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上達したい。ハーフバウンド、ライジング打ちがどう意味も持つのかという話 (テニス)

tennis positioning
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私はテニスの専門家でもコーチでもありません。「自分のテニスを上達させるのは結局自分自身。コーチや周りの人達ではない」という考えに基づき『自分のテニス上達のために』考えた事を書いているものです。そもそも会ったことも自分のテニスを見せた事も無い他人の話を鵜呑みにするのは危険です。まずは自分のテニスを普段から見ているコーチに相談し、その上で自分で考えてみるべきでしょう。ここで書く内容も沢山ある情報の一つ。何か参考にされる際は怪我などないよう十分ご注意いただければと思います。

テニスは日々進化し続けている

30年以上前にラケットやストリングスは自然素材から化学素材製に代わり、ストロークはトップスピンが基本になりました。道具素材や製法の進化は「ボールにエネルギーを伝える際の伝達ロス」を小さくし、同じエネルギーを加えてもボール速度が上がる効果がある。当初は「回転をかける」部分が強調された雰囲気でしたが、現代のプロを見ても「速度を落としてまで回転を増やす」高い軌道のストロークを多用する選手は見られません。

Roger Federer

それは「道具の進化で上がる速度には限界がある」という事が大きいのでしょう。

道具の進化により「ボールに伝えるエネルギーの伝達ロス」が減っただけです。

ボールを飛ばし回転をかけるために利用できるラケットが持つエネルギーを生むのは我々が身体を動かす『運動』の効果。トッププロの体型は大型化していますが、それでも「人が自分の体の機能を使って発生できるエネルギー量には限界がある」のは変わりません。

調べると「サーブ速度は時速160マイル (257.495km) が限界」と言われているようです。

Milos Raonic Serve

そして、ボール速度向上に限界が見えた時、プロ達は「相手ありきのスポーツ」というテニスの特性を利用し、相手に対して「速度を上げる」のに近い効果を持つ「相手の時間を奪う」という方向性を見いたしました。そのための一つの考え方が「相手との距離を短くする」です。

※他にも、高い打点でボールを落とさず打つ。サーブからの3球攻撃のように相手を追い込み、意識がこちらに向かない間にネットを取り即決める(スニークイン)等、様々ありますね。

DSC00325

「距離を短く」するのは「速度が上がる」のと同じ

おなじみの公式に「距離 = 速さ x 時間」がありますね。

ボール速度を時速130kmとするとベースライン間の距離を約0.66秒で到達する計算になります。(実際にはバウンド等により大きく減速し、もう少し時間はあります)

そして、ベースラインから2m中に入った所からボールが飛び始める、2m距離が短くなると要する時間は約0.6秒に縮まり、同時に元々のベースライン間の距離をこの時間で到達されるには時速142kmが必要な計算になります。

時速130キロ

単純計算ですが「距離を2m縮められれば、球速を時速12km高めたのと同じ効果がある」といった事です。(現実の起きる事象とは異なるので「距離を縮める」という事の意味について確認したいだけです)

「時間が欲しい」からポジションを下げる

ベースラインから下がった位置で打ちたい理由で大きいのは「自分がボールを打つまでの時間を確保したい」という事でしょう。

Robin Soderling - 1/2 finale de Roland Garros 2009 - semi final - tennis french open

同じ速度でも距離が長くなれば飛んでくるまでの時間は長くなります。

また、テニスにはルールがあり、打つボールは相手コートのラインが示す範囲内に1度着地させる必要がある。バウンドによりボールが持つエネルギーは大きく消費され、速度も落ちます。下がった位置に居ればボールの速度低下という面も要素にできます。

「打てる打点の高さでボールを捉える」ためにポジションを下げる

ベースラインから下がった位置で打つ理由でもうひとつあるのは、相手の打ったボールのバウンドに合わせて「打てる範囲の打点で捉えるため」でしょう。

Roland Garros 2014 - Svetlana Kuznetsova

ジャンプしつつ腕を伸ばしても届かない高さのボールは打てないし、地面スレスレのボールを打つのも難しい。

テニスではラケットを「手に握って」使うので、我々がボールを打てる範囲は「ラケットを持つ腕の肩の位置」に依存します。

フォア 打点 範囲

ラケットを握る腕の肩の位置から前後左右に「遠すぎる」「近すぎる」位置ではうまくボールが打てないため、左右の足を使い、身体 (厳密にはラケットを持つ腕の肩) の位置を調整する必要があります。

tennis overhead

※ボールを打つ位置の調整には左右の足による移動のほか、体重移動、フォアハンド側であれば利き腕家肩の位置変化も使用できます。

tennis positioning

ただ、「手に握るラケットを直接的に使って何とかしよう」という意識から往々にしてラケットを握る腕の肩の位置から遠い位置のボールを打とうとするから姿勢やバランスを崩してしまうという事がおきますね。

テニス 高い打点遠いボールに手をのばす

テニスの本質は「ボールを打つこと」ではないのでは?

