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グリップは厚い方がいいのか? 選手のグリップとフォームを見てみる (テニス)

フォハンドのグリップは厚い方がいいのか?

以前、フェデラー選手のグリップについて写真を見ながら考えました。その際のまとめとしては「フェデラー選手のグリップは世間で言われる通り薄め。ただ、セミウエスタンかイースタンかと言った一律な言い方は難しい。なぜならフェデラー選手はグリップエンドが手の平に収まる程長めに握っているし、グリップも、指先よりも手のひらの親指側に厚く当てていてかなり特徴的な握り方に見えるから」としました。

では、他のATP選手のグリップはどの位なのでしょう。写真で見てみようと思います。目的としては「グリップの薄い・厚いではなく、グリップとフォームや打点の関連性」です。(比較が目的なので個々の選手の特徴を細かく見ることはしません。)

ジョコビッチ選手

インパクト前後でグリップよりも肘の方が下に位あるのでジョコビッチ選手はウエスタングリップより厚い位だと思います。

マレー選手

マレー選手もジョコビッチ選手に近い感じですね。インパクト前後でグリップよりも肘の方が下に位あるのでウエスタングリップより厚い位だと思います。ジョコビッチ選手よりもハンマーグリップ(拳のような形でしっかり握る)っぽいのは、前へのスイングよりインパクト後にラケットを引き起こす(ワイパースイング)動きに重きを置いているからかもしれません。そのための厚いグリップという感じでしょうか。

ナダル選手

スピン量の多さからグリップが厚い印象を持たれているであろうナダル選手ですが、実際にはセミウエスタンかそれより少し厚い位です。ナダル選手はフェデラー選手と同じストレートアーム(インパクト前後で上腕と前腕がまっすぐになる)タイプのスイングなので、肘が曲がるダブルベンドタイプのフォームに比べて打点がやや手前になる分、グリップが厚くない方が力が入りやすいためだと思います。(コンチネンタルグリップとウエスタングリップの打点を比べると前者の方が打点が手前になるのと同じ。理由はグリップによって力が入りやすい打点が異なるから)

錦織選手

知られている通り錦織選手のグリップはジョコビッチ選手やマレー選手よりも厚い位です。錦織選手もダブルベンドタイプですし、他選手よりもややラケットヘッドが下から入るのと、マレー選手同様に大きくラケットヘッドを引き起こす動作が見られるのでグリップが厚い方がよりヘッドを効かせやすいということかなと思います。

最後にフェデラー選手

グリップエンドが手のひらに収まる形で握っているので薄くないように見えますが、指先より手のひら上側の親指や人差し指の拇指球付近にラケットが触れている所を見るとかなり薄いグリップ(※イースタンとかただ薄いだけでなく握り方が独特)だと思います。

グリップを比較して感じること

さて、5選手見てきましたが、選手間のグリップの厚さの違いはダブルベンドタイプかストレートアームタイプと関連しているようです。トップ選手における割合は多分8:2位でダブルベンドタイプの方が多いと思います。(ストレートアームはベルダスコ選手、ハース選手とか) 

基本的に厚いグリップで打つならダブルベンドの方が向いており、薄めのグリップで打つならストレートアームの方が向いているという感じだと思います。コンチネンタルグリップでフォアハンドを打っていた時代は皆ストレートアームだったことからも関連性が推測できます。

Embed from Getty Images

※打点についてはグリップが薄いから手前、厚いから前といった単純なものではありませんね。コンチネンタルグリップのように手前で打つだけならスピンはかかりません。プロ選手は厚いグリップでなくても打ち方を工夫して打点は十分前にとれていると思います。(薄いグリップは打ち方に工夫が必要)

厚いグリップでの打ち方の特徴としては、インパクト前後の前方向への「押し」と急激にラケットを引き起こすことでスピンをかけるのが特徴だと思います。スイング全体で言えばテイクバックからインパクトに向かうまでよりインパクト前後からフォロスルーにかけてのほうが重要になる打ち方という感じ。

