数年前からアームスリーブを利用する選手がちらほら
最近、プロテニス選手が利き腕にアームスリーブ(アームカバー)をしてプレイするのを見ます。
最初に見た記憶は2014年のラオニッチ選手
4月のソニー・オープンから付け始めたようで3月のBNPパリバ・オープンでは付けていませんでした。付け始めた理由として痛めた肘をサポートする目的で付け始めたという話を聞きましたが1年程使用してそれ以降は使っていないようです。
ラオニッチ選手が使用していたのはウェア契約のニューバランスのもののようです。
次に思い浮かぶのはキリオス選手
2015年位に利き腕ではない左手側にだけ付けている時がありましたが、今年に入ってからずっと付けているようです。
キリオス選手は2014年にタトゥー風のサポートテープを利き腕に貼ってプレイしていました。
キリオス選手の理由はサポートよりファッション的な意味合いが強いのかなと思います。トッププロでは珍しい履くタイプのコンプレッションウェアも時折使用しています。
キリオス選手が使用していたのはウェア契約のナイキのもののようです。
杉田祐一選手も今年のゲリー・ウェバー・オープンから使用しています。
杉田選手の使用理由は情報が無いので分かりませんが使用しているのはドイツのHerzog Medical社の製品のようです。
ゲリー・ウェバーはドイツの大会なので現地で急遽調達した形なのかもしれません。ウィンブルドンでも使用していましたがウィンブルドンの規定からかロゴをテープで隠していました。
アームスリーブを買った経緯
私はテニスの練習で身体のあちこちを痛める事があります。
足首、腰、そして肘。慢性化することはないのですが軽く捻ったものでもその後1ヶ月位は違和感が残ります。足首などは不安もあるので冬場にサポーターを購入しました。

今回、アームスリーブ (アームカバー)を購入した訳ですが、理由としてはシンプルに肘を痛めたからです。 サーブの打ち方を改善しようと思い練習している際、インパクトで打点が前過ぎて腕が伸びきってしまいそこで軽く肘を痛めてしまいました。
また、私はすごく汗をかくタイプで夏場は練習中にシャツを着替える位です。大量に汗をかくことで体温は下がりますが末端部である腕も冷える (ラケットを振るので利き腕側が特に) 感じがします。女性がエアコンの効いた室内で上着を羽織る感じでしょうか痛めた部位のサポートという意味以上にアームスリーブを試してみようかなと思った訳です。値段もさほど高くはありませんから。
McDavid マクダビッド M656
アームスリーブ (アームカバー) は複雑な構造ではないので多数の製品が販売されています。
SKINS (スキンズ) のようなコンプレッションウェアを販売するメーカーからも圧着による運動機能向上をうたうものも出ていますし、ゴルフやテニス関連では主に女性に向けUVカットをうった製品も各メーカーから市販されています。
個人的には、足に履くタイプのコンプレッションウェアはある程度意味はあると思う半面、上半身に着るタイプは圧着による運動機能の向上(圧着により筋肉が正しい動きをするようになる云々) 等はほぼ無いだろうと思っています。
野球のアンダーシャツやUVカットのような体温を保つ、日焼けを防止するといった目的の方が余程しっくりきます。つまりアームスリーブならメーカーにこだわる理由は無い、検討条件は値段や素材、メーカーへの(多少の)信頼感だろうと思いました。
その上で今回購入した製品はMcDavid (マクダビッド) というメーカーのものです。
テニス用だとテニスショップにも並ぶウェアメーカー関連の製品 (ナイキ、ミズノ、ワコール他)を考えるのでしょうが、私はテニス上達のためと他スポーツの情報も色々見ており、このマクダビッドは野球やバスケット界隈では知られたブランドのようです。
元々がアメリカのブランドでアメフト用のサポーターから出発したメーカーのようです。日本では1988年位から販売が開始されています。
アームスリーブとしては3製品あるようで、1製品は肘部分のみを守るタイプ、上腕から手首までをカバーする2製品の内、値段の安い方のM656という製品を購入しました。
値段が上の8837という製品との違いは部位毎に素材を変えて圧着効果を高めてある点のようです。M656は全体が1素材のようです。
私の場合は圧着による運動向上は目的ではないのでM656で十分、右腕だけなので1本入りを購入しました。
M656の製品内容
パッケージは赤で店頭でも目に留まります。
大きなスポーツ店なら、野球用品の近くでマクダビッドの名前を出せば店員さんも「あぁ、あれですね。」と分かるようでした。
