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サーブを打つ際に肘が下がる (テニス)

サーブを打つ際に利き腕の肘が下がってしまう

サーブを打つ際、トロフィーポーズ時、及びトロフィーポーズから腕を振り上げる時に利き腕の肘が下がってしまう事があります。

肘が下がると「教室での挙手」のように、手を押し上げる腕の曲げ伸ばしがメインになり、腕を前に強く振ることはできません。

肘が下がってしまうフォームは形が一目瞭然です。

肘が下がる要因は人それぞれでしょうが、高い位置にあるボールを打つイメージから

1)非利き腕の肩 (右利きと仮定し以下左肩) を高く持ち上げようとする
2)上に振り上げる準備として予め右腕を下げてしまう

等があり、他にも

3)トロフィーポーズを「形」として作ること

も大きな要因です。

また、サーブでボールを捉える際、トスをして上げた左肩を下げる代わりに右肩を上げる『肩の入替え』が言われますが「肩の入替え」と聞くとラジオ体操のようにそれぞれの肩を上げ下げするイメージを持たないでしょうか?

また、「トロフィーポーズ」を腕を振る動作との連動を考えず「形」として作ると、一旦、肩より上げた腕を引き下げてセットすることで肘の位置は固定されずどんどん下げることができます。

サーブを打つ際の利き腕の使い方を考える

ここで本題というか、サーブを打つ際に意識しないといけない事で度々言いますが『サーブは投球動作、投てき(やり投げ)動作と共通点する』ということがあります。

トロフィーポーズでは左手を高く突き上げ、左肩と右肩の高低差を作るイメージがありますが、選手の写真を見てみると、

トロフィーポーズ前後の利き腕の状態

ボールを投げる動作のように体を軸に両肩を回転させてラケットを振り出そうとしている様子が写真からわかると思います。

決して「左肩を下げて右肩を持ち上げるといった平面的な体の使い方ではありません」し、腕を強く振るための基本原則である「脇と上腕が90度、上腕と前腕(つまり肘)が90度、上腕と胸が180度」をきちんと保っています。

その形はピッチャーがボールを投げる際と同じです。

ピッチャーがボールを投げる際の利き腕の状態

※チリッチ選手もマレー選手もサーブ時に体の軸に対し水平方向の両肩の回転を強く使う選手です。スリークオーター気味のスライスサーブや回転系のサーブが得意だったりします。マレー選手、チリッチ選手のスピンサーブが大きな弧を描くのはよく見ますが、回転がかかるのは腕がしっかり振れるからだと思います。

Andy Murray Serve In Super Slow Motion

個人的には、投球動作に近い、体の軸に対して水平方向への肩の回転(ショルダーローテーション)が基本になると思います。

投球時のピッチャーは肩、腕、肘を意図的に持ち上げると腕を前に振る妨げになります。マレー選手もチリッチ選手も肩の軸を傾ける事で右肘の高さを生み出し腕や肘を上に上げる、持ち上げる事はしません。 

ボールを投げるように速度を持って腕をしっかり振るというのはシンプルに言えば、体の軸の回転と腕が外旋から内旋へ向かうということ。肘が下がる要素は全くない。

 ボールを投げる動作というのは、人が持つ体の仕組みや機能を使って腕をしっかりと速く振り手に持つ物体を遠くまで届かせるという動きです。体の使い方さえ分ければ誰でもできます。

ごく単純に言えば、

1)体の軸の回転
2)腕を振るのに伴い、上腕は外旋し、その後内旋方向に向かう

の2つがおこります。

1)体の軸の回転

トスを上げる際に目標に対して横向きになっている体を体の軸を中心に回転さえていく動作です。

 

2)腕を振るのに伴い、上腕は外旋し、その後内旋方向に向かう。

ボールを投げる際に必要な腕の角度、体と上腕は90度(脇)、上腕と前腕は90度(肘)、上腕と胸は180度以上を保った状態で体を回転させつつ腕を振っていこうとしますが、手及び手に持つラケットには慣性の法則が働きます。

停止状態にある手、および手に持つラケットは停止したその場に留まろうとするので、腕を振ろうとする際、腕は停止位置にある手、およびラケットに後ろから引っ張られます。

 

結果、上腕の外旋 (腕が後方に反る) が起こります。

腕が動くことで手や手に持つラケットも動き始め、速度が増すことで、腕の動きよりm速度が速くなった手や手に持つラケットは腕を追い越し、慣性の法則で更に前に進んでいこうとします。

※同じ時間で同じ角度動く際、回転の中心軸よりも遠い物体の方が同じ時間で長い距離を移動しないといけないためその速度は速くなります。腕よりも手、手よりも手に持つラケットの方が速度が速くなるわけです。ただし、ラケットを手で握りしめてしまうと速度は『腕 = 手 = ラケット』になりかねません。

ちなみに、上腕が外旋した際、つまり、腕や手が前に動いていこうとするのに、慣性の法則でその場に留まろうとするラケットに手や腕が後方に引っ張られる中で起きるが『ラケットダウン』という状態です。

つまり、ラケットダウンも”形”として作る必要がないということです。

プロ選手のサーブを見れば「体の回転」「角度を保った腕を前に振っていく動作」の組みあわせサーブを打っているのがわかります。腕を中心に動かしてラケットを操作してボールにぶつけているのではボールに力も伝わらないのは分かるでしょう。

当然、この中で肘が下がってしまう要素はありません。

肘が下がるのはほぼ「トロフィーポーズという”形”を作らなければ」という意識の産物だと思います。 

サーブにおける利き腕の使い方を考えるための参考情報

鈴木貴男選手の回転系サーブの導入練習映像

動画を見てわかるように肩の高さを入れ替える事なく投球動作のように肩を回転させる事でサーブを打つことが可能です。

両足を付けたプラットフォームスタンス、横向きの状態で、脇と上腕、肘を90度、胸と上腕を180度以上に保った状態から、ボールを投げるように体(肩)を回転させながらラケットを振ります。

投球時にボールを強く握ると腕が速く振れないようにラケットは軽く握り、腕や手に力は入れません。

腕をリラックスさせボールを投げる動作のようにラケットを振ればラケットに遠心力の重みを感じられます。(ラケットを加速させる要素は遠心力と慣性の力)

地に足が付いたまま腕を振り、ラケットが通過する軌道の途中に打点があるので、ラケットが通る位置を考えれば当然トスは比較的低くなります。

投球モーションが途中で停止しないのと同様、高くトスしたボールが落ちてくるのをトロフィーポーズで停止して待つ必要はありません。

停止はその場に留まろうとする慣性の力が働くため再び動き出す際に無駄な力が要り、体の緊張にも繋がります。

打点の高さは投手同様に肩の傾きで変えられますが、いずれにせよサーブに回転は必要で無理に肘を持ち上げて打点を10cm高くしても確率は変わりません。

無理なくスムーズに腕を振ることを優先した方がよいはずです。

ボール目掛けてジャンプして叩きに行くのではなく、ボールを投げるように無理なくラケットを振るので『トロフィーポーズで肘が下がる事も振り始めに肘が下がる事もない』のではないでしょうか。(ボールを投げる際に肘は下がりません)

最後に

相手のボールの影響を受けずゼロから自分の力で打つサーブは他ショットのようにごまかしが効かずフォームや体の使い方が結果に出ます。

サーブが苦手な方が多いのはサーブを打つ際の体の使い方をしっかり教わる機会がないからで、イメージやコツ等でごまかしが効かない分、自己流では改善しにくいのがサーブだと思います。