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ラケットへのこだわり オリジナルカラーのPRO STAFF 6.0 85インチを買ってみる (テニス)

tennis racket

ラケットはどれでもいいなと思うけどこだわりはある

私は使うラケットは正直なんでもいいと思っています。

メーカーは売るために製品に特徴づけをしますが、10g重かろうが、10インチ面が大きかろうが、0.5インチ長かろうがボールを飛ばし、回転をかけるという基本性能に大差ないと思っているからですね。

各社、製品を継続販売しており、性能が平均以下のラケットを売るはずもないです。

ラケットでボールが飛ぶ理屈

ボールが飛び、回転がかかるのは、

1) 飛んでくるボールのエネルギーを反発させる
2) 自ら加速させたラケットのエネルギーをボールに伝える

のいずれかを主に使うか、両方を組み合わえているからです。

積極的にスイングしないボレーは主に1、自らトスしたほぼ速度ゼロのボールを打つサーブは主に2、ストロークは打つ位置や状況によって1と2を組み合わせて打っています。

飛びに影響するのは、面サイズではなく、フレームの厚さとその構造でしょう。

フレームがしなる・歪む・たわむことでエネルギー伝達にロスが生まれます。

よく、

「しなるラケットはボールを掴み、それが復元する際にボールを飛ばしている」

と言われますが、ラケットのしなり、歪み、たわみはボールが離れるまでに復元しないでしょう。

少なくともボールとラケットが接触している間はしなりっぱなしだと考えます。

これがそのまま

「フレームの厚い、ボールとの接触時に変形しづらいラケットはボールが飛ぶ」

事の説明になります。

「飛ぶ」と言われるラケットになにかバネのような飛ぶ仕組みが追加されているのではないのは見ただけで分かりますね。

つまり、「飛ぶ飛ばない」とはエネルギー伝達のロスの大きさという事です。

このため、同じような構造を持つ100インチのラケットでフレーム厚26mmとフレーム厚20mm以下の2つを比べれば後者の方が圧倒的に「飛ばない」と感じるはずです。最近のラケットは製造技術の進化で「飛ばない」とされたラケットも「飛ぶ」ようになってきていますが、20mm以下のフレーム厚なら100インチでも90インチクラスのラケットと飛びは大差ないはずです。

100インチで20mm以下なんてラケットが殆ど無いから皆「100インチのラケットは飛ぶ」と思わされています。

ボールに打ち負けるという話

速度を持って飛んでくるボールも、スイングされるラケットも、それぞれが持つエネルギーの大きさは『1/2 重量 x 速度 ^2 (2乗)』で表せます。

硬式テニスボールの重量は56.0~59.4g。

硬式ラケットの重量を300gとすれば、あくまで計算上ですが、

飛んでくるボールとスイングされるラケットの進む速度が同じならラケットの方が約5倍の運動エネルギー量を持つ

と言えます。

よく「一生懸命スイングしたけどボールに打ち負けた」「軽いラケットだとボールに打ち負ける」といった話になりますが、仮に時速100km/hで飛んでくるボールと同じ大きさの運動エネルギーをラケットに持たせるには、

1/2 x 56.0 x 100 ^2 = 280,000
sqr (280,000 x 2 ÷ 300) ≒ 43.2 なので、

「ラケットが速度 “43.2km/h” でボールに当たれば良い」

といった計算になります。

飛んでくるボールの半分以下の速度で打っても対等のエネルギー量を出せるのですから、皆が言っている「打ち負ける」とは

ラケット速度やラケットのスペックではなく、技術的、条件的な問題から生じてる

のだろうと想像できます。

皆分かっているのでしょうが「ラケットに原因がある」ようにしたいのでしょう。

ラケット選びは「信頼して使えるか」

ラケットのバリエーションはフレーム厚からくる飛びの違いを除けば、

『打感』の味付けの違い

であり、重さやバランスも含め1ヶ月も使えば慣れてしまう位の違いだと思います。

「兄弟からもらった古いラケットだけど慣れたらこれしかないって感じになった」

みたいな感覚は分かりますよね。

好きな選手が使ってるモデル、色が好き、メーカーが好き等、自分が気に入って使えるラケットを信じて使うのが一番です。

頻繁にラケットやガットを変える方は慣れる間もなく判断してしまっている訳で、第一印象で良いラケットが見つかり使い続けたとして、使いはじめて1ヶ月後に「前のラケット、ガットと何がどう違うか?」と聞かれたら「慣れてしまったからよく分からない」と回答しそうなのは想像がつきます。

