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ATP’s young stars – 注目の男子10代、若手選手達を調べてみる (テニス)

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※私は専門家でもコーチでもありません。自分の上達のために色々考え、それをブログに書いているだけの者です。そもそも会ったことも自分のテニスを見せた事もない者の話を鵜呑みにするのは危険です。私は「自身のテニスを上達させるのは結局自分自身、コーチや周りの人達ではない」と考えています。ここで書く内容も単なる情報。理解も解釈も読む方にお任せするしかありませんし、同じ理解をしていただける自信もありません。間違いもあるでしょう。まずは普段からテニスを見ているコーチにご相談される方が絶対に良いです。なにかしら試される場合でも怪我等なさらないようご注意ください。

Next Gen ATP Finalsの曖昧さ

ATPツアーの最終戦 ATP Finalsほど注目されませんが、Next Gen ATP Finalsという若手の上位選手だけが出場する大会が開催されています。

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出場条件は 21歳以下の選手を対象とした大会用のポイント上位7名と、ワイルドカード1名の計8名。開催地は2021年まではイタリアのミラノです。

コロナ禍のテニスツアーで採用が進んだラインジャッジを廃して機械式判定のみにする。ノーレット、ノーアドバンテージ等、先進的な運用を採用している大会でもあります。

ただ、優勝者、準優勝の顔ぶれを見ても既にATPツアーで活躍している選手達であり、何のために若手だけに絞っているのかが曖昧になってしまっています。(ルブレフ選手、チチパス選手は22歳になったから翌年出場できなくなっただけ)

優勝準優勝
2017チョン・ヒョンA. ルブレフ
2018S. チチパス A. デミノー
2019J. シナー A. デミノー
2020年はコロナ禍で開催されず

Next Gen ATP Finalsの開催が決まった2017年当時の顔ぶれを見ると、フリッツ選手、メドベージェフ選手、チョリッチ選手、カチャノフ選手、オペルカ選手、コズロフ選手といった面々です。

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※コズロフ選手は怪我で2019~2021中盤まで活動中止

他にもシャポバロフ選手、ティアフォー選手等も出場しています。

実績としてはメドベージェフ選手が抜きん出ていると思いますし、チチパス選手、ルブレフ選手、デミノー選手、オペルカ選手等も活躍。シナー選手も注目されています。いわゆる『ジュニア』大会とは違うプロの中での線引きの曖昧さですね。比較対象とはならないでしょうが、お祭り感覚のあるレーバーカップ (出身国毎に分けたチーム戦) の方がまだ分かりやすい気がします。

Next Gen ATP Finals に出る以前の位置だけど実績のある若手選手

では、ランキングやポイントの関係で Next Gen ATP Finals に名前が入ってくる訳ではないものの、既にプロとして実績を上げてきている10代選手等を見てみようと思いました。

チチパス選手のように Next Gen ATP Finals をほぼふっ飛ばしてここ数年のグランドスラム大会の上位に入ってくるかもしれません。

なお、長くなってしまうので3選手だけ。追っかけて見ている訳ではないので、今回調べた上での個人的な感想のみです。間違い含めてご理解ください。

ヤニック・シナー選手

名前を上げるのも今更という感じですがまずはシナー選手です。

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NextGen ATP Finals、ATP新人賞、ATPツアー3勝

2019年 NextGen ATP Finalsでデミノー選手を破り優勝。その年の Newcomer of the Year (ATP新人賞) を受賞した事でフェデラー選手と比較されるようになります。(フェデラー選手と同じロレックスのアンバサダーに10代で選ばれる)

その後、2020年のソフィア (ATP250)、2021年のメルボルン1 (ATP250)、ワシントンD.C. (ATP500)で優勝。2021年のマイアミ (ATP1000) でも準優勝されています。

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ATPツアー3勝はデミノー選手と同じ。シャポバロフ選手やオジェ=アリアシム選手よりも多い数です。(チチパス選手は6勝)

技術寄りの選手?

