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フォアハンドストローク。ジャンプと打点と厚いグリップ (テニス)

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※私は専門家でもコーチでもありません。自分の上達のために色々考え、それをブログに書いているだけの者です。そもそも会ったことも自分のテニスを見せた事もない者の話を鵜呑みにするのは危険です。私は「自身のテニスを上達させるのは結局自分自身、コーチや周りの人達ではない」と考えています。ここで書く内容も単なる情報。理解も解釈も読む方にお任せするしかありませんし、同じ理解をいただける自信もありません。まずは普段からテニスを見ているコーチにご相談される方が良いです。何かしらご自身で考える際の参考になるようでもくれぐれも怪我等なさらないようご注意ください。お願いいたします。

大谷翔平選手のバッティング

ロサンゼルス・エンゼルス所属の大谷翔平選手の活躍が連日ネットでも紹介されます。

SHOHEI OHTANI TO THE UPPER DECK!! Homer No. 33 was ABSOLUTELY CRUSHED!

私は野球に詳しくはありませんが、大谷翔平選手ホームランを打てる理由は、

『ボールに加えるエネルギー量』と『ボールとバットの当たり方』が120m先のフェンスを超える飛び方を起こすのに必要な条件を満たしているから

といった事は言える気がします。

  1. ボールとバットが当たらなければエネルギーを加えられない (飛ばせない)
  2. どんなに強いエネルギーを加えられても『水平より上向きの角度』に打ち出せなければフェンスは超えない。(ヒットにしかならない)。

です。

また、バットでボールにエネルギーを加える方法

  1. 打ち出し角度に向けて直線的にエネルギーを加えていく
  2. 打ち出し角度を前提にエネルギーを加える向きと当たり方を調整する

の2つ (要は回転を前提とするか) があると思いますが、これらは二者択一 (0か1か) ではなく安定的に遠くまで飛ばすには両方に対する認識・理解、組合わせて再現できることが重要でしょう。

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飛んでくるボールやスイングしたバットが持つエネルギー量は『1/2 x 重力 x 速度 ^2 (2乗)』で決まります。

当てづらいけど『速い』ボールの方が多くのエネルギーを持つから飛びやすいし、身長が高く身体が大きい選手の方が遠くまで飛ばせるのは「同じ重さのバットでも、バットを握る手や腕の重さ、足や身体の重さが加えるエネルギー量に追加される (重さも1つの要素)」からだと思います。

Bonds cracks Home Run # 742. A 2-run shot off Edgar Gonzalez

外国人選手が「軽く振っているように見えるのにホームランを量産する」のはこの『当たり方』にポイントがあると思います。大谷選手も「身体が大きい」点だけ取っても有利です。

逆に身長170cm前後でもホームランを量産できる選手は『当て方 (捉え方)』と『インパクト前後のバットスピードが速い』点がポイントでしょう。オリックスの吉田選手や元巨人、ファイターズの小笠原さんとか。重さよりも速度の方が2乗でエネルギー量に貢献します。

ただ、この辺りは『ボールが飛ぶという物理現象を起こす条件』についての話であり、物理法則に基づき、地球上の誰にでも当てはまる理屈に関係するものです。

野球経験がある方も含めて一般的には「”打ち方が” ホームランを生む要素である」と考えやすいと思います。

当たらないとボールは飛ばせない。当てやすい、捉えやすい方法ならアッパーだろうがレベルだろうがダウンだろうが構わない。エネルギーが加わる方向と当たり方によりボールが飛び出す方向が大切

ボールが飛ぶという物理現象を起こす条件に気づかないまま、レベルだ、ダウンだ、ボールにスピンをかけるだと『形』や『見た目』につい目を向けてしまう。

条件が整わなければ結果は生まれないし、「条件を整える」のは『見た目』を作るのとは違うものだと思います。(イチローさんのモノマネをしてもヒットを打てない)

Jason Kipnis Home RunEncarnacion connects for a home run.

