昔と現代での片手打ちバックハンドの違い、片手バックを打つために考える理屈 [前編] (テニス)

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sampras backhandテニス

書いていて長くなってしまったので前編、後編に分けて投稿したいと思います。後編も同じ位の長さとする予定です。ご面倒おかけします。

昔と現代での片手打ちバックハンドの変化

何度か書いていますが、私は初めてテニスをやった頃の男子世界No.1、ピート・サンプラスさんの影響でそれ以降もずっと片手打ちバックハンドを使っています。

トップスピン系のボールを打つための打ち方として片手打ちバックハンドと両手打ちバックハンドがあり、見た目のかっこよさから片手打ちを選ぶ初心者の方 (ほぼ男性ですが) も一定数居ます。

片手打ちバックハンド不遇の時代

私が始めてテニスをやった前後から両手打ちバックハンドのプロが大多数になり、「バックハンドは両手打ち一択だ。片手打ちバックハンドなんてやる意味がない」と言われるようになりました。

長く『不遇の時代』が続きましたが、現在の男子プロを見ても、ティーム選手、チチパス選手、シャポバロフ選手、ワウリンカ選手、そして当然フェデラー選手が居り、我々レベルでも「片手打ちバックハンドなんてやる意味がない」と断言する方は “激減” したと思います。

今考えれば「両手打ちバックハンドの方が優れている」理由も「片手打ちバックハンドが復権してきた」理由もよく分からないから「プロ選手達を見ろ。それが理由だ」と言っていた感じでした。

「両手で持つから強いボールが打てる」という話に「では、何であなたは片手でフォアを打っているの?」と当時でも思ったものです。

現代風の打ち方が私の片手打ちバックハンドを改善させた

現代風と言っていますが、誰かに習った物ではなく、私が続けている「身体の構造や仕組みとボールが飛ぶ理屈から考える」やり方を片手打ちバックハンドに当てはめてきただけです。その際、昔と現代の片手打ちバックハンド選手達の打ち方の違いを考える根拠にしています。

理屈を前提したおかげで7~8年まともに打てなかった私の片手打ちバックハンドはだいぶまともになりました。(というか、ショットを問わず理屈は全て共通なのでテニス全般が改善された感じ)

個人的にですが「取り合えずバックに打っておけば良い」という考え方は「自分はバックハンドが苦手だから」という意識の裏返しだと思います。ラリーで『チャンスをうかがうための繋ぐボール』を打ってくる人が居たら相手との練習に問題ない範囲でバックハンド一発でそのまま決めてしまいます。

後述しますが『自分から打っていくボール』は片手打ちバックハンドの特性が活かせる使い方だと考えています。

フォア、バック関係なく「次に自分がどういう状況を作りたいか、相手にどういう返球をさせたいか」のイメージを持って打たないボール (意図のない、意識の乗らないボール) は球出しのボールと変わらないでしょう。

昔と現代の片手打ちバックハンドの違い

以降、理屈も交えて述べていきますが「全然違う」「間違っている」と思っていただいても構いません。あくまで私が自分の上達のために考えた事ですからね。

私が感じる昔風の片手打ちバックハンドの打ち方はこういう感じ。

現代の選手の片手打ちバックハンドの打ち方はこういう感じです。

見ただけじゃ分かりづらいでしょうか。

でも、これは「フォアハンドストローク、サーブ等、”スイングを伴う” ショット全般において前提となる」理屈だと私は思ってやっています。

私が思う “昔のテニス” における片手打ちバックハンド

昔と現代の片手打ちバックハンドを考える際、この『昔のテニス』という点がポイントだと思っています。

昔と現代のテニスの違いを考えた際、

  • 道具の変化。ラケット・ストリングス(ガット)が化学素材製に変わり、誰でもボールを飛ばしやすく回転をかけやすくなった。
  • 打ち合うボールの速度が上がった。
  • 自分が打ってから相手がボールを打ち返し、次に自分がボールを打つまでの時間が短くなった。
  • ボール速度を上げる (強いボールを打つ) だけでなく、広く「相手を間に合わなくする」「相手の時間を奪う」という発想に変わってきた。(ボールを落とさない。ベースラインから中に入って打つ。サーブ、リターン、その次で決める。スニーク インからネットで決めてしまう)

