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フォアハンドのテイクバックでは肘を上げる (テニス)

フォアハンド テイクバック

テイバックで肘を上げるという意味

タイトルですが、厳密に言うと

「体を捻ってラケットをテイクバックする際、利き腕の肘を持ち上げるようにする。下げてはいけない。

という事です。

(もちろん腕でラケットを「引く」という行為ではありません)

テニスにおけるサービスは野球の投球と体の使い方に共通点がある事は何度か書いています。見た目から似ているので何となくでも分かりますね。

加えて言うとフォアハンドについても同様の事が言えます

利き手のフォアハンドに近い動作として野球のサイドスロー(アンダースロー)を見てみたいと思います。(英語ではsidearm pitchと言うようです。)

野球のサイドスロー

ランディ・ジョンソン投手

サイドスローも投球の仕組みは同じなので、テイクバックからボールを投げる際に肘を90度、脇と上腕を90度に保っています。

肘は下がりません。

これはアンダースローでも同様で、リリースポイントの関係で体の軸は斜めになりますが肘は下がりません。肘を下げるだけで腕が振れなくなるからです。

米国プロテニス協会(USPTA)の解説動画

テニスに戻り、USPTA (United States Professional Tennis Association) の解説動画です。

動画の中で

「フォアハンドのテイクバックで体とラケットは一体。ラケットヘッドは立てて肘で持ち上げる。肘は体から離す」

「利き腕の肘は高く上げ、前腕は地面と平行、肘はバックフェンス方向を向く」

と解説しています。

(フェデラー選手のフォームを例にしているので少し極端ではありますが言いたい事は基礎的な事だと考えます。)

一方、一般に初心者がスクールで最初にフォアハンドを教わる際、

横向きからの状態から、肘を含めて腕ごとラケットを下げる形で

テイクバックするよう教わります。

また、

軟式出身の方でグリップが厚い事から、肘の内側が上を向く、肘が脇に付いてしまう形のテイクバック

を見かけます。

脇の空いたテイクバック

フェデラー選手のテイクバックでは

「肘が上がり体から離れており、肘の内側が手前側を向いている」

ので違いがよくわかります。

スイング中に加速したラケットヘッドがグリップ側を追い越す

ボールを強く打つには

振り始めからラケットを加速させ、インパクト前までに遅れて付いてきたラケットヘッドが手を追い越す

必要があります。

肘が下がったテイクバックでは、スイング時

肘の内側が上を向いたまま

肘が先行してしまいラケットヘッドが出てきません。

結果、肘から先(前腕)を団扇を扇ぐ、或いは腕相撲をするように内側に引き起こす動き(内旋)でラケットヘッドを持ち上げる形になります。

いわゆる昔ながらの「ワイパースイング」であり、回転はかかりますがボールを前に推し出す力は弱くなります。

(スピンをかける技術としては有りですが普段のストロークではもったいない動きです)

スイングを加速させるためにはサービスや投球動作と同じ、外旋・内旋、回外・回外の運動連鎖も欠かせないと考えます。同じく腕を速く振るための動作ですから。

インパクト前後における手の向き (前腕の角度)

なお、インパクトでラケットを後ろから支える訳ですから、重いものを押す事と考えれば、インパクトでは、

手の甲を地面に向け肘を上向きにして押すよりも、手の甲を上向きにして肘を上げた状態で押す方が自然だし力がが入る

はずです。

前者はどちらかと言えば物を引く際の形です。

(2人で手押し相撲をする際、手の甲を地面に向けて押す人はいないでしょう。)

インパクト前後に手の平が上向き インパクト前後に手の平が下向き

よくボレーで

「ラケットヘッドを立てろ」

「ラケットヘッドを下げるな」

と言われますが今回書いた事と同じ理由です。

厳密には地面スレスレのボールをラケットヘッドを下げずに打つことは不可能ですが

『手の甲が地面側を向いた形、肘の内側が上を向いた形では力が入れにくい』

事を言っているものです。

ソフトボールにおける腕の使い方

なお、最近知ったのですが、ソフトボールの投球も、私達が普段行う体より前に腕を振り出す「下手投げ」ではなく、肘を下げないようにして、腰付近でボールをリリースしする事であの速度を出しているようです。(ボーリングでも回転を多く使うプロ選手は同様の腕の使い方をします。)

上野投手の投球

 

 

 

テイバックで肘を上げるということ。「形」よりも「それが影響する意味」を考える

シンプルに

「テイクバックで肘を上げる」

事が始まりですが、それは

「スイング時の腕の使い方に繋がる事」

であり、

「スイング時に肘が下がった状態だとラケットは加速しないし、インパクトでボールを支える力も弱くなる」

という事です。

もちろん「テイクバックで肘を上げればいい」「テイクバックでは肘を上げるものだ」といった『コツ』の話ではありません。

腕の脱力や体と腕の運動連鎖によりラケットのスイングスピードを加速させる現代テニス的なフォアハンドにおいて、肘が下がる事はそれらの動きを妨げる大きな要因になる

という事だと思いました。