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サーブを打つ際「ラケットを “上に” 振っていく」という話を考える (テニス)

サーブ トロフィーポーズ

このブログはWordPressで構築していますがVer.5.0から標準エディタが「Gutenberg(グーテンベルグ 」というものに変わりました。慣れていくためにこのGutenbergの使用を始めています。以前と表記や文字表現等が違っている点、ご了承ください。

今回のブログは、私の「こういう運動を用いてサーブを打ちたい」という最近の考えに基づいて述べています。私は専門家やコーチではないし、「こんなの正しくない」と思っていただいても全然構いません。個人的に「自分のテニスを上達させるのは結局自分自身。コーチや周りの人達ではない」と考えており、テニスへの理解を深めるためには (多くの方には有用でなくても) 異なる視点からの色々な情報があるのが望ましいと思っています。どこで聞いても同じ内容。だからそれが『正解』と言ってしまうのはちょっと嫌です。

テニスの『常識』の類に対する疑問

テニスでは『常識』に近い認識をされている話がいくつもあります。「グリップは厚いほど強いボールが打てる」「体重移動をして打たないとボールに打ち負ける」「ラケットの標準は100インチだ。95インチだとボールが飛ばない」「ズレたストリングス (ガット) が戻る際に回転がかかる」等々。

そして、最近、私が考えているのが「サーブを打つ際はラケットを “上に” 振っていく」という説明についてです。

サーブ 上から見た図

どういう点が気になるのかを今回、書いてみようと思います。

※今回の話は「サーブはこう打つべきだ」と言いたい訳でも、教わる『サーブの打ち方』を否定するつもりでもありません。疑問に思う部分があるなら考えてみようという事です。

よく見るサーブ動作1「上にジャンプし、その方向に振っていこうとする」

よく見かけるサーブの動作には次のような要素があると感じています。

1. 膝を曲げ姿勢を下げた状態から垂直方向に「上へ」ジャンプしていく

サーブ トロフィーポーズサーブ トロフィーポーズ

これは、ボールがある真上方向にジャンプする中でラケットもジャンプと同じ方向 (上) に振っていこうとする動きですね。

まず「高い打点で打つ方がサーブは入りやすい」とは言いづらい

サーブにおいてよく言われる話に「打点はできるだけ高く取るべきだ。打点が低いとサーブは入らない」といったものがあります。

ただ、コートの大きさ、ネットの高さから計算すると、空気抵抗や重力等の諸条件を無視するとしても「”身長2m” の方が無回転のサーブを入れるには、センター to センターの最短距離 (ネットが一番低い) コースでも『ネットの上、10cm程の空間』 を “必ず” ボールが通過しなくてならない」という結果になります。

フラットサーブ 打点の高さ

身長180cmの方が20cmジャンプしつつ、毎回、この精度でサーブを打つのは不可能でしょう。それより身長が低いなら同じ打点の高さから打つ事自体が難しいかもしれません。

結果、我々が「積極的に回転をかけない」という意味で使う『フラットサーブ』は空気抵抗や重力により落下する事で “たまたま” 入っているのだろうと考えられます。それなりに「入れる」自信があっても速度を上げれば精度は下がるでしょう。

だから、個人的には、ストロークがそうであるように、サーブでも「ボールを打ったら勝手にトップスピンがかかる」打ち方をすべき なのだろうと思っているのです。

「サーブの基本はフラットサーブだ」と言われますが「ストロークの基本はフラットだ」という方は居ませんね。どちらもベースライン付近からネットを越す距離、コースで打つショットなのにです。(ストロークにトップスピンが導入された30年近く前、サーブにも導入すべきだったのに「ストロークでトップスピンを打つ」変化のインパクトが大きすぎて『サーブの打ち方』に目を向けられなかったと考えています)

「ストロークとサーブでは打点の高さが違う」と言われるかもしれませんが「成人よりはるかに背の小さいキッズ達が打つサーブは全く入らない」なんて事は無いし、我々も「ネットを越してサービスボックス内に収まるストローク」をベースラインから打つ事がそこまで難しい訳ではないですよね。

では「サーブは出来るだけ高い打点で打つべきだ」という根拠はどこにあるのでしょうか?