等が違ってきています。

昔のテニスにおける片手打ちバックハンド (私見)

昔のテニスにおける片手打ちバックハンドは

「ボールが飛んで来るのを打点の位置で待って打つ」

そんな印象です。

横向きになり、”こういう感じ” の態勢で飛んで来るボールに接近していき、”停止”する。

sampras backhand

バウンドしたボールが自分の位置、打てる打点の辺りまで接近してくるのを待ってから、大きく腕を “振り上げて” 打つ

sampras backhand

飛んで来るボールに対するコート上での距離感はこんな感じ。

 片手打ちバックハンドの打点

 片手打ちバックハンドの打点

また、これとは少し違うのですが、テニススクールでも「ボールが落ちてくるのを待って、強く振り上げて振り上げたい」意識が打ち方に現れている方を見ます。

ボールが落ちてくる所を待ちたいから、深いボールはものすごく下がらないと自分の打点の高さで打てない。コートの周囲にスペースが無い室内コートだと後ろに並んで居る人に当たりそうになったり、後ろや側面のネットに触れてしまったりです。

片手打ちバックハンドの打点

ボールが落ちてくる角度に合わせて打ちたいから、身体を背中側に傾けるようにし、そこから腕を大きく振り上げつつ打つ。結果、「厚く当たり過ぎるとそのまま大きくホームラン」「うまく当たらないとボールが持ち上がらずネット」という繰り返しになっています。

 片手打ちバックハンド ホームランと持ち上がらずネット

ボールが飛び回転がかかる理屈

ボールを飛ばし回転をかけるエネルギーは2つある

我々はテニスをする際、「ラケットを振ってボールを飛ばす、力を加える」と考えますが、実際にはボールを飛ばし回転をかけるために使われるエネルギーは、

  • 重量と速度を持って飛んで来る (進む) ボール
  • 重量と加速により速度を持って進むラケット

2つから供給されていると考えます。

スイングせずボールのエネルギーを反発させて飛ばすボレー。トスしたほぼ速度ゼロのボールを加速させたラケットのエネルギーで飛ばすサーブ。状況によってボールとラケットのエネルギーをバランスよく使うストローク。知らない内に皆使い分けています。

「相手のボールの力をうまく使う」というのも “コツ” でもなんでもなくて相手のボール速度が残っているならそれをうまく使う事で自身がラケットを加速させる労力(?) を少なくできる。常に強くラケットを振るだけが「ボールを飛ばす」じゃないよという事だと思います。

エネルギーの大きさは『1/2 x 重量 x 速度 ^2 (2乗)』で表せます。

ボールや手に持つラケットの重量は固定ですから「インパクト時のボール速度、ラケット速度が速い程、それぞれが持つエネルギー量は大きい」と言えます。

200km/hのサーブが打ちたければ少なくともインパクト前後で200km/h以上までラケットを加速させておく必要があります。

もう一つのボールの飛び、ボールの質を決める要素は

  • 伝達ロスの大小を決めるラケットとボールの “当たり方” 

です。

「厚い当たりで打て」は強いボールを打つ “コツ” ではない

「厚い当たりで打て」というのは『強いボールを打つ “コツ”』でもなんでもなくて、両足を含む身体全体の力を使う、連動させてインパクト前後のラケット速度を高めてもうまく当たらない、或いはかすれた当たりをしていては「エネルギーの伝達ロスばかりでボール速度も回転も上がらない」というだけの事だと考えます。

ボールを真上に突き上げる際、皆、当たり前にラケット面を真上に向けて打つでしょう。

真上にボールを突く動き

ボールを飛ばしたい方向に向けて真後ろから90度で当てるのがもっとも安定して飛ばしやすいし、エネルギーの伝達ロスも少なくすることができると皆、日常生活を含む過去の経験から理解しているのです。

飛ぶラケット、飛ばないラケット

同時に「飛ぶラケット」「飛ばないラケット」の違いは、ラケットやストリングスのしなる・ゆがむ・たわむがボールの持つエネルギーを反発させる、ラケットでボールにエネルギーを加える際、大小の伝達ロスを発生させているからだと考えます。

