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フェデラー選手のサービスリターン時のグリップ (テニス)

サービスのリターンで使うグリップ

テニスでゲーム(試合形式)を行う際、サーブと合わせて行わないといけないものがリターンです。

リターンは相手の打つサーブを時間の無い中で返球しないといけないため、漠然と反射神経や勘で対応するより様々な工夫を行う方がよいと言えます。

例えば、相手の打つサーブを予測し立つ位置やそこから前後左右に移動してリターンする場所を変えたりします。

その工夫の一つとして考えるのがグリップです。リターンをする際にどういったグリップを使うのか、或いはサーブを待つ構えの段階でどういったグリップで持っているのがいいのかという事ですね。

例として、フォアハンドとバックハンド両方に対応するためコンチネンタルグリップで準備する、フォアハンドのリターンを重視して普段フォアハンドで打っているグリップ(セミウエスタンなど)で準備する、バックハンド側に来る可能性が高い場合はバックハンドのグリップで準備する等があるでしょうか。

最後のバックハンド側のグリップで準備するというのは少々特殊なケースとして、一般に多いのは最初の2つ。

また、最近の傾向としては、(フォアハンドをコンチネンタルグリップで打つ人はほぼ居ないので) フォア・バックのどっち付かずになってしまうコンチネンタルグリップで準備するよりは、フォアハンドのグリップで準備する方がよいと言われているようです。

フォアハンドのグリップで準備するということ

フォアハンドのグリップで準備してバックハンド側にサーブを打たれたらどうするかと言えば、当然 “グリップチェンジをしてバックハンドで打つ” 訳ですが、1つはフォアハンド側に来ると決め打ちをせず相手が打つ直前までコースや球種を予測するということが大事になります。

人の反応時間は速い人で0.2~0.3秒位。

予測して打つのと反応だけで打つのではそれ以上の時間差が出ます。シングルスコートの対角線の長さは約25m、サーブはサービスボックスでワンバウンドしますが仮に120km/hで直接対角線に飛んで来るとすれば対角線の端から端までの到達時間は0.75秒ほどですから反応で打とうとするのはほぼ無理ですね。

もうひとつはフォアハンドのグリップで準備していてサーブがバックハンド側に来た際に必ずしもグリップチェンジできなくてもリターンできると考えるということです。

錦織選手のバックハンドリターン

※この写真の錦織選手は通常のバックハンドリターンです。

全てのリターンでそうするという訳ではないですが、予測が外れてとっさにバックハンドでリターンする際など、右利き両手打ちバックハンドであれば、右手はフォアハンドのグリップで左手は通常両手打ちバックハンドで打つ際のグリップ(セミウエスタン等)という組み合わせでもリターンは出来るということです。

右手のグリップが薄くなるので打点の位置は普段の両手打ちバックハンドより体に近くできます。

力は入れづらいでしょうが全てのリターンが全力で叩ける訳ではないですし、そういうリターンもできるのだと考えられるだけでも心理的に余裕もできます。

図: フォアハンドの厚いグリップを残したまま両手打ちバックハンドでリターンする

フォアハンドのグリップのまま両手打ちバックハンドリターンを打つ

因みにですが、色々なグリップでボールを打ってみる事は「ラケットでボールに力を伝える」という事を考える機会になります。

普段打つグリップとは別に薄いグリップで同じように打つには打点の位置や体の使い方をどうすればいいのか考えると理解が深まるということです。

フェデラー選手のリターン時のグリップ

さて、本題ですが、一昨年に見せた「SABR」などベースラインからかなり前に入った位置でリターンを行うことも多いフェデラー選手はリターンの際、どのようなグリップを使っているのか確認してみたいと思いました。 

フェデラー選手のリターン時の構え

フェデラー選手はサーブをリターンするための構えの姿勢ではラケットをクルクル回しながら最終的にはコンチネンタルグリップで持っています。

そこからフォアハンド、バックハンドによってグリップを握り変えてリターンを行っているようです。

フェデラー選手のリターン映像

従って、自分がリターンをする打ち方によってグリップが違います。

単純に言ってもフォアハンド、バックハンドのスピン系、スライス系で4タイプを使い分けているということになります。

フォアハンドのグリップで待っていてバックに来た際はできるだけフォアのグリップを変えずにバックハンドで打つことも考えるのとはだいぶ違いますね。

ただ、フォアハンドを厚いグリップで待っていてそれを変えずにバックハンドで打つというのは両手打ちバックハンド特有の対応とも言えます。

フェデラー選手は片手打ちバックハンドですし、フォアハンドもバックハンドもグリップが厚くないためコンチネンタルからズラす角度が大きくないこととスライスリターンへの対応含めこういった方法を取っているのだろうと推測します。

ではSABRを行う際のグリップはどうなのか?

