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フラットサーブに必要な高さをざっと計算してみる (テニス)

「身長が2mあれば」という話

よくフラットサーブを打つには高い身重が必要だからサーブは回転をかけないと確率が上がらないという話を聞きます。ただ、必要な身重という話になるとだいたい「2m以上あれば入る」とか曖昧です。

もちろん、空気抵抗、ボールスピード、回転の有無、温度、風の有無などの要素が関わってくるので、単純に高さだけ計算するのは意味がないのですが、少なくとも位置関係がどうなってるかだけ確認してみようかなと思いました。

図: サーブを打つ際の距離や高さの関係

ネットが最も低いコート中央部を通す、サーブを打つ位置はコート中央のセンターマークの所、ボールの落下点は相手コートサービスボックスの『T』の位置。これで「最短距離」という事になるでしょう。

自分側のベースラインからネットまでが11.885m、ネットからサービスボックスの先頭までが6.4mです。ここにボールが着地するとします。中央のネットが一番低い高さは規定により0.914mです。

6.4 + 11.885 / 6.4 = 2.85703125 (ベースラインからサービスボックスの一番奥までの距離は、ネットからサービスボックスの一番奥までの距離の約2.86倍)

図は直角三角形なので各辺の関係は a² + b² = C² とかですが、

単純には、ネットの高さを約2.86倍すれば、必要な高さが分かります。

0.914 * 2.85703125 = 2.6113265625 (ベースラインからネットの頂点を通してサービスボックスに入れるのに必要な高さ)

つまり 2.611m程 必要となります。

2.811mの打点ってどの位?

ではこの高さは実際どの位になるでしょうか。

おおよそですが、身重170cmの人の場合、地面から肩までの高さはおよそ138cm、腕の長さ(肩から指先まで)が73cm、手の大きさ(手首から指先まで)が18cm、ラケットの長さが68.58cm(27インチ)、ただし、ヘッド先端からサーブで打てるスイートスポットの最上部までの距離を考えるとマイナス約10cmといったところ。(分かりやすいようここではcmで計算します。)

138 + 73 – 18 + 68.58 – 10 = 251.58 (cm)

身重170cmの人が直立した状態で、ラケットを持った手を真上に伸ばした形でサービスを打てるボールの位置を考えると 251cm(2.51m) 程 ということになります。

つまり、空気抵抗等を全く考えなければ身長170cmなら10cm程度ジャンプすればいい という事でしょうか。

自分の身長に近い数字で書いたため回りくどくなりましたが身長180cmならジャンプしないで計算に近い軌道となるという事ですね。

フラットサーブ 打点の高さ

身長が180cmあればフラットサーブが入るとはならない

ただ、この計算は、重力や空気抵抗等の諸条件を加味していませんし、上記の身長180cmで計算した軌道は「ネット中央の最上部にボールの中心が直撃する」軌道です。

普通に考えて「ネットの最上部にボールの中心が直撃する」精度でサーブを打ち続けられる訳がないし、「身長170cmの方が毎回10cmジャンプしてその精度で打つ」と考えれば尚更難しいでしょう。

「サーブの基本はフラットサーブだ」と言われますが、重力や空気抵抗を加味しない単純な計算でも

自分の意思で意図的に回転をかけて打つサーブ以外は「サーブを打つ」という事に当たらない

だろうと想像が付きます。

ストローク同様に「回転をかけて打てる」が本来はサーブのスタートライン?

回転をかけずに打つオーバーヘッド系スイングによるショットはネット近くで打つスマッシュ位しか使えないという事です。

本来、望ましいであろう説明内容としては

今からオーバーヘッド系スイングの基本となる回転をかけない打ち方を説明します。

これはネットに近い位置から打つ。打ち下ろすような軌道で打つスマッシュ等で使えます。

ただし、サービスボックスから20m近く離れた所から途中にあるネットを越して入れないといけないサーブはこれでは「入らない」です。重力や空気抵抗頼みで毎回『加減して』打つサーブでは困りますし、緊張したら尚更入らなくなります。

ストロークを打つ際、少し軌道を上げつつ、トップスピンをかけてネットを安全に越し、ベースラインに収まるように打つのと同様、サーブも「自分の意思を持って意図的に回転をかけてしっかり打てる」打ち方が出来ないと「サーブをうつ」という事にはなりません。

無回転で打つオーバーヘッド系スイングではなく、回転をかけたオーバーヘッド系スイングが出来るという事が「サーブを打つ」事のスタートラインと言えます。

といった感じなんだと思います。

ストローク同様に「え、回転をかけて打たないの? それじゃネットするし、コートに収まらないだろ」と周りから言われる位になるべきなのかもしれません。

「実質的に意味がないので」無理にジャンプしたりして無理やり打点を高く取ろうとしない、毎回態勢、状態を不安定にしながらサーブを打たないで、左右の足が地面に付いた足や下半身、身体本体に力が入れられる状態を維持しながら、どうやったら回転をかけつつオーバーヘッドで打てるのかと考えるのがサーブの練習としては良いのかもしれません。

男子プロ選手でも、ほぼ回転しないフラットサーブを打つのはカルロビッチ選手(211cm)位な気がしますよね。「フラットサーブはスピードが速い」等と考えるのが妥当とは思えませんね。