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サーブを打つ際のスタンス、足は揃える? 揃えない

※私は専門家でもコーチでもありません。自分の上達のために色々考え、それをブログに書いているだけの者です。そもそも会ったことも自分のテニスを見せた事もない者の話を鵜呑みにするのは危険です。ここで書く内容も単なる情報。理解も解釈も読む方にお任せするしかありませんし、同じ理解をしていただける自信もありません。間違いもあるでしょう。まずは普段からテニスを見ているコーチに相談される方が絶対に良いです。なにかしら試される場合でも怪我等なさらないようご注意ください。

目次

サーブに関する話題で必ず出てくるスタンスの話

サーブを打つ際、後ろ側の足を引き付ける等して、大まかにですが最終的に両足を接近させる『Pinpoint Stance (ピンポイントスタンス)』と引きつけないままの状態で『Platform Stance(プラットフォームスタンス)』という区分がされますね。

ただし、モンフィス選手のように最初から両足を接近させた状態からトスを上げるやり方もあるし、後ろ側の足も接近させる位置、やり方は選手によって、人によって様々です。(下はグラフさん)

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そして『サーブの打ち方』の話題になると必ずと言って良いほどこの「足を揃えるのか? 揃えないのか?」という質問が出てきます。

今回はこれについて考えてみようと思います。

私は『揃えない』派だが、揃える、揃えないが問題ではない

私が初めてテニスをやった頃 (20数年前) は『揃える (寄せる)』打ち方で教えるコーチが殆どだった気がします。

トッププロも様々でしたが、現在よりは『揃える (寄せる)』打ち方の選手が目立ち、且つ「揃える (寄せる) 方がサーブに威力が出る」というのが教える側、教わる側の共通認識という感じでした。

現在は『揃える (寄せる)』プロがだいぶ減り『揃えない』プロが目立つようになって居るように思いますし、教わる際も両方を説明され各自が選ぶように言われる気がします。

ただ、コーチも人間ですから「自分がやっている、教わってきた、やってきた事」に重きを置く傾向はあるでしょう。『揃える』やり方は色々あるし、歩幅が狭くなるだけで『揃えない』に近い打ち方をする『揃える』タイプもあります。『揃える』『揃えない』の違いについても自分で考えておきたいです。

私はテニスを始めてやった頃の世界No.1だったサンプラスさんの影響で『揃えない』やり方であり、当時で言えば少数派だったように記憶しますが、今思えば『揃えない』を選んで良かったかなと思います。

当時、知識の無い中でも「揃える (寄せる) 方がサーブに威力が出る」という話に疑問を持っていましたし、最近になり「ボールが飛び、回転がかかる」という事について色々と考えるにつれて手法としての『揃える』『揃えない』に注目しても意味がないなと思うようになってきたからです。

当時の「威力が出る、パワーが出る」の言葉通りに『揃える』やり方を選んでいたら、それで納得してしまい、その後に色々考える機会に繋がらなかったかもしれないと思っています。

ボールはなぜ飛び、回転がかかるのか?

「ボールが飛び回転がかかるのは物理的な現象でしかない」と考えています。

トッププロでも初心者でも同じ理屈 (物理法則) によりボールは飛び、回転がかかります。世界No.1でも漫画の必殺技や超自然現象的なものでボールを飛ばしている訳ではありません。

(だから、”きっかけ” や “入り口” としては良くても「打ち方をマネしても「偶然コツを掴む」以外に改善は難しい」でしょう。目に見える部分だけを見て、その打ち方が実現している『ボールが飛び回転がかかる理屈』を見ていないからです)

ボールを飛ばし回転をかけるために使えるエネルギーは『1. 速度と重量を持って飛んでくるボールの持つエネルギーを反発させる』『2. 加速させたラケットの持つエネルギーをボールに伝える』の2つであり、ほぼ速度ゼロのトスしたボールを打つサーブは「ほぼ2のみ。ラケットのエネルギーでボールを飛ばす、回転をかけるショット」と言えるでしょう。

テニス ボールを飛ばすエネルギーserve

※ボール、ラケットが持つエネルギー量は『1/2 x 物体重量 x 物体速度 ^2 (2乗)』で表せます。ボールとラケットの重量は “固定” ですから、インパクト前後の速度が” 速いほど” ボールとラケットが持つエネルギー量は大きくなります。

