サーブの説明がラケットワークの話に終始してしまう現状 [後編] (テニス)

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腕を上げた状態テニス

前回に続く後編になります。

YouTubeのおかげで以前より『サーブの打ち方』を見る機会が増えた。昔から見る説明だけど数多く見ていると色々思いつく事もありますねという話です。

私はテニスの専門家でもコーチでもありません。「自分のテニスを上達させるのは結局自分自身。コーチや周りの人達ではない」という考えに基づき『自分のテニス上達のために』考えた事を書いているものです。「知っている人に “正解” を聞こうとする」のは楽ですが、自分で調べ、考えないと身につかない。見聞きして分かった風になっているだけかもしれない。そもそも会ったことも、自分のテニスを見せた事も無い他人の話を鵜呑みにするのは危険です。まずは自分のテニスを普段から見ているコーチに相談し、その上で自分で考えてみるべきでしょう。ここで書く内容も沢山ある情報の一つ。「全く参考にならない」と思っていただいてもそれが考えるきっかけになるなら構いません。また、何か参考にされるにしても怪我などないよう十分ご注意いただければと思います。

左右の足の力、反力、下半身、体重移動、体軸の前進。そして利き腕肩の移動

ピッチャーの投球を見れば上げた腕を引き下ろすような動作でボールを投げる事はありません。

腕の伸ばしてラケットを押し下げる

テニスでもそうですが、利き腕によるオーバーヘッド動作で前に向けてエネルギーを加えたい場合、手に握るボールやラケットを前に向けて加速させる動作のポイントになるのは、左右の足の力、下半身のちから、体重移動、体軸の前進から繋がる『利き腕肩の位置移動 (前進)』と考えています。

投手 投球 体重移動 体軸
投手 投球 利き腕肩 体軸

これらの動作、左右の足から始める動きを連動させる事で「腕を振る」段階までに手に持つボール、ラケットの加速は完了しています。投げる段階、ボールを打つ段階で、慌てて「一生懸命腕を振る」必要がないのです。ラケットを加速させ、我々が操作で邪魔しなければ、慣性の直進性によりラケットはボールに勝手に向かって行きます。

サーブ 体重移動利き腕肩の前進

※ボールを飛ばす、回転をかけるためにエネルギーを伝えた『前』に向けて発生させる。その目的の元、これらはどれも『手段』でしかありません。やり方を1つに決めて「どれが正解」という話をする意味はない。状況によっては「腕を振ってエネルギーを発生させる」必要も当然あります。

この利き腕肩の前進はバックハンド側にはありません。利き腕肩は準備段階からインパクト前後まで身体の前側にあって変わらないからです。

forehand strokebackhand stroke

利き腕肩が前進すれば、肩に付いている上腕、そして肘、前腕、手は (腕を動かす事なく) 位置が変わります

身体のねじり戻し上半身を捻る

回転しながらエネルギー量と方向性を定めるのは難しい

ただ、ボールを飛ばしたい方向である『前』へエネルギーを加える、まっすぐ前にエネルギーを加えていく (加える方向が波打ったりしない)、ラケットに慣性による直生を持たせるためには「加速できる距離、直線的な加速段階」が必要でしょう。

「カーブでは速度を落とせ」と言いますが方向を変える中での加速は難しい。ハンマー投げ、円盤投げで分かるように「回転しながらまっすぐ飛ばす」のも難しいです。

また、物理的には「遠心力という力は存在しない」そうです。直進しようとするラケットと引き寄せる手との力が働く向きの違いが「外に引っ張られる」と感じさせる。

だから「遠心力で打つ」という話はあくまでイメージ上の表現であり、現実と混同してはいけないでしょう。存在しない力で物理現象としてのボールの飛びが起こせるとは思いません。(超能力??)