バッティングの動作を “段階” として見る

バッティングを『段階』を踏まえて考えてみようと思います。

といっても私は野球をまともにやって事もありませんから「どうやって打つか (打ち方)」ではなく「バッターボックスで構え、両手で握るバットを加速させ、ボールを捉えて、エネルギーを伝え、飛ばす」という一連の流れについてです。(ここでは「バットでボールを捉える事」を前提にしていないので「ストライクゾーンに飛んできたボールを問題なく打てるような打ち方、身体の使い方であればOK」という事にします)

区分したい3つの段階

1. 構え・準備からスイング軌道にバットが引き出されてくるまで

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2. バットがスイング軌道を進んでいくのに “合わせて” 腕が伸びる段階

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※加速により慣性のバットが勝手に前進していく。バットの前進に合わせて腕が伸びていく。「腕を伸ばしてバットとボールを当てる (当てに行く)」のとは見た目は同じだが “動作が持つ意味” が違うという理解が重要。

3. 身体が回転し、バットが非利き腕側に引き寄せられる段階

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一連の動作にするとこういう感じ。

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インパクトが手前過ぎると前に飛ばせない、前過ぎる (遅すぎる) と当たらない

先程の例を “身体の動き関係なく” バットの動きだけで考えるとこうなるでしょうか。

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1. 手前過ぎると前に飛ばせない

バットの動く軌道が “直線ではない” 以上、ボールを捉えるインパクトが『”手前” 過ぎる』とボールは右の方 (左の方) にしか飛ばせないです。

バットとボールの当たり方から「その方向に向けてしかエネルギーが加えられない」からです。

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2. 前過ぎる (遅すぎる) と当たらない

逆に、ボールを捉えるインパクトが『”前” 過ぎる (前に遠すぎる)』と空振りになるか、バットが届かないという事が起きそうです。

バットを振り始める、或いはインパクトの位置までバットが到達するのにかかる時間 (準備時間や振れる速さ) にも関係しますが「ボールが飛んでくる軌道とバットが進む軌道が大きくズレてしまっている」からです。

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この場合、インパクト位置を『身体の右側』から『身体の正面から非利き手側』に置く手法でボールを捉える事が (一応) 可能になります。これはバッティングで「引っ張り (引っ張る)」と言われ、物理的に届きづらい外側は難しいですが身体に近い内側 (インコース) のボールを打つ手法として使わる事がありますね。

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再び、大谷翔平選手のホームランの話

ボールに対して『飛ぶ (転がる・前進する) のに必要なエネルギー量』『その方向に進むためにエネルギーを加える方向性』を与えられれば方法は何でも良いです。

繰り返しますがボールが飛ぶのは物理的な現象であり、望む物理現象 (例えばホームラン) を生むこれら条件を整える方法はたくさんあるからです。

Home run swing for Pena

だから、成績を上げている2人の選手を比べて「A選手の打ち方は正解、B選手の打ち方は間違い」等と断ずる意味は薄いでしょう。

(お酒の席等での話題と実際に野球をする際の根拠の混同。望む物理現象を起こせる条件を知ろうとしないまま、ボールを打つ練習をする、たくさんボールを打ちたがるのは効果が期待できない。そこに「ホームランを打てる」客観的な根拠がないのだから)

話を戻しますが、大谷翔平選手がホームランを打つ様子を見ると「大谷選手がボールを捉える位置は身体の左側であり、身体が回転し正面向きになる、バットがホームベースの位置からズレていくより前の段階でボールを捉えている」シーンを多く見ます。

Embed from Getty Images

※上で述べたように打ち方は色々出来るし、状況ごとに毎回違ってくる。常にこういう打ち方をされているという事ではありません。「よく見るな」という程度で考えてください。

フォロースルーを大きく取る打ち方なので気づきにくいかもしれませんが、「引っ張り」前提なボールの捉え方を見る事は殆どない気がします。

Embed from Getty Images

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MLBのピッチャーが投げるボールは速く、キレイな回転の伸びる球筋ではなく、ナチュラルに変化するストレート・直球が基本。細かく小さく曲がるボールが多用されます。インパクトを出来るだけホームベース寄りに取れる、ギリギリまでボールを見てから打てる準備、打ち方の方が対策を取りやすいのだと考えます。