テニスは「相手ありきのスポーツ」です。

(同じような意味を指す表現で「オープンスキルのスポーツ」と言ったりもしますね)

都度「得点してやろう」「ミスさせてやろう」と配球を工夫している、毎回、打つ場所も速度も球種も弾み方も違うボールを打たなければなりませんが重要なのは「自分がボールを打てば終わり」ではないという事です。

tennis forehand

テニスにはルールがあり、コートの大きさが決まっている。「時速130kmのベースライン間を0.66秒で到達する」例で分かるように我々には準備する時間が多く与えられないです。

自分が打ったボールを相手が打ち返してくる。そこで「相手が打ってきたボールを見てから判断し動きだす」のでは「0.66秒の間に打てる位置に移動し、ボールを打つ準備を完了しなくてはならない」といった事になりますね。

人間の反応速度は速い人で0.2~0.3秒と聞きます。ポイントが終わるまで「打つ。準備する。打つ。準備する」を繰り返す、ボールを打ったら準備が出来るまでボールが飛んでこない訳ではないので「1度は返球したけど次が間に合わなかった」という事が頻繁に起きるのは当然と言えます。

相手ありきのスポーツであるテニスだからこそ、そのポイントが終わるまで次にボールを打とうとしている相手の様子を観察し、判断し、予測し、準備する事が大切です。

観察と予測の習慣付け

その習慣付けができているからこそ、咄嗟に見える反応もうまく対処できるのでしょう。当然ですね。「相手が打ったのを見てから手を出す」のと「あ、ボールを打とうとしている人の位置、あの顔、開いているスペースを抜いてやろうと思っているな」と予測しているのでは結果に繋がる確率が大きく違うのは想像に難しくないです。

Bruno & Alex

相手がボールを打ってから準備するだけでなく、相手がボールを打つ前に自分の準備は始まっているといった事です。

「自分が目の前のボールを打つ事」が目的になり、「思い切り打った。アウトした」を続けてしまう。それは、ただ「ボールを打っている」状態であり、相手と対峙する前提である本質的な意味での 「テニスをプレーしている」とは言いづらいのでしょう。

※テニスは基本一人ではできません。周りの方、一緒に練習してくれる方々に迷惑をかけない範囲で「テニスの楽しみ方は人それぞれで良い」と思っています。「上達を目指さないならコートに来るな」「そんなのはテニスじゃない」なんて大昔の部活みたいな事を言うつもりもありません。「自分のテニスを上達させるのは結局自分次第。コーチや周りの人達ではない」。自分の上達のために自分でテニスをどう考えるかといった部分を考えたいだけです。

ボールを打つ際の根拠は「次にどういう状況を作りたいか?」

加えて「相手ありきのスポーツであるテニス」だからこそ、自分がボールを打つ際の根拠は「次に自分がどういう状況を作りたいか?」という点が重要でしょう。

深いボールで相手をサイドに追い込んで、ボールを追うのに夢中でこちらに意識を向けられていないのを確認しつつ、返球されるであろうコース上のネット付近まで前進し、ボレーで1発で決める。ネットに出てくると予想していない相手は反応できず、2バウンド目までに追いつけない。追いついてもその動きと返球コースを予想して相手に妥当な返球をさせてそれを『次』で決めるべく準備する。プロの試合でも最近よく見られる「スニーク」プレーです。

ネットに詰めてボレー

「目の前のボールを何となく打ちたいように打つ。或いは常に相手コートに返すので精一杯」

ではなく、

「今居る場所、この状況で、次に相手にどう返球させ、どういう状況を作りたいから、打つコース、球種、速度はこんな感じだな。あの位置に居る相手はこういう風に追うだろう。となると返球されるコースはこの辺。相手に意識させないように次の状況に対応しやすい位置に少し寄っておこう」

というプレーをし続けたほうが、精神的にも物理的にも常に余裕がある状態で相手に対峙できる。

サーブリターンをポーチ

相手の打ったボールに慌てて実力を出す所じゃないテニスと比べるべくもありません。

「相手ありきのスポーツであるテニス」だからこそ、「相手を観察し、予測し、判断し、準備する」という習慣付けがないと自身の実力も発揮できない。

作りたい状況があるから使うショットの練習をするのでは?