遠心力遠心力

これらの事から、よく聞く「身体の回転でボールを打つ」という意識は、(それもボールにエネルギーを加える方法なのでそうやって打たざるを得ない場面はあるでしょうが) 基本の打ち方を考える際には望ましくないかもしれません。(都度「真っ直ぐ飛ばす」と気を使わなくてもまっすぐ安定的に飛ばせる方法があるならそれを基本にすべき。咄嗟の場合も考えるなら尚更)

円軌道でスイングしようとする短い距離で直線的に加速させる
身体を回して打つイメージまっすぐエネルギーを伝えるイメージ
その場で打つnishikori

ラケットでボールにエネルギーを加える際、フォアハンド側の特徴である利き腕肩の移動 (前進) をうまくラケット加速に用いたいですが、インパクト前後の「腕を振る」段階以前に手や腕が「実質的に “前に” 進んでいく」状況にならないとあまり意味がない

動作としては同じものでも、体重移動、体軸の前進と連動させて行う事で、その場で行う「身体を回転させる」「左右の肩を入れ替える」等とは区別したいです。

下の2つの図は体軸の前進が加わっているだけの違い。上半身の動きは同じ。下左図が「体重移動を使う」、下右図が「身体を回転させて打つ」みたいな感じでしょう。どちらが「まっすぐ前に強く飛ばす」のに向いているか?はなんとなく分かると思います。(左図の方ですよね)

ショルダーローテーションショルダーローテーション

「肩よりも上腕や肘が上にある」は連動性を使えない打ち方なのでは?

加速が強まれば慣性で留まろうとするラケットによる負荷が高まる

(スイングを伴うショット全般ですが) スイングが始めると慣性の法則により、振り始めの停止位置に留まり続けようとするラケットがグリップ側から引く我々の手や腕をスイング軌道後方に引っ張ります。

ラケット慣性の法則ラケット慣性の法則
serveforehand

考えてきたようにサーブを打つ動作の中でも、左右の足の力、反力、下半身、体重移動、体軸の前進に続く利き腕肩の移動 (前進) によりインパクト前後の「腕を振る」段階以前に実質的な腕やラケットの前進、加速を得たいです。腕の力よりも足や身体の力の方が強いし、強い加速は慣性による直進性も生み、安定したインパクトにも通じるからです。

投手 投球 体重移動 体軸
投手 投球 利き腕肩 体軸

この利き腕肩の前進が行われる際、肩に付いている上腕や肘は意図的き「腕を動かす」とする事無く、肩と共に前進させていきたい訳ですが、

利き腕肩の前進

ラケットは300g以上の重さもあり、インパクト前後の「腕を振る」段階以前にそれまでのスイング以上に強く『ラケットの初期加速』を発生させる事になります。加速度が強くなれば慣性の力も強まる (ジェット戦闘機の荷重Gは厳しい、シートに押し付けられると聞きますね) し、ラケットを持つ腕にかかる負荷は一層高まるでしょう。

腕では加速の負荷に耐えられない

仮に、肘が両肩のラインより上 (上腕が肩よりも上) にある状態で手が後方に押される、後方に引っ張れる状況が起きれば、力を込める事ができず手や腕は背中側に反ってしまうでしょう。(怪我を予防する身体の機能ですから「踏ん張って堪える」等に意味はありません)

腕を上げた状態

今回、重視している利き腕肩の位置移動 (前進) の過程では「手や腕は身体よりも前には出ていない」状況ですから、手を身体よりも前に出して左右の足や身体の力で押し支える方法も取れません。

forehand stroke 利き腕の前進手で押そうとする動き

「トロフィーポーズで肘は90度」の意味

サーブの説明で「トロフィーポーズでは肘は90度」みたいな話を聞いたことがあるかもしれません。

トロフィーポーズ

身体の構造上、上腕 (肩から肘まで) は背中側には曲がらないです。肩甲骨を含む肩周りの関節に上腕の結合部は埋まっており、手を前に出す、腕を前に伸ばす際も「肩支点で上腕が動く」よりも「腕が下向きに結合している肩周りの関節が90度近く向きを変えて「手や腕が上がった」状態を作る」という方が正しいのでしょう。(自分の肩や腕で確かめて下さい)

腕の構造腕の構造

Shoulder motion with rotator cuff (supraspinatus).gif
By Young Lae Moon, CC BY 3.0, Link

Shoulder blade2.gif
CC BY-SA 2.1 jp, リンクによる

話を戻すと、慣性の力で留まろうとし、手や腕をスイング軌道後方に引っ張るラケット。左右の足や身体の力を使って強く『前』へエネルギーを発生させようとする中での利き腕肩の前進。

ラケットを持つ手や腕にかかる強い負荷を「反る」等してロスしない。インパクト前後の高いラケット速度まで繋げるために利用するのが「上腕は肩よりも後に曲がらない」という身体の仕組みなのだろうと考えます。

