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Improve My Tennis At Home / 自宅でテニスを上達させよう (テニス)

home work

海外のテニスYouTuberや団体、プロテニス選手の変化

新型コロナウィルスに関する世界的情勢の中、日本でも緊急事態宣が発令されました。

私が通っているテニススクールも発令を受け、GW明けまで休止が継続となっています。

私は海外のテニスYouTuberさんのチャンネル、各テニス団体のチャンネル、プロ選手のSNS等をフォローしていますが、2~3週間前から『Improve Your Tennis At Home』といったタイトルが目立つようになりました。外出を控えて「自宅でテニスを上達させよう」といった趣旨です。

社会全体での自粛ムード。外出を控え、自宅に居る事が望ましい。コート上でボールが打てない時期だからこそ、自宅で出来る事、上達に向けた事をやりましょう。だから皆が自宅で出来る事、楽しめる事を提供するよといったスタンスです。

各グランドスラムのオフィシャルチャンネルは過去の名試合の動画をノーカットで公開したりしていますし、全豪のチャンネルのように選手が出場する生配信をやったりもしています。

At home with Alex de Minaur

都市封鎖等が明確に行われている地域を含む世界中をターゲットにしているチャンネル、アカウントならではという印象です。未だに「〇〇月発売の新ラケットをインプレ!」とか「フォアハンドをうまく打つコツはこれだ」みたいな動画をアップし続けている日本との姿勢の差は明らかですね。

そんな中、ともやんテニスchさんが生配信での質問コーナーをやられていたのが目を引きました。海外での動きを踏まえてかもしれませんが国内組の方向性に一石を投じる動きだと思います。(おおげさかもしれませんが)

【生放送PART1!】家でテニスレッスンしてみた!

私の勝手な印象ですが、ともやんテニスchさんは「テニスコーチが教えるテニス。普段から見聞きする標準的な説明に自身の経験を交えつつ動画で実演されている」感じ。同様のチャンネルがたくさんある中、視聴数の大きな差は二人の人柄から来るものかなと思います。(チャンネル登録して拝見していますよ。 今や生活の一部をTV番組から奪っているのがYouTubeなのでキャラや設定は大事。テニスコーチそのままなTV番組は一部にしか見られないでしょう)

「それが「テニスを教える」という事。他に明確な選択肢がある訳でもない。だから、テニススクールで教わるような内容を動画でも見たい」というニーズはずっと続くのでしょうが、私は自分のテニスを理解を深めるために色んな情報、説明を見たい。

他スポーツの説明を見たり海外のテニスYouTubeチャンネルを見たりしていると「どのコーチも同じように使う説明」だと深部に触れていない気がしてしまうのです。

(もちろん、海外でも “テニスコーチ説明” の動画は無数にありますし、国内でも既存とは違う情報を発信している所もあります。)

テニスの練習はコート上でボールを打つ事

テニスの練習と言うととにかく『コート上でボールを打つ事』という感じです。

Trevor James forehand

コート外で行う練習でまず思い浮かぶのが素振りですがテニスではさほど重視されないですね。「素振りなんてやる意味がない」と言われる方もいます。

一方、同じく道具を使ってボールを打って飛ばすスポーツである野球において「素振りなんてやる意味がない」という方はまず居ません。

Starlin Castro takes a practice swing for the Nationals vs the Blue Jays at Nationals Park, July 30, 2020 (All-Pro Reels Photography)

プロ野球のスター選手達が一応に「とにかく素振りをした」といった話をされますし、漫画やアニメ等で「バッティングの基本と言えば素振りだ」という表現をするのもありますが、テニスと野球で素振りについての認識が大きく異なるのは「テニスと野球では練習に対する認識が大きく異なっているから」だと考えます。

先日も少し書きましたが、多少下手でも試合に出る事は難しくない (シングルスで何人も、ダブルスで何チームも出場できる) テニスに対し、野球における “下手” は「唯一の出場チーム、そのメンバー枠に入れない」事を意味します。

Womens Doubles baseball

結果、野球のグラウンドでボールを投げる、打つ以外の時間でどう練習するか、全体練習以外の時間でいかに上達するかを各自が考え取り組むという意識付けが重視されてきたのだろうと思います。

それが良い事だとは言いませんが、野球には「全体練習が終わった後に居残り特打をする、特守をする。走り込みをする。練習以外でもシャドーピッチングや素振りをする」といったイメージがありますよね。

Red Sox outfielder Andrew Benintendi takes batting practice during Saturday's workout at Fenway Park.