相対的なカテゴリーで言えば「パワー寄りよりも技術寄りの選手」なのだろうと思います。(今後は分かりません)

身長188cm 体重76kg、数字だけ見ると体格はジョコビッチ選手とほぼ同じなのですが、かなり違って見えてだいぶ「線が細い」印象です。

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ボールを追って打ち返すまでのスムーズさと厳しさ

ボールの強さを活かしてポイントを得る場面よりも、ショットの組み合わせや相手を動かしてスペースを作る、得点できる場面を作ってから見せる「技術の高さ」「引き出しの多さ」が印象的です。

基本的な技術もかなりしっかりしていて、きっちり打ってくるサーブも有効。リターンも上手い。相手の状況に対してボールの強さや回転量を都度調整して相手の「あれ、ちょっと打ちづらい」を意図的に毎回作っているように見えますね。対戦しづらいし、相手のペースにはまりたくない相手。勢いでセットを取りたいような選手はやりづらいのでしょうね。

Jannik Sinner 2020 ATP Highlight Reel

ボールを追いかけて取れる範囲長い手足をうまく使った打ち方に対する柔軟性も高い。

「構えて、準備して、待って打つ」がなくてもボールを追う動きの中でボールが打ててポイントが進められる。例外や応用ではなく、そういうプレースタイルが自身のテニスに組み込まれている。

基本の打ち方からすれば「下半身が使えていない」と見えるかもしれませんが「身体が大きい = 腕の動きだけで打っても人より重い手や腕 + 長い距離で打てる」という事ですね。

デミノー選手のプレースタイルも似ていますね。相手が自信を持って打ったボールを読みを活かして拾い続け、印象に残る決め方でカウンター的にポイントを取り、相手に精神的にダメージを与える。シナー選手の方がボールに威力があり、カウンターを多用するデミノー選手の方が試合を通しての戦略に苦労する (自分がハンドリングできる範囲で相手に攻撃してもらわないと展開が作りづらい) 感じでしょうか。

100%の出力で打つボールよりは威力が下がっても「相手が取れない所に追いつけない時間の範囲で追いつけないと感じさせるショットを打てば良い」という感じでしょうか。

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シナー選手は、深い場所、角度がある場所からでもしっかりとコーナーを狙って打てる技術と精神性の高さがある。対戦相手には「あー、そこから決めてくるかー」と思える厳しさがある気がします。

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「小さい頃からテニス一筋」ではない経歴

シナー選手は3歳でテニスを始めますが、同時に始めたスキーで8~12歳までイタリアのジュニアトップスキーヤーでした。7歳で1年間テニスを中断後に復帰、コーチに師事しますが、それでもテニスはスキー、サッカーに次ぐ「3番目のスポーツ」だったようです。(13歳でサッカーは断念。今でもオフシーズンにはスキーを楽しんでいるそうです)

13歳でピアッティテニスセンター (ガスケ選手等も指導したイタリアの著名なコーチ、リッカルド・ピアッティ氏が2018年開設したアカデミー) でのトレーンングを始めますが、入る前までは本当に「週2」位しか練習していなかったそうです。

マッケンローさんやクリス・エバートさんもシナー選手を高く評価しているようですが「インタビューに応じたレジェンド達の言う評価は当てないならない」ので、勝手に実績を積み上げていくのを見ていればよいのかなと思います。

冗談を言うようなタイプじゃない?

シナー選手の性格は「けっこう真面目?」という印象ですね。

試合後のプレスカンファレンスは皆、疲れているし、笑って話したりする事はないですが、勝利試合直後のインタビュー、TV番組への出演等の映像を見ても、年齢より落ち着いた表情でしっかりと受け答えしている印象が強いです。冗談を交えて人を笑わせるみたいなシーンはあまりイメージできないかな。

PLAYER’S BOX WITH JANNIK SINNER

Which Players Would Party In Madrid?

同じイタリアのベレッティーニ選手は、何となくフォニーニ選手に通じる印象を受ける (彼ほど気分屋で粗野な面が強い訳ではないが) のとはだいぶ違う、かなり紳士的なんじゃないでしょうか。

Fognini and Berrettini | Italy | How well do you know each other?

スキーの好きな部分も「90秒滑走する中で1回でもミスすれば負ける」といった所らしいです。テニスは「2時間で多くのミスをしても勝つことはできる」のでだいぶ違う。

次のロジャー・フェデラーなのか?