※もちろん、腕を縦に振るオーバーヘッド系スイングを用いるので「腕が下がってしまう」ほど低い打点で打つのは運動効果を低下させます。ただ、ここで言う「サーブが入らない」とは関連しないでしょう。

サーブにおいて『ボールがバウンドする高さは落下開始時の高さに関係』します。1mの高さから自然落下してきたボールが2m弾む事はないが5mの高さから落下してきたボールが2m弾む事はあり得る。

(スマッシュ等は垂直方向、下向きへ強くエネルギーを加えられる、前進させられるから重力による自然落下以上のバウンドの高さを作れるがサーブ全般『垂直』方向より『水平方向』への移動の方が強いのでバウンドの高さはまず「重力により自然落下」による)

身長が高い方が打つと「サーブに角度がある」といったりしますが、打点の高さが『自然落下』によるバウンドの高さに関係する事はあり得ます。

(スピンサーブも同様で、弾む高さを決めるのは『軌道の高さ』。回転量は落下する角度をより垂直方向に変えて自然落下を助けるがバウンドの高さを決めるにはエネルギー量が弱すぎる。速度は「バウンドした位置で止まらない前進力」に繋がる)

「回転をかけるために “上に” 振る。そのためにジャンプする」という話

その根拠や理解は様々でも、我々は「サーブはジャンプしながら打つものだ」と思っています。プロを見ても「ジャンプしながら」サーブを打っており、「サーブを打つ際にはジャンプする」と言われて誰も疑問に思わないでしょう。

tennis serve

『サーブを打つ際にジャンプ理由』には「ボールに回転をかける」というものもあるでしょう。ストロークでも「ラケットを上に振る事でトップスピンがかかる」というのは皆の共通認識ですね。

普段、言われる事がありませんが、サーブに必要な回転もストロークと同じ『順回転 (トップスピン)』だと考えます。これはスピンサーブに限りません。

順回転のボール

『逆回転』をかけてサーブを打つ方も居ますがストローク同様、逆回転は「少ないエネルギーで距離が伸びやすい」回転であり、サービスボックスに収めつつ速度を上げるには『順回転』が必要です。

「スライスサーブは横回転」と言われますが、横回転で速度を上げていくとサービスボックスに収まる距離で打てなくなります。

つまり「速度を上げない代わりに横回転で打つ」という理屈。プロは『縦回転がかかりつつ曲がるスライスサーブ』を多く打ち、効果的に使っていますね。

また、サーブには『スピンサーブ』と呼ばれるものがあり、ストローク同様、サーブでも「スピンをかける」事は我々の強い関心を呼びます。

281000 - Wheelchair tennis David Hall serves - 3b - 2000 Sydney match photo
Australian Paralympic Committee, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

ただ、個人的には「スピンサーブを打つ」等の「回転を加える」という話と「サーブの速度を上げるとサービスボックスに収まらなくなる」という話が一緒くたにされている気がしています。

前述したように「打点を高く取ることでサーブの入る確率を上げる」という話に具体的な意味はないと考えられるし、我々が言う『フラットサーブ』が重力や空気抵抗で “たまたま” 入っているだけなら「全てのサーブはトップスピン回転をかけて打つ」と考えるのが妥当なのではないかと思うから。

これは「トップスピンをかけてストロークを打つのが基本」と同じ理屈です。回転をかけたい、弾ませたいと言っても下図のような極端な軌道でサーブを打ちたい訳ではないですよね。

ボールが飛び、回転がかかるのは物理的な現象でしかない

私は「ボールが飛び回転がかかるのを物理的な事象」であり、

ボールの質を決めるのは

  1. ボールに伝わる『エネルギー量』
  2. ボールへの『エネルギーの伝わり方・伝わる方向』

の2つだと考えています。

飛ばしたい方向にまっすぐ進める

そして、ボールが飛び回転がかかるために用いられるエネルギーは

  1. 重量と速度を持って飛んでくるボールが持つエネルギーを反発させる
  2. 自ら加速させたラケットが持つエネルギーをボールに伝える

の2つがあると考えています。

テニス ボールを飛ばすエネルギー

ボレーは「準備時間が短い」「飛んでくる距離が短くボールのエネルギーが残っている」「飛ばす距離が短い」状況で使うからボールのエネルギーを反発させる事に集中した方が望む結果に繋がりやすいショット。(だから「ボレーは振るな」と言われる)

逆に、サーブは「自らトスしたほぼ速度ゼロ。エネルギーを持たないボールを打つ」ので自ら加速させるラケットのエネルギーが重要なショットです。

エネルギー量は『1/2 物体重量 x 物体速度 ^2 (2乗)』で表せます。

手に持つラケット、打つボールの重量は固定なのでインパクト前後のボール、ラケットの速度が速いほどそれらが持つエネルギー量は大きくなる。

同時にボールが持つエネルギーの反発、ラケットが持つエネルギーの伝達に『伝達ロス』を発生させるのが『1. しなる・歪む・たわむなど道具による発生するロス』と『2. 当たり方によるロス』です。