また、「作りたい状況があるから必要なショットや使い方のイメージが持てる」と思います。それが練習する根拠にもなってきます。

backhand volley

コーチに「クロスに打ちなさい」「ストレートロブを上げなさい」と言われるからその通りに打つ練習、相手がどのようなリターンをしてくるかの想定がない「的あて」を重視するサーブ練習は「相手ありきのスポーツであるテニス」の本質からはだいぶ遠いように感じます。

雁行陣の縦ロブ

ハーフバンド、ライジング打ちと呼ばれるもの

日本でおなじみの「ライジングショット」という言葉は海外には無い (※)ので、どう表現すべきか悩みましたが “hit on the rise” 等と書くのも面倒なので今回はこの用語を使います。

※1990年代、海外進出の目覚ましい日本企業を太陽が東から昇る (日本は「日出ずる国」とも言われる) のをもじって「ライジングサン」と呼んだりしました。その頃、海外ツアーでランキングを上げて注目もされていた伊達公子さんの “hit on the rise” な打ち方を「ライジングショット」と名付けたみたいな流れだと想像します。「エッグボール」と同様、日本で誰かが作った “日本語” だという事です。

因みに海外には「体重移動」に相当する指導内容は無いようです。「体を回して打つ」とか「グリップの薄い、厚い」という表現もないようです。海外のテニスYouTubeチャンネルを見ていると日本人が当たり前に思っている事を全く違う視点から考える良いきっかけになりますね。

収めるべきラインよりも手前で明確にボールを「落下」させる必要がある

さて、テニスにはルールがあり、使用するコートの大きさが決まっています。我々がボールを打つ際は相手コートのラインが示す規定の範囲内にボールを1度バウンドさせる必要があります。

※途中にネットがあり、相手の打ってきたボールを打ち返す範囲から殆どの場合「ネットの上を通過せざるを得ない」コースになるというだけで「ネットの上を通過する」はルールではありません。

自分がどこからどんな種類のボールを打とうがベースラインよりも手前 (サーブならサービスボックスよりも手前) までに『重力』+ 『エネルギーを加える』事によりボールを落下させる必要があります。(空気抵抗もありますがこれは落下そのものより「回転による変化」に関係するでしょう)

それが我々が言う「コートに入れる」という事になってくるでしょう。

コートに入れる

※もちろん軌道の違い、加えるエネルギー量が少ない、回転が多い等で「(飛距離が) 短い」という結果も起きます。ただ「飛びすぎ」も「短い」も自分がボールにエネルギーを加えた結果、打つ際の条件値の差であり、「アウトしても深い方が良い」等と2択で語るものではないと考えます。

風の影響でもない限り、いくら回転をかけようがベースラインの位置を通過したボールが「戻ってくる」事は無いです。

コートに入れる

回転や軌道でベースラインまでに自身がボールを着地させられる範囲で加えるエネルギー量やエネルギーを加える方向性をコントールすべきでしょう。

「アウトしても良いから思いっきりラケットを振れ」等は身体の使い方が身についていないジュニア向けの導入時には良いのでしょうが、テニスは「誰よりも遠くまで飛ばしたら勝ち」「誰よりも速度が出たら勝ち」といったルールではない。

「強いボールを打ちたい」「回転をかけたい」「(方法とかよく分からないけど) とにかく相手に勝つ」みたいな「ただ目の前のボールを打つのが目的」な状態を『当たり前』と認識したくはないです。

ボールの位置変化が小さいのは「打った直後」「軌道の頂点」「バウンド直前・直後」

ボールに回転がかかっている場合、大気に衝突し、かき分けながら前進していく中で空気抵抗の影響、そして重力の影響で速度が落ちつつ回転は強まりボールが「曲がる」事象が強まります。