そして、我々が打つボールの”質” 『ボールに加わるエネルギー量』『エネルギーが加わる方向性』で決まります。

飛ばしたい方向にまっすぐ進める

我々がスイングする第一の目的は「ボールを遠くまで飛ばす」という事でしょう。「遠くまで飛ばす」ためにエネルギーを加える。その影響でボールに『速度』が出ます。楽しさのあまり「ボールを遠くまで飛ばす」事より「回転をかける」に夢中になってしまいがち。目的を忘れてしまっている状態ですから気をつけたいです。

サーブで言えば打点位置から相手コートのサービスボックスに向けてボールが飛ぶようにエネルギーを加えるという事になります。(ここではまず『方向』だけ)

サーブの軌道

「積極的に回転をかけない」という意味の『フラットサーブ』を「入れる」のは無理

まず、何度か書いていますが「身長2mの方でも無回転のサーブを入れるのはほぼ不可能」です。

計算してみると、センターtoセンターの最短距離、ネットの一番低い所を通すとしてもネットの上10cm程度の空間を必ずボールが通過しないといけない計算になります。因みにボールの大きさは直径6.54~6.86cm。ネットとの隙間は1cmといった所です。

フラットサーブ 打点の高さ
サーブ 2m フラット 軌道例

空気抵抗や重量等の条件を考えないとしてもこのシビアさです。身長180cmの方が20cmジャンプした状態、不安定なその状態でこの精度でサーブが打てるかという話です。我々が「積極的に回転をかけない」という意味で言う『フラットサーブ』は空気抵抗や重力により “偶然” 入っているだけなのでしょう。

サーブを打つ際の第一の目的は「相手に良いリターンをさせない」という事でしょう。

(「第一の目標はサーブを入れる事だ」と言われるかもしれませんが、緩い2ndサーブを打って、それを相手が攻撃的にリターンする、リターン&ネットを取られて平行陣、即、高い確率で失点するなら「入れにいく」のが正解とは私は思いません。「相手も緩くリターンしてまずはストロークの打ち合いになる」という “お約束” や「周りのリターン技術が拙いだけなのにサーブでポイントを取れて気分を良くしている」。そんな状況を『普通』だと思っているとそれ以上の『テニスの上達』は難しいと考えます)

身長2m、最短距離、ネットの最低部を通してもこのシビアさ、空気抵抗や重量頼みのサーブでは「相手に良いリターンをさせない」という目的を満たせないと思います。もっと自分の意図通りのコース、バウンドで「相手の良いリターンをさせない」という目的を遂行できるサーブが必要です。

ストロークでもトップスピンやスライスが打てるから相手のミスを引き出せますよね。力任せのフルスイング、威力頼りのストロークではコーチ以外はまともに打ち合ってくれないでしょう。いなされる、変化を加えられる内に自分の方が先にミスしそうです。

フォアハンド側は『利き腕肩』が前進していく中で加速させ、ボールを捉える

ラケットを持ちボールを打つというテニスの特性上、大事な点があります。

ボールの打ち方には『フォアハンド側』と『バックハンド側』がありますがそれぞれに身体の構造からくる特性、制限があります。

1. フォアハンド側は利き腕肩を前進させていく中で加速させボールを捉える

フォアハンド側は利き腕肩の位置を後ろから前に移動させてラケットを加速させつつ、ボールを捉える。腕の各関節も身体の中心に向かって曲がりやすく出来ています。

forehand stroke

2. バックハンド側は利き腕肩が身体の前側にあり変わらない

バックハンド側は利き腕肩の位置が準備段階からインパクト前後まで身体の前側に合って変わらない。中心から外側に曲がるのは肩と手首位しかないです。

dimitrov backhand

3. サーブはフォアハンド側で打つショットであるという事

そして、打ち方が決まっている訳ではないですが、求められる「相手に良いリターンをさせない」という目的から、サーブでは速度・軌道(角度)・空中やバウンド後の変化等で有効な「フォアハンド側のオーバーヘッド系スイングで打つ」のが原則になってきます。