(伝達ロスなく100%エネルギーを伝える事はない。素振りも実際ボールを打とうとスイング自体は大差ないし、ボールを打った瞬間ラケットが急に減速なんて事も起きない。ボールに伝わるエネルギー量は全体のごく一部でしかないということ)

「ボールが飛び回転がかかるのは物理的な現象でしかない」し『ボールに加わるエネルギー量』と『加わる方向性』がボールの “質” を決めると考えるなら、相手コート方向 (前) に飛ばすためボールにエネルギーを加える方法は「1つ」ではないです。(分かりやすい例が『フォア』と『バック』)

「正解の打ち方を教えて!!」と強く望むのに同じ指導を受けても皆打ち方が違うし、道具の進化により簡単にボールが飛ぶのでどんな打ち方でも最低限テニスが出来てしまうプロですら皆打ち方が違う。再現性や運動効率の面からそれが望ましいかは別として『サーブの打ち方』は何でもアリになっています。

ただ、『正解の打ち方』に拘り見た目や『形』を重視する事で『物理的な現象としての『ボールの飛び』を左右するインパクト時の条件・状態』を意識できなくなっているのは勿体ないと思っているのです。

スイングする第一の目的は「ボールを遠くまで飛ばす」ということ

よく『厚い当たり』『薄い当たり』と言われますね。

個人的には「ボールを飛ばすためにエネルギーを加える方向とラケット面、スイング方向の角度差が小さいのが厚い当たり。角度差が大きいのが薄い当たり」といった言い方ができるかなと思っています。

スイング軌道と回転
飛ばしたい方向にまっすぐ進める

薄い当たりが度を越せば『かすれた当たり』になります。

  • ボールの質を決めるのは『1. ボールに伝わるエネルギー量』と『2. ボールへのエネルギーの伝わり方・伝わる方向』である。
  • ボールを飛ばし回転をかけるために我々は使えるエネルギーは『1. 速度と重量を持ち飛んでくるボールが持つもの』『2.自ら加速させたラケットが持つもの』がある。
  • ボールが持つエネルギーの反発、ラケットが持つエネルギーの伝達に『伝達ロス』を発生させるのが『1. しなる・歪む・たわむなど道具による発生するロス』と『2. 当たり方によるロス』である。
  • 我々は「相手コートの決められたラインが示す範囲にボールを飛ばし1度、着地させなければならない」

これらの事を考えると「相手コートに向けて水平方向に遠くまで飛ばすエネルギーの伝達 (エネルギー量と伝える方向性) を損なってまで『上に』振る事で回転をかけようとする」意味は薄いと思うのです。

ストロークの例になりますが「ラケットを振り上げて回転をかけている」印象があるナダル選手も体をやや後傾 (背中側に傾ける) させているだけで体の回転軸に対しスイング軌道は90度、フェデラー選手のスイングとほとんど変わらない。まさに「厚い当たり」のままスピンをかけているのです。

federer forehand stroketennis nadal forehand stroke

野球のピッチャー、やり投げ選手は “ジャンプしながら” 投球、投てきしない

唐突ですが、野球のピッチャーや陸上のやり投げ選手が「ジャンプしながらボール、やりを投げる」というシーンは想像できません。

Delivering Pitch

左右の足で地面を踏み得られる『反力』が動作の前提となる

我々は左右の足で地面を踏み、同じ強さで押し返される『反力』を利用して、立ち、態勢を維持し、移動するエネルギーを得ています。トランポリン、水面への飛び込み、何でも良いですが「両足が地面から離れた状態、体が完全に空中にある状態から “強い動き” を開始する事が困難」という事は分かりますね。

両足が地面から離れた状態

ジャンピングスローも「飛んだ状態から投げる」訳ではない

内野手のジャンピングスローを考えれば「普通に投げる方向へ踏み込みつつ」投げるより、球速、安定感は落ちるでしょう。そもそも「地面からの反力が動作の前提になる」都合上、「ジャンプした状態から送球動作を開始する」のではなく「両足が地面に着いている状態で送球動作を開始し、最終的に左右の足が地面から離れる」と思います。

野球の送球

ボールにエネルギーを加える動作の結果としてジャンプが起きる

サーブの話に戻すと、そして送球動作、投てき動作の例を考えれば「ボールが飛ぶ (主)」エネルギーを発生させるために必要な運動を行い、その結果『ジャンプという事象が発生する」と考える方が妥当そうです。「そのエネルギー発生にジャンプは必要なのか」という点を明確にしていかないとエネルギー発生のためではなく「ジャンプするのが目的」なサービス動作になる「打点を高く取って入る確率を上げる」ためにジャンプするのはまさにこれに該当する感じです。