日本では歴史的に「ボールは前 (ピッチャー寄り) の位置で捉えろ」「インパクトが手前すぎると差し込まれる、うまく打てない、飛ばせない」という指導でしたが、細かい変化をするボールが海外から導入された事で「インパクトを手前に取れる」打ち方についての研究が進んできています。

昔通りに「引っ張り前提」の打ち方や「インパクトを前に取る」打ち方を続けているとボールの細かい変化や決め球の主流である落ちるボール、減速して飛んでこないボールに対応できない状況に変わっているからです。

indians second baseman Jason Kipnis strikes out in the seventh inning.

また、先に述べたように、飛んでくるボールやスイングしたバットが持つエネルギー量は『1/2 x 重力 x 速度 ^2 (2乗)』で決まります。

当てづらいけど『速い』ボールの方が多くのエネルギーを持つから飛びやすいし、身長が高く身体が大きい選手は重いバットを使え、インパクト前後のバット速度を上げられるからホームランも出やすくなります。(当然「うまく捉える、当てる」要素は必要)

大谷翔平選手のバッティング、打ち方を説明する知識や立場も私は持っていませんが、始動、スイング開始から時間が経過した (時間が経った) 段階より、始動、スイング開始から “間もない” 段階 (直後は速度が上がりきらない)の方が「加速したバットの速度が残っている (大きなエネルギーを持つ)」でしょう。

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両手で握り、加速させ、ボールに当てるという事からバットが進む軌道は全体的には『円軌道を含むもの』にならざるを得ない。ただ、ストライクのボールを打つという点から「ホームベース付近での動きは直線に近いものにした方がボールを捉えやすい」と考えます。

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言葉では「身体を回転させながら打つ」等と言っても、ハンマー投げや円盤投げのように「身体をぐるぐると回しながらバットを振る」強打者はまず居ない。必ず「直線に近い軌道でバットが進む中、範囲でボールを捉える工夫」をしていると思います。

回展で打つBour hitting a deeeep fly ball

また、「細かく変化するボールに対してインパウトを出来るだけ手前に取る」という事に対して「シンプルな準備から短い距離、短い時間で強くバットを加速させる」打ち方、身体の使い方を前提にすべきという面も重なってきます。(インパクトまで時間のかかる手順、準備では間に合わない。変化に対応しづらい)

テニスにおいても全く同じ事が言えるのでは?

「ボールが飛び回転がかかるのは物理的な現象である」という理屈が当てはまるのは当然、野球だけではありません。我々の日常生活も同じ。慣性の法則等はかなり馴染みがあるでしょう。

運動の基本原理

  • 運動の第1法則 (慣性の法則)
  • 運動の第2法則 (物体の運動状態の時間変化が、物体に作用する力に比例し、方向が同じになる)
  • 運動の第3法則 (作用・反作用の法則)

当然、テニスの場でも同じように当てはまると考えるべきでしょう。

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Photo by Julian Schiemann on Unsplash

改めて考えたい「当たり前」要素

ジャンプしながら打つ

我々は両足で地面を踏み、同じ強さで押し返される『反力』を利用し、立ち、歩み、走り、止まり、姿勢を維持しています。運動の第3法則 (作用・反作用の法則)も関係し、「左右の足で地面を強く踏めない状況では運動の効果を十分発揮できない (踏ん張れず力が出せない)」です。

テニス 高い打点

我々が打つボールの質 (どこに飛んでいくどういうボールか)を決めるのは『加えるエネルギー量』『エネルギーを加える方向性』だと考えます。繰り返しますがこれは「ボールが飛び回転がかかるのは物理的な現象である」からです。

テニス 厚い当たり

テニスにはルールがあり、試合等、テニスルールを前提とする場では「ボールを打つ際、相手コートのラインが示す範囲内に1度ボールをバウンドさせる」必要があります。

バスケットボールほど「身長の高さが勝利に直結」とは言えない理由がここにあるでしょう。

「ボールがバウンドする位置に必ず居られれば身長の高さは直接的な問題にならない」です。(手足が長ければより広い範囲を攻守しやすい、身体が大きい方が大きなエネルギーを発生させやすい等の面は残る)