両肩のラインの延長線上に上腕が位置し、肘を90度に曲げた態勢 (上腕 (肩から肘) と脇が90度、肘が90度、胸と上腕が180度)の状態を維持できれば、利き腕肩が強く前進しても肩関節にロックされる上腕は「反る」等する事無く肩の動きに追従します。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 20170703010-2.jpg上半身を捻る

肩よりも上腕、肘が外側にある事に意味がある (上腕や肘の状態)

「トロフィーポーズでは肘は90度」と言われる状況では上腕や肘の位置は『利き腕肩よりも身体の外側にある』のがわかります。

トロフィーポーズ

また理屈の話ですが、2つの物体が同じ中心軸による円軌道描くと考えた場合、「同じ時間で同じ角度、回転する場合、中心から遠い物体の方が “より長い距離を” 移動する」のが分かります。

円運動の半径と移動距離

お馴染みの『距離 = 速さ x 時間』の硬式から「同じ時間でより長い距離を進む物体の方が速度は速い」と言えます。(同じ時間でより長く進むなら当然その分の速度が速い)

より長い距離を進むにはその分だけ多くエネルギーを消費するという点もあります。ヘリコプターのローターは動き始めて飛べるほど速度が増すのにはだいぶ時間がかかりますね。

ラケットをスイングする際も「ラケット速度が速いほどラケットが持つエネルギー量は大きい」ので、ボールに伝えるエネルギー量に関係する “インパクト前後のラケット面は” 「できるだけ身体から離れていた方が良い」ですし、同時に「身体 (腕が付く肩) から遠い程、ゼロから加速させるのに大きなエネルギーを必要とする」ので「振り始め、初期加速時からラケット面が身体 (肩) から遠いと加速に時間がかかる、加速が難しくなる」という点も言えます。

tennis forehandテニス 横向きの準備

これらはあくまで原則でしかありませんが「テイクバックのラケット位置はここ、身体から打点位置の距離はこの辺り」とする根拠を持っていないなら考える意味はあるかもしれません。

フォア 打点が近い

最初に「ピッチャーの投球を見れば上げた腕を引き下ろすような動作でボールを投げる事はない」という点を上げました。

腕の伸ばしてラケットを押し下げる

スイングを開始する際、上腕が肩のラインの延長上にあり、肘の角度が90度になるような状態であれば、左右の足、下半身、体重移動、体軸の前進から続く『利き腕の肩の移動 (前進)』が有効に使える。

投手 投球 利き腕肩 体軸

肩周りの関節で腕がロックされ、腕の部分でエネルギーをロスしないだけでなく、「ラケットを握る手、グリップ、前腕の位置を決める肘の位置が利き腕肩よりも外側にあることで身体や肩よりも手やラケットの速度の方が速くなる」という事を利用できると思います。

「肘が90度」と言われる状態でスイング、ラケットの加速を開始すると「肘の位置で前腕 (肘から手首)、手、ラケットのグリップ部が出てくる」のが分かります。

肩の前進で肘と前腕が前進

肩よりも上腕、肘が外側にある事に意味がある (グリップとラケットの位置)

「トロフィーポーズでは肘は90度」の話にはラケットの状態に関する情報が含まれていませんね。

イメージするのは図のような「肘が90度だから、前腕 (肘から手首)を立てて、肘の上に前腕、ヘッド側が立った状態のラケットが来る」ような位置関係でしょうか。

トロフィーポーズ

左右の足、下半身、体重移動、体軸の前進、利き腕の肩の移動 (前進)を使って強く瞬間的なラケット加速を目指す際、慣性の法則でスタート位置に留まろうとするヘッド側にスイング軌道後方に引かれた腕は、上腕が外旋し、前腕が後方にしなる状態が生まれます。

外旋

教わる通りに「薄い」グリップで握っているなら、トロフィーポーズでの状態 (手や腕がどこを向いている手首が曲がっている等の個人差) と関係なく、ラケットにスイング方向と逆向きに引っ張られる手と前腕は図のような立った角度、前腕と手が一直線に並ぶような状態になるでしょう。

serveサーブ 正面向き

上の図は「(プロレスのチョップのように) 小指側がボール方向を向く」状態です。

ただ、サーブを打つ際に「厚い」グリップで握っていると下図のように「手のひら側がボール方向を向く」状態になりやすい。その際、ダーツを投げる際のように肘が先行して、肘が曲がって前腕が畳まれ、手首が甲側に曲がるような状態になりやすいです。