serve

述べたように「サーブは自ら加速させたラケットが持つエネルギーでボールを飛ばし、回転をかけるショット。ボールの持つエネルギーを反発させる要素は期待できない」です。

インパクト前後のラケット速度がラケットの持つエネルギー決定に直結するため、このフォアハンド側ショットの特性をしっかり認識しておく必要があります。

よく「腕の力は弱いから身体全体を使ってスイングしろ」と言われますが、漠然としたイメージではなく具体的な要素として理解し、実践していきたい

それがその人の身体能力の範囲で最大限の速度や威力を発揮する事に繋がります。「相手のリターン技術が低いからポイントが取れているのかもしれないサーブ」からは脱却したい。「周りに通用しているから自分のサーブは十分なレベルだ」周りとの相対評価で意識が上達から遠のいてしまっているのはとても勿体ないです。常に客観的に自分の状態を把握するようにしたいですね。

『腕の振り』は、それ以前の両足、下半身、上半身、利き腕肩によるラケット加速動作ありき

打つボールに速度がない、ボールのエネルギーを反発させる事に期待ができないサーブにおいてボールに伝えるエネルギーを上げるには、まず「インパクト前後のラケット速度を上げる」事です。

serve

そして「腕の力は弱いから身体全身を使ってボールを打て」等と言われるように『腕の振り』で安定的に強いボールを打つのは困難です。筋トレし、技術を上げれば速度や精度が上がるかもしれませんが、それを『基本』と呼ぶ、「初心者でも簡単に出来る」と言うのは無理があります。

ボーリングの例

ボーリングを考えればボールがピンまで強く進んでいく前進力を生み出しているのは『助走』のエネルギーを『左足への体重移動 (体の前進)』『身体の動き』に連動させたものでしょう。

ボーリング

ピッチャーの例

ピッチャーで考えれば時速150km越の球速が出る要因は『上げた左足を前に踏み出し体重移動していく (体の前進)』と『横向きから利き腕肩を前進さえていく動き』等だと思います。

投手 投球
投手 投球

「腕を振る」のはそれまでの加速動作ありき

物体には『慣性の法則』が働き、ボーリングもピッチャーの投球も、方法を問わず、手に持つ (握る) ボールを加速させる事でボールは慣性による直進性を持ち、手から離れた後も目標方向に向かって進んでいきます。

先に述べたように「手に持つラケットにジェットエンジンが付いていて時速300kmまで急加速する」と考えれば「手や腕を動かしてラケットを操作する」事なんて出来ず、進んでいくラケットに手が引っ張られるだけだろうと想像できます。(この「まっすぐ飛んでいく」のに慣性の力が関係します)

image

我々は意識的、無意識の両方で持つ「腕でラケットを振ってボールを飛ばす」という意識から「足の力を使う」「体重移動を使う」といった「腕を振る」以前のラケットの加速要素を「腕を振る」事にうまく繋げられない事を生み出しているのかもしれません。

tennis forehand

ボーリングや投球動作の例で分かるようにテニス以外の経験で「そういった動作の連携について学んでいる」ので出来ない訳ではないでしょう。

※ただし、「レーン間際まで進んで止まり、腕を振ってボーリングのボールを投げようとする」「投げ方が分からずにとにかく腕を振って強くボールを投げようとする」等もありますから、何も考えずに「出来るはずだ」とは言えません。

『揃える』サーブに見られるマイナス要素

※マイナス要素と言っていますが『揃える』事で起きやすいのだろうというだけで『揃えない』なら起きないという訳ではないです。

a. 倒れ込むのを利用する

昔はプロ達が使うサーブアンドボレーが “普通” に見られましたし、我々レベルでは「ネットに出る」気持ちと体力な負担を嫌う事が『揃える』不安定さを利用して「倒れ込みながらサーブを打つ」と選択に繋がりやすいかもしれません。

serveサーブ 倒れ込むように

b. 揃えた (寄せた) 状態でボールの落下を待って打つ

トス後、両足を『揃えた』状態でトロフィーポーズを取り、その状態で「ボールが落下してくるのを待って打とうとする」というものです。

サーブ 足揃える

c. 上にジャンプしようとする

前述したように「身長2mでも無回転のサーブは入らない」ので、一般に言われる「サーブは出来るだけ高い打点で打て」「打点を高く取らないとサーブは入らない」は正しくないだろうと言えますが、初心者の頃から言われ続ける事で「打点を高く取ろう」「最大限高い位置でボールを打て」「上にジャンプしよう」「ラケットを上に向けて振り上げよう」といった意識や行動に現れると考えます。