ボールを打てる位置は2箇所のみ

ただ、予測が外れる、物理的な時間 (移動や準備にかけられる時間) の問題でボールを打つために適切な位置に居られるとは限らないし、ボールの速度や弾み方に合わせる、タイミングを取る手段として「ジャンプしつつボールを打つ」という選択は常用に近い手段の範疇にあると思います。

tennis forehand
Andre McenroeによるPixabayからの画像

でも、考えて見れば「真上に飛び上がりつつ打つ」のは「左右の足で動作時の反作用を抑える」のにも「ボールを飛ばしたい方向である前 (ネット方向) に向けて強いエネルギーを発生する」のにも “マイナス” に働きかねません。(運動方向が “上へ” になっているから)

言い方は悪いですが予測や準備のための移動をサボって「ジャンプしつつ打点やタイミングを合わる」事を選ぶ。そういう打ち方を普段から使ってしまう例は良く見る気がします。

その場で打つその場で打つ

物理現象である「ボールを飛ばす」という事を考えれば、接近してくるボールに対して適切な距離感を保ち、調整し、進んでくるボール及びボールを飛ばしたい方向に向けて『(方向の意味での) 前向きに』エネルギーを加えられる姿勢、身体の使い方をする方が強いボールを安定的に打ちやすいだろうと思います。(踏み込み、体重移動等が該当。左右の足で地面を踏める姿勢でないとこれらは難しい)

forehand strokeforehand stroke

「打点を前に取る」事だけで終わってしまう

昔からテニスでは「打点は出来るだけ前に取りなさい」と言われます。

「打点が近いとボールに差し込まれる、強いボールが打てなくなる」といった話。

理由として良く聞くのが「腕の力が一番発揮出来る、強く押せるのは、腕を前に出して伸ばしたような位置、姿勢、態勢だ」といった説明です。「自分が思っているよりも更に前に打点を取りなさい」という話も聞きます。

手で押そうとする動き

そして、腕を前に伸ばしたような位置に打点を取ろうとし、身体の構造上、打点を前に取りやすくなる『厚いグリップ』が「強いボールが打てる」と重要視されたりします。

tennis forehand

日本では軟式テニスの浸透もあって「ウエスタングリップよりも厚いグリップを使う方が多い」という面もあります。

「日本人は相対的に身長が高くない。バウンドの高いボール、高い打点のボールは力が入りづらい。クレーやオムニコート等、弾む遅いコートが多い。だから薄いグリップよりも高い打点に苦手に感じない厚いグリップを使う」という流れです。

※でも、繰り返しますが「テニスのルール上、1バウンド目前後の位置に居れば “必ず” 腰から下の打点で打てる」という点は軽視されがちです。下がった位置でバウンドの頂点から2バウンド目に至るまでの段階でボールを “待って” 打つ事を前提にしがちです。心理的に準備時間がないと不安だし、相手との距離が短くなる中でハーフバウンドやいわゆるライジング打ちのような手段を使いたくない。やる気も無いし、やり方も分からないまま「(腰から下で打てる機会に目を向けず) 高い打点が苦手だから高い打点を打つ方法を考える」という方向性ですね。

ボールを打てる位置は2箇所のみ

ただ、ボールを捉えるインパクトは「インパクトまでの加速、加速度ありき」だと思っています。

federer forehand

考えてみれば、腕を前に伸ばした状態、いわゆる『打点』の状態からラケットを強く、速く加速させられない と思います。

腕を動かす等、『打点』までに何かしらラケットを加速させている事でその事に気づきにくい。

tennis forehandワイパースイング

ラケットが持つエネルギー量を決めるのは(インパクト前後の)ラケット重量ラケット速度なのにです。

Djokovic Backhand

グリップの違いによって適した打点の位置は前後するし、個々の慣れや打ち易さ、動作のし易さもある。「これが正解」等と言うつもりはありませんが、身体よりもだいぶ前に取った打点の位置ありき「ボールを打つ」という事を考えている場合は少なくないと考えます。