野球は、1試合に打席に立てるのは最悪3回、代打なら1回、1度もバットに当たらない、1度も振れない事もあります。1つのヒット、1つのホームラン、1回のミス、1球で試合が決まってしまいます。大勢居るので「ボールを打ちながら調整」は難しい。試合になれば他選手との連携プレーがありますし、攻守における各セオリー、こういう場合に味方はどう動くか、複雑なサインまで理解していないと自分の1つのミスで敗退になります。「ボールを打つ」までの準備とその1打席の重み、1つ1つのプレーの重みがテニスとは違うのです。

テニスで言えば「打ち損じてもすぐ次の球出しがある」「雑に打ってミスしてもすぐに挽回できる」「運任せでも勝ててしまう」「ダブルスでも個々が決めてもよい」といった面が少なからずあり、これも「コート上でボールを打つ事が練習」というテニス的思考に表れていると考えます。

今回のように「コート上でのテニスが出来ない」という状況になったら、多くの方が

「テニスが出来ないな。練習ができないな」

と思ったのではないでしょうか。

海外のテニスYouTubeチャンネルが

『Improve tennis at home』と言っているのに

です。

野球のマネをしろという事ではありませんが「コート上で練習できるのは週1~2回で1回90分」なら1週間 (24時間 x 7日) の大半は “コート外” に居るはずです。

コート外の時間をうまく使えればコート上でボールを打つ時間をもっと有効に使えると思えないでしょうか。

分かりやすく言えば予習と復習

home work

コート上で運動をしながら考えるのではなく、前回からの時間で調べた事、考えてきた事の検証にその時間を使えます。

2017-18 Men's Tennis

コート上でボールを打つ前にテニスへの理解を深める

たびたび書いていてすいませんが、私は、

「自分のテニスを上達させるのは結局、自分自身。コーチや周りの人達ではない」

と強く思っています。

世界No.1コーチに教わっても内容が理解できなければ上達もありません。「コーチなんだから誰にでも分かるように説明しろ」と言い、コーチが親切丁寧に説明しても、ごく単純な理屈すら理解していなければ伝わりようがありません。自分に相応の知識や理解が必要で、ここでの上達とは、コーチの説明を参考に「自分で自分のテニスを改善 (improve) している 」に他なりません。

Tennis coaching

自分で自分のテニスを改善させる、改善していくには知識、そして理解が要ります。

「どうしてボールは飛んでいくんだろう」「なぜ回転がかかるとボールは落ちる、曲がるんだろう」そういった疑問を持ち、根拠となる情報を調べ、知識として持っている方は、日々変わる感覚便りのテニスを続ける方とは存在する次元が変わってきます。

調子を維持するために毎日たくさんボールを打つ。でも調子が崩れると戻す手段が分からない。だからまたたくさんボールを打つ。復調のために好調時の自身の映像を見るのは「調子の良い他人の映像」を見ているのと変わりません。

知識があり、根拠をもって打っているから確認もしやすい、調子を維持しやすい。基準があるから何をどう改善すれば全体レベル (実力) の底上げが可能か検討が付いてきます。

1年後、2年後に大きな差が生まれるのは想像に難しくありません。

ボールが飛ぶのは物理的現象であるという認識と理解

私のテニスに対する根本となる理解

「ボールが飛び回転がかかるのは物理的現象でしかない」

です。(漫画やアニメの必殺技、超能力的な飛ばし方はありません)

「テニスをやるのに勉強するのかよ…

と思われるかもしれませんが、

「今、自分が打ったボールがなぜアウトしたのか、なぜネットしたのか」を根拠を持って具体的にその理由を説明できない。

「たまたまだ」とか「今日は調子が悪かった」とかはもちろん、「面が下を向いていた」「上を向いていた」「当たりが悪かった」「力が足りなかった」等ですら理解が全然足りていない