両足の幅が狭くなる『揃える』やり方は左右の足で地面を踏む力が集まりますし、『揃える』リズムがその後の「上に向かってジャンプする、ラケットを振り上げる」という動作にも繋げやすいのかもしれません。

サーブ 足揃える

『揃える』『揃えない』を問わない、サーブにおけるマイナス要素

先に確認した「ボールに加えるエネルギー量を決めるのは『ラケット重量』とインパクト前後の『ラケット速度』 (+エネルギーの伝わり方、伝達ロスの大きさを決める『当たり方』)」であり、サーブにおいてラケットを加速させるには、インパクト前後の『腕の振り』以前の両足、下半身、上半身、利き腕肩によるラケット加速動作、エネルギーを加えたい方向への前進運動ありきにしたいです。

a. まず、正面向きになってから腕を振ろうとする

だから「速い段階でボールに対して、ボールを飛ばしたい方向に対して正面向きになってしまう」本来、左右の足や下半身、上半身、利き腕肩の前進といった運動、そこで発生したであろうエネルギーは使えず「腕でラケットを振ってボールを飛ばすだけ」になってしまうでしょう。こういう事です。

サーブ トロフィーポーズサーブ トロフィーポーズ

これは利き腕肩の位置変化をラケット加速やボールを捉える事に使いたいスイングを伴いフォアハンド側ショットに共通する要素です。サーブに限らず、フォアハンドストロークでも言えます。左右の足から連動させてきた『前』に向けたエネルギーを「腕を振る」段階まで連動させたい所ですが、

フォアハンド 体重移動

最初から正面向きの状態から「腕だけを振ってボールを飛ばす」状態になってしまう。

フォアハンド 体重移動

各動作が『前』に向けてエネルギーを発生させるという目的で繋がっているという事は「ボールをまっすぐ飛ばしやすい」という事でもあります。また、加速したラケットには『慣性の法則』による直進性が加わり「勝手に、且つ安定的に」ボールに向かって進んでいきます。

ラケットのスイング軌道

円運動になりやすい腕の振りだけで、まっすぐ飛ばすためにエネルギーを加える方向を整えるのは、大変だし、速度が出ないから慣性による直進性も発生しづらいでしょう。

フォア スイング 腕の動

b. 地面 (足) から力を加えようとする位置が遠くなる、伸び上がった状態で打とうとする

「重心が高いぞ、重心を低くしろ」という話を聞くと思います。

我々が腕で何かに力を加えようとする際、左右の足で地面を踏み、同じ強さで押し返される『反力』を利用して身体を支え、力を加える際に身体が押し負けないようにしています。

手で押そうとする動き

この「重心を下げろ」には、「身体を支える根幹となる地面と接点、左右の足と力を加えようとする位置との距離が遠くなると地面からの『反力』を活かせず、「力が加えにくい」「力が発揮できない」状態になるぞ」といった事が含まれていると考えています。

ストロークを打つ際、腰から膝位の打点なら地面をしっかり踏んで身体を支えつつ打てますが、打点が肩よりも上、頭位の高さになってしまうと地面を強く踏めず、伸び上がった状態。ある程度「腕で振って飛ばす」という点を強めないとうまく打てなくなると思います。

重心と地面から力を加える位置までの距離

サーブで言うなら地面を強く踏んで『反力』を得るために曲げたからスイングを伴うフォアハンド側ショットの特徴である利き腕肩の前進に関係する両肩のラインまでの間 (下図ピンクのライン間) でインパクト前後の「腕を振る」までに体重移動や利き腕肩の前進を行う