「飛ぶ」と言われるラケットにバネや補助動力等の『加えるエネルギー以上に飛びを増加させる装置』が付いていない事は皆知っています。(付いて居たらルール違反なのでしょう)

同時に「ガットがボールを掴む。ラケットがしなってボールを一度掴んでから飛ばす」と言われるのもあくまで感覚の話で「トランポリンのように、ストリングスがたわみ、ラケットががしなり、それらが戻る際にボールが飛ぶと考えるには0.003~0.005秒と言われるインパクトの時間は短すぎる。ボールとラケットの接触で加わる圧力 (ボールのエネルギーを押し返す、ラケットでエネルギーを加える衝撃、身体のバランスを取る) によりラケットやストリングスに発生する『しなる』『歪む』『たわむ』は、ボールが飛ぶ事でその圧力が軽減されていくまで『しなりっぱなし』『歪みっぱなし』『たわみっぱなし』である」と考えます。

Tennis racket/ball impact under 45 degree angle in super-slow.

ラケット面の大きさは、ラケット面上のストリングスの長さもあり『打感の柔らかさ』には関係するでしょうが、実際にはラケット面の大きさよりフレームの厚さや構造により、しなる、ゆがむ、たわむが小さいラケット程、打つ際の変形が小さく、伝達ロスが小さいから「飛ぶ」と考えるのがシンプルに納得感を覚えます。

ズレたガットが戻る際に回転がかかる?

同じ理由で「ガットがズレてそれが戻る際にボールに回転がかかる」というスナップバックと呼ばれる現象にも私は懐疑的です。

むしろ、野球で「ボールを投げる際、指をかける人差し指、中指の間隔を狭めると球速が上がる」という話があり、「エネルギーを伝達させるための “対象との接点” がボールのどの位置にあるか?」がエネルギーの加わり方に影響すると考えたいです。

野球 ボールの握り方

ボールを打つ際、当たり方により、ボールとラケットの接触で加わる圧力でストリングスがズレる。野球でボールを投げる際の指にかけ方に通じると考えます。

ガットがズレ偏って回転がかかる

何故、両手打ちバックハンドが多数派になったのか?

因みにですが、かつて「力の少ない女性や子供が使う物」といった一般認識だった両手打ちバックハンドが大多数を占めるほど広まった理由ですが、個人的には先に述べた

  • 自然素材から化学素材製への道具 (ラケット・ストリングス) の変化
  • 道具の進化によるテニスの変化 (ボール速度上昇)

が関係していると考えます。

ボール速度が上がったから短い準備時間でカウンター的に打つ

木製ラケットの頃は「道具によるエネルギーの伝達ロスが大きく、自分からラケットを振っていかなと飛ばない。それでも十分ではない。だから互いに打ち合うボール速度も遅い、山なりのボールを多用するラリー」だったと考えます。

それが道具の素材が変わり、打ち合うボールの速度が上がるなら「速度のある相手のボールの持つエネルギーをうまく反発させて打つ」方がテニスの進化に合っていたのでしょう。

伊達さんが最初の現役の頃に言われ出した「ライジング」という打ち方だったり、現代で強く言われる「ベースラインから出来るだけ中に入って打て」という話だったりです。

地面が硬くバウンド後のエネルギー減衰が小さいハードコートが増えた事もあるでしょう。

両手打ちバックハンドはカウンター的に打つ方が合っている

両手でラケットを逃げる両手打ちバックハンドは、片手で持つ片手打ちバックハンドより「打点の位置が身体に近くなる」という特徴があります。(両手で握る “制限” と言っても良い)

片手打ちバックハンド 打点を前に 

片手打ちバックハンドはその「スイングの幅を長く取れる」という特徴から、それを活かした「ボールに対して自分から打ちいく、エネルギーを加えに行く」ような打ち方が向いていると考えます。失速した相手の短いボールを前に入って叩くとか。

