでジャンプする理由としては、「打点の高さを出すため」「ジャンプする力をボールを打つ力に活かすため」「サーブ後に想定するポジションを移動しやすくするため」辺りでしょうか。最初の2つが強く言われる事が多く、特に「ジャンプ力をサーブの力に」というのはよく聞きます。

ここで私が思ったのは、

「ジャンプしないより、ジャンプする方が強くサーブが打てるのか?」です。

疑問の根拠は、たびたび書いているサーブを打つ動作は投球動作や投てき(やり投げ)動作と共通するという事柄で、投球動作や投てき動作でボールや槍をリリースする際、両足は体の前後に広くスタンスを取られた状態で地面に設置しています。加えて言えば、後ろ足、ついで前足で地面を蹴る事で地面からのパワーを得ているようです。

地面を踏むのは、作用反作用の法則で、陸上で速く走りたければ地面を強く踏むこと、走る際も、着地した足が体後方に送られた後、逆足を前に着くギリギリまで長く地面を蹴り続けた方が速く走れるそうです。(ウサイン・ボルト選手は後ろ足が離れるのが他選手よりかなり遅いそうです。)

テニスのフォアハンドで言えば、両足が地面に接した状態と、ジャンプして両足が地面から離れた状態であれば『前者の方が力強くラケットは振れる』と感じます。(後者はスイングスピードは上げられても力が入れにくいような)

つまり、「シンプルに、力強くサーブを打つという事に限定すれば、肩幅より広いスタンスを取った状態で両足を地面に付けたまま地面を蹴るようにしてボールを投げるようにラケットを振った方がよいのではないか?」と思いました。

次に、サーブ時の打点の高さについて。以前に簡単に計算した通りコートのセンター部からネットに一番低い中央部を通し相手側サービスラインに収めるのに必要な高さは最低261cm程。身長180cmの方が地面に直立して腕を伸ばし、スイートスポットでサーブが打てる高さは261.1cm程でしょうか。空気抵抗、風、気温等々の条件は全く考慮しないでもボールがネット上部の白帯に直撃するコースです。

フラットサーブ 打点の高さ

身長2mでも白帯の上10cm程の空間を必ず通過しないとサーブは入りません。数字的には「入る」ように見えますが、実際ボールを打つなら「ほぼ不可能」と同じです。

サーブ 身長2m

つまり、2mを大きく超える身長でもなければ10cm~20cmジャンプしてもサーブ確率は変わらない

むしろ、毎回、態勢や状態が変わる不安帯なジャンプ状態で『無回転』でサーブを入れようとする方が妥当な発想とは言いづらいのだろうと思います。

我々は初心者の頃から「打つだけで自然とトップスピンがかかるストロークの打ち方」を教わります。「ストロークの基本はフラットだ」というテニスコーチはまず居ないでしょう。

「身長2mあっても無回転のサーブは入らなさそう。同じようにベースライン付近から打ち、ネットを越し、相手コートのライン内に収める。サーブは最も速度の出るショットである」等を考慮すれば、

「打つだけで自然とトップスピンがかかる打ち方が出来る」という状態が「サーブを打てる」という状態と言える

のかもしれません。

そう考えれば我々の多くはそのスタートラインにすら立てていないという事になるのでしょう。

テニスの上達のために『サーブの基本は『フラットサーブ』なのか?』を考えてみる

また、ボールに力を伝えるのは単純には「ラケット重量とラケット速度」であり、スイングスピードが上げられない打ち方では回転もスピードも出せないという事です。

テニスを始めた時から、サーブの見本を見ながら『トスを高く上げて、できるだけ高い所から打ち下ろす』という意識で膝をしっかり曲げて高く飛ぶ、上に飛ぶ力がサーブの威力になるという認識が強くなる気がします。

実際に、飛ぶ力が70%、前に振る力が30%のようなバランスのフォームをよく見ます。上に飛ぶ事と前に振る事を切り離して捉えるのは適当ではないですが、トッププロのフォームを見ると、上に飛ぶというより前方(厳密に言うなら打ち出す方向)に振るという打ち方に見えます。

ラオニッチ選手は最高打点の頂点で打つというより、高い打点が前に長く振られるフォームです。ジャンプも上というより前に力がかかっているのを感じます。

フェデラー選手はラオニッチ選手よりも上にジャンプする印象がありますが、インパクト前後のラケットの高さは上に長い楕円軌道ではなく、打ち出す方向に長く振っている印象です。

二人に共通するのは、ジャンプする前後、空中での姿勢に無理がないという事でしょうか。飛び上がる意識が強いためか、上にジャンプする準備として姿勢や顔が曲がったフォームも見ます。

Roger Federer Serve 6

単に上に飛び上がる動作だけならそれでいいでしょうが、ラケットを前に振る事を考えると二人のような楽に打てる体勢がよいように思います。

ちなみにジャンプ中に強く振るスポーツとしてバレーボールがありますが、選手が強くスパイクを打てるのは走りこんで前にジャンプしながら打つ時かと思います。その場で垂直にジャンプしても “前に” 向かって強く打つのは難しいでしょう。また、バレーは空中に浮いている間に全身を使い腕を振る準備もできますが、テニスでは空中でできる動作は最低限です。

歴代プレイヤーの中でNo.1サーバーだと言われる事もあるピート・サンプラスさんはサーブ時に高くジャンプしません。(前側の足だと10cm位でしょうか)

Pete Sampras

彼がサーブアンドボレーヤーで、多くの場合サーブ後に前に出る事を考えても、トロフィーポーズでは上というより前に向かって足に力を入れているように見えます。(サンプラスさんの身長はフェデラー選手と同じ185cmです。)

まとめると、高くジャンプする事より投球動作のように前方(打ち出す方向)に強く振ることを考えた方が効率がいいのかもということ。また、ジャンプするなら垂直方向より地面を蹴って前方向への力を得る、或いはサーブ後のポジション確保を考えての事かなということです。

なお、プロ選手が練習で両足を地面に付けたままで続けざまにサーブを打つシーンをよく見かけます。軽く打っているだけですが十分なスイングに見えますし、ジャンプしているフォームと打ち方に違いは感じません。