スポンサーリンク

ラケットは「先の方で打つと強いボールが打てる」という話を考える (テニス)

5cm先で打つと9.6%速い
スポンサーリンク

1年程前に「なぜラケットの先の方で打つとボールの威力が上がるのか」という内容でブログ記事を書いたことがあります。その後、私の認識も変わった気がしますし、改めて現時点での考えを書いてみようと思いました。

今回は、先に動画を作成し、その内容に合わせて書いたものになります。

私はテニスの専門家でもコーチでもありません。「自分のテニスを上達させるのは結局自分自身。コーチや周りの人達ではない」という考えに基づき『自分のテニス上達のために』考えた事を書いているものです。そもそも会ったことも自分のテニスを見せた事も無い他人の話を鵜呑みにするのは危険です。まずは自分のテニスを普段から見ているコーチに相談し、その上で自分で考えてみるべきでしょう。ここで書く内容も沢山ある情報の一つ。認識違いもあると思います。何か参考にされる際は怪我などないよう十分ご注意いただければと思います。

「プロはラケットの先の方で打っている」という話

テニス関連の情報を見聞きする際、「プロはラケットの先の方でボールを打っている」といった話を聞く事がありますね。

David Goffin

「真ん中よりも少し先端で打つ方がボールの威力が上がる」とか「サーブを打つ際には少し先で打っている」といったものです。

私がこの話を最初に聞いたのは10年位前 (2010年頃) だった気がしますが、その直後には「少し先で打つ方がボールに威力が出る」とアピールするラケットメーカーも出てきました。 (話自体、製品マーケティングの一環だったのかもしれません) ラケット形状は変更しづらいので主にストリングパターンの数や配置で実現ですね)

string pattern

ただ、こういった話を聞く際、我々は『プロのコツ』という捉え方をしがちだと思います。「よく分からないけど、先の方で打てばいいんだな」と「自分で考えてみる」という思考には至らない反応です。

pro tips

ボールが飛び、回転がかかるのは物理的な現象

「ボールが飛び回転がかかるのは物理的な現象」だと思っています。

世界的なトッププロも始めたばかりの初心者も同じ理屈、物理法則の元でテニスを行っています。漫画の必殺技や「ナダルは特別」といったイメージを現実に持ち込むと自分が起こすべき物理現象の要素が整わなくなるでしょう。

double handed backhandserve
moerschyによるPixabayからの画像Photo by Miguel Teirlinck on Unsplash

我々が打つボールの “質”、言葉にするなら「今、居る場所からどこに、どの位の速度や軌道、回転でボールが飛んでいき、どこにバウンドし、どう跳ねて、相手にどう返球させられるのか」を決めるのは

  • 『1. ボールに加わるエネルギー量』
  • 『2. エネルギーが加わる方向性』

の2つ。

テニス 厚い当たりスイング方向、面の角度、ボールの飛び方

ボールを打つ際に我々が使えるエネルギーは

  • 『1. 重量と速度を持って飛んでくるボールが持つエネルギーを反発させる』
  • 2. 自ら加速させたラケットが持つエネルギーをボールに伝える』

の2つだと考えます。

テニス ボールを飛ばすエネルギー

ボールが持つエネルギー量と使う状況から、前者はボレーで、後者はサーブで重要になり、ストロークでは状況に応じて両者を使い分ける必要がありますね。

volleyトロフィーポーズフォアハンド準備

ラケットが持つエネルギー量を決めるのは『速度』

ラケットとボールが持つエネルギー量は『1/2 x 物体重量 x 物体速度 ^2 (2乗)』で表せるようです。

インパクト前後のボールとラケットの重量は固定 (※) ですからインパクト前後のボール速度やラケット速度が『速い』ほど我々が「ボールを飛ばす、回転をかけるために使えるエネルギー量が増える」可能性があると考えられます。(※ゴルフのように打つ度に道具を交換できない)

力が無いからなどで「軽いラケット」を選ぶ事がありますが『1/2 x 物体重量 x 物体速度 ^2 (2乗)』の公式通り、ラケットを軽くしてもラケット速度が上がらないならラケットが持つエネルギー量は “低下” します。(重量の値は単なる掛け算なので10%軽いラケットは10%エネルギー量が低下) 重いと扱いづらいから、疲れるからと「軽い」ラケットを使うのが本当に自分のテニスのためになっているのかを考えたいですね。

ただし、重要なのは『インパクト前後のボール速度やラケット速度』という点です。

ラケット面とスイング軌道

ボールとラケットが接触する前離れてしまった後にいくらラケットを動かそうがボールに物理的な影響を与える事はできません。

大きなテイクバックforehand stroke

※科学的根拠を伴わない大きなテイクバック。インパクト前後までにラケット速度が上がらない、インパクト前後までに速度が低下する。或いは「打点から」振っていこうとすると、当然インパクト前後のラケット速度は上がらない。

物体には慣性の法則が働く

物体には『慣性の法則』が働きます。電車の急停車、急発進の例でおなじみの「停止した物体はその場に留まり続けようとし、進む物体はその直進運動をし続けようとする」というものです。

