スマートフォン用ワイヤレス充電器
最近のスマホはケーブル接続を必要としないワイヤレス充電に対応した製品が一定数見られるようになりました。
最初に書いておきますがケーブル接続して充電できる選択肢が必ずある以上、「現状でスマホをワイヤレス充電するメリットは大きくない」と思います。micro USB端子は差すのが面倒でしたがType C端子は表裏がなく差しやすさも向上しています。
また、現状のワイヤレス充電はケーブル接続より充電速度が遅いです。
今どきは急速充電に対応したスマホが当たり前で、付属品ではない、1W給電の遅い (古い・安い) 市販充電器、モバイルバッテリーを使う方がストレスは溜まりますよね。
急速充電は1V-1A=1Wという掛け算を1V-2A=2Wで電圧を2倍にする事で充電時間半分みたいな事をやっており、今どきの充電器は20W近い給電+メーカー毎の時間短縮技術を用います。ワイヤレス充電は5W、7.5W、10Wですからケーブル接続より3~4倍時間がかかるのは仕方ないのです。
スマホに用いられるワイヤレス充電の規格『Qi』は2010年の1.0仕様公開に始まりますが、2017年のiPhone8、iPhoneXから採用されたように使われるようになったのはごく最近です。
Qiの仕様はケーブル接続の急速充電の進化に完全に置いていかれています。
業界団体が策定するに過ぎないQiの現状はチップメーカーであるクアルコムのQC (クイックチャージ)推進にすら届きません。急速充電はスマホメーカーが独自にどんどん改良してきているからです。(スマホには充電器が付いているからそれで問題ない)
スマホは重量面からバッテリー容量拡大に限界が来ています。スマホの画面サイズや性能は毎年上がりますから省電力も限界があります。製造・メンテ面からバッテリー交換もだいぶ前から出来なくしてあります。ずっと続く「バッテリーが持たない」という不満へのメーカーからの答えが「急速充電できる」という事です。(「10分で50%充電できます」なら文句は出ない)
それなのにスマホにワイヤレス充電が採用されるようになったのは、チップに機能が組み込まれ採用の有無に大きなデメリットがない、機能としてスペックに載せられるなら付けておけという感じだからだと思います。(ほぼ使わないだろうFMラジオ機能が付いていたりするのと同じ)
本来望ましいワイヤレス充電のあり方としては、時間を潰すために入ったコーヒーショップのテーブルの上に『充電パッド』が埋め込まれており、コーヒーを飲んでいる間にパッドに載せたスマホが”ある程度”急速充電されるといったものだと思います。

手持ちの充電器をコンセントに繋げて使うのはスマートではないですし、「10分でも置くだけ充電」はショップの良い宣伝にもなるでしょう。ただ、そういう現実が来るのは後3年位(?)はかかりそうです。
Anker PowerWave 10
そういう状況や理解を踏まえて、今回、AnkerのPowerWave 10というワイヤレス充電パッドを買ってみました。(充電器本体は付属しないので充電パッドと書くことにします)

購入した理由は、
1) 使っているスマホがワイヤレス充電に対応していること
2) PowerWave 10が必要とするQC 2.0 / 3.0対応の充電器を持っていること (10W充電が出来る)
の2点です。
スマホが対応していないなら持っている意味がないですし、5Wのワイヤレス充電は「使用に耐えられない遅さ」と感じるのは目に見えています。
この製品は以前から知っていたのですが、Amazonでセールをやっていて1,600円で購入できました。
Amazonには多くの中華メーカーの製品が出ていますが製品単体でスペックが高くても知らないメーカーの製品は手が伸びません。(最悪、爆発や火災になりそう)
ケーブル接続の急速充電を普段通り使うにしても、テーブルの上に置いておけば、時間があるときにちょっと載せておく充電というのはあるかもしれません。(まぁ、安価だったし、実験がメインです)
製品を見てみる
パッケージはAnker製品共通のキレイなものです。手触りが良く配色やデザインも気を使ってあります。

日本メーカーならリスク回避でごちゃごちゃと注意書きを書く所ですが、製品機能をシンプルにする事で説明する手間、故障するリスク、使いづらさを回避する感じでしょうか。
丸い板状の製品なので梱包がちょっと分かりづらかったです。内箱を引き出し、製品は穴から持ち上げて取り出します。付属品はmicro USB – USBケーブルと仕様の資料、他に簡単な図解が付属していました。