インパクト前後でラケットが持つエネルギー量はラケット重量ラケット速度に依存するのに、インパクト前後までの加速、そのためにどういう動作を行うかを考えずに「打点で何かする」「打点から何かする」という『打点』中心の思考が当たり前になってしまう事を懸念します。

※見聞きする説明も周りに居る人の話も『打点』前提なのでこういった事を考える機会が持てない。「ボールが飛び回転がかかるのは物理的な現象であり、現象が起きるのには理由がある」という皆が知っている理屈をテニスの場に持ち込めない。前提もなく、ただひたすら「ボールを打つ」練習を続けてしまう。

ジャンプと打点

握って使う以上「ラケットは手の長さ以上に身体から遠い場所に位置させる事はできない」です。これは「ボールを打てる位置、打点はラケットを持つ腕の肩の位置に依存する」という事でもあります。

ラケットを持つ腕を伸ばす居るべき場所に対する理解

「真上にジャンプしながら打つ」という事は「足や身体等を使い、それ以上ラケットを持つ腕の肩の位置を前に移動させられない」という事であり、「ジャンプして打つ場合は身体から遠くない、離れすぎない位置でボールを捉える」前提で打ち方を考える方が良いと思います。

ただでさえ左右の足の力が使えないのに、タイミング次第では、腕を前に伸ばしただけの力が入らない打ち方になりかねないでしょう。

tennis forehand

インパクトを身体の右側 (左側) に取るということ

YouTubeテニス動画のサムネ (動画のタイトル等が表示される静止画) でよく見るのはこういう状態です。

tennis forehand

グリップが厚く、打点を前に取る。相手ボールに対して都度横向きを作る余裕が無い場合も多く、正面向きに近い状態でのワイパースイング的な打点、ボールの捉え方に見えます。この場合、ボールを捉える位置、打点は身体の右側 (左側) から身体の正面に近くなってきますね。

ワイパースイングラケット軌道 慣性の法則

ただし、「インパクト前後でラケット速度を最大化させる」ために我々は「上半身を中心に横向きの状態での準備姿勢を取る」のであり、「ラケットを握る利き腕肩の位置を一旦後方に下げる事でインパクトまでの加速距離と加速のための時間、左右の足、下半身から上半身、利き腕肩までの動きの連動で瞬間的で強いラケット加速を得ている」と考えます。

フォアハンド準備

初心者の頃から教わる「準備としての横向きを作る」という意識は皆にありますが『打点で、打点から』の意識が強いと「身体を回転させて正面向きに移行する」という単なる動作、手順になってしまう。

望まれる「左右の足や下半身始動で上半身、利き腕肩に運動を連動させていく」瞬間的で強い加速段階を利用できない打ち方になっているかもしれません。

サーブ トロフィーポーズジャンプ + 腕を振る
オープン フォアハンド 準備

昔から「体重移動が大事」「踏み込みながら打つ方が良い」等と言われるのは、人の身体が行う動作として効果的なエネルギー発生に有効であるからだと考えます。

forehand strokeサーブ 体重移動

道具の性能が上がっても無視できる要素ではないでしょう。どんなに「飛ぶ」ラケットでもその人が発生できるエネルギー量の範囲でしかラケットを通じてボールにエネルギーを加えられないと考えるからです。

(効果的に身体の機能を使えないやり方のままなのに「体幹が」「筋トレが」と考えてしまう。或いは「腕を振ってなんとかしようとする」打ち方ばかりになってしまう)

大谷翔平選手のホームランの話で考えた内容で言えば、しっかりと(上半身の)横向きを作り、左右の足、下半身、体重移動を使い、バットを加速させてきた段階。身体の右側でバットが『直線的に』移動してくる段階でボールを捉えたい。