Magnus-anim-canette

MatSouffNC858s, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

打ち上げたボールは軌道の頂点で「上昇する」エネルギーと重力による「落下」が釣り合い、上昇が止まり、上昇するエネルギーは消費されたのに重力による「落下」の力の方は継続するから、頂点から遠ざかるほど加速度は増していきます。だから「高く」トスを上げると打つのが難しくなる

serve toss

Photo by Marcos Paulo Prado on Unsplash

※落下速度が高まると落下時の空気抵抗も強まり可加速度には限界が来ます。終端速度と言うようですがテニスコートで起こる得る事象には関係ないでしょう。

だから、ボールが曲がったり、弾んだり、途中で速度が変わる (バウンドで速度が落ちる、落下で速度が増す) といった要素の影響を最も少ない状態我々がボールを打てる段階には、

  1. 相手がボールを打った直後 (ラケット面間近)
  2. ボールが1バウンド目をする直前とバウンドした直後
  3. ボールが1バウンド目をした後のバウンド頂点付近
  4. ボールが2バウンド目をする直前

4箇所、タイミングで言えば5つがあると考えます。

ボールを打つタイミング

これ以外はボールが進む、回転で曲がる等の影響から打つ場所やタイミングが計りづらくなるのではないかと思うのです。(速くなったり急激に曲がったりはしないので「打てない」訳ではないが「どのタイミングで打つか」の目安にしやすい段階が4つあるだろうという事)

1は現実味が無いように感じますが、ネット間際で強打しようとしている相手の前に出てラケット面でボールを弾き飛ばすような場面等。「強く打つ」事に集中してこちらに意識を向けていないならコースやタイミングも分かりやすく虚をつく効果もあります。(ボールに衝突しないよう注意)

1バウンド目の直前、2バウンド目の直前は、落下速度が高まっていますが、落下により「進みながらも降下する」軌道の安定性は高まる。(どんどん迫ってくるような前進性がない)

肩上まで弾むサーブ

常に「バウンド直前」で打とうとするのは妥当ではないでしょうが、着地する位置に目安が付くので「どこでどう打つか」もイメージしやすいでしょう。これはバウンド直後を打つハーフバウンド、ライジング打ちにも関係しますね。

逆に「自分は2バウンド目ギリギリまで打てるんだ」と認識しておかないと「常に同じタイミング、同じ打点位置で打とうとしてボールとの距離感が合わない、バウンドが合わない、安定した結果が出せない」という事に繋がりますね。

Sydney International Tennis ATP 250

「バウンドの頂点を打て」と言われるのは「高い打点で打つ方が回転を少なく、その分、速度を上げる余地を持てる (ネットを越しやすいという話は微妙…)」もありますが、ボールの位置変化が小さくなり「止まっている」ように感じながらボールを打てるからだと考えます。

肩上まで弾むサーブ

ハーフバウンドで打つ、ライジングで打つのは難しい?

「ハーフバウンド、ライジングで打つのは難しい」というのが一般的な感想かもしれません。

鈴木貴男プロの世界一受けたいレッスン「ハーフボレー」

でも「強く前進し、回転により落ちる、弾んで頂点に至ろうとしているタイミングで腕を強く振ってうまく捉えよう、ボールを飛ばそう」とする方がよほど難しいように感じます。

その場で打つ

相手を観察し、判断し、予測し、準備する習慣付けができていないから「自分がボールを打つまでに時間が確保できる」と考える「常にベースラインより後方に居る」「ボレーよりストローク」という選択をしたいのかもしれませんよね。

ハーフバウンド、ライジングはどのような位置で使うか?

相手の打ったボールは (深さで言えば) ベースラインよりも前、ネット側でバウンドする。ラインを超えればアウトなので、最も深いバウンド位置はベースラインの位置です。

つまり、最深部でもベースラインのすぐ後ろ、場合によってはベースラインよりも中で打つのがハーフバウンド、ライジング打ちの使い方という事になってくるでしょう。

forehand stroke 利き腕の前進

ネットの高さがボールの入射角に影響する以上「ベースラインの3m後方でライジング」なんて事はまず起きません。(アウトしたボールを打つ事になります)

つまり、飛ばす距離が長い訳ではないし、むしろ最初の方で述べた「長い距離を速い速度で強く打つ」のではなく「短い距離で相手の時間を奪う」効果を念頭に置くべき状況、そういう状況で使うショットなのでしょう。

腕を振ってボールを飛ばす? ラケットをボールに当てる?

