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無意味な攻撃やミス時は一旦ラリーを止めてリセットしたい (テニス)

練習相手が居る意味

テニスは基本「一人では出来ないスポーツ」ですね。

ネットを挟み打ち合う相手、ダブルスならパートナーと2人で攻守します。「壁打ちやオートテニス専門、誰かと打ち合ったりしない!!」という方はあまり居られないと思います。

ボールを打ち合う相手は試合においては”敵”かもしれませんが、練習においては大事な”練習相手”です。

Day 221 - The Joy of Tennis

個人的にですが「自分が充実した、満足感のある練習の時間を過ごしたいと望むなら、相手にとっても自分が良い練習相手であるべきだ」と思っています。

Tsonga (3)

相手と打ち合う練習、ストロークラリーやボレーボレーは『野球で言えばキャッチボール』に近いです。

「相手が取りやすい胸の辺りめがけてキレイな回転でいかに取りやすく投げるか」が大前提。時速150km/h出せても上下左右に反れてまともに投げられないなら相手は練習になりません。

Indians shortstop Francisco Lindor plays catch during Sunday's workout at Progressive Field.

漫画の敵キャラみたく「ボールを打ち合う相手は全て”敵”。打ち負かして勝つのが自分のテニス!!」ではダメでしょう。

“相手ありき” のスポーツであるテニスでは「打ち合う相手の事を考えられる」事、それ自体が自身の強さに直結すると思います。

多分、相手のある他スポーツでも同様でしょう。

初歩の初歩として理解すべき事なのでしょうが、大の大人が参加するテニススクールで「相手の事を考えろ」みたいな事は言われません。自分がボールを打つ事だけでは “強く” はなれませんね。(総合的な強さであり、単純な “勝つ”ではない)

※テニスをする目的は人それぞれで良く、何が正解で何が間違いといった事は私には分かりません。ただ、練習相手になってくれる人達にも気分よく練習して欲しい。それは「相手を打ち負かす」でも「気持ちよく打ち負かされる」でもなく、”自分が出来る範囲での全力、高いレベルでの切磋琢磨” で互いの上達に繋げたいといった事です。ちなみに私がテニスを続けるのは『上達』のため。楽しいだけでは続きません。

意図を持ってボールを打つ

テニスでは “予測” が必須です。

空気抵抗等を考慮しない単純計算ですが、ベースライン上からストレート方向に最短距離(11.885m)で飛ぶとして時速100km/hのボールがベースラインからネット上を通過するまで0.428秒程しかないです。人の反応速度は速い人で0.2~0.3秒と言われます。相手のボール全てを「反応だけで打つ」のは無理があるのは明白です。テニスは『確率のスポーツ』であり、得点の多くはミスで入ります。何も考えなければ確率の低い選択を当たり前に行ってしまいます。

とは言え、人は過去の経験から教わらなくても、相手がボールを打つ際に何かしらの予測を行っている事が多です。(打つ人を見て「ボールは遅そう」と思う) 予測のやり方を理解して自分のテニスに組み込んでいき、常に行動の根拠とできるようにします。

※「ボールを打つ」と「テニスをする」は違うと考えます。実際にボールを打つ経験の中で身につける『ボールの打ち方』に対し、座学のように『ゲームのやり方』を学び理解する。直接的に分かる”打ち方”に注目し、直接的でなく考える必要がある『ゲームのやり方』を軽視、コーチの球出しを簡単にネット・アウトさせている方が本番で良いテニスが出来ないでしょう。

さて、予測というと「相手がどんなボールを打ってくるのか」をまず考えますが、実際には、

「予測は自分がボールを打つ時から始まっている」

と言えそうです。

「相手に簡単に強打させない、弱く短いボールを打たせ、フォアで打ち込んでいきたい。だから相手の苦手なバック側にこういうボールを打とう。」

といった「次にどういう状況を作りたいか根拠を持ち、意図を持って必要なボールを打つ」事で相手のボールも予測しやすくなり、仮に打ち損ねても対処しやすくなります。「相手が打つ時に初めて考える」との余裕(心理的・身体的準備)の差は明らかですね。

テニス選手に必要な「ゲーム力」とはなにか?