電車

物体であるラケットには慣性の法則が働き、

ラケット 振り子ラケット慣性の法則

加速したラケットは、ボールと接触する位置に向かって勝手に前進していきます。

ラケット軌道 慣性の法則forehand

「車は急に止まれない」「カーブでは速度を落とせ」等の標語通り、強く加速した物体は曲がりにくく、止まりにくい

car
mystery-nickyによるPixabayからの画像

ただ、我々は自分が打つべきボールを目の前にした際、つい手に握るラケットで直接的に 「ラケットをボールに当てよう」「うまく当ててボールを飛ばそう」と考えがち、操作を加えてしまいがちだと思います。

serve
Photo by Dima Khudorozhkov on Unsplash

慣性による直進性、再現性を使わず(使えず)、毎回、ラケット操作でスイングを “作って” ボールを打っている。

中心から遠い方が速度は速い

中心を軸とした円運動を考えた場合、同じ時間で同じ角度、回転するなら「中心から遠い方がより長い距離を進む」。つまり、「速度が速い」という事になります。

円運動の半径と移動距離

おなじみの「距離 = 速さ x 時間」の法則ですね。同じ時間で “より長い” 距離を移動するなら、その分 “速く” ないといけないです。

短絡的にはこの理屈が「真ん中よりも少し先端側で打つ方がボールの威力は上がる」といった話の根拠にはなるのかなと思っています。

David Goffin

ラケットの動きを単純な円軌道、中心から先端にかけて同じ時間で同じ角度動くとした場合、中央から5cm先は「9.6% 速度が速い」計算になります。

5cm先で打つと9.6%速い

ただ、「円運動」ではラケット速度が上がりづらい

「フォアハンドは身体の回転で打つ」といった表現を聞く事がありますが、

Cincy Open Tennis 2015

でも、少し意地悪な言い方をすれば、その「回転で打つ」というのはこういったイメージの事なんじゃないの? と思います。

回展で打つ

もうちょっと具体的な例で言えば「その場でジャンプしながら強くラケットを振る」みたいな打ち方だったり。

Embed from Getty Images

もちろん、ボールが飛び回転がかかるのは物理的な現象でしかないので「自分が次に作りたい状況に対して確率高く実現可能な (自分が持つ) 選択肢はどれか?」という前提に基づくなら「打ち方は何でも良い」のでしょう。

「相手ありきのスポーツであるテニス」において毎回ボールを打つ状況が変わる中、打ち方に『正解』 を定めようとする (「その打ち方は間違い。正しいのはこれ」といったやり取り) のに言う程の意味はないと思っています。

球出しのボールを打って身につける 『基本の打ち方』 と、相手ありきの場で、自分が望む状況のため『ボールにエネルギーを加える手段』 を考えるのを一緒くたにするのは「自身のテニス上達を目指す」ためには大きな障害になっていそうです。

スポーツの世界では「遠心力を使って打つ」「遠心力でボールを飛ばす」といった表現が頻繁に使われますね。

遠心力で

ただ、物理的には「遠心力という力は存在しない」そうです。

コリオリの力

コリオリ力

Sssssato, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

円運動をする物体が中心から遠ざかろうとするのではなく、直線運動をする物体を中心に近づけようとして方向が曲がり、結果的に円運動になっている。

速度が上がれば慣性による直進性も強まり、中心に引き寄せる力も強くしないといけない。「強い加速 = 遠心力を強く感じる」を「遠心力で飛ばす」と誤解しているのだと考えます。(イメージするための比喩だと示すなら良いですが、説明者本人が「遠心力は存在する」と思っているかもしれません。説明を聞いた我々が自身でその意味を翻訳すべきなのでしょう)

遠心力で

実際、我々が『基本の打ち方』と呼ばれる範疇でボールを打つ際、このような極端な【身体の回転】でボールを打つ事はしないかなと思います。

回展で打つ

ラケットに働く『慣性による直進性』を安定したスイング軌道、再現性の高いインパクト前後に利用するなら、同じような動作でもスイング軌道はもっと『直線的な区間』を含んだものにしたいです。

身体を回して打つイメージまっすぐエネルギーを伝えるイメージ

そのために使えるのが、左右の足の力、下半身の力、踏み込み、体重移動、フォアハンド側の特徴である利き腕肩の位置移動 (前進)辺りだと考えます。

体重移動forehand stroke 利き腕肩の前進forehand stroke

左右の足で地面をしっかり踏めない「上にジャンプした状態で身体を回転させて腕を振る」のでは長い距離ラケットを加速させるのが難しい。上半身中心のスイング、「腕で振る」スイングになるように思います。

その場で打つその場で打つ

背屈が戻るタイミングと「ヘッドを効かせる」所が対象か?