と思います。

「面を上に向ければ」「下に向ければ」「うまく当たれば」「強く打てば」改善されるかと言えば恐らく、また違う理由でミスしてしまうのでしょう。

それは「自分がどういう理屈でボールを打っている、狙った所に自分が思う手段でコントロールしているか」といった根拠を持った上でプレー出来ていないからだと思います。

Jan. 24/10 - Australian Open Day 7

逆に言えば私は、

「ボールが飛び回転がかかる理屈を踏まえた上でボールを打つ」事で皆が一定レベル (かなり高いレベル) まで一応に (且つスムーズに) 上達できる土台が整う

考えています。

コート上でボールを打つ前に「考える」だけです。難しい訳ではありません。コート以外の方がはるかに時間をあるでしょう。空いた時間で少しでも出来ます。誰でも出来る事ですから上達したいなら試さない方が勿体ないと思います。

※ただし、テニススクールでは教わらないので自分で考える (自習) 事になります。そこは頑張ってください。面倒を嫌う “くれくれ” 君では理解は深まりません。

例1: ボールを飛ばし回転をかけるためのエネルギーはどこから来るのか?

ボールに伝わるエネルギーの量と伝わる方向性がボールの飛びや回転量を決めます。

ボールが飛び回転がかかるためのエネルギーは、

1) 重量と速度を持って移動してくるボールが持つものを反発させる
2) 重量を持ち自ら加速させたラケットが持つエネルギーをボールに伝える

の2つからもたらされると考えます。

テニス ボールが飛ぶ仕組み

準備時間が無い中、ボールを飛ばす距離が長くない、相手ボールの速度も落ちてないから、ボールのエネルギーを反発させる事に集中した方が良い。ラケットを加速させる(エネルギーを持たせる)必要がなく、操作して再現性が低くなる方がマイナスだからボレーでは「ラケットを振るな」と言わる訳です。自らトスを上げる、ほぼ速度ゼロ (エネルギーがない) のボールを打つサーブ、打つ位置、打つ状況、選択によって1と2のバランスを取って使い分けるストローク。”形” だけ気にしてなんとなく打っているだけではこういった理解にはなかなかたどり着けません。

Tsvetana Pironkova 1, Wimbledon 2013 - Diliff

エネルギーの大きさは『1/2 x 物体重量 x 物体速度 ^2 (2乗)』で表せます。

手に持つラケット、ボールの重量は固定 (打つたびに持ち替えたり重さが変わったりしない) なので、インパクト前後のボール速度、ラケット速度が速い程、ボールを飛ばす、回転をかけるために使えるエネルギー量が増えるという事になります。

tennis forehand

当然、当たり方やよるロス、伝達ロスがあります。

きちんと捉えられない場合はもちろん、「かすれた当たりでは回転ばかりかかって飛ばない。強いボールを打つには厚い当たりをしろ」と言われるのはこのためです。

Roger Federer

例2: 「腕だけでなく全身を使って打て」は何を指すのか?

「腕の力は小さいから身体全体を使ってラケットを振れ」といった話も物理法則を基に考える事ができます。

雰囲気やイメージで「やるべきだ」と説明されるより納得感がありませんか?

物体であるラケットには慣性の法則が働きます。

「停止した物体はその場に留まり続けようとし、動いている物体はその直進運動をし続けようとする」です。

手から引かれてスイングが始まったラケットは慣性の法則で振り始めの位置に留まろうとし、グリップ側を引く手や腕をスイングと反対方向の真後ろへ引っ張り続けます。

ラケットに働く慣性の法則

手や腕を後方に引っ張るこの “強い負荷”は、ラケットが加速し、身体を追い越して前に出てくる辺りまで軽減されないです。

だから、スイングを伴う、強く瞬間的な初期加速を使うショット (ストローク、サーブ等) では共通して「ラケットの初期加速時、ラケットにスイング軌道方向へ引っ張られ続けている手や腕は大きく動かす事ができない」と考えます。