厚いグリップでサーブ
darts
Photo by Proxyclick Visitor Management System on Unsplash
手首 背屈
Photo by Dima Khudorozhkov on Unsplash

肘が先行して前に出る。肘が曲がり、前腕が畳まれるとダーツのように腕の曲げ伸ばし、肘支点で前腕を起こしてラケット面を押し出すようなスイングになる。

上腕をロックさせ、左右の足から続く加速動作の連動として利き腕肩の前進がインパクト前後の「腕を振る」段階まで伝えられなくなります。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 20170703010-2.jpg上半身を捻る

両肩のラインの延長線上に上腕が位置し、肘を90度に曲げた態勢 (上腕 (肩から肘) と脇が90度、肘が90度、胸と上腕が180度) とは上腕や肘の向きも身体の使い方も違ってきますね。

サーブ厚いグリップ

肘を高く上げて「上から振り下ろす」使い方

「自分のグリップはそんなに厚くないから関係ないだろう」と思われるかもしれませんが、下のような「横向きからジャンプしつつ身体の向きを変え、両足が地面から離れた状態で肩から先の腕を前に振っていく、振り下ろすように腕を使う」サーブの打ち方はよく見かけると思っていますものです。(わかりやすいように極端に示しています)

図: ジャンプしながら身体の向きを変えて、足が地面から離れている状態で上げた腕を前に振り下ろす

ジャンプ + 腕を振るジャンプ + 腕を振る

これには「早くボール方向に向きたい。ボールを飛ばす方向に身体を向けたい。正面向きでボールに正対したい」という気持ちも混じっているでしょう。

「トロフィーポーズでは肘は90度」と言う話があるのはその状態を必要とする動作があるからでしょう。

トロフィーポーズ

根拠を踏まえないまま、言葉通りに「肘は90度だな」と形を整えているようだと「サーブは打点を高く取らないといけない」という思いから、ジャンプして身体が伸び上がった力が入らない状態、最高到達点で捉えようと腕やラケットを上に差し伸ばす、最高到達点から腕を振りおろす様な身体の使い方になるかもしれませんね。

ジャンプ 腕を振るserve
腕の伸ばしてラケットを押し下げる

サーブに縦回転をかける

速度を上げるならストローク同様に縦回転が必要だ

「サーブの基本はフラットサーブだ」と言われますが「ストロークの基本はフラットだ」と説明するコーチはまず居ません。(居られたら「変わった人だな」という感じでしょう)

「ストロークとサーブでは打点の高さが違う。入りやすさが違う」と言われるかもしれませんが、計算上「身長2mでも無回転のサーブを入れるのは困難だ」と考えられるので「相手に良いリターンをさせない」という目的のためにサーブ速度を上げるのであれば、ストローク同様に「順回転をかけて打つ」事が求められるのだと考えます。

フラットサーブ 打点の高さ

同時にそれは「スピンサーブを打つ」のではなく、初心者が教わるストロークのように「打つだけで自然とトップスピンがかかる打ち方」である事が望ましいでしょう。(見聞きする『スピンサーブの打ち方』が回転を重視する余り、難しい打ち方になっているのは皆感じる所でしょう)

ゴリゴリのワイパースイングで速度の遅い山なりのトップスピンのボールを打つのではない。ある程度速度を維持し、安全な軌道でネットを越し、意図通りの距離で相手コートに収まる「ナチュラルにかかる程度の回転」で良いはずです。

Wiper Forehandfederer forehand stroke

スライスサーブは横回転?