「ダブルスは味方と2人で攻守する」ものであり、ベースライン付近から打つよりネットに近い位置から打つ方が攻撃しやすいです。(相手の準備時間を短くでき、打てる角度が広くなる)

テニス コート上のポジション

雁行陣、平行陣、2バック等陣形はあっても基本となるのは「後衛は配球を工夫して相手から攻撃の機会を引き出し、前衛は後衛の配球意図を理解し次に訪れるであろう攻撃機会に備え確率高く対応できるようにする」といった事だと思います。

後衛同士がガンガン打ち合い、前衛2人はコートの端に寄って動かない。
後衛関係なく「次にポーチする」と決めつけて横っ飛びで無理矢理に奪うポーチ。
後衛がなんとなくストレートに打ち、相手前衛に近距離からぶつけられる味方前衛。

こういう1人でやっているテニスは卒業し「2人で攻守するダブルス」のスタートラインに立ちたいです。

※テニススクールはクラス制で同等レベルの方としか練習しません。ゲームのやり方は自ら学ぶ必要があり、「自分達よりはるかにダブルスが上手い人達に一方的にやられる」といった経験でもない限り、周りとの”相対評価” で自分のダブルスが普通以上と認識してしまいます。(点数をつけた客観的評価はないですからね)

漠然と打ち合う、意味のない行動、ミス時も打ち続けてしまう

2バウンドさせてから打つ

練習で時折見るのが「相手の打ったボールが短くなってしまい、2バウンドさせてから打つ」といった光景です。

試合であれば「2バウンドさせた時点で相手の得点」ですよね。

「練習だから別に構わないだろう」と言っても、これは『意識の問題』だと考えます。

つまり、「相手が打ち損ねて短くなったボール、自分の所まで飛んで来ないボールでも、予測に基づく心理的・身体的準備をしっかり行い、それに反応してボールを追い、2バウンド目までにきちんと拾い、次の状況に向けて望ましい返球をできる。その上で、今回は相手とのラリーを続けるために敢えて2バウンドさせてからボールを打つ事にする。」といった事が意識できているかという事です。

de Minaur

実際にはその多くは「短いボールを追うのが面倒」だから、2バウンドさせてから打とうとされるでしょうね。

この場合、ゲームで短いボールが来た場合、反応できず満足に追えない。一見、相手のナイスショット、仕方のない結果に見えても “防げた失点” かもしれません。「頭上を簡単にロブで抜かれてしまう」という事も同様です。

『ゲームのやり方』としての予測が自分のテニスに組み込まれておらず、「練習におけるこの状況は実際のゲームで言えばどういう場面だろうか」と考えて練習が出来ていないという事だと考えます。

『ゲーム中の状況』で設定された練習内容を考える

最近は『Game based approach』という事がよく言われるようになりました。

「試合中に起こりうる一場面、一状況を抜き出した練習をしよう」といったものです。同じ意味ではないですが「実践的な練習」と言えばイメージが湧くでしょうか。

うまく打てないショットを繰り返し練習したい気持ちは分かりますが「手出しのボールを繰り返しフォアで打つ」のでは、実際のゲームで用いるべき打ち方すら練習できません。そもそも「フォアハンドで連続」と「バックハンドとフォアハンドを交互」では前者の方が少ない筋肉使用量で打ててしまうそうです。(正面向きに戻らずずっとフォアの構えで打つ方は居ますよね)

テニススクールでは「3球の球出し。まずクロスに1本ストローク、次をアプローチショット、最後に1stボレーを打つ」「ハイボレーを打ち、2球目をスマッシュ」といった練習を行いますが、これを『試合中に起こりうる状況を想定して打て』という意図を持って設定されて練習内容だと認識・理解できないまま参加している方が多い印象です。

実際のゲームであれば、

・クロスのストロークをアウトすればアプローチショットは打てない
・アプローチショットを強く打てば、1stボレーの準備する時間がない
・相手を仮想してコース・速度を考えて打たなければスマッシュできるボールは来ない

ですよね。

最後にボレーを打つこと、スマッシュを打つ事に意識が向くあまり、そこに至る “状況を作る各ショット” に気持ちが入らない、球出しのボールが飛んでくる場所に予め移動しようとしてしまうといった事が起こります。

コーチがその練習内容を設定している(違うショットを打たせている)のには意図があり、それを解釈し「この状況なら相手はコートのどの辺りに居るかな」と各自が設定しないと意味がなくなります。