テニスではラケットという道具を使いボールを打ち、原則ラケットを手に握って使います。

そして、我々は、自分が打つべきボールを目の前にした際、つい、手に握るラケットで直接的に 「ラケットをボールに当てよう」「うまく当ててボールを飛ばそう」と考えがち、操作を加えてしまいがちだと思います。

手首 背屈

Photo by Dima Khudorozhkov on Unsplash

ボールが飛び回転がかかるのは物理的な現象であり、我々が打つボールの質を決めるのは『1.ボールに伝わるエネルギー量』『2.エネルギーが伝わる方向性』の2つです。

そして我々が使えるエネルギーとしては『1. 重量と速度を持って飛んでくるボールの持つエネルギーを反発させる』事と『2. 加速させたラケットが持つエネルギーをボールに伝える』事の2つがあります。

テニス ボールを飛ばすエネルギー

前者はボレーで、後者はサーブで重要になり、ストロークでは、状況に応じて両方をバランスよく使う必要があります。

ボールを打つ相手との距離が遠くない (1バウンド目前に打つ事でエネルギー消費前のボールが打てる)、ボールを飛ばしたい距離が比較的短い位置で使う。純粋に準備時間が短くなる状況で使うボレーは「相手のボールが持つエネルギーを反発させる事に集中した方が自分が作りたい状況に繋がる」ショット。だから「ボレーではラケットを振るな」と言われるのでしょう。

テニス上達のために『「ボレーでは振るな」はなぜ直らないのか?』を考えてみる

使う状況を考えれば、ハーフバウンド、ライジングはリターンやボレーに近い

ベースライン付近から打つストロークに対するネットプレーの有利性もやはり「相手の時間を奪える」という部分があります。

ベースラインから都度、一生懸命ラケットを振って長い距離ボールを飛ばしているのに相手はボールの持つエネルギーを反発させるだけ、利用するだけで返球してくる。

ネットプレーがうまい人を「まるで壁のようだ」と言ったりしますが、相手に対する位置取りや準備 (どのコースにどういうボールが来るかを予測して移動しておく) が優れているから慌てる必要がなく自身の実力が出しやすいのでしょう。相手の打ったボールに毎回飛びつくようなポーチをするのとはだいぶ違います。

リターンの確実性も「ボールが飛んでくるコース、バウンドする軌道上に身体 (ラケットを持つ肩) を位置させられるか」が重要であり、そのためには予測が重要。(打つ際に全て分かる訳ではなく相手の特性、傾向、状況から「スライスサーブだったらこの辺りにこう飛んでくる」という判断?)

速いサーブに打ち負けまいと「タイミングよく強く打つ」事ばかり考えていても結果に繋がらない、周りも出来ていないから相手の「ナイスサーブ」で納得してしまうという事が起きていると考えます。

肩上まで弾むサーブ

ネット付近から打つボレーは角度がつけやすく、わざわざ相手が居るベースラインまで長い距離を飛ばす必要もない。一生懸命ラケットを振ってボールを打った後の相手はベースライン間のラリーと違い「自分が打ってから準備するまでの時間」を与えられず、短いボール、遠いボールに対応できないという事が起きるでしょう。

ネットに詰めてボレーネットに詰めてドロップボレー

近年のトッププロは「ボールがバウンドの頂点から落ちてくる位置で待ち構えて打つ」というストロークより、ベースライン付近で「ボールが頂点に到達する前の段階で捉えられる位置で打つ」という打ち方を基本としている選手が多い印象です。

forehand stroke 利き腕肩の前進

そのようなストロークを基本のプレースタイルにするかどうかは別にして、今回は「自分が望む状況を作るための選択肢としてのハーフバウンド、ライジング等を使う」事を考えた場合、

  • 相手との距離が短くなる、相手がボールを打ってから自分がボールを打つまでの時間が短くなる事で相手の時間を奪える
  • 飛ばす距離が短くなれば長い距離を速い速度で打つ必要がなくなる (より抑えた速度でそれ以上の効果が得られる)
  • ネットまでの距離が短くなる事で角度がつけやすくなり、ベースライン付近に居る相手に対する優位性が取れる

といった点を前提として使えるようにしたいです。

都度、相手を観察して準備しない。相手が打ったボールを見てから判断するから適切な位置に居られないし、毎回、時間がない。

そんな状態で「ライジングがー」「ハーフボレーがー」等と言っていても、また、ボールを打つ技術の話、「目の前のボールを打つ」話にしかなっていない気がします。(「相手ありき」が存在しません)



「どんどん前進してきてしまう」「打ったら止まってしまう」のはちょっと違う

ハーフバウンド、ライジング、短いボールをハーフボレー、ドライブボレー等で処理しているのを見て「自分もやってみよう」と考える方は居られますよね。

繰り返しますが、個人的に「テニスは相手ありきのスポーツ」であり、「そのポイントが終わるまで次にボールを打とうとしている相手を観察し、予測し、判断し、準備する」の本質的に「テニスをプレーする」のには必須になってくる。我々がラケットでボールを打てる位置は「ラケットを持つ腕の肩の位置に依存する」ので「自分が次に作りたい状況を実現する」ために予測した情報を元に「打てる位置」まで移動する必要がある と考えます。

自分がボールを打つ際の根拠に「相手にどういう返球をさせるか?」「次にどういう状況を作るか」があるかどうか?