「スライスサーブは横回転をかける」と言われますが、人の身体の構造上、手や腕よりも上にあるボールで触れやすいのはボールの下側だと考えています。

ボールの下側を打つスライスサーブ

仮に、言われる通りに「ボールの真横」を打つなら、前腕とラケット角度が必要です。腕とラケットが1直線に近い状態のインパクトではボールの横は触れにくい。ボールの下側が先に当たるでしょう。

また、ラケット面でボールの上側を触るには手っ取り早く「打点を落として上から叩き落とす」ような打ち方が必要になると思います。

腕とラケットの角度ボールの上側をラケット面で触る

人それぞれサーブの打ち方はあるでしょうが、案外「ラケット面でボールの『斜め下』を触る、横回転 + 斜め上に少し押し上げられる軌道のスライスサーブを打っている」事が多いのかもしれません。

大まわりな軌道のスライスサーブボールの斜め下を触る

軌道も上がり、ボールは曲がるので、サーブとして成立しますが、速度を上げていこうとするなら「横回転だとコントロールが効かない」問題が出てくるでしょう。

浮き上がった分は回転ではなくラケット面で押し上げられたもの。これは主に “重力” 頼みで落下します。重力が発生する地面と垂直方向に近い『縦回転』だから飛距離をコントロールできる

ストロークでスライスを打つ際、ボールの下側を「切り過ぎる」とボールは前に強く飛ばず上に浮いてしまうのと同じでボールの飛距離や方向をコントロールするにはラケット速度とボールにガットがしっかりと噛む状況が必要でしょう。

あくまで個人的にですが「スライスサーブは『横回転』と言われるが、相手に良いリターンをさせないためにボール速度を高めることを考えるなら (スライスサーブに限らず) 縦回転がかかる打ち方を基本・前提として考えるべきではないか?」と思うのです。

どういう状態なら縦回転がかかるのか?

ラケットには基本、中心軸と同じ角度でストリングスの縦糸が、縦糸に90度で交差する角度で横糸がそれぞれ張られており、長さは縦糸 の方が長いです。一般的には「ラケットでボールを打つ」と言いますが実際にボールにエネルギーを与えるのはこれらのストリングスとなりますね。

ラケット ストリングス

トップスピンをかけてストロークを打つ事を考える際、インパクト前後において、ストリングスの横糸と “スイング方向” が一致した際、横糸と90度で交差する縦糸は最も可動しやすくなり、ボールの負荷でズレる

教わるように後ろから前へ「ボールの下側から上側に抜けるようにスイングする」なら、ボールの下側に偏った本数で縦糸が多くかかる状態が生まれます。

ガットがズレ偏って回転がかかるラケット面とスイング軌道

よく聞く「ズレたガットが戻る際に回転がかかる」話が正しいかは別にして、野球では、かける中指と人差し指の間隔が狭い方がキレイな逆回転(ストレート/4シームは逆回転) がかかるそうです。逆に指の間隔が広いと回転量が減る。これらが「ボールの一方に偏って力がかかると回転がかかりやすい」と考える根拠になってきます。

野球 ボールの握り方

どうやって実現するかは別にして別にして、サーブのインパクト前後で、ストロークにおけるこのようなインパクト、つまり「より長さがあり可動する縦糸がボールの一方に偏ってかかる」「ボールの下側から上側にラケット面が抜ける」状況が作れれば「サーブでも縦回転 (順回転・トップスピン)がかかる」といいう物理現象が起こせるという理屈になりそうですね。

前述したように、それは「スピンサーブを打つ」のではなく、初心者が教わるストロークのように「打つだけで自然とトップスピンがかかる打ち方」である事が望ましいです。

前腕とラケットの角度という話

「プロを見ると前腕とラケットには角度が付いている。腕とラケットが一直線にはなっていない。この「角度をつける」のがサーブのポイントだ」という話を聞く事があります。

serve

ただ、腕の構造上、前腕 (肘から手首まで) の先に手がまっすぐ付いているので、普通にラケットを握れば前腕とラケットに角度が付く状態が自然です。逆に、前腕とラケットが1直線になるよう手首を無理やり伸ばすような状態の方が不自然です。

ラケットを手に持つラケットを手に持つ

利き腕肩の前進を使い、左右の足から続く加速動作の連動をインパクト前後の「腕を振る」段階まで繋げようとすれば、上腕 (肩から肘まで) と肘は両肩のラインの延長線上にある状態、腕と肘が (身体の前ではなく) 身体の外側に位置する状態がエネルギーを伝えるのに無駄がありません。

その際、強い初期加速、慣性の力でその場に残ろうとするラケットの関係で、上腕は外旋し、前腕がしなる状態になります。サーブを「薄い」グリップで打つなら、小指側からボールに向かう向きに前腕と手は向いています。ただ、このままではラケットは小指側のフレームからボールに衝突する事になり「ラケット面、ストリングスでボールを捉えられない」です。