一方の両手打ちバックハンドはその「打点を身体に近く取れる」という特徴から、弾んだボールが頂点に届くまでに「短い振り幅でカウンター的にボールを捉えて打つ」ような打ち方が向いていると考えます。

Djokovic Backhand

ボール速度が上がり、毎回、十分な準備時間を取って打ちづらい現代的への移行において、相手ボールのエネルギーを利用する両手打ちバックハンドの方が合っていたから多くのプロ選手が両手打ちバックハンドを使うようになったのだと考えます。

広まる初期はジュニア選手の「ボルグさんにあこがれて」等はあるでしょうが、決して「両手で持つ方が強いボールが打てるから」等ではないと思います。

片手打ちバックハンドはなぜ減ったか?

最初の方で、昔の片手打ちバックハンドを見ると「ボールが飛んで来るのを打点の位置で待って打つ」といった印象を受けると書きました。

sampras backhand sampras backhand

自分から打ちに行く、ボールにエネルギーを加えようとするのが両手打ちにはない、片手打ちバックハンドを特徴とするなら「飛んで来るのを待って打つ」のは良いとは言えないです。

ボール速度が遅い、互いに山なりのボールを打ち合っていた頃ならそれでも良かった。前述した通り「ボール速度が遅い場合は (片手・両手の比較では) ラケット速度を出しづらい両手打ちバックハンドの方が飛ばすのが難しい」からです。

でも、甘い山なりのバックハンド返球を前に入って高い打点から角度を付けて叩かれるといったシーンはサンプラスさんとアガシさんの試合でも良く見ました。(弾む前に上から叩く。クロスは距離が短く、前に長く振れなくても良い)

tennis backhand winner

練習する際に必ず言われる

  • 片手打ちバックハンドは高い打点が苦手
  • 片手打ちバックハンドは打点を前に取らないと喰いこまれる

といった片手打ちバックハンドの弱点も、道具の進化によりボールに加わるエネルギーが増せば(元々ボールに加わるエネルギー量が大きいのだから) バウント後もボールのエネルギーは残っている。当然、弾みが大きいボールは増え、ボール速度も極端に上がっているという事であり、

「ボールが飛んで来るのをその場で待っている、落ちてくるのを待っている」打ち方が、

  • 「弾みの高いボールに苦労するのは当然」だし、
  • 「予測よりもボールが速い、伸びてくる事で喰いこまれやすくなるのも当然

と思います。(「当然起こり得る妥当な結果だよね」という事)

片手打ちバックハンド 高い打点 片手打ちバックハンド

その場で待って打つなら、“打点の位置から利き腕を振り上げる幅” でしか調整できないのですから。

片手打ちバックハンド

見て分かる通り、少しでもタイミングが合わないと即ミスショットになるでしょう。

片手打ちバックハンドより振り幅 (※) が出しづらい両手打ちバックハンドですが、速度のないゆっくりとしたボールを打ち合うなら片手打ちバックハンドとの大きな差は出にくいでしょう。

※長く振れるからラケット速度が上がる訳ではない (大きなスイングをしてもラケットが速度が上がりづらかったり、途中で速度が下がったら意味が無い )が安定した加速にはある程度の距離がある方がやりやすいと考えます。

逆に「パン、パン、パン」といった短いタイミングでバックハンドのラリーを続けるとすると

  1. 片手で「振る」&「ラケットを支える」を行う不安定さ
  2. 前に振っていかないと打点を合わせづらい
  3. 前に振る幅を取る分、『準備時間』&『インパクトまでの時間』がより長くなる

といった片手打ちバックハンドのマイナス面が出てくる。打点をうまく取れず喰いこまれる、ミスショットが早く出る。これらに影響されにく両手打ちバックハンドの方がミスしづらい。片手打ちバックハンドは無理な態勢で「返すだけ」になる。バックハンドでの打ち合いを嫌がってスライスやフォアへの回り込みをしようとして打ち合いの力関係が取れなくなってしまう。といった流れがプロの試合でもかつてあったかなと思います。(フォアハンド対バックハンドという形になりますがフェデラー選手対ナダル選手の対戦はそういう感じでした)

 

2020.06.17 追記 後編を公開しました

 

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