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ボールを打つ際に「まず、下がってしまう」ことを考える (テニス)

ボールを打てる位置は2箇所のみ

テニスは相手ありきのスポーツ

テニスは相手ありきのスポーツです。

WOMENS DOUBLES_0973

素振りや壁打ち等はありますが、基本的に相手が居なければ練習も出来ないです。試合 (試合形式の練習含む) も相手がいなければ出来ません。テニスは「何度か失敗しても誰よりも遠くまで飛ばせば勝ち」「誰よりも速度が出れば勝ち」といった競技内容でもありませんね。

だから、相手や相手が居る前提での “その場の状況” を考えようとしない、考える事すらできないまま「目の前にあるボールを打つ」といった意識に縛られたテニスを続けているようなら、その方の技量関係なくそれ以上の上達は難しいのでしょう。

鈴木貴男プロが「あなたは “ボールと” テニスしてるんですか? 私は “相手と” テニスしていますよ」というお話をされていました。

スクールで差が付く練習方法!貴男プロが教える3つの意識

テニススクールに通い、上達を目指す我々にとってとても重要なお話だろうと思いました。テニスというスポーツの前提部分なのに教わらない、気づかないまま。皆が求めるから伝える側は『ボールの打ち方』ばかり扱う。一層触れる機会がない。皆が知らない事だから説明も難しく伝えるのも面倒。伝えても『打ち方』程求められない、理解されない。「上達したい」という思いとは逆に気づかないままの悪循環ですね。

  • 相手をいちプレーヤーとして認識しない
  • 自分をコートに立つプレーヤーの一人だと自覚できていない
  • 相手と相対さない、戦略もない。どういう流れで互いのプレーが進むのか考えられない
  • 来たボールを打ち、打った後にどうなるか、次にどういう状況が起きるかを考えられない
  • 失敗しても相手に得点されても「たまたまだ」「アンラッキーだった」という感想を持つ

『テニス』というスポーツ本来の特性、競技性から考えればと見当違いな状態がずっと続くように思います。

相手が打つまで自分はボールを打てない

テニス、特に試合等の相手との打ち合いの場において、自分がサーブを打つ場面等を除き、「相手がボールを打つまで自分はボールを打てない」です。ボールは1つしかないですからね。

Wimbledon Tennis, Court 3, 2015

だから、最初に「相手が打ってきたボールに対して何かしよう」という意識、心理になるのは当然なのでしょう。そもそもの話で「相手が打つまで、相手が打ってくるボールを見るまでは自分は何もできない。だから飛んでくるボールを見ているんだ」と思っているかもしれません。

ストロークを打てる位置は「2箇所」に絞られてくる

テニスにはルールがあり、コートの大きさも決まっています。

ボールを打つ際は「相手コートのラインが示す規定の範囲内にボールを1度バウンドさせる」必要があります。バウンドする前に相手がボールを打たない限り、アウトもしくはネットになるでしょう。

ラインに沿って立つ、構える意味
つい勘違いしてしまいますが自コートにあるラインが示す範囲は「相手がボールを収めるべき範囲」を示しているだけです。必ず、ベースライン上に立って構える、ダブルス前衛だからサービスラインの決まった位置に居る。毎回、相手が打つ場所も、打つボールの質も違う中、決め打ちで同じ位置に立つ意味は薄いです。むしろ「ボールが飛んでくる確率が高い位置」に位置を修正しておく方が確率の高いプレーに繋がるでしょう。

テニス ダブルスのポジション

相手コートの間にはネットがあり、多くの場合、我々はネットの上を通過するコースでボールを打たざるを得ません。つまり、相手のボールは最低でもネットより高い位置 (0.914 ~ 1.07mより上) を通過して自コート側の領域に到達する という事ですね。

打ち上げる軌道

その上で「相手コートのラインが示す規定の範囲内に1度バウンドさせる。打つ側はそのボールを2バウンドする前に打たなければならない」という制限を考えると、基本と言える「腰ぐらいの高さで打つ (胸より下の高さで打つ)」を実行できる場所は1バウンド目の位置周辺 (バウンド前、バウンド直後)、2バウンド目の位置周辺 (バウンド前) の “2箇所” に絞られてくるでしょう。

ボールを打てる位置は2箇所のみ

当たり前のようですが、この認識 (2箇所) が曖昧なままだと「打てる位置に居られない」という事が “当たり前に” 起こり、常に「今、居る場所で何とか打ち返そうとする」というプレーに繋がる気がしています。下図のような状況を思い当たるのではないでしょうか。