肩の前進で肘と前腕が前進

結果、左右の足、下半身、体重移動、体軸の前進、利き腕肩の前進と続いた初期加速のエネルギーを使い果たした腕や身体を遅れた加速したラケットヘッド側が慣性の法則により直進性を得て追い越していき、追い越した後もラケットはボールを捉え、ボールを打った事と関係なく、慣性による直進性に降りそのまま前に進んで来ます。(最終的には手や腕に遅れて前進のエネルギーを使い果たし、減速し、フォロースルーに至る)

serveserve

※慣性の直進性により勝手に前進していき、勝手に減速する。フォロースルーの状態や位置が不自然に感じるならそれは「ボールを打つ前、加速段階に起きた事が原因」でしょう。それを修正せず、後付けでフォロースルーを作る事に大した意味がないと思います。

ラケットが手や腕を追い越した事で、手や腕を後方に引っ張る負荷がなくなる。且つ、慣性の直進性により手や腕を追い越した後も進んでいくラケットの動きもある。これらに合わせて「ラケットのインパクト面をボール方向に向ける」動作を取る。それがよく言われるプロネーションですね。

サーブ プロネーション

そのままだとフレーム側からボールに当たるから面の向きを変えているだけ。あくまで私の考えですが「プロネーションがサーブの威力を上げる」という話とはだいぶ違うと思います。

(威力が上がるその根拠は何だろう?)

因みに「ラケットと腕 (前腕) が一直線になる」状態で前腕を捻ってプロネーションが起きてもラケットの中心線を軸のラケット面が左右対称にくるくると回るだけです。

述べたように「ただ普通にラケットを握っただけ。前腕とラケットに自然と角度が付く状態」だからこそ前腕の周り50cmの円軌道でラケットのインパクト面が動いてくる事象が起きます。

回転軸と物体の動き
プロネーション?サーブ プロネーション

後、上で「『スライスサーブの打ち方』言われる通りに「ボールの真横」を打つなら、前腕とラケット角度が必要だ。腕とラケットが一直線だと腕の構造上、手や腕より高い位置のボールで触れやすいのはボールの下側になる」という話をしました。

腕とラケットの角度大まわりな軌道のスライスサーブ

この「ストリングスを使ってボールに回転をかける」話は「普通にラケット握ったら前腕とラケットには角度が付くのが普通」という話、「インパクト面をボール方向に向ける」という話等に全て繋がってくると思います。

ピッチャーが投げる直球は逆回転という話

「ボールを投げるような動作 (投球動作・投てき動作) はサーブを打つ動作と共通性がある」という話を聞きますね。私も同感で今回のサーブについて考える際に参考にしています。

ただ、気になるのが「ピッチャーが投げる直球 (ストレート / 4シーム) は『逆回転』がかかったボールだ」という点です。

野球ボール 逆回転

左右の足から下半身、体重移動、体軸の前進、利き腕肩の前進と繋げていった『前』へのエネルギーをボールに伝えるまでは同じですが「(直球なら) リリースポイントを前に取って指からボールが離れるギリギリまえ逆回転をかけて投げる」というやり方です。

ピッチャー

昔から「ボールを投げる際のリリースポイントは出来るだけ前に取れ」という話は聞きます。ボールを離す位置を前に取ればリリース位置からバッターまでの距離が短くなる。バッターはボールを速く感じるし、飛んでいく中での減速度合いを小さく出来る。変化球なら「バッターの近くで曲がり始めるので変化球だとばれない」等の利点があるためです。

ただ、最近、MLBが先行する様々なスポーツ理論が入ってくる中で、(あくまでイメージ的な表現ですが)「ボールは頭の横、耳の横辺りでリリースする」と話す元プロ選手等が多くなってきた印象です。

MAX147kmロッテの中継ぎ投手のガチ投球!速すぎてミット貫通。

MLBはバッターの手元で小さく変化するストレートを投げる投手が殆どです。キレイな逆回転がかかった直球 (4シーム) を投げるのは一部の日本人投手位だったりします。

