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フォアハンド、ラケットは何で加速させるか? (テニス)

hit a ball

ラケットを加速させる要因

今回はちょっと難しい話題について考えてみたいと思いました。

フォアハンドを打つ際、ラケットを『加速』させる要因はなんでしょうか?

hit a bll

特定の要因だけが重要な訳ではないはずですが、ぱっと思いつくのは以下のようなものです。

  • 1)遠心力
  • 2)ラケットを引く力、前方に押す力
  • 3)ラケット重量

物理の話になりますが、運動の第2法則(ニュートン)によると

「加速度 = かかった力 ÷ 質量」です。

ラケット重量が同じなら力に比例して加速度は増えます。(ちなみに力が同じでラケット重量が減っても増えます。増えれば減ります) ラケットの重みを使うとは言いますが、ボールに伝わる力は増えても加速度には貢献しない(軽くするしか無い)ようです。

当たり前のようですがラケットに伝わる力がポイントのようです。

前方に押す力は、よく「フォアハンドでは重い荷物を押すように体を使い、最も力の入る位置を打点とする」と言いますが、これもボールに力を伝えやすい位置、体の使い方という意味でラケットの加速にはあまり貢献しなさそうです。(肘を使って腕を前方に押す(Push)する動作をすれば速度が出ない事はわかりますよね。)

遠心力ですが、遠心力とは、回転中に物が外側に飛んでいこうとする力と円の中心でそれをひっぱる力が均等になっており、手を離したりする事で引く力がなくなり飛んでいってしまう事です。

遠心力を使うのは間違いではないですが、ラケットを持って伸ばした腕を単に体を軸とした回転するだけではラケットは振れないのは感覚的にわかると思います。

遠心力は、速度の2乗に比例して大きくなりますが、半径が大きいほど遠心力は少なくなります。つまり、腕プラスその長さ分、中心(体)から遠い位置にあるラケットは遠心力が働きにくいです。(コンチネンタルグリップより厚いグリップの方が速く振りやすいのは力が入りやすい + ラケットが体に近くなる意味もありそうです。)

また、物が動く際には「慣性」という力が働きます。慣性とは静止している物は、力が加わらない限り静止しようとするし、動いている物はは同じ運動を続けようとする性質の事です。よく言われるのは、電車で急ブレーキがかかった際、立っている人がバタバタっと倒れそうになってしまう事ですね。慣性により、止まっている物(ラケット)が動き出すにはかなり力が必要で、体の回転だけで速度を上げるには時間がかかります。ヘリコプターのローターが回り始めて速度が出るまで時間がかかるのと同じです。

色々書きましたが、結論は何なんだというと「遠心力」と「慣性」の組み合わせ になるのかなと思っています。上で書いた「体の回転でラケットを振る」のでは速度は上がりにくいので、より速度を上げやすい方法を考えるという意味です。

井上邦夫コーチの解説動画

ここで、テニスの月刊誌でも連載を持たれている井上邦夫コーチの解説動画を見てみます。 

動画の中で、テニスのおける全てのショット(フォア、バック、ボレー)は「太鼓を叩く要領で力を伝える」と説明されています。

「目の前の大きな和太鼓を叩く動き」、他では、「金づちで釘を打つ動き」、「ムチをしなやかにシュッと振る動き」、「布団叩きで布団を叩く動き」、何でもいいですが、人が普段から行っている「肘から先の上腕と手首のしなやかさで持っている棒状の物の先頭部分を加速させる動きです」。

よく、野球で「スナップを使う」と言いますが、手首の力はごく小さいので手首だけでボールを投げる事はできません。肘から先を使ってボールを投げるのもこの動きに近いはずです。

手首の機能は「背屈」「掌屈」「撓屈」「尺屈」の4つだけです。この場合においては物体を加速させるために、手首を甲側に曲げる「背屈」と、逆においでおいでのように手のひら側に傾ける「掌屈」が連携して助けていると感じだと思います。

話を「遠心力」と「慣性」に戻しますが、体を中心として腕とラケットの長さと比較して、手首からラケットヘッドまでの距離を考えれば圧倒的に距離が短く加速させやすいのはわかると思います。

加速されたラケットは「慣性」により動き続けようとしますから、インパクト後にラケットヘッドは手を追い越し、更に前方に進もうとします。手首は「背屈」から「掌屈」側にスムーズに移行していきますが、これは作るものではなく、グリップを握らないことでテイクバック時に停止したラケットに働く停止しようとする「慣性」の力により、ラケットはテイクバックの位置に取り残され、腕は引かれることで自然と「背屈」が発生します。

ラケットの加速に伴い「慣性」からラケットは手を追い越して前に進んでいきますが、手首はしなやかにそれを助けるために「背屈」から「掌屈」に向かっていきます。

この辺はよく書いている「脱力によりフォアを打つポイント」ですね。

この、「短い距離となる手首からラケットまでを遠心力を使って加速させ、発生する慣性の力を手首の「背屈」「掌屈」の動きでうまく助けてインパクト前後にスムーズに加速させる」 事がフォアハンドでラケットが加速するポイントかなと思いました。



フェデラー選手のフォアハンド動画

フェデラー選手のフォアハンドのスローモーション映像。

上体が回って胸がボールの方向を向いているのに、ラケットヘッドは体の後ろ側にあります。手は脱力しているからであり手首は背屈してます。

引かれたラケットは手首から先の動きで加速し、慣性の法則から手を追い越して更にラケットヘッド側は前に進もうとします。

背屈から復元した手首はラケットヘッドが前に行こうとする動きを助け、掌屈方向に曲がる事でそれを助けます。背屈も掌屈もフォームとして作っているものではなく自然と起こるもの、ただし、完全に力を抜くとラケットの加速を助けられないので、必要な程度、必要なポイントで力を加えてやるという事かと思いました。

もちろん、足、骨盤、(体)、肩の連携により腕が引かれてスイングの力が発生する訳ですが、ラケットを加速させるという意味では、自分の利き腕の肩より前で動作する腕の働き次第と思っています。

いわゆる手打ちと言われるようにラケットを腕で振るわけではないですがラケットを加速させるには手(腕)も十分働く必要がある、そんな感じでしょうか。