居るべき場所に対する理解

相手の打ったボールを見てから動こうとしても間に合わない

相手ありきのスポーツであるテニスにおいて『相手を観察し、判断し、予測し、準備する』事は必須になってきます。

観察と予測の習慣付け

テニスにはルールがあり、テニスコートの大きさも決まっています。限られた範囲内でボールを打ち合う中。いくら「準備が間に合わない」と思っても確保できる時間には限界があるでしょう。

時速130kmベースライン間を0.66秒で到達する計算になります。実際には、ボールは空気抵抗やバウンドにより減速、失速しますが「その位時間がない」中でテニスをやらないといけないということです。

130キロは0.66秒で到達

そして、人の反応速度は速い方で0.2~0.3秒と聞きました。

これらの数字だけ見ても「相手の打ったボールを見てから反応して動こうとしても準備が間に合わなくなる」と想像できます。だから『相手を観察し、判断し、予測し、準備する』事が必須。テニスというスポーツでは前提になるのですね。

Wimbledon Tennis, Court 3, 2015

毎回、構えた状態からボールが飛んでくる訳ではありません。自分がボールを打ったら相手の返球が返ってくるまでに構える (どんなボールでも対応できるような状態になる) 必要がある。偶然、或いは何となくコースが分かって返球できたとしても、自分の意思で打ったボールではない (打たされたボール) ために態勢が崩れる、重心がつま先やかかとにかかる、足に力が入らない。

結果、相手の次の返球に備えられず動けないといった事が起こります。「1度は返せたけど次がダメだった」という事がよくあるのはそういう事も関係していると思います。

相手の打ったボールを見てから判断するテニスが染み付いてしまう

テニスの練習と言えば『球出し』練習です。テニススクールでは初心者から上級者まで『球出し』練習は定番だろうと思います。

テニスは相手ありきのスポーツであり、試合も相手 (ダブルスなら相手2人) とのボールの打ち合いの中で点を取らいます。相手は「得点してやろう、ミスさせてやろう」と配球を工夫してきますし、打ち損ないも含めて自分がボールを打とうとする度にコース、速度、球種、ボールの質が変わってきます。

『球出し』練習は自分がボールを打つ打ち方や感覚を確認するために行うので相手との駆け引きやボールを追う、相手に攻撃するといった対人におけるラリーや試合に不可欠の要素を考えずに済むように配慮されています。

自分のタイミングで自分が打ちやすい位置で自分が打ちたいコースに打ちたいように打てる。相手も居ないし、ボールを打つ際に大きなプレッシャーはありません。

tennis lessons

週イチしか出来ないない楽しいテニスの時間。ミスばかりで終わりたくない。人は楽をしたい、気持ちよく時間を過ごしたいものです。テニスというスポーツの本質を考えた場合、本来は「相手ありき」で対人での打ち合い、試合等の場で起こりうる状況を想定して1球、1球考えてボールを打つべき (でないと試合で実力が出せないでしょう。

「コーチの指示だかロブを打つ」のか「試合の中の1場面を想定して必要なロブの練習をする」のか

「試合なんて絶対やらない」という人は少ないでしょうが、ストレスやプレッシャー、明らかにミスしそうな状況を嫌い、常に『球出し』のボールを打つような状況、設定、タイミング、心理状態でボールを打ちたがる。プロや競技者でない、練習機会も少なく、上達にシビアさを求められない我々にありがちな傾向だと思います。

ボールを見ると『余裕』が欲しくなってしまう

試合やラリーを行う相手が打つ様子を観察しようとしていない。球出し練習のように飛んでくるボールを見てから判断し動こうとする癖が付いてしまっている状態。

鈴木貴男プロの「あなたは “ボールと” テニスしてるんですか? 私は “相手と” テニスしていますよ」というお話の状態

判断基準は『相手』ではなく『飛んでくるボール』ですから、打ち出されたボールを見た、接近してくる、近づいてくるボールを見た、そこから「準備しなきゃ」と思うのですが既にボールはネットを通過する寸前だったりします。(時速130kmはベースライン間を0.66秒で到達する話からするとその半分位の余裕しかありませんね)

