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ボレーについて考えてみる (テニス)

ボレーのラケットセット

レベルを上げていくのが難しいボレーですが、他ショット同様にあれこれと考えてみています。

解説動画や選手のフォームなどを見ていくうちに思った事は、テニスにおいて『ボレーは特別自由度の高いショット』なのだという事です。

ボレーの基本と言われる事柄はいくつもありますが、一般に『ボレーが上手いと言われる選手のフォームを見ていくと打つ形、ラケットの使い方にかなり違いがある』のが分かります。

フェデラー選手

Roger Federer Volleys In Super Slow Motion

こちらの動画ではかなり丁寧に打っている印象ですが、試合直前など軽く流す練習だともう少し打ち方がアバウトな感じになります。

ブライアン兄弟

Bob and Mike Bryan Volleying during Practice

The Bryan Brothers Practice Volleys 2013 Indian Wells California

ブライアン兄弟はネットに近い位置でボレーをするためか、反射重視で面を合わせるだけといった印象です。

鈴木貴男選手

鈴木貴男選手アップ1

鈴木貴男選手は作った面をボールが飛ぶ方向にインパクト後に押していくようなフォロースルーが特徴です。

三者三様です。

テニスのショットにおいて、フォアハンドは体の構造から力を入れやすい体の使い方は選手間で大きな差が出ません。

グリップや打ちやすさ等での個性はあっても極端にフォームが違う選手は出にくいです。

次に、サーブですが、本来ゼロから全てを自分の力で伝える必要からフォア以上に正しい体の使い方が必要なはずが、自身の体躯や筋力を活かすためか理想よりも少し力に頼る打ち方をしている選手が多いように思います。

一般プレイヤー的に言えば速く強いサーブを打って相手をねじ伏せようという感じです。

その辺りはやや精度が下がっても闘争心や打ちやすさを優先しても個性として許容されるのだと思っています。それでも200km/h以上出ますからね。

一方のボレーは、他ショットほど強くボールを飛ばす必要がなく、大事な点は、正確にボールを捉えコントロールする事です。

ボレーの基本として言われる

視界の中にボールとラケットを置く (視界から外さない)
・ラケットを振らない、できるだけ動かさない
・ボールの飛んでくる延長線上にラケット面をセットして当てるだけ
・当って飛ぶだけで十分、決めようとボールを飛ばす必要はない
・ボールを打ちたい方向に面を向けるだけ

などは、短い距離に居る相手から速くボールが飛んでくる中で少しでも正確にボールを捉えるための工夫ですが、スピードへの対処はともかく、基本さえ理解すればスイングがない分、ボールに当てやすく捉えやすいのがボレーと言えます。(野球で一番ボールを正確に捉えられるのがバントなのと同じです。)

『目に前に構えたラケットを、視界から外さないよう飛んでくるボールの延長上にラケットを置き、打ち返したい方向に面を向けてやるだけ』です。

ただ、この前提のアバウトさがフォームの多様性に繋がります。

体を正面向けたままラケットを前に出すようにセットしてもいいし、フォア同様腕と体を一体化させ利き腕側に多少ターンさせて構えてもいい。横を向く程でなければターンしてもボールとラケットは視野の中に置けます。ラケットのセット位置は体に近くてもやや腕を伸ばした位置でもボールは打てます。つまり自由度が高いのです。

ボレーのラケットセット
ボレーのラケットセット

本来、当てるのが簡単なはずのボレーを初心者が苦手とするのは、この許容するフォームの広さが要因の一つだと思います。

周りやプロ選手を見てフォームが少しずつ違えば何が正解か迷うのは当然です。同じ選手でも丁寧にも打てるし、決めるために少しパワフルに打つ事もできます。

また、ラケットを動かさないということは、腕や手ではなく、当たる位置まで足で移動し距離感を調整するということです。

その場では打てても移動が伴うと難しくなるのはストローク程アバウトな移動が許されないからでもあります。

加えて、ボレーはコンチネンタルグリップが基本ですがブライアン兄弟と鈴木貴男選手はフォア側はやや厚め(イースタンより)、バック側はやや薄め(バックハンドイースタン寄り)のグリップで打っているようです。

フォア側で力が出しやすいからですが、結果、コンチネンタルよりフォア側は打点が少し前、バック側は少し後ろになります。

つまりグリップの違いによっても打ち方は変わってきます。 

鈴木貴男選手の自身のグリップに関する説明

相手のスベるスライスを返球するときの注意点_鈴木貴男プロ

ボレーのフォームで参考になる選手というと、フェデラー選手などの名前が上がりますが、それは「ボレーの打ち方が丁寧で個性の要素が少ない」という意味だと思います。

フットワークも、面の作り方も、打ち方も、基本以外の部分の許容範囲が大きいボレーだからこそ「ここまでが基本ここからが応用ときちんと区分し、まずは基本部分を厳密に守る」「横着せず常に丁寧なボレーを心がける」事が大前提かと思います。ストロークのミスもボレーのミスも同じ1ポイントですから。

サンプラス選手の “丁寧な” ボレー

volley

はっきり定まっているように見えて、こうすればOK、特定選手のフォームを見るると良いと言えないのがボレーの難しさでしょうか。特に日本人は「○○のやり方」のように手順が明確に決まっている事、「これが正解」と示される事を心地よく感じるので尚更でしょう。