サーブ 体重移動

身体が伸び上がった状態では地面からの『反力』を『前』に向けてエネルギーを加えていく運動の連動には活かせないです。

サーブ トロフィーポーズ腕の伸ばしてラケットを押し下げる

真上にジャンプしながら、身体が伸び上がって地面を強く踏めない状態から投球しようとするピッチャーは居ないです。まさに「重心を低くしろ」ですね。

投手 投球

c. ラケットをボールに近づけようと “まず” 腕を上げていってしまう

bの「地面 (足) から力を加えようとする位置が遠くなる」にも関係しますが、スイングを伴うフォアハンド側ショットの特徴は利き腕肩の前進を使う所であり、インパクト前後の「腕を振る」段階以前に左右の足で得た『反力』を使って姿勢を維持しつつ、体重移動を行い、利き腕肩の前進でラケットを加速させ、ボールを捉えていく事にあると考えます。

forehand stroke

「トロフィーポーズでは肘の角度を90度にする」等と言われますね。

serve

上腕 (肩から肘) は両肩のラインより背中側には曲がらないので、肘が90度、肘が両肩のラインにあれば両肩のラインの動き (肩が回る) に肘がそのまま『前』追従します。身体の仕組み上、腕の動きにロックがかかる、利き腕肩が前進する負荷に腕が負けないのです。

serve

肘伸びた、肘が両肩のラインよりも上に上がった状態だと「肩支点で」腕が動きます。ラケット面に強い負荷がかかれば「腕が持っていかける」状態になりますね。

身体が伸びきってのボレー

『バンザイサーブ』と言われるような肘が肩のラインよりも上に上がった状態から打ちにいくと慣性の法則で留まろうとするラケットに手や腕は後方に引っ張られ、その負荷に耐えられない腕は肘が過度にたたまれたり、手首が曲がってしまうことでせっかくの加速エネルギーを損耗してしまうのです。

バンザイサーブserve

ピッチャーも両肩のラインより肘が上に上がらない状態で利き腕肩を前進させつつ、腕と手に持つボールを加速させています。(肘が上がって見えるのは体軸を傾けているから)

投手 投球

「打点を高く取ろう」という意識、「ラケットをボールに当てよう」という意識で、サーブのスイング中につい「ラケットをボールに近づける、腕を上へ持ち上げる」動きが強まっていそうです。

腕の伸ばしてラケットを持ち上げるジャンプ 腕を振る

こうなると、意識して体重移動や利き腕肩の前進による『前』へエネルギーを加える動きを加えようとしても腕やラケットには繋がらず、途切れてしまう事になり効果が得られません。

d. ベースライン内に着地しない

これもここまで述べてきたことに関係しますが、左右の足で地面を踏んで『反力』を得、重心があがらないように曲げた膝と両肩のラインで足の力で体重移動を行い、『前』に向けてエネルギーを発生させようとする。

サーブ 体重移動

ここから利き腕肩を前進させていき、最急的には十分ラケットが加速し、ラケットに働く慣性による直進性も利用してボールを捉える訳ですが、左右の足や体重移動、利き腕肩の前進を使い『前』に向けて強くエネルギーを発生させようとするほどその反動として(ラインぎりぎりに立つなら)「ベースラインより内側に着地する」事になるでしょう。

serve

スピンサーブで行われるように「極端に上向きにエネルギーを加えようとする打ち方」をする訳でもないのにジャンプした位置にそのまま着地しているなら、少なくとも「腕を振る動作では『前』にエネルギーを加えていても、左右の足では『上向き』にエネルギーを加えている」のかもしれません。エネルギーの連動に方向的なズレがある。或いは連動が出来ておらず勿体ないという事ですね。

サーブ 足揃える

この点よく「サーブを打ったらベースライン内に着地しろ。そうすれば勢いが着く、サーブに威力が出る」のように言われるのを聞きますが「左右の足から上半身まで『前』に向けてエネルギーを加えようとしている全身運動を行っている」から自然と身体が前に移動するのであり、これらを行っていない、例えば『上』に飛んでラケットを上に振り上げた後に足を出して前に着地しても仕方がないと思っています。

※テニスでも、こういう「根拠となる情報を示さず事象だけを再現させようとする」「目に付いた表面上の部分だけを直させようとする」説明が少なくないと思います。常に一度考えてみるようにしたいでしょうか。

こういう動作でサーブが打てるなら揃えても、揃えなくても構わない

理屈の面からも「身長2mでも無回転のサーブは入らない」訳なのでスイングする目的である「ボールを遠くまで飛ばす」という事、そのために『前』に向けて強くエネルギーを発生させる身体の使い方を考えたいです。