そこが「バットが加速度を持っている。速度が最大化できる段階」であり「安定してボールを捉えやすい段階」でもあるからです。

インパクトを『前に』取ろうとする「ひっぱり」な打ち方がこれら2つの要素を大きく有しないであろう事は先に述べた通りです。

(ボールを捉えるまでにバットは何らか加速しているので「引っ張り」でも打てる。ただ、何のために横向きを取るのか、インパクトまでにどうバットを加速させるのかに重きを置いていない。これも「打点で」「打点から」の意識が強い)

baseballbaseball
baseballbaseball

初心者に近い段階に見られる「オープンスタンスを使えばボールの威力が上がる。(プロが多用しているのはそのせいだ。間違いない)という誤解はこの辺りが大きく関係している。結果、こういう打ち方、ボールの待ち方になってしまいますね。

オープン フォアハンド 準備

トッププロでもウエスタン程度の『厚い』グリップを用いる選手は大勢居ます。ただ、その多くに見られるのは「上半身が完全に正面向きになる前にボールを捉える。身体の横向きが残っている段階、ラケットが身体の右側 (左側) を強く真っ直ぐ進んでいる段階でボールを捉えよう」という意識、工夫です。

Novak DjokovicCincy Open Tennis 2015

決して、腕の前に大きく伸ばしたような位置の『打点』からボールを飛ばそうと考えているようには見せません。

tennis forehand

グリップによる打点の違いはありますが「ボールを打つ」という事を静止画 (形) を前提とした手順と考えるか、身体全体を使った一連の動作 (始まりから終わりまで止まらず繋がっていく)と考えるかの違いは大きいように思います。

我々は「ボールの打ち方」手順として教わるので、初心者の段階を脱してもずっと『形』を作るやり方から意識が脱せないままでいる気がします。(知らないから気づかないまま)

ここでの話も「横向きを作ればいい」「身体の右側 (左側) で捉えればいい」と捉えてしまうようなら『形』で考え、動作やそこから生まれる効果に目を向けられていない証拠かもしれませんね。

シンプルな準備、インパクトまでの短く効果的な加速

軟式テニスでは大きなテイクバックを取る事が多いようです。

これは、ラケットが軽い、ボールが軽い、ラケットやボールの変形率が高い (強度がない。加えるエネルギーの減衰が大きい) 等の特性から「回転をかけず、まっすぐ長い距離、ラケットを加速してエネルギーを加える打ち方が合っているから」だと考えます。硬式テニスのようにコンパクトなテイクバックで「捏ねる」ような打ち方だと強く、まともに飛ばせないでしょう。

【新企画】硬式のテニスのプロがソフトテニスやったらすごく難しかった件(フォア&バック編)

つまり「軟式テニス出身だから大きなテイクバックを取る」というのは使う道具も種目も違う中、自身の打ち易さ、慣れという面を除けば「身体の使い方の面から変更すべき」な気がします。

確かに大きなテイクバックを取れば、ラケットを振るリズムやきっかけは取りやすいと感じるかもしれませんが、それが「準備が間に合わないから時間を確保するためにベースラインから下がった位置に居ようとする」や「戦略的に相手を追い込みネットで決めるという選択を避ける (ボレーを打ちたくない、使わないから上達もしない)」という行動に繋がるなら勿体ないと思います。(それはベースラインプレーヤーと言えるのでしょうか?)

フォアハンドの例その場で打つ

「フェデラー選手のテイクバックはコンパクトだ」と言われますが、フェデラー選手のグリップは「イースタン位」と言われるほど薄い。当然、適した打点は『厚い』グリップよりボールを捉えるインパクトは前後に近く、高いボールより低めのボールの方が扱いやすい。

Roger Federer

テニスの高速化「ボール速度の上昇」の限界に到達 (人の身体が発揮できるエネルギー量以上にボール速度は上がらない。エネルギーを追加する道具はルール違反) 事で同様の効果が期待でき、戦略の選択肢が増える「相手の時間を奪う」という方向性に移っており、フェデラー選手は自身のスタイルからベースラインから下がらず、「ハーフバウンド」や「ヒットオンザライズ (ライジング)」を多用し、長いラリーより、配球により相手を誘導して「次の次で決める (3球勝負)」といった展開の速いテニスを見せるのは妥当な選択だと思います。