シナー選手が「次のロジャー・フェデラーになるのか?」という話については、個人的には色々な意味で難しいのかなと思っています。

無理やりな区分で言えば「少しパワーがあり、技術が高いデミノー選手」という印象であり、初めてグランドスラムタイトルを取った頃のフェデラー選手を考えれば「(当時の基準で) 地のショットの強さがあり、技術があり、競合と競える戦術性があった」気がします。

ナダル選手もジョコビッチ選手も「打つボールの強さ」から「戦術・戦略性」を強めていった印象。マレー選手が「守備的なプレー」スタイルから「今の時代相当の下がらない時間を奪うテニス」に移行できないまま来てしまった印象等を見るに、シナー選手に必要なのは、グランドスラム大会で7回連続勝つために「無理やりでも相手を支配できるボールの強さ」等なのかもしれませんね。ただ、天才とか、センス、技術の高さは「後から身につく」ものではないのでuniqueだと思います。

Gael Monfils | Jannik Sinner Practice (Court Level)

カルロス・アルカラス選手

カルロス・アルカラス選手はスペインの男子プロテニスプレーヤー。現在18歳。ATPランキングは38位です。(2021年9月現在)

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フェレーロさんがコーチ、最年少記録、急激なランキング上昇

テニスを始めたのは4歳。15歳の時にEquelite Sports Academyに入ります。このアカデミーは元世界No.1であるフアン・カルロス・フェレーロがかつて所属し、現在もコーチとして在籍している施設です。フェレーロさんは現在のアルカラス選手のコーチでもあります。

2018年にプロ転向、2019年にツアーデビュー、2020年 チャレンジャー初優勝を含む3勝、準優勝1回。2021年はマドリッド (ATP1000) にワイルドカードとして出場して初戦勝利(17歳)。2004年から続いたラファエルナダルの最年少勝利記録を更新しました。全米オープンでも勝利を上げ、ナダル選手のグランドスラム大会での最年少記録を抜いています。(チチパス選手を破った上でベスト16まで進出)

また、7月のウマグ (ATP250) で優勝した事で錦織選手 (2008年) の記録を超える最年少チャンピオンとなっています。

色々記録破りな実績もあり、ランキングも2020年8月に順位を120ほど上げて186位、2021年5月に94位、先週2021年9月13日付で38位と急激に上がってきています。

チチパス選手と打ち合える地力

アルカラス選手のテニスは「ものすごくきっちり出来上がっている」印象です。チチパス選手とまともにやりあって勝ってしまう位。

居るべき場所に居て、時間の無い中でもきっちり準備し、きっちり身体の機能を使って、きっちり強いボールが打てる。若い選手に見られる「威力頼り」「慌てる、浮足立つ感じ」「視野が狭くなる瞬間」が全然感じられないですね。

Carlos Alcaraz vs Stefanos Tsitsipas Highlights | 2021 US Open Round 3

ガスケ選手に勝って優勝したウマグ決勝のハイライト映像。ガスケ選手は (クレーでは特に) 凄く下がった位置でプレーされますが、アルカラス選手はクレーコート、スペインの選手、フェレーロさんがコーチといった印象を吹き飛ばす位に「出来るだけ下がらず、できればベースラインから入る位の位置で打つ。チャンスを逃さずネットに出る形も作る」といったプレースタイルに見えます。

18-Year-Old Carlos Alcaraz Wins First ATP Title! | Umag 2021 Final Highlights vs Gasquet

今どきのテニスだし、ボールにも強さがある

ボールを追いながら同じ動きの中で返球と攻撃も行う感じはシナー選手、デミノー選手にも共通しますね。

まさに今どきなテニスだし、シナー選手やデミノー選手らの「ボールを追う動きの中で返球」と違い、「きっちり構えられる」要素を重視している感じが (カバーリングには多少差が出ても) 1つ1つのボールの威力に出ているような気がしました。

2021年全豪でのナダル選手との練習風景です。(撮影者の心情かナダル選手ばかり映っていますが)

ナダル選手、フェデラー選手、ジョコビッチ選手あたりのボールは常に深く、食い込んでくるので相手は「良い体勢で打てずに返すだけ」になりがちですが、逆に言えばアルカラス選手が「ベースラインから下がってなんとかしようとしていない」という事かなと思います。また、見ていると「準備から打つまでが速いパワフルな錦織選手」みたいな印象もありますね。

