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書籍: 試合に勝つテニス 鈴木貴男のダブルス講座 (テニス)

テニス書籍

スクールではダブルスの基本は学べない

スクールではテニスの基本と言えるボールを打つ練習はできますが、試合形式でプレイする際にどうやって攻め、守ればいいのかを学ぶことは難しいです。

我々が主に行う形式はダブルスです。レッスンの最後にダブルス形式をやるのはお約束ですが、実質コート上に4人居るというだけの打ち合いです。後衛同士は自分が決めてやろうと考えます。その間に前衛は何もできず、逆に「次打つ」と決めたボールに状況関係なく飛びつきます。

スクールはいろんな方が居り「理屈はいいからボールを打たせろ」と言う方も居ます。理屈を教えるよりボールを打たせる練習が中心になるのは広くニーズに応えるには仕方ないです。

『テニス入門書』は意味がない

『テニスの入門書』の多くは『スクールで初心者が教わる説明 (テニスの基本的指導と言われるようなもの) がそのまま書籍になったもの』です。

スクールで教わってもずば抜けて上達する人は居らず、逆に多くの方は上達せず悩みますね。

この事から言えるのは『テニスの上達は完全に自分次第。教わるだけでは上達しない。自ら知識を蓄積し、しっかりと考え、そこから正しい根拠を持ち、それを実践できるようになるべきだ。』ということです。

スクールで教わる内容はこの『自主学習』には向いていません。コーチの教え方が悪い訳ではないです。スクールで教わる内容をそのまま書籍で読んでも尚更実感が湧かないでしょう。だからテニス入門書の類は上達には全く結びつかないと思っています。

(スクールで教わる事を整理・確認する位の用途です。学校の授業で教わることと全く同じ事が書いてある参考書を買うようなものでしょうか。)

因みに「自分は雑誌や本を読み、選手の動画も沢山見る。聞いたコツもやっている。それでもなかなか上達しない。」と言う方は『情報は集めても考えていない』のだと思います。私も以前はそんな感じでした。

なぜボールは飛び・回転がかかるのか? それとラケットの関係は? それらを効率的、安定的に再現する体の使い方は? 体の機能や仕組みは? そう考えていくとどのスポーツでもやる事は定まってきます。我々が教わる”ボールの打ち方”はそれが欠けていると感じるのです。

ダブルスのやり方は書籍で学ぶ

ボールの打ち方ではなくダブルスのやり方は書籍で学べます。

ダブルスは2人で攻守するためシングルスよりもセオリーとなる事柄が決まっており、状況に応じたセオリーに基づいたプレイがポイントを取る、ポイントを失う確率に直結するからです。

ダブルス関連の書籍の多くはダブルススペシャリストの方が監修されており、ダブルスの基本 + 経験から得られた知識の提示もされています。基本的な約束事(セオリー)はおおよそ決まっているのでどの書籍でも教科書のように最初から読んでいけばダブルスのやり方を学べるようになっているということです。

テニスの入門書の類を買う意味はないですが、ダブルス関連の書籍は買う意味があります。ボールの打ち方と違い、ネット上の情報などダブルスの基本を書籍以外に学べる十分なソースは現状ありませんからね。

試合に勝つテニス 鈴木貴男のダブルス講座

先日、岩渕プロのダブルス関連書籍を購入しましたが、気になっていた別の一冊、鈴木貴男プロの『試合に勝つテニス 鈴木貴男のダブルス講座』も購入してみました。

テニス書籍

書籍としては岩渕プロの本よりも薄手ですがその分、1,400円(+税)とお手頃でもあります。

 

 

鈴木貴男プロの指導について

これまで鈴木貴男プロのテニス関連書籍は何冊か購入した事がありますし、YouTube等で公開されているレッスンイベントの動画も参考にさせていただいています。  

「こうやって打ちなさい」と打つ形を指示されるではなく「こういう理由からボレーはこう打つのが良いのです。こうやって打つとミスをしなくなるんですよ」という説明です。

サーブの打ち方、回転がかかる仕組みをこのような内容で説明するのを聞いた事があるでしょうか?