「時間がない」「上手く打てるか不安だ」「余裕を持って待って打てるだけの心理的、身体的余裕を確保したい。時間を確保したい」「1バウンド目の頂点からボールが落ちてくる所位の余裕が欲しい」

結果、ボールを見た時点から「接近してくるボールに対して距離を取ろうとする」行動を取ります。具体的に言うと「まず、下がろうとする」という事です。

1. 利き腕側の足を “後方に” 引く準備

フォアハンドストロークを打つための準備段階としてボールや打ちたい方向に対して『横向き』を作りますが「ボールに対して距離を取りたい」ので利き腕側の足を “後方に” 引くという手順を取りがちだったりします。

足を引いてのテイクバック

2. 「深い」「速い」と見ると身体が後退させてしまう

インドアコート等はコート周囲がさほど広く取られていないのでこういう事が起こります。

ダブルス雁行陣、前衛の位置を見て相手の一人が深いロブ気味もボールを打ってきた。こちら側の後衛はそのボールを見て下がった位置で対処しようとしたが後ろの壁 (ネット) にスイングしようとしたラケットが接触、ガシャーンと大きな音を立て、その人もバランスを崩して転びそうになった。

まず下がろうとする

実に危ない状況ですが、飛んでくるボールに意識が割かれるあまり、周囲の状況を把握出来なくなってしまう。よくあるトラブルです。コート脇で見ていた私は「あー、そこで下がる判断だと取れないなぁ」と思いました。

これは飛んでくるボールを見て「深い」「速い」と感じると「まず後ろに下がろうとする」感じです。

どうしても球出しのボールを打つような状況、「1バウンド目の頂点からボールが落下してくる所を余裕を持って待ち構えて打つ、2バウンド目の前辺りで打つ」イメージがあるので、ボールが深くても速くても下がる事で咄嗟にその状況を作ろうとするのでしょう。

まず下がろうとする

踏み込みつつの体重移動が出来ない状態での対処的動作

判断が遅かったり、思ったよりボールが速かったり。「今居る場所では1バウンド目の頂点から落ちてくるのを待ち構えて打つ、2バウンド目の前辺りで余裕を持って打つは難しい」となれば、自分の基本の打ち方、打つタイミングをそのまま実行するのは困難です。

結果、ラケットを振るスペースを確保する、スペースを取る工夫をしないままラケットを振れる方法を “無理矢理にでも” 取ろうとするでしょう。

1. ラケットを振れるスペースが無いから非利き腕側を後方に下げつつ打つ

自分が居る場所とボールが接近する速度。今、居る場所ではラケットを『前に』振っていくだけのスペースが確保できない。結果、“非利き腕側 (右利きなら左肩側)” を後方に下げるようにしてボールを打つというケース起きがちですね。それにより『前に』向かって振るという動作は残す感じ。こういうもの。

ショルダーローテーションdjokovic

2. 正面向きのままラケットを『上に』振り上げる

上に近い状況ですが「スペースを確保してラケットを前に振るという動作を残そう」という意識をはなから諦めてしまい、正面向きに近い状態で利き腕肩よりも外、且つ前の所で『上に』振り上げて打とうとする。こういうもの。

その場で打つ

これは、リバースフォアハンドとかバギーホイップとか言われる打ち方だと思いますが、これを (多少自慢げに?) 多用する方は「予測とフットワークが不十分」な証かもしれません。

『打ち方』と『使う状況』は全く別のものです。リバースフォアハンドで打てるから予測やポジション取りを「サボる、横着する」癖は直らないでしょう。人は楽をしたいですからね。身長2m越の一部の大型選手が「動けない」事でリバースフォアハンドを多用する一方、フェデラー選手はライジング気味の処理、予測や自分から状況を作る配球を含めて「ボールとの適切な距離感を取る」事で以前はよく見られた「バランスを崩しながら打つ」事が極端に減っていると思います。(ここも他選手とフェデラー選手の『プレーの安定感』の差になるのでしょう)

バギーホイップ

3. 『前へ』振っていかずに『回転』で打つ

ボールの接近に対して準備時間が間に合わない。一度踏ん張って体重移動を使って『前に』エネルギーを強く伝えていこうとする余裕がないために、その場で上にジャンプしつつ左右均等に「身体の回転で打つ」といったケース。こういったやつ。