実際のゲームでなんとなく打ったショットで相手に反撃されて失点する。相手の「ナイス返球」ではなく自分が起こした失点かもしれません。

「とにかく相手を打ち負かす」という意識

前述しましたが「テニスをやる理由は人それぞれで構わない」と思います。

テニスの “ゲーム性”、対戦相手と競う部分に魅力を感じる方も多いでしょう。スポーツをストレス発散と考える方も少なくないと思います。

ただ、「練習の中で行う小さな1球、1球まで全て相手に勝つ、相手を打ち負かす」みたいな考え方を私は肯定したくないです。

コートの端で近距離のボレーボレーをやっているのに「どんな小さい打ち合いでも常に相手に勝つ。強く打ち込んでやろう。相手が取れないボールを打ってやろう。」とする方は少なくありません。(少なくとも私は迷惑ですね)

Embed from Getty Images

近距離でポンポンと反応で打ち合うボレーボレーなんて殆ど起こりません。ネットから距離を取った位置で相手から浮いたチャンスボールを引き出す味方と工夫をし、ネットに接近するのは確実に決められるタイミングだけです。同じ理由でボレスト練習をしているのに “ネット間際” でボレーを繋ぎ続ける方も「ダブルス下手」と映ります。(私なら1発目で頭上を抜きます) ボレーヤーに直撃するような強打を打つ続ける方も同じですね。(相手がかわすだけでアウトです)

前述したように「テニススクールでは自分と同等レベルの人としか練習しない」ので自分のテニスに対する自己評価は周りの人と比べた相対評価になりやすいです。日本の硬式テニス人工は370万人と聞くので世界で見れば自分より上手い人は数千万人単位で居そうですよね。

自分と同じ位のレベルの方としか練習できない環境(※)で「常に相手に勝つ」とやっているより、「圧倒数存在する自分よりも遥かに上のレベルに自分が到達するために自分は何が足りていないのか?」と考える方が前向きだしやりがいも生まれるでしょう。

※テニススクールに通う殆どの方が自分よりも下のクラスのレッスンに好んで出続けりしない。

バックハンドが満足に打てないだけなのに「得意ショットはフォアハンドです」と言ってみたり、周りがみんなリターンが下手なだけなのに「サーブが得意です」と言ってみたりはだいぶ恥ずかしいです。

私は、

多くの方にとって上達とは「出来ることを伸ばすより出来ない事を減らす作業」だ

と考えています。

出来ない事が減っていけば出来る事は当然増え、ミスに繋がっていた要因が減る、得手する・失点しない確率が上がるという事です。

ラリー中のミスを戻す行動

練習で良くあるのが

「相手が打ち損ない、打ったボールが自分より “右側” に反れてしまった。それを追い、なんとか相手に向けて返球したが、今度は相手の打ったボールが “左側” に飛んで行く。」

といった経験です。

テニス 反れたボールの返球

何か『向こう側の人が居ない場所に打ったナイスショット』に見えてしまいますが明らかに違うのです。

ラケット面に当たったボールは入射角・反射角により同角度で反対側に飛び出してしまうので「打ちたい方向にラケット面を向け飛ぶ方向を抑えてやる」操作が必要です。

テニス 反れたボールの返球

右に反れたボールを追った側の人も望むべきは「それまでと同じように返球するのではなく、自分が本来の位置に戻るためにゆっくりと山なりの軌道で返球し、相手が打つまでに時間を作る」といった工夫をする事が望ましいですね。ボールが飛んでくるまでに相手が本来の位置に戻っていれば相手も慌てずに済むからです。

これも

「相手ありきのテニスで今の状況、相手の事を観察し、次に自分が望む状況を作るために意図を持って配球する」

という事だと考えます。想定しない所にボールが飛んでいってしまい打った相手も動揺しているでしょう。当然、落ち着ける時間を与えないと次のミスも起こりやすくなります。

ミスしたラリーを続けてしまう

さて、この、

「ストロークラリー中に、すごく左右に反れてしまったボールを無理矢理にでも相手に打ち返そうとする。」

の他、先に上げた

「2バウンドさせたボールもそのままラリーを続けてしまう」

「どんな小さな打ち合いでも常に相手に打ち勝つ意識でボレーボレーでもストロークでも常に強く打ち込んでこようとする」

といった例。他にも、

「ストロークラリー中に、相手が打ち損なったボールが頭上を越えてオーバーしそうだったのでノーバウンドで打ち返す。不十分な体勢で打ったその返球も高い軌道になり、相手もそれをノーバウンドで返そうとする。」