鈴木プロの指導の特徴

鈴木貴男プロのレッスンの特徴は『なせそうするのかという根拠に基づいて説明がされること』に尽きます。

「サーブは薄いグリップで打たないといけない。その方がボールの威力が上がるからだ」では説明になっていないでしょう。

鈴木プロの指導を理解する

一方、説明を聞くにあたり注意すべきは『鈴木プロと自分と同じ知識を持ち、理解をすることを求められる』点です。

鈴木貴男プロの説明は常に一貫しており、どのレッスンでも同じ理屈に基づき説明されます。鈴木プロが普段から説明している内容を事前に予習し、ある程度理解した上でないと、イベントに参加しても期待した『うまく打つコツ』ではなく、『理屈の理解』を求められるので皆戸惑うし、何回イベントに参加しても理解がなければ鈴木プロが言うようには打てるようにはならないでしょう。(それでも初対面で当たり障りのない標準的な指導をされるレッスンイベントよりマシですが。)

だからこそ自主学習に役立つ

ただ、前述した通り、テニスの上達には自主学習が必要であり、そのために知識を集め考えることが重要鈴木プロの説明は一般的なレッスン内容を聞き、説明を受けるよりもそれに向いた内容になっていると思います。

内容は?

実業之日本社で出版されてきている鈴木貴男選手の『勝つテニス』シリーズの最新刊 (といっても発売は2015年) になります。

サイズは20.8 x 14.8cm、これまでの書籍と同様のサイズ感で先日の岩渕プロの書籍とも近いA5の手帳に近いです。ページ数は159ページで厚みは1.3cm、岩渕プロの書籍が191ページあったのでだいぶ薄く感じます。一般的な文庫本位の厚さですね。

中はモノクロで、黒 + オレンジの配色です。

テニス書籍

この配色は、岩渕プロのダブルス書籍と同じですが、レイアウト、文字の配置、写真の大きさ、全てにおいてこちらの書籍の方がはるかにこなれていて見やすいです。

※因みに、実業之日本社で発売された過去の勝つテニスシリーズ (鈴木貴男のスライス系ショット完全レッスン、鈴木貴男のサーブ&ボレーレッスン等) は内容が薄く読んでも全然参考になる感じがしませんでした。今回のダブルス書籍を見てそれらは編集側の問題もあったのかなと感じます。

章分け 

章分けは以下のようになっています。

  • 1.ダブルスはポジションで勝つ
  • 2.ポジショニングの基本と応用
  • 3.前衛の戦術と攻撃法
  • 4.レシーバー側の戦術
  • 5.陣形別の戦術
  • 6.サーバー側の戦術
  • 7.ダブルスに強くなる心得と練習法

各章20ページ程、前衛の戦術と攻撃法の章はやや割り当ててあるページ数が多く、最後のダブルスに強くなる心得と練習法の章は少なくなっています。

テニス書籍

レイアウトを見るだけでも分かりやすい感じは伝わるでしょうか?

テニス書籍

岩渕プロのダブルス書籍に較べて、文章量に対し、各写真のサイズが大きめに取ってあるので見やすいです。

ただ、文章中の説明と写真、図(写真中の数字や矢印)の関連付けがわかりづらい部分があり、「自分がこの位置に居ると、相手はここに打ててしまいます。」の説明がどの写真のどの部分を言っているのかわからないということが有りました。