tennis forehand

言うならば「テイクバックをコンパクトにしている」のではなく「テニスのルール上、生じる “高くない” ボールを打てる位置、状況に移動する。時間の無い中、移動から準備まで短い時間で完了出来、同時に薄いグリップ、打点が前後に遠くない特性を利用して短い距離で強く安定的にラケットを加速できる身体の使い方を使っている」といった事だと想像します。

forehand stroke

だから、大きなテイクバックを取っている方が『形だけ小さく』しても、自分が打つべきボールを目の前にしたら自然と大きなテイクバックを取るだろうし、「テイクバックを小さくしよう」としても今度は「インパクトまでにラケットを十分加速できない = ボールの威力が落ち、ボールを捉える安定性も下がる」という事が起きそうです。

重心と地面から力を加える位置までの距離

改善する方法は「ボールを打つ練習」より「ボールにエネルギーを加える理屈と身体の使い方の関係を考える」事なのでしょう。だから『形だけ』変えるのは (何かのきっかけにはなっても) 大きな効果は生まないと考えます。(ただ、我々が思いつく改善方法は『マネ』の範疇を超えられませんね)

身体の右側 (左側) で準備して、身体の右側 (左側) で加速させる

うまく分けられなかったのでここで追記します。

上の「インパクトを身体の右側 (左側) に取る」ということと「シンプルな準備、インパクトまでの短く効果的な加速」に関係して「身体の右側 (左側) で準備して、身体の右側 (左側) で加速させる」という要素が考えられます。

片手で握る、両手で握るの違いはありますがバットもラケットも身体の動きに応じて身体の周囲を円状の軌道で動きます。この内、「直線的に進む区間をうまくボールを捉える位置に合わせる」事で加速させやすく、且つボールも捉えやすい状況が作りやすくなると考えます。

baseballまっすぐエネルギーを伝えるイメージ

バットもラケットも身体の回転運動だけでは安定して打てない、強く打てないのは分かると思います。

回展で打つ

この直線的な加速区間、距離、加速の時間を作るのに貢献するのが『体重移動』『踏み込み』、フォアハンド側であれば利き腕肩の位置変化 (前進)になるでしょうが「カーブでは速度を落とせ」の標語通り、加速には直線的な加速区間が重要になります。

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mystery-nickyによるPixabayからの画像

腕を縦に振って使うサーブで顕著ですが「ラケットの準備を身体の右側 (左側) に取り、ボールに向けて身体の右側 (左側) で直線的に加速させる」方が動きがシンプルですし、加速のための動作も取りやすくなると考えます。

serve

フェデラー選手のテイクバックがコンパクトという話をしましたが、ラケットの準備位置は身体の右側になり、ラケットはそこからボールに向けて直線的に加速していきます。

forehand stroke

ストロークにおける大きくテイクバックを取る事を否定する訳ではありませんが、身体の右側 (左側) でできるだけまっすぐラケットを加速させようと考えるなら身体の右側 (左側) にラケットを引っ張り出してくる時間と距離が勿体ない (加速に意味を持たないのに毎回時間を消費する)と考えます。

baseball大きなテイクバック

大きくテイクバックを取るなら軟式テニスで見られるように「体の右側 (左側) で後ろに遠く」取る方がまだ意味があるように思います。繰り返しますが、純粋に身体の回転だけでは強く安定的にボールを打つのが難しいと思うのです。

サーブで言えば、トロフィーポーズで身体を大きく捻ってラケットが身体の右側 (左側) に戻ってくる時間が勿体ないし、ラケット加速にも貢献しない要素に感じます。(トスを高く上げて余計に時間を確保しようとする原因になりますね)

US Open 2009 4th round 572

ジャンプしながら打つ、高い打点への恐れ、厚いグリップ、打点を前に取る

繰り返しますがボールが飛ぶのは物理的な現象であり、ボールに対して『飛ぶ (転がる・前進する) のに必要なエネルギー量』『その方向に進むためにエネルギーを加える方向性』を与えられれば方法は何でも良いです。