よく見るサーブ動作2 「まず『正面向き』になり、そこから腕を振ろうとする」

よく見かけるサーブの動作に次のような要素もあると感じています。

2.「まず目標方向に対して『正面向きになり、そこから腕を振ろうとする」

サーブ トロフィーポーズサーブ トロフィーポーズ

「ボールを飛ばす方向、目標方向に対して早く体を向けたい」といった気持ちが出ているのでしょう。

スピンサーブを打つ際「打ち終わるまで横向きを保て」と言われます (理由はここでは述べません) が、この「早く目標方向に身体を向けたい」意識が邪魔して、言われるような打ち方にならない事が多いです。

ラケットの初期加速

正面向きの状態からだと「腕の力で飛ばす」事になる

体が目標方向に対し正面向きになった状態からだとどうしても「腕を振る」エネルギーを中心にボールを飛ばす事になります。

肩の前で腕を振る腕の伸ばしてラケットを押し下げる

よく「腕の力は弱いから身体全体を使ってボールを打て」と言われる訳ですが、ボールを打つ際、ラケットはある程度 “加速済み” であり、慣性の法則で「加速したラケットはその直進運動をし続けようとする」事もあって、この「腕でラケットを振っている」問題点を本人は自覚しづらいと思っています。

ラケットのスイング軌道

フォアハンド側の特徴は『利き腕肩の移動幅』が使える事

決まりがある訳ではありませんが、サーブにおいては『フォアハンド側のオーバーヘッド系スイング』を用いる事が前提になってきますね。

バックハンド側に対するフォアハンド側の特徴は『ラケットを持つ利き腕肩の位置変化』と『身体の中心に向けて曲がりやすい、捻れやすい腕の機能』を使えるという点だと考えています。利き腕肩の位置が準備段階からインパクト前後まで身体の前側にあり変わらない、フォア側ほど腕を柔軟に使えないバック側は打点の位置がかなりシビアになります。(だからバック側を苦手に思う)

federer forehandbackhand

この『利き腕肩の位置変化』は打点に対する柔軟性を得られる他にフォアハンド側ショットの『ラケットの初期加速』においても大きな意味を持ってきます。上図を見ても分かる通り、身体の構造上「バック側とフォア側で同じ身体の使い方でラケットを加速させる」という事が出来ません。

初期加速は『体重移動』と『利き腕肩の位置変化』で起こす

サーブを打つ際とはルール上の動作的制約が異なりますが、野球のピッチャーが投球する動きを考えると手に持つボールの初期加速を生むのは『体重移動 (体軸の前進)』『利き腕肩の位置変化』の影響が大きいと考えます。

投手 投球
投手 投球

「腕を振る」というのは、他の部位によるボールの加速ありき、慣性の法則でボールが直進していこうとする動きありき。回転やコントロールのための動作であっても「ボールを遠くまで飛ばす」効果は薄いでしょう。

ボーリングも同じような事が言えますね。ボールの加速を生むのは助走、体重移動であり、レーン前に止まって腕を振って投げる様子と比べればボールの威力差は明白です。

ボーリング

サーブに限りませんが、テニスのおけるラケットの初期加速も同じような事が言えると思っているのです。

forehand strokeserve

ラケットの長さを忘れてない?

物体であるラケットには慣性の法則が働き、止まった状態ではその場に留まり続けようとし、速度を与えられるとその直進運動をし続けようとします。

ラケットは手に引かれてグリップ側から動き始めますが、その場に留まり続けようとするヘッド側はグリップ側を進行方向真後ろに引っ張りつつ、留まろうとする力より進む力の方が強いので真後ろから追従していきます。その結果起きるのが『ラグ』と言われるヘッド側の遅れ、手首部の背屈や『ラケットダウン』と呼ばれる現象だと考えています。

ラケット慣性の法則ラケット慣性の法則

テニスはラケットを使ってボールを打つルールであり、ボールを打つラケット面の中央付近はグリップエンドから53cmほど先にあります。

慣性の法則により直進性もあり、遅れて加速を始めたヘッド側は初期加速のエネルギーを使い果たした手や腕、グリップ側を追い越し、更に前進していこうとします。

サーブに用いるオーバーヘッド系スイングであれば「ボールを捉えるインパクト点 (ラケット面中央付近) は手やグリップ側よりも53cm上に移動してくる」理屈になります。

慣性の法則とスイングにより「ラケット面は勝手に50cmほど手よりも上に上がっていく」。

ここが

ジャンプしてまで「ラケットを上に振っていく」意味は?