左右の足や下半身、身体の力 (利き腕肩の前進含む) を使ってリリースする前にボールの速度を上げて来ているのなら、逆回転をかけるには適さないかもしれないがその前進力が消費し終わった「出来るだけ前」でリリースするよりも、身体の力による加速度が落ちない身体の近い位置でリリースした方がボール自体には “より多くのエネルギーを” 加えられると考え方だと考えます。動画の中でも元プロのお二人は「力が入る所で投げる」と繰り返し言われています。

baseball pitcher

サーブで使いたいのは逆回転ではなく順回転 (トップスピン)ですから、同じ考え方に基づくと「サーブの打点を身体よりも前に遠く取る」のは適さないかもしれないですね。

確かにトスを身体よりも前、相手コート側に上げて、正面向きの状態でまっすぐ前にラケットを振っていくスイングだと打ち上げるか、打ち下ろすかの軌道になりそうな気がします。(個人の考えです)

縦に振るサーブ厚いグリップで逆回転サーブボールの上側をラケット面で触る

ストロークでトップスピンをかけるようなインパクト前後のこういうラケット面の状態は難しいでしょう。

ガットがズレ偏って回転がかかる

「擦る」のか「叩く」のかという話

サーブを打つ際、ラケット面 (ストリングス) でボールを捉え、回転をかけるという表現に「ボールをストリングスで擦る」といった表現と「ラケット面が当たる瞬間に合わせてラケット面でボールを叩く」といった表現があると思います。

テニスにおいてサーブは最も速度が速いショットだと思います。ボールが持つエネルギーを反発させる手段を使えない以上「全てのショットの中でインパクト前後のラケット速度が最も速い」と言っても良いかもしれません。(自分で上げた速度の遅いトスを打つから『当たり損ない』によるロスが限定されるという面もある)

ボールとラケットが接触するインパクトは0.003~0.005秒。人の反応速度は0.2~0.3秒だから「我々はインパクトの瞬間を認識し、これに操作を加える事はできない」と書きました。

「当たる瞬間に合わせて操作する」「打点で (打点から) 何かラケットの操作をする」と考えるのは無理があるから、慣性の法則により勝手に直進しようとするラケットの特性を利用する方が再現性高い、安定したスイング軌道も手に入りやすい。

インパクト前後のラケット速度を時速120km、インパクト時間を0.004秒とすると「ラケットとボールは接触してから (ボールが潰れ、復元しつつ離れるまで) 約13mc程、接触状態で前進している」という計算になる。ラケットが持つエネルギーの内、ボールの飛びや回転に使えるエネルギーは一部 (素振りをしても実際にボールを打ってもスイングは変わらない) なので我々は「スイング開始から終わりまでの間にインパクト前後を含めた 13cm +α のボールが接触する幅、ゾーンがある。点でなく線の中でボールを捉え、ボールが勝手に飛んでいっているだけ」と考える方が実施に起こっているであろう事象に近いイメージを持てる気がします。

ショットの中で最もインパクト前後のラケット速度が速いであろうサーブ。我々はインパクトの瞬間を認識してこれに操作を加えることはできない。サーブに必要な順回転をかける事を考えるなら「打点は身体から前に遠く取りすぎる」のはマイナスかもしれない。(前過ぎるとラケットは加速のエネルギーを使い果たした状態で当たる)

これらを考えると、あくまで個人的にですが「ボールとラケットが当たった瞬間にラケット面、ストリングスでジョリっと (ゴリッと?) 回転をかける、ボールを擦る」というイメージより「(実際には操作できないのでインパクト前の準備動作として) インパクトの瞬間に効果的にエネルギーが伝えられるようにラケット面でボールを「叩く」」というイメージの方がしっくり来るかなと思いました。

擦って回転をかけるってどうしても「ボールの表面を撫でる。強く当たっていない。スイング速度が遅い。ラケットを速く振れている状況ではない」といった印象を持ってしまいます。