サイズはXS、S、Mがあるようです。
XS: 17~21cm / 長さ36cm
S : 22~27cm / 長さ:40cm
M : 28~33cm / 長さ:43cm
サイズは上腕周囲の長さが目安で私は33cmなのでMを選びました。
Webの商品紹介には圧着による運動向上もうたわれていましたが、パッケージにメインで記載されているのはhDHcテクノロジーというものによる汗の蒸発と体温コントロールです。私の目的にも合っています。
製品はこんな感じ。
カラーは10色ありますが、今回は白と黒を買ってみました。
裏面表示の販売元を見ると、白がマクダビッドジャパン、黒がユナイテッドスポーツブランズジャパンとなっていました。2015年に社名変更しているので白は2015年以前の製造ということになりますね。(白はAmazonで黒は店頭で買いました。)
その違いか、製造年の違いかは分かりませんが、縫製が微妙に違います。
白は手首の部分ゴムが入っておりゴム部分が盛り上げるような縫製、 黒の方はゴムが入っていないです。(どちらも圧着系ウェアの縫製ではよく見ます。)
上腕の端は両方平たいゴムが埋まっているようですが伸縮度合いがだいぶ違います。白は全体的によく伸びる感じ、黒は伸びる幅が小さい感じです。
今、店頭などで新しく買おうという方なら黒と同じ製品になるのでしょう。
製品の長さ
Mサイズの全長は43cmとありますが測ってみると一番長い部分で42cm位でした。
私の腕は脇の下辺りから手首までで42cm程です。腕に通す際とかなり長く感じますが、生地が広がることもあるのかシワがあちこち寄ってしまうようなこともありませんでした。
変に短めなものを引っ張りながら使うよりは良いと思います。
製品の上から下まで通っている周囲で1箇所だけの縫い目を肘下から手首下の位置になるように装着するとちょうどロゴが上側に来ます。
生地
アームスリーブ M656の生地はナイロン80%、ポリウレタン20%でした。
この素材配合が結構重要で、ポリウレタンはテニスで言えばオーバーグリップの素材がそうです。自分でオーバーグリップを巻いたことがある方なら分かるでしょうがやや硬めで少し伸びるものの伸ばす力を引き戻す強さがあります。一方のナイロンはストッキングのようなもので伸び縮みし密着するものの引き戻す力が弱いです。
ポリウレタンを加えることでナイロンの装着しやすさに圧着のためのしっかりさと引き締めの強さを出しているということになります。
私が持っているもので言えば、ミズノのアンダーパンツ系の短パンの配合はナイロン85%、ポリウレタン15%、生地は薄く伸び縮み度は大きいものの引き締めの強さはないです。
他CW-Xのコンプレッションタイツの配当はナイロン70%、ポリウレタン30%、生地も厚いですが伸びが小さく変形しづらい、引き締めの強さはかなり強いです。
アームスリーブ M656の生地の厚さは0.63mm、裏地のない少し厚めのウィンドブレーカー位の感じでしょうか。適度な厚みがありつつなめらかで装着はしやすいです。
圧着系の製品で生地が伸びるといっても復元力が高い訳ではないので大きく引っ張らずに装着した方がよいと思います。(伸びたシワがそのまま残るという訳ではないです)
使ってみての感想
夏場の室内コートですが2時間程のテニスで2回ほど使ってみました。
前述の通り、運動中、私はかなり汗をかきます。腕から汗は殆どでませんから脇や肩から流れた汗がアームスリーブに染みる感じですが汗ジミが出来てもすぐに乾く印象は受けます。シャツは汗だくですから乾きやすさはあるのでしょう。
気になっていた汗をかくことで腕部分に感じる冷えですがテニスをやっている間は気になりません。腕を圧迫されている感覚が他の感覚をごまかしてしまうのかもしれませんが装着している間は風に当たっても直接的に涼しく感じる感覚も薄れます。
また、練習後、アームスリーブを外した後に腕が冷えるのを感じますね。肘を痛めているので肘の違和感もそこで現れます。(控室は強く冷房がかかっていたりもしますし。)
テニス中の実感よりも外した後の状態を見れば効果はあるかなぁという感想ですね。圧着系のウェア全般そうですが圧着されることでの心理的安心感もあります。
値段も2,000円弱ですし、肘に多少の不安がある方は使ってみるのもよいかなと思います。(女性のUVカットには腕単体ではなく肩部で両側が繋がった製品があります。)
ただ、テニス肘には期待される程の効果はないでしょう。道具でごまかそう (ラケットを変える、ガットを変える)とするのではなく、打ち方そのものを変えなければ大きく改善するはずもないですから。