その場で2つを比較すれば「どう違う」と感じられる繊細さを人は持っていますが「使い続ければ慣れていまう」鈍感さ、順応性も持っています。

気に入ったラケット、信頼できるラケットでないから「今ミスしたのは道具のせいではないか?」という疑念が生まれるのだと思います。道具に取っても、自分にとっても不幸なことです。

Wilson Prostaff 6.0 85

私がテニスを始めた頃の男子シングルス世界No.1はピート・サンプラスさんでした。

その影響で暫く、PRO STAFF Limited 85という製品を使っていました。

当時はラケットの塗装技術も高くなく、白、青、赤、緑みたいなシンプルな色にラインが入っている位のものばかりでしたが、黒いラケットは少なかったように思います。

色付きの方が一般受けするでしょうし、Princeグラファイトの緑同様、製品のイメージが強いので他社が敬遠していたのかもしれません。

最近、RFのネーミングで85インチが販売されましたが、どうやら塗装以外、以前からの仕様と全く変わらない、ある意味復刻版なようです。

www.tennisclassic.jp

オリジナルカラーも数回、復刻で販売されてきており、今後も機会があるかもしれません。少なくとも私はRF85はデザインが好みでないので買う気にはなれません。(フェデラー選手の顔ロゴをつけるセンスがいただけないです)

前回の復刻版は海外でも販売は終了している感じですが、新品で1本入手する機会があったので写真を載せてみたいと思います。

この復刻版の正式名称は『Wilson Prostaff 6.0』ですかね。

復刻等のタイミングで製品名が微妙に変わっていますが85インチのモデルです。

重量はガットを張っていない状態で340g程あります。

全体写真

Wilson Prostaff 6.0 85 全体

ラケットフェイス左右のPWSの出っ張りが特徴的ですが、Qみたいな左右不均等なラインの入り方も独特です。

ilson Prostaff 6.0 85 スロート

Wilson Prostaff 6.0 85 PWS

他の多くのラケット同様、中国製です。光にかざしても見ると表面の黒い塗装もあちこちにムラがあります。

いまどきのラケットのように機械で自動の焼付け塗装をしている感じでもないのでしょう。

作業員さんがスプレーで塗っているのかも。

フレームの厚さ

Wilson Prostaff 6.0 85 フレーム厚

フレーム厚は17mmです。

写真ではわかりづらいですがフレーム厚が21.5mmのPro Staff97と比べるとこんな感じ。

市販ラケットで20mm未満はほぼ見ないのでその薄さが分かります。

Wilson Prostaff 6.0 85 フレーム厚の比較

Wilson Prostaff 6.0 85 フレーム厚の比較

ProStaff 6.0の方がグロメット幅が太いのは製造技術の進化だと思います。

フレームのカーボン整形が進化して細いグロメット溝を使っても大丈夫になったとか。

ラケットフェイスの大きさ

ラケットフェイスの違いはこんな感じです。

Wilson Prostaff 6.0 85 ラケット面 サイズ比較

Wilson Prostaff 6.0 85 ラケット面 サイズ比較2

Wilson Prostaff 6.0 85 ラケット面 サイズ比較3

97インチと85インチなのでProStaff6.0の方がフレーム周囲1個分位小さくなります。

でもその差は周囲で1.5cm位、ProStaff97の方が新しい分の改良で打ち損なってもカバーしてくる性能向上はあるでしょうが、扱いやすさ (難しさ?) は大差ないと思います。

ただ、思うのは手や腕の操作でラケットをボールに当てようとするスイングの方だとラケットの重さの違いもあり、余計に当たりづらいと感じるでしょうか。

私は315gの97と340gの6.0も交互に使っても違いは気になりません。

実際打ってみてどうなのか?

まず、ProStaff 97はそれ以前の90インチと比べると比較にならない位ボールが飛び、扱いやすくなっています。

それら90インチのProStaffは85インチのオリジナルから展開していったものなので、97より85の方が遥かに近いです。

ただ、90と85の間にも飛びや扱いやすさに差があります。

ProStaff 97と85インチのProStaff 6.0を比べてどうかと言われると表現するのが難しいのですが、97の方が扱い慣れているのでコートでボールを打っている場では安心感が持てます。ボールも飛びますからね。

ProStaff 6.0の方はというと97に比べてラケットがしなっている感じのがよく分かります。

Prostaff 97もしなりは感じるのですがボールを支えるフレームの頑丈さがあるので『多少』といった感じ、ProStaff 6.0の方はフレームの頑丈さがない分、スイングしボールを打つ中でシンプルに『しなってる』感じを受けます。

前述の通り、フレームが薄くラケットがしなる程、運動エネルギーの伝達にロスが生まれボールが飛ばなくなる訳なので、同じガットを同じテンションで97と6.0に張れば6.0の方が飛ばないと感じるのは当然だと思います。

普通に使えるのか?