ダブルスで最初に理解すべきはポジション

ダブルスの練習と言うと、陣形、前衛と後衛、攻撃と守備といったキーワードが浮かびますが、この書籍で最初に2章をかけて説明してあるのは『ポジション』についてです。

ダブルスに慣れている方なら当然という感じでしょうが、スクール等でダブルス形式の練習をする際、圧倒的に不足しているは“ポジションについての理解や認識”です。

ダブルスはコート上に4人居て、自コートは自分とパートナーで攻守を担当します。

相手側がボールを打つ際、打つ相手の位置から自コートのライン内に無理なく収まる角度は決まってきます。その扇型に広がる角度を2分割し、半分を自分、半分をパートナーで担当するのが守備の基本です。

テニス ダブルスのポジション

テニスでは必ず相手の打つボールのコースを事前に予測するのが前提です。

打つコースが予測できているのと、相手が打ってから動き出すのではボールに追いつくのに1秒以上の差が出るでしょう。

ダブルスでは2人で攻守するので、その予測を前提に「自分が今、どの位置にポジションを取れば、攻撃しやすいか、守備しやすいか」を考えながら、場所を移動しつづけます。

ダブルスの雁行陣を教わる際、「味方後衛が打つ時は下がった位置、味方後衛が打ったボールを相手前衛が取らなかったら、前に出て、相手後衛が打つボールをポーチする。」といった風に教わりますが、後衛同士が打つボールの速度が速くなれば、そんな前後の動きでは追いつけませんし、ボールに合わせて4人の位置は動き続けるのでそんなシンプルではありません。

「次にボールを打つ相手の位置、ボールを打ってくる確率が高いコースに対し、自分がどこに位置すべきか」

コート上に居る4人がそれぞれにそう考えて動く中、構成されるのがダブルスの動きになります。

ボールは必ず自分よりも前に居る相手から自コートに向かって飛んでくるので、相手の位置から飛んでくるコース幅を2人のポジションで消して行けば、自分よりも後にあるスペースは考えなくてよくなります。

また、サイドギリギリ、クロスのネット際などは相手がしっかりと構えて打てない状況ではミスする確率の方が高くなります。(構えて打つ場合はそれに応じたポジション)

※前衛が頭の上を抜かれるのは相手の状況を見てロブを予測できていないから。スマッシュは無理でも触るだけのハイボレーでしっかりカットすれば簡単に選択できなくなる。ロブに対するポジションチェンジは”対応上やむを得ず”行うもの(マイナスの行為)で『上げられる即ポジションチャンジ』という思考は”問題先延ばし”、”失敗のリスクから逃げている”だけです。女ダブではロブが多用されますがポジション取りと短い距離でもしっかりと狙って打てるなら長いラリーは不要だと思います。

鈴木貴男選手ならではの説明と表現方法

ダブルスの基本が学ぶというだけでなく、全編、鈴木貴男選手らしい解説になっていると思います。 

章分けから、最初から順番に読んでいけばいい教科書のような作りになっていますが、単にダブルスの基本を説明していくだけでなく、鈴木貴男選手の経験から「基本ではこう言われるが自分はこう考えた方がやりやすいと思う」といった情報が盛り込んであります。

戦術あり、ダブルスで考えるべきことあり、パターン毎の対処方法あり、技術的なことやアドバイスあり。190ページ程の薄い本なのにかなりの情報量があります。

ボレーを打つ際に足の使い方、ボールを打つ前後の動き方など、ダブルス以前のボールを打つ方法へのアドバイスもあります。(これらは鈴木貴男選手の一般向けレッスンで良く言われていることです。)

鈴木貴男プロは「テニスに初心者向けもプロ向けもない。最初からプロがやるようなテニス (技術が高いということではなく、”本当のテニス”という意味)をやるべきだ。」というお考えなので、この書籍もこれからダブルスを学ぼうという方もある程度ダブルスをやってきている方でも、広く参考になる内容になっていると思います。

値段もお手頃ですし、『ダブルスのポジション取り』を中心に扱った書籍と合わせて読んでみるとよりダブルスへの理解が深まる気がします。

試合に勝つテニス 鈴木貴男のダブルス講座 (SPORTS LEVEL UP BOOK)
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