手に引かれ動き出すグリップ側に対して、慣性の法則により、振り始めの位置に留まろうとするヘッド側は手をラケットが進む方向と反対側に引っ張ります。ただ、留まろうとする力より手に引かれる力の方が強いので慣性の法則が発生したまま、ラケットヘッド側も真後ろから引かれて行きます。

ラケット慣性の法則慣性の法則

グリップ側に遅れて動き出すヘッド側ですが、手が引き寄せる力がかかる方向と、それ以前に引かれていれた方向へラケットが直進していこうとする方向のズレ (いわゆる遠心力)と、ラケットの長さの分、テコの原理も働き(?)、ラケットのヘッド側は身体から遠ざかって行きます。

ラケットはグリップ側からヘッド側までの長さがあるし、グリップの後ろ側から追従するヘッド側を、手より身体の外側に出してインパクト面をボールに向けていかないといけないです。

ラケット軌道 慣性の法則forehand
トンカチ・金づち・ハンマーフォハンド 打点

その過程 (強い初期加速の負荷) で発生するのがラケットヘッド側に引かれて手首が背屈する『ラグ (lag / 遅れ・遅延)』と呼ばれる事象だと考えます。

Sydney International Tennis ATP 250

遅れた加速によりラケットヘッド側は身体から遠ざかり、この『ラグ (背屈)』が復元する。手やグリップ側より身体から遠くなる。このタイミングで「ラケット面部分の速度」は増すのかなとまず考えます。

tennis forehand

そしてボールを安定的に捉えるために左右の足の力、下半身の力、体重移動、フォアハンド側の特徴である利き腕肩の位置移動 (前進)等を連動させてラケットを加速させつつ、

forehand stroke 利き腕肩の前進

グリップ側とヘッド側が『並行的』にボールに向かって進む、ラケット面がボール方向、ボールを飛ばしたい方向に向き続ける区間(この区間の間でボールを捉える) を経て、

このような軌道の中で安定した
インパクト前後を確保し続けるのは難しい
慣性の直進性で勝手に (安定的に) 進んでいく
ラケットの特性を利用したい。
円軌道のスイングまっすぐ進むスイング

スイング後半、初期加速時のエネルギー供給は終わっており、最初の『ラグ』解消時ほどではないですが、「加速が終わった手や腕をラケットヘッド側が追い越す段階で 再び速度が増すタイミングがあるのではないか」と考えます。

tennis forehandforehand

いわゆる「ヘッドが走る」と呼ばれる状態ですね。

forehand stroke

なお、繰り返しになりますが、ラケットにエネルギーを加える力が最も発揮できるのは左右の足の力、下半身の力、体重移動が使える「振り始めから速度が乗るまで」で、そこからフォアハンド側の特徴である利き腕肩の位置変化 (前進) にエネルギーを繋げ、インパクト前後の「腕を振る」段階までに手や腕、手に持つラケットを加速 (エネルギーをもたせる) させておく。

ボールが離れた後である「ヘッドを走らせる」を目安にラケットを振ろう、加速させようというのは「初期加速を重視できないスイング」を生みかねないと考えます。

手や腕によるラケット操作で「ラケットをボールに当てよう」とする意識が、結果的にインパクト前後のラケット速度が低下してしまう (無意識に加減をする)のを”それと意識させずに” 防ぐため、「フォロースルーをしっかりと取れ」「最後までしっかりとラケットを振れ」とアドバイスする手法を取るのは理解できます。

serve
Photo by Dima Khudorozhkov on Unsplash

ただ、「打点で押す」「打点から振る」といった意識の持たせ方は、ボールとラケットが接触するインパクトは時間にして0.003~0.005秒と短く、人の反応速度は速い人で0.2~0.3秒と聞く中、「我々がインパクトの瞬間を認識し、これに対して何らかの操作を加える事は現実的に難しいだろう」という情報とは乖離しているかもしれません。

tennis forehand

このため「打点から、インパクトから」と意識させて手や腕による「ラケットを振る」という再現性の高くない動作を招くなら、準備段階からの左右の足の力、下半身の力、体重移動、フォアハンド側の特徴である利き腕肩の位置移動 (前進) により「腕を振る」段階までに手や腕 (手に持つラケット) を加速させておく、「インパクトまで」を認識、実行させる方がボールが飛ぶ理屈、ボールに回転がかかる理屈から考えれば理にかなっているのかなと考えます。

サーブ 体重移動forehand stroke

当然、教わる『ボールの打ち方 (フォアハンドストロークの打ち方)』とは全然違うでしょうから、説明される内容を自身が得た情報、知識を使って自分で補完する、解釈する、疑問点を埋めていくような使い方になるのでしょうね。

関連YouTube動画

動画編集練習用のYouTube動画を追加しました。今回書いたものと同じ内容になります。

テニスの上達のために『ラケットは「先の方で打つと強いボールが打てる」という話』を考えてみる

 

テニス トッププレーヤー ベストショット2018 (B.B.MOOK(テニスマガジン EXTRA))
ベースボール・マガジン社
大人気シリーズのMOOK第6弾が3年ぶりに復活! 全テニスプレーヤー共通の基本がココにある!
テニス スピードマスター (勝利への近道!)
新星出版社
ひと目でわかる、スーパースロー写真を満載。確実にうまくなるコツがビジュアルでわかる!
タイトルとURLをコピーしました