Roger Federer  テニス 慣性の法則で手や腕は後方に引かれる

※強い加速を行おうとすればする程、手や腕を後方へ引く力も強くなり、余計に動かせなくなります。

また、その強い初期加速を生み要素は何かと言えば

「両足で地面を踏み得られる反力」「両方の足でそれぞれ地面を踏む事で身体を安定させ、起こせる身体をねじり戻したりする力 (身体本体の力)」等を連動させたもの

だと考えます。

例えばこういった動きです。

テニス 両足と身体の力を使って加速

加速したラケットはスイング方向に向け前進し、初期加速を過ぎ引く力が収まった手やグリップ側をヘッド側は追い越し、慣性の法則でさらにその直進運動をし続けようとし、身体より前に出てきます。

tennis impact tennis impact

人の腕の各関節 (肩、肘、手首、指)は身体の外側から内側により柔軟に曲がるようにできています。

腕の曲がり方 腕の曲がり方

ラケットが身体より前に前進していく慣性の動きに合わせて、後方へ引く負荷のなくなった手や腕の関節を用い、曲げる、捻じる事でボールとの当たり方を調整したり、回転に必要な軌道を作ったりできます。

テニス ラケットの瞬間的な加速

肩から先、腕や手の筋力量は小さいですから腕だけ動かしても強い加速、高いラケット速度は発生できないです。

腕の曲がり方 腕の曲がり方

「腕だけでラケットを振ってボールを打てば手打ちだ」という認識になりがちですが、

腕を捻じる、関節を曲げる、腕をたたむ。それらが起きる前、インパクトする前に両足や身体の力を使って必要な初期加速を瞬間的に強く起こしている。

ラケットは十分加速し、慣性の法則で安定的に(ボール方向、飛ばしたい方向への) 直進運動を行っている。

筋力が小さく、細かい操作ができてしまう手や腕で更なる加速を作ろうとすればラケットの直進性は損なわれ、せっかくの加速も弱まってしまう。

「手打ち」とう指摘とは関係なく、その操作自体が合理的ではない。必要性が低い。

という事です。

tennis forehand

これら物理的現象に戻づく一連の流れが、『フォアハンドストローク』『サーブ』といったスイングを伴うショットの打ち方に含まれていると考えます。

どうでしょうか?

「考える、知っている」のと「知らないままボールを打っている」のではだいぶ結果、上達具合に差が出そうじゃないでしょうか。

因みに「遠心力で打て」は言葉足らず

「遠心力で打て」と言う指導がありますが

「物理上は遠心力という力は存在しない」

そうです。

「”存在しない力” でボールを飛ばせ」というのも不思議な話ですよね。

慣性の法則で直進運動をし続けようとするラケットを手や腕で身体側に引き寄せる事で直進する軌道の方向性を曲げ続けようとする。

その際、中心に向け引き寄せるのと同じ強さで逆向きに引っ張られるように感じる。2つの力の方向性のズレが生む現象でしょうか。

それが遠心力の正体だそうです。

遠心力は存在しない

スイングが強く速い程、ラケット速度も速い。手で引く力もそれに応じて強くなる。「遠心力が強く感じられる」という仕掛けです。

敢えて言うなら「遠心力が十分感じられる程、リラックスした状態でしっかり強く振れるようにしたいよね」といった感じでしょうかね。

tennis forehand

例3: 「体重移動をして打て」は何を指すのか?

「体重移動をしながら打たないと打ち負ける」といった話も物理法則を基に考えましょう。

昔から「体重移動をして打たないと相手のボールに打ち負けるぞ」といった言われ方をしますね。

踏込みながら打つストロークは見た目からもそういう指摘が当てはまりそうにも感じますが、プロ選手が多用するオープンスタンス系の打ち方では「目に見える体重移動はない」ですよね。また、前側の足を上げて打つような打ち方でも「相手のボールに打ち負けている」ようには見えません。

tennis forehand tennis forehand

1. ラケットに速度を持たせる

ラケットのスイングはボールを飛ばす・回転をかけるために

2) 重量を持ち自ら加速させたラケットが持つエネルギーをボールに伝える

事に当たります。

我々は「ラケットをスイングする事でボールを飛ばす」イメージを持ちますが、物理的に言えば「重量を持つラケットが速度を持てばエネルギーを持っている」ので速度を持たせる手段はスイングに限らないのです。