個人的にですが、この打ち方は正解でこの打ち方は間違い等と断ずるのは、言葉の強さとは違って大した意味はないと思います。

ただ、同時に、物理現象としてのボールの飛びや回転が生じる理屈を知ろうとせず、単なる『形』の再現やマネに重きを置き、具体的な根拠もなく「とにかくボールを打ち続ける」日々の先に効果的な上達があるとは考えづらいです。

(知っていると知らないは大きく違う。知っていても「理解し、実行 (再現) 出来ない」なら同じ事でしょう)

体重移動への理解

(そういう傾向が見られると考えるだけで全てのショットがそうだという事ではありませんが) トッププロがボールを打つ様子を見ても「(回転をかける事を踏まえても) ボールを飛ばしたい方向、エネルギーを加えられる。身体全体を使いラケットを加速させられる打ち方、身体の使い方をしている」と思います。

tennis forehand

何となくタイミングが合わせやすいから、或いは予測とそれに基づく移動が不十分なのを誤魔化すために「ジャンプしながら打つ」のを都合よく使ったりはしないでしょう。(生活がかかっているのでミスに繋がる、不安定になる要素を良しとしない)

その場で打つ

ワイパースイングが「回転をかけやすい」という要素は合っても「ボールを真っ直ぐ飛ばす」「ボールを安定的に捉える」という面から「上半身が正面向きに戻る前、横向きから利き腕肩が前進して正面向きに戻る前の段階、身体の右側 (左側)でボールを捉える」工夫しているように見えます。

身体の正面、前で打つワイパースイング身体の右側 (左側) 、
直線的軌道、ラケット速度がある段階で打つ
Wiper Forehandforehand stroke

「打点は前に取る方が良いんだ」「グリップは厚い方が良いんだ」だけではそうする根拠がありません。

ラケットが持つエネルギー量はインパクト前後のラケット重量とラケット速度によって決まるのです。(うまくボールに当たらなければ伝達ロスが大きいだけ)

『打点』を前に取ろうと「腕を前に伸ばしたような『打点』の状態」を作っても、そこからラケットを強く加速させる事は出来ないでしょう。せいぜい腕を横に振るワイパースイングが出来る位です。「インパクト前後までに身体を使ってラケットをどう加速させてきたか」が重要なのであり、『打点』の『形』だけにこだわっても仕方がないと思います。(理解に至るために手順で説明する手法を否定する訳ではありません)

tennis forehandワイパースイング

まとめ

今回は大谷翔平選手のホームランをきっかけに、テニスと同じ、手に握る道具でボールを打つ、ボールにエネルギーを加えて飛ばすという前提を持つ野球、両スポーツに共通する条件から物理現象としてのボールの飛びや回転を生む要素を考えてみました。

我々は実体験から「テニスは難しい。ちゃんとした人に『正解』を教えてもらわないとダメだ」と思いがちです。

その半面、自分で考えてみる事を敬遠し、「自分で考えるなんて面倒くさい。間違っていたら意味ない。『正解』を教えてもらうのが間違いない」という気持ちを持っていたりします。

結果、ネットで広まる情報を言葉通りに実行 (○○は✕✕すればOK等) しようとし、うまく行かず、また新しい『コツ』を知ろうとする。その繰り返しで思ったように上達しない日々を続けているかもしれません。

「上にジャンプしながらボールを打ったら当たり方が毎回変わる可能性があるし、地に足がついてない状態ではボールを飛ばしたい方向にエネルギーを加える、身体の機能を使って強いエネルギーを発生させるのにも不利だな」といった点に気がつかなければ、いつまでも不安定さ、自身が発生できるエネルギー量に対してボールの威力がない打ち方を続けてしまう。その状態、パフォーマンスがテニスの前提となってしまい、誤魔化すためにショットを増やそうとする、筋トレや道具による補完といった方向に目が向いてしまうかもしれないと考えます。

テニスについて考えるのは面倒かもしれませんが「知らないより知っていた方が良い。理解してその知識を実行できるようになればもっと良い」です。自身のテニスを上達させるのは結局、自分自身。コーチや周りの人達ではないと思います。

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