Carlos Alcaraz & Rafael Nadal Intense Practice | Australian Open 2021

オジェアリアシム選手よりも期待できる位かも

グランドスラム優勝までは分かりませんが、個人的にマスターズ大会を含めてチャンスがあるように思うのはオジェ=アリアシム選手です。やっぱり才能みたいな部分、地力とだいぶ違うと思います。(その上にレベル違いでズベレフ選手、チチパス選手、ティーム選手。そしてそのまた上にレベル違いでメドベージェフ選手という感じ)

でも、このオジェ=アリアシム選手よりも期待できそうなのがこのアルカラス選手じゃないでしょうか。その位、テニスが硬いし、出来上がっているし、弱点になりそうな部分が無い気がします。

普段の性格は大人しそう

以下はNext Genメンバーが「誰が一番当てはまりそう?」と質問に皆が回答する企画。

Who is most likely to? ATP Next Gen 👶

「大事な旅行でパスポートを忘れてくる人は?」「試合に遅刻するのは?」の質問に自分を含めて皆から名前が上がっています。うっかり屋さんなのかも。後、シャポバロフ選手と一緒にレゲーシンガー向きとか言われている。

でも、アルカラス選手がボードに書く字がかなり小さい。余り積極的に自分をアピるような性格ではないのかもしれませんね。お話されている雰囲気かもおとなしそうな好青年という印象です。

以下はテニスチャンネルのインタビュー映像 (マドリッド時) ですが、スポンサーのウェアか分からないけど (ちょっとダサい?) 羽織っているウェアのロゴがマイクに隠れて映ってない。マイクを持つ腕の位置も何か硬くてぎこちない感じ。でも、ナダル選手と対戦できて夢がかなったと嬉しそうに話されていますね。

Carlos Alcaraz: 2021 Madrid First Round Win Interview

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ウェア契約はナイキ、ラケットはバボラ

アルカラス選手はウェア契約がナイキ、ラケット契約がバボラで使っているのがピュアアエロ (ただしPure Aero VSの方)。組み合わせ的にナダル選手と近いものになっています。

同じスペインですし、(直接的な後継という訳ではないでしょうが) ブランドイメージに継承という意図はあるのかもしれませんね。ナダル選手が徐々に下がってアルカラス選手が入れ替わるように上がってくればメーカーとしてはブランド力のキープという感じなのかも。

ロレンツォ・ムゼッティ選手

ロレンツォ・ムゼッティ選手はイタリアの男子プロテニスプレーヤー。現在19歳。ATPランキングは57位です。(2021年9月現在)

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生涯のコーチ、ジュニアグランド大会優勝

テニスを始めたのは4歳。8歳の頃から師事しているコーチのシモーネ・タルタリーニ氏は「彼は第2の父。生涯のコーチ、変えることはない」と言われているそうです。好きなコートはクレーコート、好きなショットはフォアハンド。でも大会はウィンブルドンが好きらしい。

ジュニアグランドスラムは2018年全米で準優勝、2019年全豪で優勝。

2019年にプロ転向。2020年全豪でATPツアー本線初出場。9月のローマで本線初勝利。10月のフォルリでチャレンジャー大会初優勝。2021年は2つのチャレンジャー大会で準優勝されています。

ATPツアーでは3月のアカプルコ (ATP500) でベスト4、4月のカリャリ (ATP250) でベスト16、5月のリヨン (ATP250) でベスト4ですね。

ランキングは2020年9月に180位、2021年3月に98位、そして現在が57位。期間も短いのですが、微妙に下がったりしながらの上昇傾向という感じですね。

片手打ちバックハンド

ムゼッティ選手の特徴の一つが片手打ちバックハンドを使っているという点ですね。

写真で見るとグリップはセミウエスタン位でしょうか。厚いとまではいかない印象です。

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先日、ブログ記事で書いたマルガリータ・ガスパリアン選手に近い「打点を前に取る、前に伸ばした腕でインパクトの衝撃を後ろから押し支える」ようなイメージに見えます。

