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画像追加: フォアハンドとスピンとプロネーション (テニス)

tennis forehand

トップスピンをかけて打つということ

先日、ボールにトップスピンをかけて打つということについて考えました。

ボールにトップスピンをかけて打つということを考える (テニス)
ラケットをスイングする理由テニスにおいてラケットをスイングする理由は「ボールを思った位置まで飛ばすのに必要なだけの運動エネルギーを発生させるため」です。ラケット面を飛ばしたい方向、角度に向けるという意味もありますが、距離が必要なければボレー
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Mj

スピンをかけるのは魅力だから皆強くスピンをかけたいと考えコツを聞きたがりますがラケットをスイングするのはボールを飛ばすためであり、ラケットはボールを打ち出す方向と角度、つまり前に向かって振らないといけない。

コート中央のベースライン上、地上から80cmの打点からネット中央の一番低い所の2倍の高さ、約1.8mを超すための打ち出し角度は “水平+約5度” でしかない。

5度の打ち出し角度に対し20~30度も上に、スイング途中にラケット軌道が変わるようなスイングをしていてはボールにスピードが出すのは難しいしボールを正確に捉えるのも難しい。

そもそもボールスピードが速い事で相手コートのライン内に収まらないのを防ぐためにスピンはかけているのであって、スピンをかけるのが目的になっていては本末転倒である。

ボールを飛ばすために前に向かってラケットをしっかり振る中でスピンをかける方法は腕でラケットを持ち上げるスイングではなく、加速するラケットに引っ張られる形で発生するプロネーションがある。

といった事を書きました。

インパクト前後にプロネーションを意図的に起こす

インパクト前後にプロネーションを “意図的に起こす” とこういう感じになります。

forehand pronationforehand pronationforehand pronation
ワイパースイング

グリップの厚さもありますが、ラケットから肩よりも前に進んだスイング終盤に前腕を内側に回転させるプロネーションを行えば、ラケットヘッドは引き起こされ、ボールには前向きの回転がかかります。

図は前腕の回転のみで表していますが、肘の関節を中心に腕全体を内側に巻き込むように使えば “昔風のワイパースイング”  のような形です。

アランチャ・サンチェス・ビカリオ選手のワイパースイング

ただ、これでは打ち出し方向 (前) に向かってスイングしているラケットの軌道が上向きに大きく変化してしまいスイングスピードが落ちてしまいます。

確かに回転は多くかかるようになるかもしれませんが、スイングスピードが落ちている分、回転量に多く運動エネルギーを割り振ると余計にボールスピードが遅くなるはずです。

昔風の腕を巻き込むようなワイパースイングはクレーコーターが敢えてバウンドを高くするために使っていたような技術でもあるので、現代的な打ち方、体の使い方にもマッチしないように思います。

現代的なフォアハンドではボールを飛ばすためにラケットを前方に振りながら回転をかける

脱力が出来ている現代的なフォアハンドのスイングなら、手に引かれてグリップ側から引かれるラケットはヘッド側がスイング軌道に対し後方から追従。(ヘッドが倒れるのを補助するため前腕はスピネーションにより外側に回転する。)

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 20170501005-1.jpgtennis forehand

ヘッド側が遠心力で外側に膨らみながら加速し、グリップを速度的に追い越す。

フォアハンドtennis forehand

加速したヘッド側はグリップを追い越した後も慣性の法則で前に進もうとする。

ラケット慣性の法則ラケット軌道 慣性の法則

手は前に進もうとするラケットヘッドの慣性の力、及び遠心力に前方に引っ張られ、前腕を回転させるプロネーションによりそれに対応しようとする。

インパクト後も前方に進むラケットも手の長さ以上には進めないので、手に引っ張られることで方向を変え、それ以上前に進めないので次第に減速、慣性の力を残したまま非利き手側の肩方向に巻き付いていく。

forehand

速度を持って移動するラケットに引っ張られ、そのラケットの動きを邪魔せず、逆にサポートするように体が使われた際、ラケットはしっかりと加速し、プロネーションは起き、インパクトの有無関係なく (ボールを打っても素振りでも同じ形) 、フォロースルーに向かいます。

これらは全て物理現象に基づくものであり、”人がスイング軌道を作ろうとする” 要素も “ボールに当てようと操作する要素” も含まれません

forehand stroke

ただ、ラケットの動きを邪魔しないようにするだけでこれらのスイングが起こります。

慣性の法則や遠心力で起こっているスイング軌道で、人が “ボールに当てよう”と1球毎にラケットを操作するのと異なり、ラケットは安定した軌道を自然と描いてボールも正確に捉えやすくもなります。

振り子のように動く物体の軌道は安定してますよね。

ラケットを振り子のように動かしてみると

まとめ: 誰も気にしないが、前提として理解すべきはラケットとボールに働く物理的な法則

テニスはラケットという道具を使ってボールを打つので「ラケットをボールに当てる」「ラケットを使ってボールを飛ばす」といった意識を持ちやすい。

このため「ボールを打つ、操作する技術が上がればテニスはうまくなる」と考えがちです。

ただ、ボールが飛び回転がかかるのは物理的な現象だ。現象が起きるのは理由がある。「インパクトではラケット面は地面と垂直にしろ」と言われるが、ボールを真上に突くのにラケット面を上に向けない人は居ない。

フォハンド 打点真上にボールを突く動き

飛ばしたい方向に真後ろから90度でラケット面を当て、その方向へまっすぐエネルギーを加えるのが安定且つ効果的にボールを飛ばす方法だといった事を知らないままではテニスは上達しないと思っています。

飛ばしたい方向にまっすぐ進める

「教わらないから知らないまま」ではどこまで言ってもイメージ頼り (○○するような状態、ナダルみたいは打ち方をすれば… 等)

何を根拠にボールを飛ばし、ボールを打つというのでしょう。

安定的にしっかりとボールを打つために必要なことは、まず、ボールに働く物理現象、ラケットに働く物理現象、両者が接触するということといった点の理解だと思います。

ボールの打ち出し方向 (仮に+5度) に対して “前に” しっかりとスイングをしてボールを飛ばす中で回転をかける要素としてはプロネーションの働きがありますが、プロネーションをしないと回転がかからない、上向きに振らないとスイングがかからないといった考え方は、ボールに働く物理現象を見ないで、キーワードに振り回されている状態です。

「◯◯を行えばスピンがかかる」という話は魅力的かもしれませんが、多くの場合それが上達に繋がらない、うまくいかないのは皆が経験することだと思います。

うまくできないからと他のコツを探すのではなく、もっと着目すべき点は別にあるはずです。