といった状況等で総じて言えるのは、

野球におけるキャッチボールに相当する相手のとの打ち合い・ラリーをしている状況で「相手の打ち損ないや “ボールを使った対話” になっていない」状況になったら、無理に返球しようとせず、一旦打ち合いを終わらせる手間や勇気を惜しまない

といった事です。

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個人的にはとても大事な意識だと思っています。

相手の心理・状況は、「ミスをした」「打ち勝ちたいという固執」といったものであり、無自覚でも打ち損ないが発生するであろう体勢、姿勢、準備、打ち方になっている事も多いです。

打ち合いを止め、一旦、意識をリセットさせる

事も必要です。

相手がその場に望ましい “安定状態” にないなら、対話の相手であるこちらが止めてあげたいです。(相手に「止める」という発想は出にくいでしょう) 試合でもないラリー練習なのに対話になっていない打ち合いを続けてもマイナスなだけです。

例えば

「相手の打ったボールが大きくオーバーするように飛んできた。咄嗟にノーバウンドで相手に返球した。そのボールも同じような軌道になってしまい相手もノーバウンドで打ち返そうとする」

「相手の打ったボールが右側に大きく反れてしまった。そのボールを追い、多少無理な体勢で相手に返球しようとしたら、そのボールも大きく反れてしまった。相手はそのボールを追いかけていき高い打点で無理やり返球しようとしている」

「コートサイドスペースが狭い室内コートで反れたボールが仕切りのネットに当たってしまった。相手はネットにかかって、落ちてきたボールをそのまま打ち返そうとしている。」

といった光景はよく見かけると思います。

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Photo by Julian Schiemann on Unsplash

互いの技量的な部分からラリーが続かず「出来るだけ続けたい」という気持ちは理解しますが、先に上げた「相手に打ち勝つため」にストロークは常に強打する方とラリーをする際に

「フカしてオーバーしそうなボールを度々ノーバウンド(ドライブボレー)で返球する」

等も、まともなラリーとは言えないので、

「一旦ラリーを止めて、気持ちを”ゼロ”に戻し、球出しから始める」というのも”互いのため”

だと思うのです。

Pablo not happy

ボレーボレーなのに、いちいち高い打点から下向きに打ち付けて来る、右に左にと遠い位置に打ってくる相手に対し、苦労して拾って返球しても守備的な返球で攻撃しやすい高さのボールにせざるを得ないですよね。相手の思うつぼで喜ばせるだけです。

対話になっていない相手からのボール(ミスや一方的な攻撃)をたびたびスルーしていれば、相手は不満に思うかもしれませんが、ラリーが続かなくてもそれが「互いのため」だと考えます。

上達のために実践で意味を持つ練習をしたい

ボレーボレーで、フォア側がも続いた後のバック側のボールに十分なに準備ができず、本来の打ち方ではない”変な” 打ち方で無理やり返球しようとするといった事は良くあります。

「実際のゲームでは次にどんなボールが来るか決まっている訳ではない」訳ですから「相手が打つボールを予測するためにも自分の準備姿勢や心理的には 様々な状況に対応できる基本姿勢、”ゼロ” の状態に毎回戻しておくべき」だと思います。

テニス 構え

打ち損ないによる多少のコースのズレ、多少のアウトは繋いでラリーを続けるのは相手へのマナーでしょうし、イレギュラーな状況に対応する事で発想力や対応力が磨かれるでしょう。でも、それもその人が「意識して行動する」事によりものです。

練習で打つ合う中、互いが、

「自分がミスをしたらそこでそのポイントは終わってしまうのだ。相手はミスをカバーしてくれたりしない。」

「試合で起こりうる状況を想定せず、特定条件でしか行えない攻撃で満足していても本当の意味で強くはなれない」

といった事を理解し、考える事、丁寧さや緊張感を持って練習しないと練習が上達に結びつかないでしょう。

「テニスをやるだけで楽しい」は続けるための大事な要素ですが、周りと比較した相対評価ではなく遥かに上手い人達に少しでも近づく向上心があるなら、練習意図を考え、同じ2時間でも意味の深い練習を行えるようになりたいと思いますね。