重心低く地面を強く踏める態勢。高くない打点でシンプルな準備。加速が収まらない内に打つ

「高く上げたトスが落ちてくるのを待つためにトロフィーポーズで長い停止状態を取る」。或いは「ボールを打つまでの準備が間に合わないからトスを高く上げて時間を稼ぐ」に積極的に賛成する理由はないでしょう。

serve

「必要のない動作を省き動作をシンプルにすれば、長い完全停止状態を作る必要がない」からです。

serve

身長2mでも無回転のサーブは入らないから「最高到達点でサーブを打つ」みたいな話は根拠が疑問だし、「身体の回転で打つ。捻って戻したパワーでサーブを打つ」も本当に必要でしょうか。回転運動よりエネルギーを加えたい方向への直線的な加速の方が簡単で効果的なのは述べました。上のサンプラスさんの打ち方はまさに「高くないトス、シンプルな準備、足や下半身で指導したらすぐに打てる」感じです。(プロを見ても「高くトスを上げる」選手は「サーブが武器」であってもそのサーブ自体に問題を抱えている印象を持ちます)

(繰り返しになりますが、専門家やコーチ等ではない私が考えるサーブ動作として) これまで述べてきた「左右の足の力、地面からの反力、下半身の力、体重移動、体軸の前進、フォアハンド側であれば利き腕肩の前進」を使って、インパクト前後の「腕を振る」段階以前に「サーブを打つ、ボールを飛ばし、回転をかけるのに必要なラケットの加速と慣性による直進性を得る」という事。わざわざ「正面向きになった状態になってから、腕を一生懸命に振ってボールを飛ばそうとする」必要がないサーブ動作を行いたいとすれば、

  • ボールにエネルギーを加えたい方向はまず打点位置から『前』に向かってなのに『上』にジャンプして重心が高く身体が伸び上がった状態を作らない。(地面が強く踏めない状態では身体や腕に力は入らない)
  • 上腕や肘は両肩のラインの延長上にあり、肩よりも上に上げない。肘の角度が90度にし、肘が曲がる、前腕が倒れる状態にしない。加速動作中の肩から肘、前腕、手、ラケットまの距離を保つ。
  • 身体の動作により遅れて加速を始めたラケットが加速エネルギーを先に使い果たして前進が止まった身体や腕を追い越し、慣性の直進性で更に前に進んでいこうとする。「ラケットを握った普通の状態」である前腕とラケットの角度を維持しつつ、ラケットの前進に合わせて「インパクト面をボール方向に向ける」プロネーションを行う。
  • ラケットは「ヘッド側が真上を向いた立った状態で腕と身体が一直線になるよう前にまっすぐ縦に振る」のではなく、利き腕肩の前進に合わせて加速をし、慣性による直進性を使ってプロネーションを行う事で前腕の周りをグリット大きく回る軌道を描く。身体とラケットの動きは複数の軸を持つ複合的な3次元軌道になる。
  • 前腕とラケットに角度がある状態でラケットが前進してくる。ストロークでトップスピンを打つ際のようにストリングスの縦糸がボールにかかり、ボールの負荷でボールの一方の端に偏ってかかる。ストリングスを通してボールにエネルギーが伝わり、前に向けての飛び(速度)とネットを越す軌道とサービスボックスに収めるための飛距離の調整を果たす順回転 (縦回転・トップスピン)がかかる。ラケットもトップスピンがかかる要素であり「ボールの下側から上側に抜ける」がスイングするだけで自然と行える。

という感じでしょうか。

例えが古いですが、エドバーグさんのサーブはまさにそんな感じでしたね。

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科学素材製になったとはいえ、現代から言えば全然飛ばない (= ボールに伝える際の伝達ロスが大きい) ラケットです。体格も現代のプロからすれば大きくはない。近い年代で活躍されたサンプラスさんもそうですが、身体の仕組みや機能をうまく使って道具に頼れないサーブを打つ際のエネルギーの発生について工夫されていたのかなと思っています。

逆に現代のプロでこういった大きな運動連鎖の中でボールを打っている選手は少ないでしょう。現代の道具ならもっとコンパクトな打ち方はできそうですが考え方として参考にできると思いますね。

左右の足が地面から得る反力を使い、下から順に動作を連動、『前』へのエネルギーを伝えていく

フォアハンド 体重移動

伸び上がらず、足の力を「前」へ伝える工夫

サーブ 体重移動
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誰もが同じように持つ身体の機能や仕組みを使い、ボールを飛ばし回転をかけるために効果的なエネルギーの発生を目指す動き。打つだけで自然とトップスピンがかかる理屈

サーブ 体重移動利き腕肩の前進
サーブ プロネーションガットがズレ偏って回転がかかる
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