「ボレーのようにラケットを固定したままボールに向けて、飛ばしたい方向に向けて全力疾走」するのも方法の一つです。(身体が30km/hで進む時手に持つラケットも30km/hで前進する)

地面を踏んで得る反力で走る

合理的ではないのでこんな方法はまず取りませんが、似たような事は日頃から行っています。

それが「踏込みながら打つ」という事です。

相手のボールが遅くボールが持っているエネルギーが大きくない。反発させるだけでは必要な距離が飛ばせないから自ら踏み込む事で (スイングしない) ボレーでもラケットに速度を持たせ、エネルギーを持たせている。それが踏み込みながら打つボレーになります。

テニス 踏込みながら打つボレー

強くボレーを打つ際、「踏込む足で “バン” と音を立てるようにしながら打て」と言ったりするのも同様の事でしょう。(力を加えるタイミングを取る。足で地面をしっかり踏み身体を安定させる等の意味もある)

昔のラケットは木製でしなる、ゆがむ、撓むが強すぎて、せっかくラケットを加速しエネルギーを持たせても、ボールに加わる際に大きくロス、吸収されてしまっていたと考えます。ラケットも重いし、面サイズも小さい。強く振り過ぎる (速度を上げる) とうまく打てない、まともに飛ばせないからスイングもある程度遅くせざるを得ない

Wood and CFRP tennis rackets  テニス ラケットしなりすぎるとうまく打てない

このしなる、ゆがむ、たわむに左右されにくい、スイングによらないラケット速度の向上、及び、小さいラケット面でもうまく当てやすくする方法が

「踏込みながら打つ」だったのだと考えます。

1973 US Wightman Cup team

飛ばない木製ラケットだった時代だからこその工夫ですが、昔と今で物理法則が違う訳ではありません。

上記の踏込みながら打つボレー同様、昔と比べて圧倒的に飛び、回転がかけやすい現代の道具を使う現代テニスにおいてもこの手法を活用できる点は変わらないです。

2. 身体の回転軸を寄せる

もう一つ考えられるのは人の身体の構造上の事です。

直立で足幅を広げた姿勢というのは両足が左右から身体を支えている安定した状態です。

両足で地面を踏む事で立つ、姿勢を保つ

フォアハンドストロークを打とうとボールに対して横向きの準備姿勢を取った際、身体の中心軸が両足の真ん中に置いたままでは腰から上 (正確には骨盤の上の背骨部分が捻じれるだけ) しか回せないです。左右から足で支えられている安定状態を変えないといけないのです。

テニス 上半身だけ回してスイングする

フィギュアスケートのスピンを見れば分かるように身体の中心を左右どちらかの脚上に移動させる事で足先から頭の先までが1つの軸となり、回転がしやすくなります。

Olympics Figure Skating

また、基本的に我々がボールを飛ばす方向はネット方向、相手コート方向、つまり “前に” 向かってです。ラケットを振り始めるタイミングを取る始動のきっかけにするにも身体の中心軸を前側の脚上に寄せるこの「体重移動をする」は都合が良いのだと考えます。

テニス 体重移動 テニス 体重移動

「体重移動をして打たないと打ち負ける」の説明がされる場ですっぽり省かれてしまう「オープンスタンス系の打ち方では目に見える体重移動がない」点や「前側の足を上げるような後ろ足重心で打っても明確に “打ち負ける” という事が起きにくい」点も説明ができます。

オープンスタンス系の打ち方では、目標方向 (前) に身体が正対、両足の膝、つま先が目標方向に向いたまま、両足で踏ん張れる、身体を支えられる状態です。

両足で身体を支えられる姿勢、態勢

かかと体重、背中側にもたれるような姿勢では「打ち負ける」のかもしれませんが、直立状態から図のように前に向けて適度に体重をかけた姿勢なら身体の中心は身体の前側になり、ここから更に「体重移動する」必要がないですよね。前のめりになりすぎるとせっかくのバランスを崩してしまいます。