速い回転のかかったボールを打ち合いたい方にはProStaff 6.0がどうか以前にボックス形状のラケットすら選択肢に入ってないでしょうから、私のようにスクールや仲間内で練習する範囲でどうかという前提ですね。

85インチというとおじさんの回顧主義や実際のテニスで役に立たないこだわりのように思われがちですが、私は市販のラケットは性別、レベル関係なく好きなラケットを使えばいいし、使って問題が起きるようなこともない (逆にラケットを変えたらかうまくなるようなこともない) と思っているので、ProStaff 6.0も製品特性を踏まえて使えば全否定される類の選択ではないと思っています。

ただ、ProStaff 97はボックス形状でもフレームのしっかりさがあるので、やや硬いのガットを張ってもバランスが悪くなったりしないと思うのですが、

6.0の方はしなる・ぶれるの伝達ロスをカバーするためにはスイングスピードを上げて運動エネルギーを大きくする必要があり、それ故、柔らかいガットを緩く張るのは向いていない

でしょうか。

今どきのスイングをスピードを上げて打つ打ち方にこういう(ラケット面の小さい)しなるラケットが好まれないのはそういう面もあるのでしょう。

硬いガットは向かないので柔らかめのマルチかナチュラルをテンション高めでという感じだと思います。

緩く張ると球離れがスイングスピードに追いつかずなかなかボールが飛んでいかない、自分のイメージよりもボールが飛んでいくタイミングが遅い印象を受けると思います。

それを『球持ちがいいい』と表現したりしますが、ボレーしかいないならともかくストロークでそれでは困るでしょう。

ちなみにピート・サンプラス選手はナチュラルガットを60ポンド以上のテンションで張っていたそうです。

ちなみに、とりあえずProStaff 6.0にバボラのマルチを56ポンドで張ってみましたが、それでも40ポンド台で張っているProStaff97よりも球離れは遅い気がします。

重さについて

340gの重さを言われると思いますが、前述のように

手や腕の操作でラケットを動かしボールに当てるようなスイングだと打っている間に疲れてしまうはずでその原因は『ラケットを握る強さ』です。

筋肉の緊張状態が継続されれば人は疲れを感じます。

ラケットに働く慣性の力を利用して、ラケットの前進に任せるようなスイングができれば重さは気になりません。(私が重いラケットに慣れているという点もあります)

ボレーはほぼスイングを伴わないのでラケットの重さが手に感じやすいですが、それも『手』ではなく『腕』、『腕』よりも『体や足』を使ってラケット位置をボールに近づけることができれば「ラケットが重くてボールに動きが追いつかない」といったことは減るでしょうか。

「ラケットが重いと操作性が悪くなる」「ボレーが追いつかなくなる」と言われるのは、

悪く言えば、

「ラケットが軽い事を利用して、腕で振り回して操作している。楽をしている。」

という事だと思います。

昔は女性の方でも500g近いラケットを使っていたと聞きます。

「重い = 操作性が悪い」とマイナスに印象操作するのは「軽いラケットが普通」だと思っている事の裏返しなのでしょう。

サーブはスイングスピードが大事なのでラケットが重いと加速させづらい気がしますが、これも体の使い方の問題なので、他ショット同様、敢えて重いラケットを使って体の使い方を考えるというのはいい練習なのかもしれません。

重いラケットを気にせず使えるなら、練習の中で軽いラケットと交互に使っても、違いを気にせずにスイングできるようになると思います。

打ち比べて重いラケットでスイングや動きが変わってしまうなら、そういう体の使い方でラケットをスイングしている、ボールを打っているということなのだと思います。

私はゆっくりとしたスイングでボレー中心に打感を楽しむような使い方をするつもりはないですしそういうスイングでもないのです。

ただ、ラケットの重さの違いが気になるような体の使い方にならないよう考えているので315gと340gを交互に使っても使い勝手に差を感じる事はあまりないでしょうか。(しなりの違い位)