望む状況を作るための選択肢としてハーフバウンド、ドライブボレー等があるという事。

単に「攻撃的にプレーしたい」から「移動しつつプレーするのが面倒だから」とハーフバウンドやドライブボレー等を使う方は「どうボールを打つか」打った後に違いが出ると考えます。

「とにかく攻撃」なので。(バウンドに合わせるために足を出して調整する事になるので) 打つ度に前に移動していってしまう。

ボールを打った後、(自分がそういう返球をさせるボールを打っているので) 相手の返球に備えてポジションを戻す、飛んでくるであろうコースの中で対応できるための相手との距離感、スペース (余白) を確保する詰めすぎた距離感をリセットするといった行動がない。

「打ったらその場で相手がボールを打ってくるまで固まったように待つ。目だけでボールを追っている」といった行動が顕著に見られます。

テニス 構え

(そもそも人間は疲れる事、面倒な事は裂けたいですから「攻撃的にプレー」したいからハーフバウンド、ドライブボレーを使っているように見えて面倒や手間を避けているだけという事はよくありますね)

「観察し、準備する。そして相手の時間を奪う」そういうテニスは身体にも優しい?

現代のトッププロを見れば、長い距離で打ち合うラリーが多かったクレーコートの大会でも「ベースラインから下がらず、チャンスがあればネットに出て1発で決める」ようなテニスをしています。

Roland Garros 2015 - Serena Williams

「プロの世界の話だから」という考え方も出来ますが、長い距離で一生懸命ラケットを振り続けるのは大変だし、ケガのリスクも高まるでしょう。

※1kgの物体を1m動かすのと2m動かすのでは、当然、「後者の方が「2倍のエネルギーを必要とする」のです。準備時間が欲しいからと常に「ボールが飛んでくるのを待って打てる」状態ばかり望むのが良いとも思いません。(且つ、相手を観察し、判断し、予測し、準備している訳ではないから、その場所で待つ理由が「何となく」だったりする)

プロが見せるテニスが「パワーで強いボールを打つ (パワーテニス)」から「相手の時間を奪う」方向へ変わってきたのはプレー時間を短くして身体の負担を軽減させるという事も大きいでしょう。

かつて現役引退の目安だった30歳を超えたプロが大勢活躍し続けている意味を考えたいですね。

同じ意味で「ボレーを自信を持って使えるようになるとプレーの負担が減らせる」と考えます。

多くの方が「ボレーは難しいから打ちたくない。ボレーよりストロークで打ちたい」と考える理由はやっぱり「相手を観察し、判断し、予測し、準備する」習慣づけの有無が大きいでしょう。(「ストロークの方が強く打てる」は「ボレーで優位的にポイントが取れる」でも上回れるでしょう。自分ができないというだけです)

相手が打ってくるコースが予め分かっていて、精神的にも身体的にも準備が出来ていればボレーの技術なんてそれほど重要ではありません。(コーチの球出しなら何とか打てるのでは?)

また、「こういう状況でこういうボールを打ちたい」と思うからこそ、そこで使う技術を練習し、上達するのでしょう。コーチの球出しを何万球打っても、本質的な意味で「ボレーが上達する」とは思わないです。

「ボレーはが苦手」「ハーフボレーとか無理」「ライジングとかどう使えばよいのか分からない」と言う感想は「出来るか、出来ないか (打てるか、打てないか)」ではなく、どういう状況を作りたいかが先にあって、予測に伴う準備の習慣付けがあり、技術とあまり関係ない部分で用いられる。そういう所から変わるものなのだろうなと思います。

繰り返しになりますが「練習すれば上達する」では恐らく上達しないし、実戦で使えるようにもならないのではないでしょうか。

お知らせ:YouTube動画を追加しました。

動画編集練習用のYouTube動画を追加しました。ブログで書いた内容を元に動画を作っています。

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