SABR (sneak attack by Roger) はフェデラー選手が2015年に見せた極端にサービスライン付近まで距離を詰めて行うリターンを表した言葉です。

ただ、これがSABRの瞬間の画像ですというものがネットで探せないのが現状です。(写真にはどの瞬間のとか、どういう流れの写真ですとはコメントが書いてない。)

また、SABRの瞬間の動画を見てもアップではないので握りまでは確認できません。

ただ、映像を見ている限り、フェデラー選手はリターン時のグリップについて2つの考え方を持っているように感じます。

1つは、通常のリターンと同様、コンチネンタルグリップで持っていてサーブがフォアハンド側かバックハンド側かでグリップを変えてリターンするというもの。

ただ、SABRで前に詰める分、この方法を取る場合は “セカンドサーブなど速度が速くない場合で、フォアかバックをフェデラー選手自身が予測で決め打ちしているケースが多い” ようです。

tennis return

もう1つが速度の速いサーブ等に対してSABRを仕掛ける場合で、この場合はハーフボレーのようにバウンド直後にラケット面を合わせることを重視し、フォアハンド側、バックハンド側共にボレーと同じコンチネンタルグリップのまま打っているようです。

この場合は強く打つというよりも取り敢えず当ててベースライン付近まで届かせることをポイントにしているように感じます。

サーブの勢いをある程度殺せないとボールをコントロールできずネットかアウトするでしょうし、逆に勢いを殺せればベースライン付近まで届かせようとして失敗しそれよりも手前に落ちても(ネットインしても)、相手はサーブ後構えて動き出す態勢を取る時間がないので慌ててしまいます。

SABR 2017

ありきたりな表現になってしまいますが「サーブに対してハーフボレーを含むボレーでの返球を仕掛けている」という感じでしょうか。

ハーフボレーですからグリップは普段自分がボレーを行っているグリップ、フェデラー選手ならコンチネンタルグリップとなります。

ハーフボレーはバウンドに対し面を作るのが中心になりますから距離を出すためのスイングも不要、強いボールを打つことも不要ということです。

サーブを打ち終わって相手を見たらサービスライン付近に居て構えようとしたら既にネットにベタづきの状態です。

ベースライン後方からリターンを打っても距離があるので速度は出づらいです。サーバー側はリターンが来るまでに態勢作りができます。

むしろサービスライン付近で打たれた速度のないリターンの方がサービスを打った後に構える時間が少なく、ネット間近に立つ相手の印象もありミスが誘えると言えるかもしれません。

単にネット際に速くつけるからというだけなら、道具の進化でネットに出ても簡単にパスを抜かれてしまいサーブアンドボレーヤーが消滅した点を克服できませんからね。ABRの目的はボレーをするためよりももっと他の意図の方が大きいはずです。

SABRは我々でもできるだろうか?

正直考え方次第だと思います。ネットを見ていてもコーチの方で遊び半分でSABRを試しているような動画はよく見ます。

選手や競技者のような試合でどうこうという話ではなく練習の一環でやるのであれば逆によい練習と言えるとも思います。

ポイントとしては「ハーフボレーを含むボレーの応用だ」ということで、スイングができない分距離が出せませんからサービスライン付近まで前にでないとネットが越せない可能性があるし、前に詰めずバウンド後に腰よりも高い位置でリターンするならボレーのように打つ意味がない(普通にリターンすべき)ですね。

また、相手のサーブが遅ければできる気がするかもしれませんが、速度が遅いならフェデラー選手のように前に詰めても通常のリターンのグリップで打つべきだろうと思います。

前に詰める分難しくても、サーブが飛んで来る前に相手は構えの姿勢に移れますし、ボレーのグリップで当てるだけのリターンとする意味がないですから。

まとめ

最初に書いたように今は「フォアハンドのグリップでサーブを待つ」のが推奨されていて、フェデラー選手選手のようにコンチネンタルで持ち、サーブに合わせてフォアハンドとバックハンドのグリップを作ってリターンするのは勧められないかもしれません。

これにはグリップの厚さも関係していて、フォアハンドは厚いグリップを使う人が多いので、コンチネンタルグリップからフォアハンドのグリップに変えるのも、フォアハンドのグリップからバックハンドのグリップに変えるのも回転角度が大きく、それならフォアハンドのグリップで待ち、バックハンド側に来たら利き手のグリップは変えずに対処する方法が考えられたという流れだと思います。

私は “スイング中のラケットの加速を活かすためにはあまり厚くないグリップ(セミウエスタングリップ位まで)で体から遠くない打点で打つのがよいだろう” と考えていますし、片手打ちバックハンドなのでフォアハンドのグリップのまま打つことはできないためフォアハンドのグリップで待っていてグリップチェンジしてバックハンドで打つようにしています。

フェデラー選手選手のようにコンチネンタルで待つのはやっぱり難しいです。

ただ、SABRのようなリターンを試すのであればコンチネンタルを使ったハーフボレーのような打ち方をするということは我々でも参考にできると思います。

手打ちバックハンドの特性上、ボールをコントロールする必要性が高いので、私は結構ハーフボレーが得意です。