と私が感じる部分です。

(大きくラケットを動かせば回転をかけるイメージは得やすい。でもボールとラケットの接触時間は0.003~0.005秒しかない。「その動きのせいで前に向けて発生させるエネルギーが減ってない?」と)

サーブ トロフィーポーズサーブ トロフィーポーズ

上のフェデラー選手のサーブを見ても『前に』向けてエネルギーを発生させる動きに感じますね。

中心から遠い物体の方が速い

なお、「同じ時間で同じ角度移動する場合、円軌道の “中心から遠い” 物体の方が速度は速い」です。これはおなじみ『距離 = 速さ x 時間』の法則ですね。

円運動の半径と移動距離

つまり「ラケットの先端に近い方が速度は速い」という事。これが「ラケットの先の方で打った方がボールの威力が上がる」の一つの根拠だと考えています。

※ただし、より長い距離を移動するためより多くのエネルギーを消費します。ヘリコプターのローターが動き出す際、遅いのはそのため、慣性の力が働き直進性が増すまで時間もかかります。だからテニスのスイングで言えば「グリップ側は身体から離れた位置にセットしない」事でヘッド側の加速しづらさをカバーしています。(ラケットはグリップ側から引かれて加速を始めるので)

結果、この慣性の法則により「ヘッド側が遅れる、追い越す」をうまく使えないスイング、腕とラケットが一体になって動くようなスイングではラケット速度が上がらない。ボールの速度や回転量も増やせないという事に繋がってきます。(というか、初期加速が強いほど慣性の力も強まる。「ヘッド側が遅れる、追い越す」を実感できないなら「初期加速が弱い」身体の使い方なのだろうと思います。時速300kmで前進するラケットを「手や腕で操作する」なんて出来なさそうでしょう。)

サーブ動作は『体重移動』と『利き腕肩の位置変化』による初期加速を使いたい

上で上げたよく見かけるサーブの動作に次のような要素の「まず目標方向に対して『正面向き』になり、そこから腕を振ろうとする」例ですが、

サーブ トロフィーポーズサーブ トロフィーポーズ

正面向きから前に振っていこうとすると、自然と「腕の動きで振る」という事に繋がります。

腕の伸ばしてラケットを押し下げる

利き腕の位置変化、その移動距離を活かせないから「トロフィーポーズにおける肘の角度は90度」等と言われるのだと思います。

上半身を捻る

ピッチャーの投球動作の例で述べたようにボール (テニスならラケット) の初期加速は『体重移動』『利き腕肩の位置変化』をうまく使いたいです。

投手 投球
投手 投球

クニヨシTV 動画後半 150km投げる投手のお話 (4’49~)

また、ボールとラケットは0.003~0.005秒しか接触していないと言われていますし、我々の反応速度は速い人で0.2~0.3秒と聞きます。結果、「インパクトの瞬間を認識し、これに操作を加えることはできない」でしょう。

だから「打点で何かする」「打点から何かする」のは実質的に不可能だと思います。

インパクトに影響を与えられるのは唯一「インパクトまでにしたこと」であり、「打点で」「打点から」ではなく初期加速とインパクトまでの段階をもっと重視したいです。

スイングする第一の目的は「ボールを遠くまで飛ばす」事だと思います。速度は遠くまで飛ばす副産物。ボールに加えられるエネルギー量は限界があり、速度と回転はトレードオフの関係にあります。回転に強く意識を引かれ、回転を多くかけようとする事で「かすれた当たり」「伝達ロスが大きな当たり方」になっている (自覚はなくても「”普通に” サーブが遅い。ストロークやスマッシュより速度が出ない」ならそう) のは勿体ないです。

そして最後に

「身体の機能をうまく使い、しっかり初期加速を行えば、慣性の法則もありラケットヘッドは “勝手に” 手やグリップ部より50cmほど “上に” 上がっていく。初期加速によりヘッド側の方が速度も速い。

前に強く飛ばす、前進させていくエネルギーが減るようなジャンプする動き、ラケットを上に振っていこうという動きを再考し、物理的な現象としてのボールの飛び。飛ばしたい『前』方向にボールにより効果的にネルギーを加えるためにはどういう動き、身体の使い方をするのが良いのか考える。

実際の運動と繋がらない見た目の『形』や『イメージ』に惑わされない。既に出来上がっている『サーブの打ち方』でも理屈の面から考えてみる。 (身についたものを変えるには10倍の時間がかかるとも言うし)」

といった事を今回、改めて考させられました。

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