後ろ側足だけで立つ、前側の足を浮かすようにして打つ場合は最初の前側の脚上に体軸を移動させると対になる動作になりますね。

テニス 後ろ足体重で打つ テニス 踏み込みながら打つ

現代の道具 (ラケット・ストリングス) ありきの打ち方かもしれませんが「身体の軸を地面と垂直に近く保つ、両肩が回るための身体のバランスを崩さない、軸足でしっかり地面を踏み動作と姿勢を支える」ができれば十分打てるでしょう。

tennis forehand

もちろん、振り始めのタイミングを取る、ボールとの距離感を掴む等もあり、踏込みながら打つ、踏込足側の脚上に体軸を移動させた状態で打つ方法が基本となってくるのは変わりません。

プロ選手を見て「オープンスタンスで打つと強いボールが打てる」とマネされる方が居ますが、要は「ボールを飛ばしたい方向、前に向けて強いエネルギーが発生できるか」なので、

「両足で強く地面を踏めない、踏ん張れない、腰高で重心が高い、上半身を回す事や腕の動きでラケットを振ろうとする」等があれば、ボールの威力が上がらないどころか以前よりうまく当たらなくなる、威力が落ちてしまうといったマイナスに働くのは当然

と考えます。

オープンスタンスで打つに意味はない

プロ選手は、踏み込んでも踏み込まなくても同等のラケット速度が出せるスイング、身体の使い方を考え、実践していると想像します。「両足がどこにあるか、どう地面に着くか」は身体を使う際の条件の一つに過ぎないでしょう。

tennis forehand

Improve My Tennis at home をやり方を変える機会、きっかけとして

野村克也さんは監督時代、シーズ前のキャンプで選手達に「考えないより考えた方がいい」「知らないより知っていた方が良い」と説いたそうです。(あれこれと細かい手法ではない)

元プロ野球選手の仁志敏久さんは同僚だった内川聖一選手が聞かれ「考えて野球をやれ。自分がやった事を全て説明できないとダメだ。この場面でこういうボールが来たからこう打った。成功しても失敗しても100%その理由をきちんと説明できる事が”考える”事だ」といったアドバイスをされたそうです。

「コーチに質問したり、自分でもYouTubeで動画を見たり、調べたりしている。考えていない訳ではない」と言われる方、自分で自分の打ち方を具体的に説明できるでしょうか。一度も会った事がない、初対面で自分のテニスを知らない人に説明し、その場で再現してもらう。説明できる、再現してもらえるという事は「根拠を持って理解出来ている」という事です。コーチの受け売りで「〇〇するイメージで」とか「この形を作って」とか言うのは『教わる側の解釈に丸投げ』ですよね。「テニスを教える」にはそういった手法が多い。だから「全く同じ説明を聞いているのに皆打ち方が違う」といった事が起きる。感覚やイメージだけではなく、物理的、身体機能的根拠を持ってテニスが出来ているから「日々に調子に左右されない」「不調時に何を直せばよいか明確」「今の状態から何をどうしていけば上達に繋がりそうか見当がつく」等の利点が生まれるのです。

テニスは感覚的な部分も大きく、ボールを打つ経験なく上達するのは難しいです。(素振りだけやっていてもテニスは磨かれない。)

ただ、私は「ボールを打つ経験と同じ位、考えてテニスをやらないと上達は難しい」と考えています。

上で述べてきたようなボールが飛び回転がかかる理屈、テニスというスポーツが成立する理屈

私は専門家でもコーチでもないので、自分が考えてきたことが「正しい」とか「間違いだ」とかいった評価はどうでも良いです。自分で自分の上達のために日々考え、それをボールを打つ経験に落とし込んでいく、両方が整ってこその自分のテニス上達 (Improve my tennis) だと思い、ここ数年続けてきています。

皆さんもご自身で色々と調べ、考えてみて、自身のテニスの上達に役立てる。今をそういう機会、きっかけにするのはどうでしょうか?