パッドにも図解でスマホの置き方を説明したフィルムが貼ってありました。

図解や仕様資料の内容は「確認するまでもない」という感じにはなっています。現状、ワイヤレス充電について調べずに買うのはオススメできないからです。
iPhoneは7.5W対応の製品を買う必要がありますし、この製品のように「QC 2.0、3.0対応の充電器でないと10W充電ができません」という製品もあります。スマホ付属の充電器しか使わないと気になりませんが、使っているスマホと仕様が合わなければ市販の充電器では急速充電できないという事も普通にあります。
「充電が遅い」「充電出来ない」というワイヤレス充電に対するコメントも仕様が合っていない、使い方が合っていない可能性も多いのではと思います。(ケーブル接続に比べ充電が遅いのは事実でしょうが10W対応の製品でも5W充電になっていれば遅くなるのは当然)
PowerWave 10のパッド部の大きさ(直径)は10cm程です。

厚みも1cm程あるので木製やコルク製などのコースターを置いたサイズ感になるでしょうか。
パッド表面は触ると若干のクッション性はあるもののかなり硬め。ケース等を付けないスマホでは置き方によっては滑り落ちるかもしれません。(最近のスマホはどれも大きいのでバランスよく置けば全く大丈夫)
裏面も同様の素材ですが裏面の方は滑り止めの工夫をしても良いかもしれません。(滑りにくい素材の上に置くなど)
側面にはmicro USBの端子があります。

使用する充電器本体は同じAnkerのAnker PowerPort+1です。使用しているスマホがQC 3.0対応なので付属の充電器とは別に購入しておいたものです。

同じAnkerの製品だからという訳ではないでしょうが接続しただけで問題なく使用できました。
充電している状態
PowerWave 10のパッド表面の端にはLEDがあり、充電中に青く点灯するので「置いておいたが充電されない」「充電されているのか分からない」といったトラブルを防げそうです。

私が使っているのはLG V30+ですが、ワイヤレス充電を開始すると画面にギミック的な開始通知が表示されました。

ただ、「置いても充電が開始されない。LEDも付かない。」事も多いです。
少し試してみた結果、(私のスマホでは..ですが)
パッド中央部にスマホの真ん中がきちんと乗れば充電は開始される
ようです。ケーブルに沿って縦にする必要はなく、斜めや90度横になっても大丈夫でした。


充電状態からスマホを持ち上げてすぐ下ろしたりすると充電状態に戻らないですね。ランプ点灯を見る限り、ON/OFFの切り替えに時間を取る必要がありそうです。
置いた際のバランス上、大体、スマホの真ん中辺りにワイヤレス給電用のアンテナが内蔵されている事が多いのでしょうが、アンテナの形状や配置等はスマホによるので自分のもので確認してみる事が大事だと思います。(携帯ショップで確認させてもらうとよいかもしれません)
充電時間はどうか
手元のスマホが91%充電された状態で充電パッドに乗せてみましたが「完了までの予想時間20分」という表示になりました。(ワイヤレスと書いてありますね)

同程度の残量でAnker PowerPort+1に直接接続した際は「完了までの予想時間18分」でした。

「なんだ、ワイヤレスでも充電時間はあまり変わらないじゃん」という結果になっていますが、この辺りは「QC3.0対応の充電器を使っている」という部分が出ている気がします。
QC3.0は2.0では固定だった電圧を小刻みに上げ下げして最適な充電状態を作るようになっています。実際に100%まで充電してみればケーブル接続した方がだいぶ短い時間で終了するのでしょう。(ワイヤレスだと20分以上かかるけど、ケーブル接続ならどんどん時間が短くなっていく感じだと想像します)
※時間が取れず充電完了までの時間計測などしないままですいません。使っていく中での体感や感想は追って書くかもしれません。
テーブル脇のパッドに置くだけで充電できるという手軽さは十分感じられますね。なんだかんだ言ってケーブルを抜き差しする面倒はあります。
スマホ側がワイヤレス給電に対応している必要があり、対応している機種はいわゆる「高機能モデル」になってきますが、価格も高い訳ではないし、充電器である程度性能を確保できるので、1台持っていてもよいのかなと思いました。