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腕を前に出して打点を前に取り、ボールを押し支える。腕を身体から前に出すように進めつつ、ラケット面 (インパクト面) はボール方向を向いた状態でまっすぐ前進させていく。腕が伸び切ってこれ以上前に行けないという所でボールの勢いを押し支えながら腕を上に (選手によっては横に) 振り上げる。

backhand片手バック 腕の動き
backhand

「腕を動かして飛ばす」段階より前の動作、踏み込みや体重移動を使ってボールを飛ばすエネルギーを発生させようという打ち方に比べると、

backahndwawrinka backhand

姿勢が高め (足で強く踏ん張れない)で少し腰高に見え、身体に対して腕を前に遠く出すので、バランスを取るために打ち終わった後に非利き腕側の足を出したりします。

この打ち方は踏み込みや体重移動の要素が強くないので「ラケット面がググッと前に進んでいかない。ボールを捉えたらすぐにラケットが持ち上がってしまう」印象を受けるのが分かるでしょうか。

backhandbackahnd

※身体と腕の機能の違いで起きるもの。ラケット速度は速くなるので「腕でまっすぐ長く押そう」という操作は難しい。

そもそも、片手打ちバックハンドで苦手と言われる高い打点に対応しようと思ったら姿勢を低くするのは難しくなりますし、腕である程度、ボールの勢いを抑え込む意識は必要。こういう打ち方もできる事は重要だと思います。

片手打ちバックハンド 高い打点

ただ、見た目のスイング速度はこちらの方があるかもしれませんが、まっすぐ飛ばす、安定して飛ばすのはちょっと難しくなる。だから (個人的には) 導入時は踏み込みや体重移動を使えるように練習する方が良いと考えています。

※姿勢を落とす、体重移動や踏み込みを上手く使う打ち方は慣れるまでシンドイし、位置合わせやタイミングを合わせが面倒くさい。直立に近い姿勢で高い打点でも腕を振って飛ばそうとする方が楽なんですが結局それが「ミスの元」になってしまうように思います。やってみなと安定感の違いが身につかない。

フォアハンドは厚いグリップ、長い加速距離を使ってまっすぐ振る感じ

フォアハンドは印象的なテイクバクを用いています。

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これは厚いグリップを用いる選手に見られる傾向だと思います。インパクト面が下を向き、後方に遠く位置する。ティアフォー選手やカチャノフ選手も同様のテイクバックを使っていますね。

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グリップが厚くなると打点は身体から前に遠くなります。打点が前に遠くなる分、そこまで加速させるための距離として身体の後ろ側にも同じだけの距離を確保して身体を挟んだ前後でのスイングのバランスを取りたい

(前だけ大きくふろうとするとタイミングが合わせづらく、加速も難しくなる。まっすぐ長く振る、加速距離を取る方がボールを捉えやすく安定して打ちやすい)

ラケットを前後に長く動かす分、左右の足の間隔、スタンスも相応に広くなりますね。力を込める際、エネルギーを発生する際の身体全体のバランスを保つためです。身体を基準に腕を大きく移動させるのにスタンスが狭いと地面を強く踏めずバランスを崩す、エネルギー発生が弱くなる原因になります。

forehand

また、身体からグリップを離して準備する「身体の近くから前に遠く出していく」より「ある程度身体から距離がある、脇に余裕がある状態でラケットを出していける」という “窮屈さ” 、操作性が下がる事の回避といった面もあるのでしょう。

テニス グリップの違いと身体までの距離

以下はヘッドのプロモーション映像です。コーチとの練習風景ですが、幼い頃にボールを打っている様子も流れます。こう見ると大きく打ち方は変わってないみたいですね。

Lorenzo Musetti – The Italian Promise – HEAD

以下はモンテカルロでジョコビッチ選手ムゼッティ選手が練習している映像です。

ジョコビッチはさすがインパクト面の作り方で色々な質のボールが混ざっても浮かさず直線的なネットスレスレの返球をしていますが、ムゼッティ選手の方はやはり軌道の高い、スピンの効いた少しバウンドで速度の落ちるボールを多用しようとしているように見えますね。

Sensational Djokovic & Musetti Practice In Monte-Carlo

プレースタイルは多用性に富んでいる

全体的なプレースタイルはシナー選手にも近い「色々な仕掛けをして相手を揺さぶる」感じだと思います。ボールの威力や強さで流れをつかもうというタイプではないでしょう。

身長185cm、78kgという体格も「まだ線が細い」印象含めてシナー選手に近いものです。(ムゼッティ選手の方は力強さがある)