ショルダーローテーションその場で打つ

身体を回転させる『円運動』でボールを捉え、飛ばしたい方向に飛ばす。タイミングも難しく、力も入りづらい。強くラケットを振ろうとしても微妙な当たり、威力が出にくいボールになる。振っている割に山なりの速度のないボールが飛んでいく様子が思い浮かびます。

下がる事で『前へ』のエネルギーが加えられなくなる

相手が打ってくるボールのコースや飛距離、弾み方は様々なので「ボールに対して距離を取る (後方に移動する)」事が望ましい場面もあるでしょう。

ただ、その際、ポジションを下げる、後方に下がる事で、

  1. 単純にボールを飛ばす距離が長くなる
  2. 後ろ足重心にあったり、身体が後方に倒れたりして『前に』エネルギーを加えにくい状態になる

等の可能性があります。

ボールが飛び回転がかかるのは物理的な現象であり、ボールの質は『1. ボールに加わるエネルギー量』『2. エネルギーが加わる方向性 』が決めると思っています。ボールに加えられるエネルギー量は「遠くまで飛ぶ」「回転をかける」に反比例的に分配されます。

腕だけでなく左右の足や身体の力を使って『前へ』エネルギーを加えないと相手コート方向にボールは飛んで行かない。距離が遠くなる、力を発生させづらい態勢や動作になるのならネットまで届かない、見当違いの方向に飛んでいってしまう可能性があるでしょう。

飛ばしたい方向にまっすぐ進めるfederer forehand stroke
returnshapovalov backhand

飛んでくるボールに対して足を下げる、重心の後退、身体全体を下げる等を行ってもボールを打つ際に前に向けてエネルギーを加えられる状態、姿勢、態勢になっていれば構わないかもしれません。

ただ、『相手を観察し、判断し、予測し、準備する』のではなく『飛び始めたボールを見てから判断する』のではそもそも時間が足りないです。

準備も十分ではなく、後退した状態、足に力が入らない、重心が後ろにかかった、『前へ』向けてしっかりエネルギーを加えられない態勢、姿勢、状態から無理矢理にでもラケットを振ってなんとか返球しようとする事が多くなるでしょう。

左右の足や身体に力が入らない状態で
無理返球しようとする
踏み込み、体重移動無し
腕の動きだけで打ち返そうとする
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 562d9592dbbde33b3f0ce59a97393306.jpgその場で腕を動かして打つ

良い状態で再現性高く打てないし、タイミングも打点の高さも最適化できない。相手のナイスボールでもたまたま起きたアンラッキーでもなく自分が起こしている状況である可能性が高いです。

2バウンド目直前ではなく1バウンド目を基準に位置取りし、準備する

予め飛んでくるコースや球種、速度等が予測出来ている、検討がついていれば、腰位の高さ、胸より下の高さで打てる位置に予め移動しておけば良いだけです。飛び始めたボールを見てからでは間に合わないでしょうが相手がボールを打つ前に分かっているなら移動や準備に余裕が出来、考え、判断する時間も出来ます。

観察と予測の習慣付け

自分がストロークを打とうとする機会に対してその位置は “2つ” ありますし、相手は自コート側のラインが示す範囲内に1度バウンドさせる必要があるという事を考えれば1バンド目は必ずベースラインより前にある事になります。常に下がって2バウンド目直前を打とうとするよりむしろ「位置が分かりやすい」のではないでしょうか。2バウンド目がどの位置に来るかは1バウンド目を見てからではないと判断しづらい気がします。

ボールを打てる位置は2箇所のみ

1バウンド目直後をライジング気味に、ハーフバンド気味に打つのは心理的に不安があるし、難しそうに感じるかもしれませんが、個人的に「ボールの状態が安定しているのは、軌道の頂点 (サーブにおけるトスの頂点、バウンドの頂点、ロブ等の頂点) とバウンドの直前、直後だろう」と考えています。

ボールの位置変化が一定に近い段階が「打ちやすい」位置

「ストロークを打つ際は “バウンドの頂点で” 打て」と言われるのは「打点を高く取れて攻撃的に打てる」面と併せて「速度や移動等の位置変化が小さくなるタイミングだから」という点があると考えます。上に弾む力と重力により落下する力が釣り合って「一瞬止まって見える」感じがあると思います。

同じように、ボールがバウンドする直線と直後は『地面』という位置の目安がありますし、バウンド直前なら飛びよりも重力の力が最大化、バウンド直後なら地面の干渉で弾む力が最大化された状態。それぞれボールの位置変化が一定に近い状態になるのかなと思います。