厚いグリップで肩よりも前でボールを捉える

一方、薄めのグリップでは、インパクト前後でのラケットヘッドの急激な引き起こしが難しい分、振り始めからフォロースルーまでの全体のラケットヘッドの動きの中でスピンをかけるのが特徴でしょうか。

ラケット速度と慣性の力を利用して回転をかける

ラケット速度と慣性の力を利用して回転をかける2

フェデラー選手やナダル選手の打ち方を見れば2人ともこのラケットの動きの中ボールを捉えているのがよく分かります。

厚いグリップは腕の位置に対し打点が前になるのでインパクトの前後はまっすぐ前方向に”わずかに動かす・押す”ことは出来ても後は”上に引き起こす”しかないです。

薄いグリップのように積極的にグリップを動かそうとすると「手首をこねる」感じになります。加速中のラケットが慣性の法則で前進しようとする動きの中でヘッドが勝手に動いていくのとラケット速度が落ち着いた段階で前腕の機能でラケットヘッドを意図的に引き起こすのはどちらが自然かは分かりますね。ボレーを見ても分かるように薄いグリップの方が手首を柔軟に使えて面の向きをコントロールしやすく面を動かしながらボールに当てていくことができます。

グリップが厚い/薄いの特性は、ボレーやサーブで薄いグリップが使われるのでも分かります。グリップが薄いと面を「垂直方向(フレーム方向)に動かしやすく」なり回転をかけやすくなります。ただ単純に前に押す力は強く出せません。グリップが厚いと「水平方向(ボール方向)に押しやすく」なりますが今度は単純にラケットを上に引き上げようとしても力を入れにくいです。打点で言えば前者が手前、後者が前、腕が体から離れるほど前方向以外に動かしづらくなります。従って前者は全体のスイングを通してボールに前方向と回転の力を伝える工夫が必要で、後者は押す力の中でラケットを引き上げる工夫が必要となります。

我々が使いやすいのはダブルベンドで厚めのグリップかも

個人的にはどちらがやりやすいかと言えばダブルベンドで厚いグリップだと思います。

打点の位置がはっきりするのでぶれにくい。ボールを押すという力が入れやすいのも厚いグリップです。ストレートアームで強く回転量を上げて打つには十分な「脱力」によりラケットヘッドを大きく動かす(仕事をさせる)必要があり、スイングの振り始めからフォロースルーまで一連の動きとしてボールを捉えないといけません。コンチネンタルグリップでトップスピンをかけるには面の当て方やスイングにかなり工夫が必要ですがそれと似ています。つまり技術的により難しいはずです。当然、ラケット速度も十分速い必要があると言えます。

ダブルベンドで厚いグリップはボールを捉えやすく安定的に打つのに向いていて、ストレートアームで薄めのグリップは回転量や強いボールを打つには工夫が必要になると思います。打点を前に取ればラケット速度が遅い人でも回転を重視しなければラケットのエネルギーを飛ばすことに割り振れます。ただし、薄いグリップとストレートアームより打ちやすいというだけで厚いグリップでダブルベンドだからうまく打てるという訳ではないです。(これ重要)

多分、今回の話関係なく、グリップを厚くしようとしている人、実際にウエスタン等の厚いグリップで打っている人は事前とダブルベンドが多いだろうと想像します。何も考えずにともその方が楽に打てるからです。

ストレートアームで薄めのグリップは難しいか?

ただ、ストレートアームの薄めのグリップで打つのは技術的に難しい分、工夫する面白さがあるでしょうし、うまく打てるようになれば回転量も上がり強いボールが打てる可能性はある気がします。(厚いグリップより伸びしろが大きい感じ) でも、繰り返しになりますがその分難しいはずです。これは両手バックハンドと片手バックハンドの違いに似ている気がします。

注: 世の中には様々な考え方があると思います。今回の腕の形とグリップの厚さに関する内容はあくまで個人的な考えによるものです。ご了承ください。

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