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バックハンドが片手という事もあるのかバックハンドスライスを多用しますし、ドロップショットネットで決めるポイントもよく使用する。

何となくですが、フォアハンドの打ち方、片手打ちバックハンド、スライスの使い方、ショット選択等、ガスケ選手のプレースタイルに似ている部分がある気がしました。

GasquetIMG_1136

以下は全仏におけるジョコビッチ選手との4回戦。ありとあらゆる選択肢を使ってポイントを奪い合う展開が最近の全仏 (クレー大会) っぽくて良いなと思いました。

Novak Djokovic vs Lorenzo Musetti – Round 4 Highlights I Roland-Garros 2021

同じイタリアのパオロ・ロレンツィ選手は「以前の彼は手先が器用だったが身体的にはそれほど強くなかった。2020年コロナ禍での中断を挟んでプレーが見違えるようになった」と言われているようです。去年のツアーは手探り感が強かったですがそれを機会に強くなったという事ですかね。

DJERE vs MUSETTI Nur-Sultan 2021 Day 3 Highlights

フェイチアーノ・ロペス選手ばりのイケメンぶり

ムゼッティ選手は男性紙『Esquire Italia』誌の表紙を飾るなどイケメンぶりも目立ちます。

お顔もフェイチアーノ・ロペス選手に通じるようなギリシヤ彫刻的な彫りの深さ。でも、若いので「シュッと」していますね。

Lorenzo Musetti | Dal circuito ATP Challenger Tour alla Top 100

いわゆるちょんまげみたいな髪型でも様になります。

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以下はイタリアのエンタメ系YouTubeチャンネル『Musica e Tv 2.0』でテレビMCのマックス・ジュスティさんがベレッティーニ選手、ムゼッティ選手、シナー選手にインタビューしている映像。

ベレッティーニ選手はノリノリのやんちゃ坊主風、ムゼッティ選手は夢を語る優等生風、シナー選手は髪もぼっさぼさ (ファッションなの?) だし笑顔で終わるけど癖が強そうな雰囲気ですかね、

アルカラス選手の所でも上げたNext Genメンバーによる「誰が一番当てはまりそう?」に回答する企画にもムゼッティ選手は登場されています。他選手に比べてあまり名前が挙がらない辺り、周りを笑わせたり、天然で突っ込まれたりといった特徴的な部分がない優等生風なのかもしれませんね。

Who is most likely to? ATP Next Gen 👶

以下は2019年全豪ジュニア優勝後のプレスカンファレンス。当時16歳。幼さを感じる仕草はありますが落ち着いていますね。

Lorenzo Musetti press conference (F) | Australian Open 2019

見渡せばランキン上位は20代前半が多く見られるようになった

男子テニスは長らく「ビック4の時代だ。彼らが引退しない限り時代は変わらない。若手が育っていない」「スポーツ科学やケアの進歩で選手の引退年齢が上がり30代でも第一線で活躍している」等と言われていました。

でも、現状、シングルスランキングを見れば、30位以内に20代前半 (24歳まで) の選手が11人居り、ランキング1位はジョコビッチ選手ですが、2位は25歳のメドベージェフ選手、3位が23歳のチチパス選手、4位が24歳のズベレフ選手、5位が23際のルブレフ選手です。

6位のナダル選手、9位のフェデラー選手を除けば、30代は16位のカレーニョ・ブスタ選手、18位のバウティスタ・アグート選手まで居ないです。モンフィス選手、イズナー選手もどの位、現役を続けられるでしょう。

ビック4が引退したから (衰えたから) 時代が変わったという事ではなく、メドベージェフ選手、ティーム選手、チチパス選手、ルブレフ選手辺りを見ても順当に世代交代 (という言葉は示すニュアンスが好きではないですが) が進んでいると思います。

2年後、3年後を考えれば、今回取り上げてシナー選手、アルカラス選手、 ムゼッティ選手もランキング上位、ツアー成績の上位に名前が上がってくるのだろうと思いますね。

特にアルカラス選手はマスターズ大会やグランドスラム大会での優勝も遠くなさそうな気がします。

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