弾むスピンサーブが取りづらいのは、バウンド後の頂点に近づくほどボールは減速していき、ボールの位置変化が感じづらくなる事が大きいのでしょう。(頂点で一瞬止まって見える話と同じ) だから打ちやすいからと「バウンドの頂点で取る」と思うより、1バウンド直後か、すごく下がって2バウンド目直前で取れる位置取りを考えるべきだろうと思います。(そして下がれないなら前しかない)

肩上まで弾むサーブ

「難しい」を誰もが出来るように「簡単にする」理屈

ライジングやハーフバンド、ハーフボレー等はラケットを「振る」事より「安定したラケット面・インパクト面を整える」事だと思います。ボールが飛び回転がかかるのは物理的な現象ですから「インパクト面が下を向いているのにボールは上に飛んでいく」なんて事は起きません。

ボールとラケットが接触しているインパクトの時間は0.003~0.005秒と言われます。インパクト前後のラケット速度が時速120kmとすれば「ラケットとボールが接触して離れるまで13cmほどの距離、接触状態で前進している」計算になります。

打点は空中の点ではない

教わるような『空中の1点』である打点からいきなりボールが飛び出していく訳ではないのです。

tennis forehand

つまり、インパクト前、インパクト前後の一定距離、ボールを飛ばしたい、エネルギーを加えたい方向にラケットやインパクト面は安定的に向き続けている必要があるし、インパクト前後でラケット面の向きや角度が大きく変わってしまうような打ち方ではどんなに技術があっても再現性の高い、確率の高い結果を得るのは難しいという事だと思います。目で見た『打ち方』ばかり気にして物理的な現象である『飛び』や『回転』を生む条件に目が向かない、知らないままである事はとても多いでしょう。

円軌道のスイングまっすぐ進むスイング

下はフェデラー選手のバックハンドによるハーフボレーですが (準備時間が短く速度も遅いとは言えないタイミングながら) ボールの位置変化が小さい、タイミングや距離感を調整しやすいバウンド直後に合わせて、フットワークを使って接近しつつ、ラケット面を作っているだけです。「むしろベースライン後方でボールを打つよりやりやすいのでは?」と思います。

backhand volley

人の身体は下がるよりも前進する方が調整しやすい。また、ラケットを持つ手は肩に付いているので肩のラインから前に一定の範囲内でしか腕は動かせないです。(肩のラインより後ろ、肩から腕の長さ以上に遠い、腕の長さより前ではボールは打てない)

手で押そうとする動きフォア スイング 腕の動

ラケットを手に持って使う以上、良い態勢、状態で打つには、足を使って自分の位置を移動させるしかない。後退しながら打つより予め距離を取った位置から前進しつつ位置合わせをする方が安定性は高まるでしょう。

「下がってしまう」という行動に隠れた様々な問題点を考えたい

  • 『相手を観察し、判断し、予測し、準備する』習慣付けが出来ていない。
  • 自分の『テニス』に落とし込めていないから、飛んでくるボールを見てから判断し、動きだす。
  • 当然、本来得られる準備時間も心理的、身体的余裕、準備も取れないから慌ててしまう。
  • 結果、まずは下がって距離を取る、ボールを打つまでの時間を確保しようとする。
  • 2バウンド目直前、バウンドしたボールが頂点から落ちてくるのを待ち構えて打とうとするのは『相手を観察して予測する』事ありきだったりする。球出しのように自分が居る位置付近に丁度良く2バウンド目直前が来る筈はない。
  • 下がりきれず、その場で無理やり打つ。高すぎたり、低すぎたりする打点で無理やり打たざるを得なくなる。
  • 『相手を観察し、判断し、予測し、準備する』をサボっている、手間を敬遠している状態なのにリバースフォアハンドや「回転で打つ」等を使う事が当たり前になってしまう。
  • 『相手を観察し、判断し、予測し、準備する』を常に行えていればより良い状態、状況でより確率の高い、再現性の高いプレーが出来る可能性があるのにそれをしない。

我々は気づかない間にこういったマイナス要因を抱えつつテニスをしているのだと思います。その方の技量と関係ないミス要因。球出しのボールなら問題なく打てるけど試合や相手とのラリーになるとミス連発、うまく打てないのはこの辺りも大いに関係していそう。知らない、気づかないことで実力を発揮できないのはただただ勿体ないですね。

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