そしてサーブに求められるボールの回転は『順回転』であり、ピッチャーの投げるストレート (4シーム、直球) の『逆回転』とは違います。逆回転は重力に逆らって伸びていく特性があり、順回転は飛ばしたい距離まで届くようにエネルギーを加えないとすぐに落下してしまう特性です。

投球動作、投てき動作はサーブ動作に大いに参考にあるでしょうが『前』に向けて強くエネルギーを発生させる身体の使い方はピッチャーの投げるストレートのように『逆回転』に向いたリリースでは無いだろうという事ですね。

私は「サーブの基本はフラットサーブだ」という話に疑問を持っています。

同じベースライン付近から打ち、ネットを越し、相手コートの規定のライン内に1度着地させないといけないスイングを伴いフォアハンド側ショットであるフォアハンドストロークとサーブですが、ストロークにトップスピンが導入されて以降「ストロークの基本はトップスピン」であり「ストロークの基本はフラットだ」というコーチは居ないでしょうが「サーブの基本はフラットサーブだ」という説明はずっと変わりません。

「サーブとストロークは打点の高さが違う」と言われても、計算上「身長2mでも無回転のサーブは入らない」訳ですから、我々が教わっているのは「ネット側にスマッシュ等で使う、無回転で叩きつけて打つようなオーバーヘッド系スイングであり、サーブの打ち方ではない」と言って良いのではないかと思うのです。大きな違いでしょう。皆が2mを大きく超える身長ではありません。

そして、初心者の頃から「打点を高く取ろう」「最大限高い位置でボールを打て」と言われる事で「上にジャンプしよう」「ラケットを上に向けて振り上げよう」といった意識や行動が普段のサーブ動作に出てしまう

また、「ラケットにボールを当てよう」という意識が左右の足や身体による加速と「腕の振り」を分断させてしまい、上に伸び上がってしまったり、腕だけが前に出ていってしまい、倒れ込むような打ち方になったりしていそうです。

私が『揃える』打ち方に思うのは『前』に向けて強くエネルギーを発生させる身体の使い方が出来るかという点です。どうしても「打点を高く取る」「上に向けてラケットを振り上げる」意識と『揃える』動作がくっつきやすい。

下図のA.ロディックさんのように伸び上がらず『前』に向けて全身でエネルギーを加える中で最終的に地面から足が離れる身体の使い方を考えたいですね。

サーブ 体重移動

『揃えない』やり方は『揃える』やり方に比べて「パワーが出ない」と言われる事が多いですが「上にジャンプする」ためではないのなら「横向きの状態から正面向きの状態まで利き腕肩が全身する幅を取りやすい『揃えない』やり方の方がやりやすいのではないか」と思っています。

腕の振り幅

『揃える』やり方は足の筋力がないと横向きが保ちづらい。膝から下半身が正面向きに寄り易い。そうなると利き腕肩を移動させられる幅が短くなり、「正面向きになってから腕を振る」というスイングに繋がってくる気がしています。

tennis serve

当然、途中述べたように「上に伸び上がるような状態」「重心が上がり左右の足で地面を踏む力をボールを打つエネルギーに繋げられない」「早く正面向きになり、そこかで腕を振ってボールを飛ばそうとする」といった打ち方では『揃える』『揃えない』関係なく、質の高いサーブを打つのは難しくなるのかと思っています。

もちろん「ボールが飛び回転がかかるのは物理的な現象」ですから「どの打ち方が正解」と決める事は難しいでしょうし、プロを見ても皆、打ち方が違います。また、身体の使い方が上手ければ今回、私がマイナスと述べた要素があっても室の高いサーブを打てるのでしょう。

ただ、私が考えたいのは「誰もが同じように持つ身体の仕組みや機能を使った誰にでも質が高いサーブが打てる身体の使い方」であり、誰かは出来るけど誰かはできないという物ではないですね。それが自分のテニス上達のためにも意味があると思っています。

私は自分のショットの中でもサーブが一番考えられていないです。他ショットと違うサーブの特殊性というか、色々情報はあっても他ショットほど具体的にイメージしたり考えたり出来ていないという事ですかね。誰かに指導を受けている訳ではないですし、引き続き今後も考えていきたいです。

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